データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8グローバル・パートナーシップ:新規または拡張された協力事業に関する指針

[場所] カナナスキス
[年月日] 2002年6月27日
[出典] http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/kananaskis02/index.html
[備考] 仮訳
[全文]

 G8は、我々の国際的な安全保障上の目標に従い、多国間不拡散体制を支持する形で戦略的安定を高めることを目指して、(i)不拡散、(ii)軍縮、(iii)テロ対策、及び(iv)原子力安全問題(環境問題を含む)に対処するために、各国それぞれの手段に応じて、新規または拡大された協力事業を策定し、調整し、実施し、及び資金を供給することにつき、二国間及び多国間で、協調して作業する。各国は、不拡散、軍縮、テロ対策及び原子力安全上の義務及び要請を履行することについて第一義的な責任を有しており、本パートナーシップにおいて全面的な協力を行うことにコミットする。

 本イニシアティブの下での協力事業は、参加協力国の国際的な義務及び国内法を考慮しつつ、適当な二国間及び多国間の法的枠組みの下で決定及び実施される。右枠組みは、必要に応じ、以下の要素を含むべきである。

(i)協力事業が合意された目的(必要な場合、不可逆性を含む)に合致することを確保し、作業の実施状況を確認し、拠出された資金の使途を明らかにし、資金供与国代表者の現場への十分なアクセスを提供するために、モニタリング、監査及び透明性に関する効果的な措置及び手続きについて、相互に合意することが必要である。

(ii)事業は環境に安全な方法で実施され、最も高い適切な安全レベルを維持する。

(iii)各事業ごとに明確に定義された中間目標を策定する。中間目標が達成されなかった場合にはその事業を中断または終了する選択肢も含めることとする。

(iv)物資、機材、技術、サービス及び専門的知見は平和目的にのみ提供され、また別途合意がない限り、事業の実施目的にのみ使用され、移転は行われない。また、盗難または破壊防止のために十分な物理的な防護措置をとる。

(v)すべての政府は、提供される支援を無償の技術支援とみなし、税、関税、課徴金及びその他の負担から免除することを確保するために必要な措置をとる。

(vi)財及びサービスは、国家安全保障上の要請に即しつつ、公開性のある国際慣行に最大限従って調達する。

(vii)すべての政府は、協力に関連する賠償請求からの免責保証を、資金供与国及びその人員及び契約者に対し与えることを確保するために必要な措置をとる。

(viii)協力事業に従事する資金供与国政府代表者に対し然るべき特権及び免除を与える。

(ix)機微な情報及び知的所有権の効果的な保護を確保するための措置をとる。

 実施すべき活動の広がり及び範囲に鑑み、G8は、本イニシアティブの下での事業の進捗を毎年評価するための、適切なメカニズムを確立する。このメカニズムには、優先事項、事業の不足部分及び潜在的な重複部分の特定、並びに協力事業と国際的な安全保障上の義務及び目標との整合性の評価についての協議が含まれる。個別の二国間及び多国間事業の実施は、既存のメカニズムを含む、その事業に適した枠組に従って調整される。

 本指針の目的のために、「新規または拡張された協力事業」は、本グローバル・パートナーシップを基礎として開始または強化される協力事業として定義される。本グローバル・パートナーシップの発表後に支払われ、もしくは支出が許可された資金は、コミットされた資金の総額に含まれる。本グローバル・パートナーシップに貢献する国は、二国間債務と協力事業のスワップの選択肢を含め、様々な資金供給の選択肢を活用できる。

 本グローバル・パートナーシップは、ロシアにおける事業に地理的に焦点を絞る。ロシアは、本パートナーシップ内での義務及び必要な事項の実施に第一義的な責任を有する。

 さらに、G8は、旧ソ連諸国を含め、本パートナーシップに参加するために、本指針を受け入れる用意があるいかなる他の国とも交渉に入る用意がある。

 G8は、本グローバル・パートナーシップが国際の安全保障及び安全を向上するために計画されていることを認識し、他の諸国が本イニシアティブに貢献及び参加するよう招待する。

 原子力の安全及び保全に関し、パートナー諸国は、次回サミットの時までのG8原子力安全・保全グループの新たな設置を歓迎する。