[文書名]　大量破壊兵器の不拡散：Ｇ８宣言（第２９回主要国首脳会議）

1．我々は、大量破壊兵器（ＷＭＤ）及びその運搬手段の拡散は我々すべてに対する危険の拡大であることを認識する。国際テロリズムの拡がりとともに、これは、国際安全保障に対する顕著な脅威である。

2．この地球的な課題は多面的な解決を必要とする。我々は、これらの問題に個別に又は共同で、特に国連連合の制度など関連する国際機関を含む他のパートナーとともに、取り組む必要がある。

3．我々は、国際条約制度、国際原子力機関（ＩＡＥＡ）及び化学兵器禁止機関などの査察制度、Ｇ８グローバル・パートナーシップのような大量破壊兵器廃絶のためのイニシアティブ、国内及び国際的に調整された輸出管理、国際的協力及び外交的努力、必要な場合には、国際法に依拠したその他の手段など、この脅威に取り組むために利用可能な様々な手段をもっている。

4．これら全ての手段が必要である一方、どれもそれだけでは十分ではない。すべての拡散の課題に同じ解決策が必要とされるわけではない。我々は、それぞれの場合に最も効果的な手段を用いる必要がある。我々は、引き続きそれらすべてを用いて作業し、強化し、必要な場合は、関係する条約及び手段の普遍化を追求すると決意する。

5．昨年、カナナスキスにおいて、我々は、大量破壊兵器及び物質がテロリスト及びそれを匿う者に対し拡散することを防止するための「原則」を支持した。それ以来、世界における出来事は、これら「原則」の関連性とこれらを実施する緊急性を強調した。

6．我々は、核兵器不拡散条約（ＮＰＴ）、化学兵器禁止条約、生物兵器禁止条約に対する約束を確認した。我々は、まだこれら条約に参加していない全ての国に対し、参加するよう求める。我々は、これら3条約は国際平和と安全を維持するための極めて重要な文書であり、核不拡散及び軍縮の基礎であると考える。我々は、ＩＡＥＡに対する支持を確認する。ＩＡＥＡに対しては、その監視作業を実施するために必要な手段が与えられるべきである。

7．北朝鮮によるウラン濃縮及びプルトニウム製造計画、並びにＩＡＥＡ保障措置合意を遵守しないことは、不拡散体制を損なうものであり、北朝鮮による国際的な義務の明確な違反である。我々は、北朝鮮に対し、目に見え、検証可能かつ、不可逆的な形で、いかなる核兵器計画をも廃棄することを強く求める。これは、包括的で平和的な解決を図っていくための本質的な行動となる。

8．我々は、イランの核計画の進んだ状況が拡散に及ぼす影響を看過しない。我々は、イランがＮＰＴの下での義務を完全に遵守することの重要性を強調する。我々は、イランに対し、直ちにかつ無条件でＩＡＥＡ追加議定書に署名し履行することを求める。我々は、イランの核計画に対するＩＡＥＡの包括的な検査に対し、可能な限りの強力な支援を与える。

9．我々は、全ての国に対し、大量破壊兵器及びその運搬手段の開発、製造及び使用に貢献し得るような、物質、技術、専門知識の移転を規制するために、効果的な手続及び機関を設立するよう呼びかける。同様に、拡散を効果的に防止し、テロリストがそれらの物質を取得する危険を排除するため、我々は、全ての国に対し、物質の安全な貯蔵及び取り扱いのための効果的な国内基準を確立し実施するよう求める。我々は、この目的のために、単独で又は共同で、最も必要とされるところへ支援を行うことに合意する。