データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 感染症との闘い(第32回サンクトペテルブルク主要国首脳会議‐G8サミット)

[場所] サンクトペテルブルク
[年月日] 2006年7月16日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.世界的に主要な死亡原因である感染症の脅威に対して力強く対応することは、世界の発展及び世界の人々の幸福にとり不可欠である。HIV/エイズ、結核、マラリア及び麻疹等の主要な疾病は、世界中、特に開発途上国において、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成を阻害し、経済と社会に多大な損害をもたらし続けている。これらの疾病の多くには、途上国の大部分の人々が入手可能な有効な薬、ワクチンまたは他の治療がいまだに存在しない。この状況は、政府及び人々が、予防及び必要な保健情報への限られたアクセス、不十分な保健システムの能力、資格を有した保健関係者の不足と大幅な流出、限られた資源、そしてしばしば栄養、きれいな水及び衛生の不足という状態に直面している後発開発途上国、特にアフリカにおいて深刻である。これらの課題を深刻化させているのが、最近の高病原性鳥インフルエンザの発生であり、ヒトへの流行の可能性と相まって、我々の早急な対応を必要としている。効果的で調整されかつ包括的な行動が、あらゆる感染症と闘う上で必要である。

2.これらの課題に対処するため、我々G8首脳は、以下の分野での明確な進展を達成する決意である。

○動物衛生とヒトの保健関係者間のより良い調整、検査能力の育成、国内的・国際的な規則や協定に基づき、ウィルス検体や疾病の発生についての関連情報をすべての国が時宜を得て共有する上での完全な透明性を有した、感染症のサーベイランスとモニタリングに関する国際的な協力の改善。

○国際的な科学的研究プログラムにおいて、特に開発途上国の科学者の参加に注意を払った上での、感染症分野での科学的研究及び交流の強化。

○2006年1月に開催された鳥及び新型インフルエンザに関する国際プレッジング会合でのコミットメントの時宜を得た履行を含め、鳥インフルエンザの発生に効果的に対応し、また、国際社会がヒトのインフルエンザの大流行の可能性に備えることを助けるための関連国際組織による努力の支援。

○特に世界エイズ・結核・マラリア対策基金への支援を動員することによる、主要な感染症へのこれまでのG8のコミットメントの達成、2010年までに必要とするすべての者に可能な限りHIV/エイズの治療への普遍的アクセスを与えることの継続的追求、ストップ結核世界計画の支持、アフリカ諸国と協力してマラリア対策活動を拡大するための資金提供、世界HIVワクチン事業の継続的拡大、及び、今後数年内に地球上からのポリオ撲滅を宣言するための世界ポリオ撲滅イニシアティブに対する我々の継続的支持。

○保健システムの能力強化、及び資格を有する保健関係者の訓練、配置、確保の強化に焦点をあてた支援プログラム、並びに、革新的な臨床研究プログラム、官民パートナーシップ及び他の革新的メカニズムを通じた、疾病予防及び治療へのそれを必要としている者のアクセスの改善。

○自然・人為的災害等の緊急事態による健康被害を緩和するためのより良い調整や能力構築を通じた関係国際機関との取組みによる努力の支援。

感染症サーベイランス及びモニタリングの世界ネットワークの強化

3.即時の報告、国内的及び国際的な規則や協定に従った検体の共有、並びに地理的空白を作らないことを目的にした発生に関する信頼に足るデータの交換等の効果的な感染症モニタリングは、感染症の流行を防止し闘うために不可欠である。新興感染症は、すでに知られている病原体の新種と共に、定期的に発生すると考えられ得る。最近の高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の発生は、そのような疾病を察知し、効果的に対処する上で国際的協力の改善が必要であることを強調している。この点に関連し、我々は、改定・国際保健規則の規定のうち、鳥及び流行性インフルエンザによる脅威と関連があると考えられる条項を直ちに実施することを支持する。我々は、迅速かつ透明な通報に関する規定や必要情報に関する規定等を遵守する。

4.我々は、世界的伝染病発生警戒・対応ネットワーク(GORAN)等の世界保健機関(WHO)の下で活動している既存の世界的なネットワークを引き続き支援する。我々はまた、国際社会に対し、以下を通じて、世界的なサーベイランス・メカニズムを更に強化するために必要な措置をとることを求める。

○情報交換の強化、及び政府が開かれ且つ透明な形で迅速に信頼に足る情報を提供することの慫慂。

○技術支援の提供及び専門家の訓練により、途上国が感染症のサーベイランス及びモニタリングの国内システム能力を向上させるための支援。

○将来を見据えた科学的・臨床研究プロジェクトを含め、将来発生する感染症への備えの構築。

5.ヒトの保健及び動物衛生の分野で活動する関係組織や専門家間の国内・国際双方のレベルにおける協力を改善することは、人獣共通感染症の発見、認定及び時宜を得た対応に資するであろう。特に、我々は、WHO、国際獣疫事務局(OIE)及び国連食糧農業機関(FAO)に対し、戦略的かつ持続的に、世界早期警報システム(GLEWS)等のイニシアティブに関し、引き続き共に作業を行うよう促す。我々はまた、動物原生感染症の拡大の原因となっている野生生物の不法取引と闘うため、世界的及び地域的な専門家間の協力の改善に努める。

