[文書名] 第23回主要国首脳会議におけるボスニア・ヘルツェゴヴィナに関する声明
我々8ヵ国の首脳は,和平合意の完全な履行及びボスニア・ヘルツェゴヴィナが民主的で繁栄した単一の多民族国家となるとの目標に対する我々のコミットメントを再確認する。我々は,1995年の和平合意以来の成果を歓迎する。いくつかの重要な課題が残されているが,我々は,和平合意の履行を加速し,これまでの18ヵ月の間に達成された進展を強化する決意である。
我々は,1997年5月30日のシントラ閣僚級会合で採択された政治宣言を強く支持し,運営委員会とともに和平合意に基づく義務の履行に向けた当事者の努力の強化を求める。すべての当事者の責任ある態度を確保するために,我々の全面的な支援は,彼ら自身による和平合意のすべての面の完全な履行を条件とする。我々は,ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおける平和及び和解に対する,カール・ビルト氏の上級代表としての卓越した貢献に敬意を表する。我々は,同氏の後任であるカルロス・ウェステンドルプ氏を歓迎するとともに,ウェステンドルプ氏に対する全面的な支持を約束する。
我々は,持続的平和のための環境を作り出すことに努めている。我々は,1998年6月までに安全な環境を確立することに貢献するSFOR(安定化部隊)の任務を支持する。我々は,国際的な民主主義的基準に合致した形ですべてのボスニアの人々に対して秩序及び安全を確立するため,現地警察の再編,訓練及び装備のための国際警察タスクフォースの努力に対し引き続き物質的及び資金的支援を与える。
選出された当局者の一部は,経済復興の鍵となる分野を悪質な形で妨害し,国際的支援に遅れを生じさせている。我々は,金曜日のボスニア議会において重要な経済関連法案が承認されたことを歓迎する。しかし,この法案の承認が遅れたこと,及び,IMF(国際通貨基金)のプログラムを受け入れていないことによって,必要とされている支援国会合の開催が更に延期された。当事者が必要な条件を満たせば,我々は,復興計画全体を実施し,また,パリ・クラブによる相当程度の債務削減を支持する用意がある。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの当局者は,難民及び避難民が平和裡にかつ秩序ある方法で故郷に帰還する権利を完全に支持しなければならない。我々は,帰還に協力するコミュニティに支援を与える。かかる協力を行わないコミュニティは,経済的支援へのアクセスを失う。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおいて平和が持続するためには,正義が実現されなければならない。ボスニアの両エンティティ並びにユーゴースラヴィア連邦共和国及びクロアチアは,和平合意の下で旧ユーゴースラヴィア国際刑事裁判所に完全に協力する義務を有する。訴追されている者は同裁判所に引き渡され,裁判に付されなければならない。経済的支援及びその他の支援への完全なアクセスと地域機関及び国際機関への参加とは,これらの義務の履行如何にかかっている。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナのすべての当局者は,独立の報道メディアを設立するための努力を加速することを含め,民主的機関の発展を加速することに努めなければならない。我々は,市町村選挙の実施に対し必要な支援を与える。
我々は,中央政府,エンティティ及び地方の当局者に対し,ブルチュコを和平合意のすべての面を早期に実施した例とすることを求める。
我々は,和平合意の署名者であるクロアチア及びユーゴースラヴィア連邦共和国が和平プロセスに対するより強いコミットメントを示していないことにつき引き続き懸念を有する。彼らはまた,人権,民主的手続,メディアの自由並びに少数者及び難民の取扱いに関する国際的基準を満たすため,これまでより相当大きな進展を図らねばならない。欧州地域の機関及び国際機関への統合に向けた一層の進展は,これらの分野における改善にかかっている。
国際社会は,ボスニア・ヘルツェゴヴィナ及びバルカン地域全体における長期的関与を維持する。我々は,この地域の国々を引き続き手助けする用意があるが,我々の継続的なコミットメントは無条件のものではない。我々は,ボスニア・ヘルツェゴヴィナ,クロアチア及びユーゴースラヴィア連邦共和国の指導者に対し,自らの責任及び義務を果たし,また,彼らの市民のための安定的かつ安全な民主的将来に向けて努力するよう呼びかける。