[文書名] 第21回主要国首脳会議出席時における内外記者会見での村山内閣総理大臣の冒頭発言
今回のサミットは,冷戦の終結と経済のグローバル化という構造的変化の中で,新たな平和と繁栄の枠組みの構築に向けて重要な会合でありました。
本年は,戦後五十周年にあたりますが,五十年前に誕生した世銀,IMF,国連機関等が二十一世紀に我々が直面する挑戦に対応し得るかにつき議論をしました。その結果,サミットとして具体的な問題意識と方向性を打ち出すことができました。
とりわけ日本からは,IMFの早期警戒システムの強化や緊急融資の仕組みの創設,開発に関する諸機関の相互調整の強化等を主張しました。
世界経済は,成長が若干鈍化しつつあるものの,全体として,比較的順調な回復過程にあります。他方,財政赤字削減が各国共通の課題となっており,また依然失業問題は深刻な状況にあります。今次サミットでは,インフレなき持続的成長を図りつつ,各国がマクロ政策とあわせて構造改革を進め,雇用拡大を行っていくことにつき参加首脳の間の意見か一致しました。
為替については,G7蔵相会合の結論を支持しました。また,政策協調及び為替市場において緊密な協調を維持するようG7蔵相に要請しました。
また,貿易面では,あらゆる形態の保護主義への反対,効果的なWTOの確立,十分機能し尊重される紛争解決制度の確保について,参加首脳のコミットメントを確認しました。また,貿易自由化の動きを維持すべく,今後,多数国間投資協定,規制制度の改革等取り組むべき課題を明示しました。
開発途上国の問題についても,貧困削減と持続的開発のため,これまでにも増して協力していく必要性について,意見の一致を見たことは有意義であったと考えます。
今次サミットでは,旧ユーゴー情勢の緊張が高まる中で,参加国が一致して全ての当事者に対し,最大限の自制と交渉再開を呼びかけました。
ロシアについては,経済面のみならず政治面での改革の継続も必要であるとの共通認識が参加首脳の間で得られました。こうした認識に立ち,エリツィン大統領を交えての会合では,チェチェン問題の平和的解決及び改革の遂行につき有意義な意見交換を行いたいと考えます。
最後に,立派に議長を務められたクレティエン首相に敬意を表します。また,我々をあたたかく迎えてくださった力ナダ政府関係者,ハリフアックス市民及びカナダ国民の皆様に心から感謝したいと思います。