[文書名] 成長の促進と責任ある市場経済の増進:G8宣言(第29回主要国首脳会議)
効率的な資本市場は経済成長を達成し維持するために不可欠である。成長を支えるために、各国経済は、健全な法体制、効果的な規制、及び透明性のあるコーポレート・ガバナンスの実行を必要とする。これらの要素は、十分に機能する市場の基礎である効果的な情報開示を支えるものである。健全な社会的枠組み並びに、投資決定及びビジネス・プロセスの、環境への影響を含む長期的な影響に対する関心もまた持続的な成長のために重要である。時宜を得た正確な情報は株式保有者が管理を行い、投資家が資金を最も生産的な使用に振り向けることの助けとなる。政府当局はその支援として、企業報告により株式保有者や投資家が市場を監視し脆弱な点を見出しやすくなるよう確保すべきである。
信用と信頼は十分に機能する市場経済の重要な構成要素である。健全なコーポレート・ガバナンス並びにより信頼性のある企業構造及び市場の仲介により投資家の信頼を回復することは、我々の各国経済の成長を促進する上で欠かせない。我々は、各国の首都や国際金融機関において、また国際的基準策定団体により行われている、ガバナンスの水準及び情報開示体制の強化のための多くのイニシアティブを奨励する。
企業の健全性、強化された市場の規律、情報公開の改善を通じた透明性の向上、効果的規制、企業の社会的責任は、健全なマクロ経済成長の基礎となる共通の原則である。
共通の価値と原則
1.コーポレート・ガバナンス
1.1市場の一体性
我々は強い決意をもって、(資金洗浄、金融犯罪、テロ資金供与を含め)国際経済の一体性を更に向上するための戦いを遂行することを約束する。それは国際経済の効率性、公正性、透明性のために不可欠である。我々は包括的な国境を超える支援によるものを含め、投資家の保護、規律遵守の強化、積極的な法執行に向けた取組を継続する。
1.2市場規律の強化と効果的な規制
我々は、市場の活力を助長、促進し、市場参加者間の公正で効果的な競争を強化する健全な規制体制への支持を再確認する。グローバリゼーションの有益なプロセスを支えるために、我々は特に、国際協力を強化し健全な競争条件の公平性を強化することを企図する。我々は金融安定化フォーラム(FSF)による取組を強く支持する。
1.3説明責任とコーポレート・ガバナンスの強化
我々は、企業が株式保有者に対して説明責任を有することを確認する。OECDコーポレート・ガバナンス原則で強調されているとおり、他の出資者もこれらの問題に強い利害を有する。この目的のために、我々は全世界的にコーポレート・ガバナンスを強化するための取組の継続を要請する。我々はまた、現在進行中のOECDコーポレート・ガバナンス原則の見直しと、コーポレート・ガバナンスに関する証券監督者国際機構(IOSCO)原則の実施を強く支持する。
1.4透明性と金融情報の質の向上
一体性、質及び入手可能性は、信頼性のおける金融情報の基礎である。我々は全ての情報提供者−特に企業及びその監査人、金融アナリスト、投資銀行、格付機関に対し、これらの原則に従うよう要請する。
金融安定の必要性を認識し、我々は、特に上場企業に対して、整合的な適用、解釈、実施が可能であり、質が高く、国際的に認識されている会計基準の促進を約束する。
2.企業の社会的責任
持続可能な開発のための世界首脳会議の成果を踏まえ、我々は企業の社会的及び環境面での責任を強化するための自主的努力を支持する。
我々は、関心を有する全ての国と共に、ビジネスが責任を持って行動できる環境作りを含む、持続的な経済成長を支えるイニシアティブに取り組む。我々はまた、企業の経済的関心と一貫する、OECD多国籍企業行動指針や国際連合グローバル・コンパクト原則といった、企業の社会的及び環境面での責任を促進する、企業による自主的努力を歓迎する。我々は、企業に対して、他の主体と協力して、OECDの行動指針や1998年の労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言等の既存の文書の実施を補い推進することに取り組むよう奨励する。
3.腐敗と透明性
我々は、経済的、社会的発展の主要な障害の一つである腐敗並びに公的収入及び支出の誤った管理と戦う決意を強調する。
これらの分野における重要かつ継続的な進展は、全ての政府、国際機関、民間部門及び市民社会の協調した努力を通じてのみ達成され得る。この目的のために、我々は添付されるG8行動計画に着手する。
我々は共同で、国連機関、国際金融機関、FSF、基準策定団体及びその他の関係国際機関に対し、これらの問題に我々と共に取り組み、それぞれの計画及び行動にこれらの問題を統合するよう奨励する。