データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中東和平プロセス(第31回グレンイーグルズ主要国首脳会議‐G8サミット)

[場所] グレンイーグルズ
[年月日] 2005年7月8日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.中東紛争の包括的な解決は、世界の平和及び地域の繁栄にとって極めて重要である。この関連で、我々の共通の目的は、引き続き安全が確保されかつ普遍的に承認されたイスラエルと共存し、平和、尊厳及び繁栄を享受する自立可能で民主的なパレスチナ国家の建設に基づく、イスラエル/パレスチナ紛争の最終的解決である。我々は今、中東和平を前進させる真の機会を有している。

2.我々は、イスラエルのガザ地区及び西岸の北部の一部からの撤退計画を歓迎する。この勇気ある措置が成功するためには、両当事者の緊密な調整が必要とされる。

3.我々は、経済再生及びパレスチナ自治政府の統治の更なる改革を支援するため、ジェイムズ・ウォルフェンソン氏が、カルテットの撤退担当特使として、提案したアプローチを歓迎し、支持する。ウォルフェンソン氏の作業は、ウィリアム・ウォード中将の治安問題に関する作業を補完するべきものである。これらの努力は、2005年3月1日に開催されたパレスチナ自治政府の支援に関するロンドン会合の上に築かれるものである。我々は、イスラエル政府及びパレスチナ自治政府が、ウォルフェンソン氏の計画の実施に、完全かつ建設的に関与することを促す。

4.我々は、今後3年間にわたって年間最大30億ドルの世界的な経済支援を促すとの、ウォルフェンソン氏の意図を支持する。国内及び国際的な投資家は、この過程における全面的なパートナーとなるべきである。我々は、ウォルフェンソン氏の努力のための実際的な支援を動員している。また、同氏の計画が更に発展し、9月に、カルテット及び国際社会に提示されることを期待する。我々は、アラブ諸国及びイスラム諸国会議機構加盟国の強い関心に留意し、それらの国が大幅な追加的支援を提供することを奨励する。

5.両当事者は、成功裡の撤退により再び活気づけられる、ロードマップの下でのコミットメントを達成しなければならない。イスラエル政府は、入植に関するロードマップ上のコミットメントを達成し、自らの治安上の必要と整合性を保ちつつ、パレスチナの経済回復を妨げる移動制限という制度を根本的に緩和すべきである。パレスチナの経済復興はまた、パレスチナ自治政府による制度的な改革を必要とし、そのため、自治政府は、国内法及び秩序を再建し、テロリズムと闘うための効果的な措置をとらなければならない。

6.この紛争の世界的な重要性は、国際的な関与を必要とする。我々は、両当事者のロードマップ上のコミットメントの達成を支援する我々の決意を強調し、他の諸国も同様に支援するように呼びかける。