データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第9回主要国首脳会議におけるウィリアムズバーグにおけるステートメント(政治声明)

[場所] ウィリアムズバーグ
[年月日] 1983年5月29日
[出典] 外交青書28号,452−453頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.サミット参加7ヵ国の指導者として,我々の民主主義の基盤となっている自由と正義を守ることが,我々の第1の任務である。この目的のために,我々は,いかなる攻撃をも抑止し,いかなる脅威にも対抗し,更に平和を確保するために十分な軍事力を維持する。

 我々の軍備は侵略に対抗する以外には決して使用されないであろう。

2.我々は真剣な軍備管理交渉を通じ軍備のより低い水準を達成したいと考える。この声明をもって我々は平和の探究と意味のある軍備削減とに対する我々の決意

を再確認するものである。我々は,この目的のために,ソ連と共に努力する用意があり,ソ連に対し,我々と共に努力するよう呼びかけるものである。

3.実効ある軍備管理取極めは,平等の原則に基づき,かつ検証可能なものでなくてはならない。

 我々の種々の国際交渉において積極的な成果を達成するために戦略兵器(START交渉),中距離核ミサイル(INF交渉),化学兵器,中欧における兵力削減(MBFR)及び欧州軍縮会議(CDE)等について諸提案を行ってきている。

4.我々は,これらの交渉を,はずみと緊急性をもって引き続き推進しなければならないと信ずる。

 特に中距離核戦力(INF)の分野において,我々はソ連に対し,交渉の成功のために建設的に貢献するよう呼びかけるものである。

 フランスや英国のような第三国の抑止力を算入することを提案することにより,西側の分断を図ろうとする試みは失敗するであろう。

 これらの兵器体系は,INF交渉においていかなる考慮の対象ともされるべきではない。

5.サミット参加国は,均衡のとれたINF合意が近く達成されるよう強い希望を表明する。これが実現される場合には,配備の水準は交渉によって決められることになろう。もしこれが実現されない場合には,よく知られている通り関係諸国は当該米国兵器体系の欧州配備を計画通り1983年末には実施するであろう。6.サミット参加国は,軍備削減に向けての努力において結束しており,引き続き徹底した緊密な協議を続けるであろう。我々サミット参加国の安全は不可分であり,グローバルな観点から取り組まなければならない。

 我々の国内世論に影響を与えることによって真剣な交渉を回避しようとする試みは,失敗するであろう。

7.我々は,戦争の脅威を減少せしめるために,我々の持てる政治的資源の全てを捧げることを確約する。

 我々は,全人類が戦争の影から解放された世界をヴィジョンとして描いており,

我々は,このヴィジョンを追求する決意である。