データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第9回主要国首脳会議における経済宣言付属文書:成長と安定のための経済協力面での協力の強化

[場所] ウィリアムズバーグ
[年月日] 1983年5月30日
[出典] 外交青書28号,456−457頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.昨年,ヴェルサイユで合意された約束において,世界経済の均衡のとれた成長と発展に資するよう一層の通貨安定を確保するための手続が概説されているが,我々は,我々の経験に照らしこの手続を検討した。

2.我々は,所得及び雇用のインフレなき拡大を達成し,また,この方向で経済情勢の一層の調和をもたらすような政策を通じ,為替市場の安定を促進するとの目的を再確認する。

3.我々は,ヴェルサイユで合意した手続に従い,次のアプローチによりIMF(国際通貨基金)の監視作業に関し,IMFとの多角的協力を強化しつつある。

 A.我々は,中期的な経済条件の調和をもたらす短期的な政策行動に焦点を当てている。短期的な政策における新たな措置が不調和をもたらさないようにし,企業及び金融市場に安心感を与えるためには全般的中期的展望が今後とも不可欠である。

 B.ヴェルサイユで行った合意に沿って我々は,通貨及び金融財政面の問題につき,他分野の政策との相互作用を含め,焦点を当てている。

 我々は,我々自身の政策決定の国際的影響を十分考慮に入れる。今後検討に付される政策及び目標は次のものを含む。

(1) 金融政策 今後のインフレ再燃と金利反騰を防止し,もって持続的成長のための余地を与える通貨供給量の規律あるインフレなき伸び及び適切な金利。(2) 財政政策 我々は,望ましくは,政府支出に対する規律を通じて,構造的財政赤字を減少させることを目指すと共に,財政政策の金利と成長に与える影響を念頭におく。

(3) 為替政策 我々は,「為替市場介入の研究」の結論を念頭におきつつ,為替市場の安定に資するため協議,政策調和及び国際協力を改善する。

(4) 生産性及び雇用のための政策 我々は,効率的な経済的決定の指針として市場の指標に依存する一方で,特に若年失業者問題に関心を払いつつ我々の労働力の訓練及び移動を改善し,引き続き構造調整を推進する。

 特に,

・・・各国経済及び金融市場の弾力性及び開放性を高める。

・・・研究・開発,収益性及び生産的投資を奨励する。

・・・構造調整措置(地域,部門,エネルギー政策等)について各国が継続的な努力を払い,また,適切な場合には国際協力の改善を図る。

4.我々は,我々が達成している進展をこの枠組みの中で,引き続き定期的に共

に評価し,随時必要となる是正措置を検討し,また,重要な変化に対し迅速に対応する。