6.我々の感染症との闘いにおいては、加速化されたより広範な科学的・臨床研究プログラムが極めて重要である。この努力において、我々は、開発途上国との科学的協力を増大し、開発途上国と先進国の専門家及び研究所間のパートナーシップを奨励し、あらゆる所得レベルの国々における科学的潜在性を増大させることを目指す。我々は、科学的研究に資金援助する組織に対し、すべての可能な場合に開発途上国の専門家の参加を拡大し、そのような参加を不当に限定的なものとする可能性がある障害を乗り越えるよう慫慂する。開発途上国における研究結果の応用のため、それらの国々の機関との提携を拡大することによって、我々は、途上国の現在のまた将来の世代の科学者が国際的な環境下で活動し秀でるべく備えることを支援し得る。そのようなプログラムには、倫理的な臨床実験を計画・監督するための訓練が含まれるべきである。

高病原性鳥インフルエンザとの闘い及びヒトへの大流行への世界的準備体制の強化

7.インフルエンザ大流行の脅威は、すでに経済に影響を及ぼし、世界的に懸念を高めている。特に、高病原性鳥インフルエンザの深刻な発生は、多くの地域で確認され、急速に広まり続けている。H5N1ウィルスまたは同様の別のウィルスが、ヒトからヒトに感染する可能性もある。これは、社会及び商業活動の継続の確保を含め、十分な準備態勢を整える必要性を強調している。

8.我々はまた、ヒトの保健及び動物衛生部門間の強力な調整の必要性を認識する。獣疫の大流行への対処の改善は重要である。我々は、動物衛生部門と研究所の強化の必要性を認識し、野生動物のより良いモニタリングを慫慂し、ウィルスの探知と研究の質を高め、検査を改善し、また良い農業慣行の指導を通じた流行封じ込め計画を支援する。

9.我々は、ヒトの間で大流行する新型インフルエンザにも、発生直後から出来る限り迅速な初動を行う必要性を認識する。これに関連して、我々は、WHOによる「迅速な対応及び封じ込めに関する取決め」の準備に迅速な進展がもたらされるよう慫慂する。

10.我々は、WHO、FAO及びOIEが高病原性鳥インフルエンザへの世界的対応において、また国々がヒトへの流行の可能性に備える上での支援において果たしている主導的役割を認識し、賞賛する。我々は、彼らの努力に対し、また世界銀行、アジア開発銀行、国際通貨基金等の国際金融機関の努力に対し、引き続き全面的な支援を与える。この関連で、我々は、高病原性鳥インフルエンザ危機管理センターの設立、またOIE、FAOの権限下で早期対応と評価を行う国際的なチームを活用することを含め、鳥インフルエンザウィルスの動物への大流行に世界的に緊急に対応すべく、より効果的な行動規準を策定するためにFAO及びOIEにより開始されたイニシアティブを歓迎する。我々は、ドナーになり得る国々に対し、このイニシアティブを支持するよう求める。

11.脆弱ですでに感染の発生した国々、特にそのうちの開発途上国に対する強固で包括的な支援プログラムは、鳥及び流行性インフルエンザへの我々の世界的な対応の不可欠な一部を成す。2006年1月に北京で開催された鳥及び新型インフルエンザに関する国際プレッジング会合において、国際ドナー社会は惜しみないコミットメントを行いその期待に応えた。我々は、すべてのドナー国に対し、コミットメントを履行し、適切な時期に実行に移すよう求める。

12.北京会合にて、我々はまた、国内、地域及び国際的なレベルで、鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザのヒトへの大流行の脅威と闘うため、努力を効果的に調整する必要性を強調した。この関連で、我々は、国際連合、世界銀行、そして鳥及び新型インフルエンザに関する国際パートナーシップの継続的作業を慫慂し、支持する。我々は、この疾病の拡大と影響と闘うため、我々の国際的な投資を調整することを誓約する。我々は、2006年6月6‐7日にウィーンで開催されたパートナーシップ会合で達成された進展を歓迎する。

13.現在進行中のイニシアティブに加え、我々は、以下の行動を通じた努力を支持する。

○WHO、FAO及び他の国連機関と共に、鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザの世界的な抑制戦略及び準備計画を更新する。既存の技術ネットワークを用いて、標準的な作業手続きやロジスティクスのアレンジメントを確立する。また、可能な限り迅速な報告のための確固としたアレンジメントを慫慂する。

