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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8外相会合 アフガニスタンに関する声明

[場所] ウィスラー
[年月日] 2002年6月12日
[出典] http://www.kantei.go.jp/
[備考] 仮訳
[全文]

 我々G8外相は、民主的制度と、全てのアフガン人を代表し国際的に確立した彼らの人権を尊重する政府を持ち、独立し、安定し、繁栄したアフガニスタンの樹立に対する、我々の政府のコミットメントを確認する。

 我々は、2001年12月5日のボン合意に記された政治プロセスに対する我々のコミットメントを再確認し、そのプロセスの最新のステップ、すなわちアフガニスタンにおいて現在開催中の緊急ロヤ・ジェルガを歓迎する。

我々は、緊急ロヤ・ジェルガの準備と組織にあたった、ロヤ・ジェルガ委員会に祝意を表する。

 このロヤ・ジェルガは、アフガンの人々にとり、自分達の政府の選択に決定的な役割を果たす、この数十年で初めての機会であり、2004年6月までの実施がボン合意に規定されている民主的選挙に向けた道のりの重要な一歩である。ロヤ・ジェルガは、アフガニスタンを荒廃させた分裂と内紛を超えて前進する好機である。ボン・プロセスを成功させるためには、このロヤ・ジェルガが、アフガニスタンの民族構成を真に反映する効果的且つ代表的な移行政権を誕生させることが非常に重要である。我々は、全国のアフガニスタンの人々及びその指導者達が、民主的な制度を創設し、国政選挙を準備するため、ボン合意の枠内で協力することを呼びかける。アフガニスタン周辺国の、ボン・プロセスの精神に沿った、建設的な関与及び支援は、アフガニスタンの回復、復興、さらには地域の安定にとっても重要な要素である。

 我々は、ボン・プロセスの現段階までアフガニスタンを成功裏に導いた指導力及びチームワークに対し、暫定政権のカルザイ議長及び閣僚達を温かく祝福する。彼らは、アフガニスタンの人々の利益のために、短時間で多くのことを達成し、緊急ロヤ・ジェルガにより承認され後継となる移行政権の取組みの基礎を築いた。我々は、貧困撲滅並びに社会的、経済的及び政治的発展に繋がるアフガニスタンにおける効果的な復興には、安定した安全な環境が必要であると認識している。その理由から、我々は、アフガニスタンの治安部門に、紛争予防に関するG8の活動の特別な焦点を当てている。G8は、治安部門の回復のための戦略の立案において、アフガン政権及び国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)の努力を支援し、そのための国際的な支援を促してきた。G8は、元兵士の名誉ある動員解除及び地域社会への再編入、国軍の設立、警察の創設、司法部門の再建、地雷の脅威の除去といったアフガン政権の取組みを支援すること、また、我々が強く支持するところの、ケシの栽培及び売買に対抗するアフガニスタン政権の行動を支援することにコミットしている。

 我々は、2002年1月21日〜22日の東京会議でプレッジされたコミットメントを履行し、また、アフガニスタン中央政権及びUNAMAを通じてこうした支援を調整しながら、この極めて重要な局面でアフガニスタンへの支援を維持するにあたり、国際金融機関を含む国際社会の拡大された関与が重要であることを認識する。我々は、支援の約束をアフガニスタンで実際にプログラム化することが緊急に必要であることを認識し、この点で、国連とその機関が果たした中心的な調整の役割を認識し称賛するとともに、UNAMAの今日までの活動を称賛する。我々は、アフガンの人々の緊急の人道的ニーズに対応するため、引き続き支援を供与する。

 我々は、この先も多くの試練が控えていることを認識し、移行政権が、アフガニスタン全土に安全をもたらし、アフガンの人々に繁栄をもたらす能力を伸長するにあたり、これを支援することを約束する。