[文書名] <G8紛争予防>武装解除、動員解除及び社会復帰
1.導入
「小型武器」に関するG8宮崎イニシアティブは、紛争後の状況下における「武装解除、動員解除及び社会復帰(DDR)」の中核的重要性を強調した。「紛争と開発」に関するG8宮崎イニシアティブは、平和と民主的安定が経済成長と持続的開発のための前提条件であることを認識した。
DDRは、前記のことが実際にどのように機能するのか、という点に関する重要な一例である。ひとたび戦闘員が紛争への関与を止め、社会へ復帰すると、貧困社会がよりよい生活を構築し貧困から脱却することを可能とする安全かつ治安の良い環境の創造に向けて実質的な進展がなされ得る。したがって、DDRは、平和構築及び持続的開発への主要な貢献を行うものである。
しかしながら、社会復帰とは、武装解除及び動員解除の最終的な結果のみではない。それはまた、まず武装解除及び動員解除が行われること及び長期的にはそれらが維持されることを確保するための鍵でもある。ブラヒミ報告が記したとおり、動員解除された戦闘員は、「正当な生計を得られない場合、すなわち、戦闘員が地域経済に『復帰』できない場合、戦闘生活に戻る傾向がある。」。社会復帰が成功するために、元戦闘員及び地域社会は、治安が良いと感じる必要があり、また、長期的に持続され得る雇用の機会が存在しなければならない。DDRに関する新たな作業は、DDRが単に開発のための途次を敷設するのみならず、DDR自体の成功のためにDDRが長期的な開発に依拠しているということを認識し始めている。
1.DDR成功のための条件
過去の経験は、DDR成功のためのいくつかの前提条件を示唆している。すなわち、すべての紛争当事者が真に関与している和平合意、DDRに関与する主体間における適切な調整及び明確で明瞭なリーダーシップ並びにDDRを機能させるための人的、物的及び財政的リソース、である。
DDRは、国連安全保障理事会により任務を与えられた平和維持活動の一環として行われ得る。その観点から、ブラヒミ報告は関連する国連諸機関間の調整の改善とDDRにおける国連平和維持活動局のより大きな役割を勧告した。しかしながら、紛争後の平和構築の一部として地域的機関及びNGOがDDRにおいて貴重な役割を担うことができる場合もまた存在する。
1.DDR
武器の入手の可能性及びその結果としての治安の悪化は、一国の安定と開発に対して(人道的にもまた社会・経済的にも)逆の効果をもたらし得る。すべてのDDRプロセスにおける主要な部分は、武装解除である。武器は、最も厳重な管理の下におかれ、適当な場合には破壊される必要があることは明かである。これまでの武装解除イニシアティブは様々であり、しばしば限定的にしか成功しなかった。小型武器に関する宮崎イニシアティブの中で、G8は、武器、特に小型武器入手の可能性は、紛争を悪化させる重大な要因であり、したがって武装解除は優先事項である、と認識した。他の形態での武器の廃棄が公式に認可されていない限り、また当該武器が刻印されていない限り、小型武器の回収、管理、保管及び破壊のための効果的な規定は、和平合意に含まれるべきである。
しかし、まず武装解除するための信頼を当事者に与えるために、和平合意に十分な、できれば現金でない奨励措置が含まれることを確保することが特に重要である。理想的には、社会復帰は、兵士に対して保健及び教育計画へのアクセスを含む市民生活に戻るための奨励措置を提供するべきである。特に、女性及び児童兵についての特別な要請を認識する必要がある。しかし、紛争後のDDRプロセスに関与する多くの者は、警察又は軍隊の治安部隊への再入隊を希望するであろう。したがって、文民当局に対して説明できるような規律ある治安部隊の発展を可能にするにあたっては、広範囲にわたる亘る治安部門改革が、しばしば肝要である。犠牲者(その多くが女性および子どもである。)のリハビリのための規定も和平合意に含まれるべきである。広く言えば、社会復帰のための奨励措置は、目に見えた形での成功裡のかつ長期的な社会復帰計画の設置に焦点を置くべきであり、そのような奨励措置は、軍事介入及び緊急人道支援を超えて長期的な開発支援にまで至るものである。
1.結論
平和構築及び開発というより広義な意味においてDDRを捉えることが重要であることを認識しつつ、G8は、紛争から持続的開発への移行プロセスにおける主要なステップとしてDDRの重要性を支持する。
より具体的には、
●G8は、2001年7月にニュー・ヨークで開催された小型武器非合法取引のあらゆる側面に関する国連会議により採択された行動計画を強く支持する。G8は、行動計画の下でコミットメントを実施する際には、包括的アプローチの中に組み込まれている強いコミットメント及び具体的なイニシアティブを確保する努力を支持する。
●G8は、DDR計画の機構面及び実施面を改善することを目的としたイニシアティブを支持する必要性並びにそのようなイニシアティブが持続的な平和、安全及び開発に寄与することを確保する必要性を認識する。
●G8は、DDRの成功のための前提条件を認識し、より良い調整の必要性を支持する。政治的枠組、軍事行動、経済的再構築、公共及びメディアサービス並びに資金手当を網羅する包括的な行動計画が、調整改善のプロセスの一部分として、策定されるべきである。
●G8は、平和維持ミッションは、適当な場合には、紛争後の小型武器の武装解除及び破壊部門を含むべきであると認識する。
●G8は、国連が、その平和維持及び紛争後の復旧の分野における経験と活動から、DDR計画の推進において果たすことのできる重要な役割を認識する。
●G8は、紛争後の平和構築の一部として、DDRへの支援において地域的機関により果たされる役割を、リベリアにおけるECOMOGによる支援及び及びナゴルノ・カラバフにおけるOSCEによる支援の潜在的可能性を含む前例に基づき、認識する。
●G8は、DDRのような平和構築活動が長期的に現地で作業する訓練された要員を必要とすることに同意し、この目的を達成するために国際諸機構及びNGOの双方における能力開発を支持する。
G8は、過去の平和維持及び平和構築ミッションから学んだ教訓を認識し、国連平和維持活動局及びUNTAETを含む関連平和維持活動により実施された重要な調査及び訓練努力を支持する。元戦闘員の社会復帰へのアプローチにおける最善の行動には次のものが含まれる。
○政治、経済、社会、メディア、公共サービス、市民社会、軍事その他の事項というより幅広い事項を考慮すること。
○可能な限り迅速に、元戦闘員及び紛争で破壊された社会自体のニーズを評価すること。
○紛争には関与しなかったが、紛争により被災した市民にも恩恵をもたらすような現実的な奨励措置を提供すること。
○適当な基金の支出を含む社会復帰計画を支援するための活動に関するドナー間のより良い調整を行うこと。
●G8は、特に、DDRに関与している国際諸機構に対してすべてのDDRの実施のための首尾一貫しかつ包括的な計画が前記の教訓に基づき任務として付与されかつ策定されることを確保するよう呼びかけることを通じて、DDR計画を支持する。
●G8は、首尾一貫しかつ包括的なDDR計画の一部分として、諸活動の計画と実施を強化するために、要求に応じて、各国の有する専門知識を提供する。