データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8行動計画:持続可能な開発のための科学技術:「3R」行動計画及び実施の進捗

[場所] シーアイランド、ジョージア州
[年月日] 2004年6月10日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

 昨年エビアンにおいて我々は、「よりクリーンで、持続的かつ効率的な技術の開発を支援する」ことに意見の一致をみた。我々は、「転換技術に関する協力的な科学的調査は、汚染を削減することによって公衆衛生を改善し、グローバルな気候変動の課題に取り組むために温室効果ガス排出を削減する可能性をもたらしている」との我々の確信を再確認する。

 我々は、エビアンで採択された「持続可能な開発のための科学技術G8行動計画」を引き続き実施しつつ、資源及び物資のより効率的な使用を奨励するために、発生抑制、再使用、再生利用(「3R」)イニシアティブ{前26文字下線有り}の開始を約束する。このイニシアティブは、この1年のうちに日本で開催される閣僚会合において正式に開始される。

 発生抑制、再使用、再生利用イニシアティブ{前20文字下線有り}

 我々は、発生抑制、再使用、再生利用(「3R」)イニシアティブを、日本政府が2005年春に主催する閣僚会合において開始する。OECD等の関係国際機関と協力し、我々はこのイニシアティブを通じて以下のことをめざす。

 ・経済的に実行可能な限り、廃棄物の発生を抑制し(Reduce){前14文字下線有り}、資源及び製品を再使用(Reuse)、再生利用する(Recycle){前26文字下線有り}。

 ・既存の環境及び貿易上の義務及び枠組みと整合性のとれた形で、再生利用、再生産のための物品及び原料、再生利用・再生産された製品、並びによりクリーンで効率的な技術の国際的な流通に対する障壁を低減する。

 ・自発的な活動及び市場における活動を含め、様々な関係者(中央政府、地方政府、民間部門、非政府機関(NGOs)及び地域社会)の間の協力を奨励する。

 ・3Rに適した科学技術を推進する。

 ・能力構築、啓発、人材育成、及び再生利用事業の実施等の分野で途上国と協力する。

エビアン以降これまでの期間、エビアン科学技術行動計画を実施するために我々がとった行動には以下のものが含まれる:

よりクリーンで効率的なエネルギー{前16文字下線有り}

 ・水素経済のための国際パートナーシップ(IPHE)を開始した。IPHE実行・連絡委員会作業計画を策定・実施中。

 ・炭素隔離リーダーシップ・フォーラム(CSLF)を開始した。環境アセスメント並びに各国が低排出又はゼロ排出石炭火力発電所開発のための補完的技術を開発又は支援していることを考慮しつつ、最初の一連のCSLFプロジェクトを承認すべく取組んでいる。

 ・再生可能エネルギー・エネルギー効率パートナーシップ(REEEP)及びボンでの再生可能エネルギー国際会議等のイニシアティブを通じて、再生可能エネルギー及びエネルギー効率的な技術のより広範な使用を促進する国際協力を支援し、前進させた。その実施及びフォローアップを継続中。

 ・原子力を引き続き使用し、かつ、第4世代原子力システムに関する国際フォーラムに参加している国については、次世代原子力技術に関する多数国間取り決めを起草した。6つの優先度の高い次世代原子力システムについて引き続き作業中。

資源物質フロー{前7文字下線有り}

 ・新しいOECD物質フロー及び資源生産性作業計画の策定を支援した。

 ・WTOドーハ開発アジェンダ交渉を通じ、環境物品及びサービスへの貿易障壁の削減、又は適当な場合には、撤廃に取り組んでいる。

地球観測{前4文字下線有り}

 ・第1回及び第2回地球観測サミット(EOS)を開催し、全地球観測システム(GEOSS)に関する枠組み文書を採択した。2005年の第3回EOSにおいて、最終的な10年間の戦略実施計画を策定する予定であり、GEOSSの調整及び監視を行う国際メカニズムを検討中である。

農業及び生物多様性{前9文字下線有り}

 ・農業科学技術閣僚会合及び博覧会において、グローバルな農業問題への技術的な解決方法を提供した。アフリカにおける農業生産性向上のための科学技術閣僚会合のために、パートナーシップ、政策及び適用に関する行動が計画されている。

 ・国際農業研究協議グループ、アフリカ農業技術フォーラム、及び他の様々なレベルでの既存の機関と共同で、アフリカ及び他の貧しい地域における農業技術の使用及び生産性を向上させるために、「より健康な人々のための耐性作物」を生物多様性を尊重しつつ促進する。

 ・食糧及び農業に用いられる植物遺伝資源に関する国際条約を発効へと導いた。条約の実施を促進するために、標準材料移転契約に関する交渉の促進をめざす。

 ・2005年1月に開催されるパリ生物多様性会議の準備を行った。

 ・アジア森林パートナーシップ、コンゴベイスン森林パートナーシップ等を通じて、持続可能な森林経営及び違法伐採対策を推進した。

分野横断的取り組み{前9文字下線有り}

G8上級政策担当・研究担当者会合を開催した。提案を検討するためのフォローアップ会合を計画中。