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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第15回主要国首脳会議における政治宣言:テロリズムに関する宣言

[場所] アルシュ
[年月日] 1989年7月15日
[出典] 外交青書33号,331−332頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.我々は,すべての形態のテロリズムに引き続き断固として反対する。我々は、テロリズムと闘うに当たり,テロリスト及びその支援者に対しいかなる譲歩も行わないとの原則,並びに二国間及びすべての関係国際場裡において協力することについての,我々各自の従来からのコミットメントを確認する。我々は,累次のサミットにおいて合意された政策へのコミットメントを改めて確認する。我々は,特に,国家支援テロリズムを非難する。我々は,テロリストが処罰されずに放置されることがあってはならず,国際法の枠内でかつ法の支配に従って裁判にかけられねばならないと決意している。我々は,テロ行為を支援し又は奨励してきた国家に対し,そのような政策を放棄したことをその行動によって示すよう求める。我々は,特に,人質をとることに対する断固たる非難を再確認する。我々は,人質をとっている者に対し人質を即時かつ無条件に解放するよう,また,人質犯に影響力を有する者に対し人質解放のためにその影響力を行使するよう求める。

2.我々は,すべての旅行者の安全について深く懸念し,国際民間航空に対する凶悪な攻撃及び航空輸送の安全に対するテロリスト・グループからの度重なる脅威に憤慨して,民間航空に対するすべての形態のテロリズムと闘うとのコミットメントを再確認する。我々は,航空機のハイジャック及び破壊工作からの保護のため国際的に合意された措置を強化することに貢献するとの決意を改めて表明する。

3.我々は,スコットランド上空において270名の死者を出した先般の航空機に対する攻撃を特に非難する。我々は,保安措置を一層強化することにより,このような攻撃を防止することに優先的に取り組むことにつき意見の一致をみた。我々は,この目的に向けて国際民間航空機関(ICAO)理事会が最近採択した作業計画を実施に移すことが重要と考える。

4.我々は,また,爆発物探知方法の改善の必要性についても意見の一致をみた。我々は,現在ICAOが優先事項として取り組んでいるプラスチック爆発物及び薄板状爆発物に探知用の識別策を施すための適当な国際的体制作りの努力を支持する。