データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 貿易(第31回グレンイーグルズ主要国首脳会議‐G8サミット)

[場所] グレンイーグルズ
[年月日] 2005年7月8日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.WTOドーハ開発アジェンダ(DDA)の成功裡の妥結は、経済成長の創出、開発の可能性の創出及び世界中の生活水準の向上のための最も効果的な方法の一つとなろう。我々は、多角的貿易体制の強化にコミットする。昨年、我々は、貿易の成長が、先進国にも開発途上国にも同様に、世界的な繁栄を押し上げるための鍵であり続けることに役立つこの機会を捉えることの重要性について合意した。我々は、これらの交渉を確実に軌道に戻すためのシーアイランド以降の進展を歓迎する。我々は、今後1年の貿易政策における共通の最優先事項として、野心的かつバランスのとれた交渉の成果という我々の目標に向けたモメンタムを更に増大させるための作業を進めることを誓う。我々は、すべてのWTO加盟国に対し、2006年末までにこれらの交渉を妥結させるために一層の切迫感をもって作業を進めるよう求める。12月の香港閣僚会議は、この目標に向けた極めて重要な足がかりとなる。

2.我々は、開発途上国の更なる関与、また、経済成長の促進及び開発途上国の所得向上にとって極めて重要な、南南貿易を含む貿易の増大及び地域統合の支援にコミットする。我々は、特に、後発開発途上国が国際貿易体制への統合において特別の問題に直面していることを認識し、DDA交渉において適切な柔軟性が確保されるべく引き続き取り組む。この柔軟性は、後発開発途上国が、自国主導の開発プログラム及び国際的な義務に沿って、経済改革全般の決定、計画並びに順序づけを行うことを助ける。

3.我々は、新しい市場機会を創造するための中心的な問題に焦点を当てなければならない。農業においては、我々は、貿易歪曲的な国内支持の実質的な削減及び市場アクセスの実質的な改善にコミットする。我々は、また、すべての形態の輸出補助金の撤廃、及び確固とした期限までの輸出補助金と同等の効果のあるすべての輸出措置に関する規律の確立にコミットする。我々は、また、非農業産品の貿易へのより広い市場開放、サービス貿易のための機会の拡大、貿易ルールの改善、貿易を円滑にするための関税ルールその他の関連手続きの改善にコミットする。この精神の下、我々は、また、後発開発途上国からの産品に対する無税・無枠の市場アクセスの目的へのコミットメントを再確認する。我々は、すべての分野において高くかつ一貫したレベルの野心を追求する。我々は、また、後発開発途上国にとって重要な産品をDDAの一括受諾の一部として手当てする重要性を認識する。我々は、他の国々と連携し、また、加盟国のセンシティビティを認識しつつ、気力と建設的な姿勢を新たにし、2001年にドーハで合意した野心を実現するこの歴史的機会を捉えるために取り組むことにコミットする。