データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8グレンイーグルズ・サミット「日本政府の気候変動イニシアティブ」

[場所] グレンイーグルズ
[年月日] 2005年7月8日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 日本は、京都議定書の削減約束達成に向けて、各部門における更なる国内削減努力や京都メカニズム等の国際協力の推進に、官民を挙げて取り組みます。また、先進国・途上国を含めた全ての国の気候変動への取り組みの強化に貢献します。{この文囲み線有り}

 日本は、途上国に対する省エネルギー・環境関連技術の普及支援を通じ、国連ミレニアム開発目標達成に貢献していきます。{この文囲み線有り}

● 日本政府は97年の地球温暖化防止京都会議で発表されたODAを中心とする温暖化対策途上国支援策「京都イニシアティブ」により、これまでに約10,500人の人材育成、9,000億円分の円借款などの実績をあげてきています。今後とも「京都イニシアティブ」の更なる推進などを通じ、ミレニアム開発目標達成に貢献していきます。

● CDM(クリーン開発メカニズム)は、先進国企業などが持つ高い技術を途上国に普及させるインセンティブを提供する国際協力の仕組みです。現在はCDMプロジェクトの承認に時間がかかり、特に省エネ分野での実施が難しいという問題があるため、日本政府は、内外の専門家からなる「CDMの将来」委員会を各国と共に立ち上げ、CDMの推進と制度の見直しに取り組んでいきます。

● 省エネ関連技術の普及を進めるために、わが国からIEAに追加的支援を行い、産業別のエネルギー効率の国際的比較基準の設置や、調査研究を推進していきます。

 地球観測・気候変動監視の推進及びアジア・太平洋地域での途上国協力を実施します。{この文囲み線有り}

● G8エビアン・サミットでの小泉総理の提案に沿って開催された3回の地球観測サミットの結果、「GEOSS(全球地球観測システム)10年実施計画」がとりまとめられました。日本政府は、GEOSSの構築に貢献するため、特にアジア太平洋地域を中心に衛星から海洋、陸上に至る統合的な観測網の構築を推進します。

● わが国が有する世界最高水準のスーパーコンピューター「地球シミュレータ」を活用して、より高精度の地球温暖化予測を目指します。

● 途上国の温暖化対処能力の強化を目指し、気候変動影響監視評価ネットワーク(仮称)の構築を提唱し、その一環として、アジア太平洋地域における気候変動影響の監視・評価、各国政府への情報提供を推進します。

● アジア太平洋21カ国が参加する「アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)」を通じ、地球変動研究の推進や途上国専門家の能力開発を目指します。

 地球温暖化に関する普及-啓発に取り組みます。{この文囲み線有り}

● 一般国民のライフスタイルの変革等、具体的な温暖化防止行動を実践するため、政府主導で地球温暖化に関する国民運動(チーム・マイナス6%)を実施しています。G8を始めとする各国もそれぞれの国の事情を踏まえた普及・啓発活動を行うことを呼びかけます。

● 持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)での小泉総理提案による国連「持続可能な開発のための教育の10年」が本年1月から開始されました。わが国は、各国に「教育の10年」関連の各種行事において、地球温暖化問題も課題としてとりあげるよう呼びかけていきます。

 日本は、「もったいない」の考え方を大切にしながら3Rを世界に広め、循環型社会の構築を推進していきます。{この文囲み線有り}

● 3Rイニシアティブ閣僚会合で発表した「3Rを通じた循環型社会の構築を国際的に推進するための日本の行動計画(通称:ゴミゼロ国際化行動計画)」を推進します。

● 国際機関アジア生産性機構(APO)と連携しつつ、現在、アジア・太平洋地域において実施しているサプライ・チェーンのグリーン化等のグリーン・プロダクティビティー活動をさらに推進します。

● 東アジアにおける研究ネットワーク等を構築することによって、循環型社会の構築の推進に必要な知識基盤・技術基盤を整備します。

● 3Rイニシアティブ閣僚会合のフォローアップとして、高級事務レベルの会合を2006年春までに開催します。

 (注)3Rとは、資源の無駄遣いをなくし(Reduce)、使えるものは再利用し(Reuse)、そうでないものはリサイクルする(Recycle)こと。

 日本は、政府調達、行動規範の策定、生産国支援、G8森林行動プログラムのフォローアップを通じて違法伐採対策に取り組みます。{この文囲み線有り}

● 「違法に伐採された木材は使用しない」という基本的考え方に基づき、「グリーン購入法」を用い、政府調達の対象を合法性、持続可能性が証明された木材とする措置を導入します。

● アジア森林パートナーシップ、日インドネシア共同声明、アクションプランの実施等を通じ、違法伐採木材の輸入や取引を止めるための任意の行動規範の策定に向け、各国への働きかけを行います。

● 日・インドネシア二国間協力や国際熱帯木材機関(ITTO)を通じた協力により、履歴追跡システムの開発、ガバナンスの向上、腐敗防止のための教育、普及啓発、貧困対策、合法性の基準や確認・監視システムの構築、貿易統計の分析による違法木材取引の把握等総合的な取組を推進します。

● G8森林行動プログラムのフォローアップとして、2006年中にG8各国の専門家による議論を進めます。