[文書名] G8貿易声明
我々は、戦略的な経済的機会の瞬間に直面している。様々な地域での成長の好転を、世界的な貿易障壁の削減と結合させることにより、我々は、この経済的拡大を深化し、推進し、伸展することが出来る。
貿易の自由化は世界の繁栄を後押しする鍵である。それは、経済成長を生み出すための最も効果的な方法の一つであり、発展及び生活水準の向上のための大きな可能性を意味する。
我々は、より大規模で効果的な貿易の自由化及びより強力な世界貿易ルールを実現するための最善の手段として、多角的貿易体制にコミットしている。WTOは、世界の成長を牽引する重要な役割を果たしてきており、引き続きそうあるべきである。G8は、WTOのドーハ開発アジェンダ(DDA)という世界的な貿易交渉において野心的な成果を達成することによって、経済成長、開発及び機会を拡大することにコミットしている。我々は、最近数週間の交渉の再活性化に勇気づけられている。我々は、他のWTO加盟国と協力し、主要な課題についての枠組みを形成し、これらの広範囲な交渉を速やかかつ成功裡の妥結に向けた軌道に戻すため、7月末までに迅速に行動することを決意する。我々は、全てのWTO加盟国に対し、共通目標たるDDAを達成するために、建設的かつ迅速に取組むことを要請する。
我々の最も緊急な務めは、経済発展と成長を進める交渉において核となる次のような課題に焦点を合わせることである:貿易歪曲的な農業補助金及び市場アクセスに対する障壁の実質的な削減;物品の貿易に対する一層広い市場の開放;サービス貿易の機会の拡大;貿易の円滑化のため、税関ルール及びその他の関連手続きの見直しと改善;WTOの制度内で、全ての国家、特に最貧国の開発の進展。これらの課題の打開についてコンセンサスが現れつつあるように見える。我々は、全ての加盟国のセンシティビティに十分留意しながら、全ての分野において高くかつ一貫したレベルの野心を維持することを確保すべきである。
農業分野では、我々は、強化されたルール、及び世界の農業市場における規制と貿易歪曲的措置を是正し、防止するための支援及び保護に対する特別のコミットメントを含む農業分野の根本的な改革へ向け、ドーハで確立された目標をかなえるための歴史的機会の寸前にある。次のステップは、全ての形態の輸出競争、国内支持、及び市場アクセスに関する包括的な交渉のために、7月までに枠組みを確保することである。農業交渉の3本柱は、全て同等の野心を持って扱われなければならない。アフリカ諸国にとって特別の関心がある綿花は、農業交渉の一部分として野心的に扱いつつ、同時に開発関連の課題について、国際金融機関と共に作業していくことが最善である。
農業分野における動向は、貿易円滑化に関する交渉を開始する合意、製品及びサービスの貿易の自由化の継続、並びにWTOルールの強化を含む、DDAの核となるその他の課題において進捗を生むことに役立つ。先進国と途上国の間の貿易の拡大に加え、DDAが南南貿易の拡大を促進することは特に重要である。開かれた市場と国内改革は密接に関連するものであり、途上国が世界経済と更に一体となるための最良の手段を提供する。我々は、将来に向け、最貧国を取り残さず、逆に、これらの国も世界貿易システムに参加するための能力を構築することを確保しなければならない。我々は、国によってはこの目的に向かって異なる速度で進む必要があることを認識する。
開発途上国がその開発政策及び貧困削減戦略に貿易を段階的に統合することは、開発途上国が世界経済と一体となるために不可欠であり、多角的貿易体制から開発途上国が得る利益を増大させる。我々は、開発途上国に対し、この点に関する努力を一層傾注することを要請し、また、貿易の能力構築のための技術援助の形で強固な支援を提供することを誓約する。
我々は、この戦略的な経済的機会の瞬間をとらえることを決意する。そのために、我々は、7月までにWTO交渉を再び軌道に乗せる枠組みを完成し、ドーハ開発アジェンダを迅速に完結できるよう、我々の閣僚に対して指示し、全てのWTO加盟国に対して要請する。