データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第14回主要国首脳会議における議長総括:中東

[場所] トロント
[年月日] 1988年6月20日
[出典] 外交青書32号,385−386頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

 我々は,近東において不安定が増大していることにつき深い懸念を表明する。占領地域における現在の騒擾は,現状を維持することはできないことを明示するものである。根底にあるアラブ・イスラエル紛争の,交渉による早期解決が必須である。我々は,直接の関係当事者間に必要とされる交渉のための適切な枠組みとして,適正に構成された国際会議の開催に対する我々の支持を宣明する。この観点から,我々は,和平の実現を目指す現在の諸努力,特に2月以来シュルツ長官が推進している提案に対し敬意を表する。我々は,関係当事者に対し,解決の探究に全面的に協力することを要請する。

 我々は,今なお継続し,我々にとり依然として重大な懸念の原因であるイラン・イラク戦争について協議を行ってきた。我々は,全会一致で採択された安全保障理事会決議598に対する支持を再確認する。我々は,この決議を基礎とした解決を求める国連事務総長の努力に対して心からの感謝を表明し後続の決議によって,この拘束力ある決議の遵守を確保するとの我々の確固たる決意を再度表明する。我々は,いずれの一方によるものであれ化学兵器の使用を非難し,この地域における弾道ミサイルの拡散を遺憾とし,ペルシャ湾において航行自由の原則を堅持するとのコミットメントを改めて確認する。