○抗ウィルス薬の世界規模の生産能力の向上と備蓄の拡大のための努力を支援する。

○ワクチン生産能力向上のための方策を医薬品会社と共に研究し、次世代のインフルエンザ・ワクチンの開発を慫慂する。

○最も脆弱な国々において、彼らの国家計画策定、関連インフラの建設、専門家の訓練、獣医学部門及び研究所の強化、並びに抑制措置の社会経済的影響の緩和を支援することを通じ、診断能力とウィルス研究の強化を含め、疾病サーベイランス及び早期警報システムの能力構築を支援する。

○危険に直面するすべての国において、人々を啓発し、国民教育プログラムを強化する。

○我々の国での鳥インフルエンザ発生に関連する国内及び国際的な規則や協定に従い、時宜を得た情報や検体を国際社会と迅速に交換する。また、インフルエンザへの備え、サーベイランス及び抑制に関するベスト・プラクティスを開発及び利用する。

○鳥インフルエンザの迅速な発見のため、レファレンス研究所や国立研究所を活用し、蔓延の傾向のある地域における追加的な研究所の建設を慫慂する。これに関連して、我々は、すべての適用可能なWHO及びその他の国際基準に従う形であれば、当該地域でのウィルス蔓延に対抗するための国際的能力を強化することを目的に、ユーラシアと中央アジアのためのインフルエンザに関するWHO協力センターを設立するというロシアの提案を歓迎する。

 大流行への迅速な対応に関し更なる協議と調整が必要であることを認識し、我々は、準備、予防、対応及び封じ込めのための活動の国家間の調整を強化することに意見の一致を見た。

HIV/エイズ、結核、マラリア対策

14.HIV/エイズ、結核及びマラリアは、世界の多くの地域、特にアフリカにおいて、毎年何百万人もの防ぎ得る死を招き、社会経済発展を阻んでいる。我々は、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、WHO、世界エイズ・結核・マラリア対策基金、世界銀行及びこれらの疾病との闘いに積極的に取り組む他の組織、イニシアティブ及びパートナーシップに対し、引き続き支援することを誓約する。

15.HIV/エイズの流行との対決は、長年にわたり我々の最優先課題の一つである。我々は、2000年の九州・沖縄サミット、世界エイズ・結核・マラリア対策基金の設立を承認した2001年のジェノバ・サミット、そして2001年後半のHIV/エイズとの闘いへのコミットメントに関する宣言の国連総会による採択により、この問題に取り組んできた。我々は、それ以来進展を遂げてきたが、この疾病との闘いは我々の最優先事項の一つであり続けるだろう。我々は、国連ミレニアム開発目標(MDGs)にて求められたように、HIV/エイズの拡大を止めそして後退させること、グレンイーグルズ・サミット声明に示された目的、及び、「2010年までに包括的な予防プログラム、治療、ケア及びサポートへの普遍的なアクセスを達成するとの目的に向け大幅に規模を拡大する」ことを求める2006年6月のHIV/エイズに関する国連総会政治宣言に引き続きコミットしている。

16.我々は、本年アフリカ・パートナーシップ・フォーラムがHIV/エイズに重点を置いた点、さらにはモスクワにおいて2006年5月に開催された東ヨーロッパ及び中央アジアにおけるHIV/エイズに関する第一回会合を歓迎し、国際社会が「実行する時」というテーマに取り組む2006年8月のトロントにおける第16回国際エイズ会議に期待する。

17.我々のHIV/エイズへの取組みにおいて、我々は以下の原則を固く守る。

○HIV/エイズと闘うため、予防、治療及びケアを含む包括的で均衡のとれたアプローチをさらに推進する。

○HIV/エイズの流行に取り組むため、またHIV/エイズ感染者への偏見や差別を軽減するための活動において、市民社会、民間部門及びHIV/エイズと共に生きる人々を含むすべての関係するパートナーが引き続き参加する。

○若者、特に少女及び若い女性のHIV感染率の増加に対処すべく支援を強化する。

○包括的かつ実証的な予防戦略の継続的な実施、及び殺菌剤やHIV感染の危険を高める疾病に対するワクチンといった、新しく革新的な予防措置の開発を支持する。

○社会的最弱者の予防・治療・ケアへのアクセスの促進。

○貧困国において、官民の保健関係者の雇用、訓練及び展開を通じ、保健システムの能力を育成する。また、

○蔓延しているすべての国において、現在の脅威に対し人々を啓発する。

18.世界基金は、HIV/エイズとの闘いにおける重要な手段である。我々は、2006年から2007年の補充期間に必要とされる資金を確保するための努力に、他のドナーや関係者と共に取り組み、また、すべての関係者に対し、今後の基金の活動のための強固な基盤を築くため、4年戦略の策定に積極的に参加することを求める。

 G8参加国は、世界エイズ・結核・マラリア対策基金に対し、質の高い時宜を得た支援案件の提案準備を支援するため、政府や技術支援提供機関と協力する。

19.HIV/エイズ、結核及びマラリアの影響は特にアフリカで深刻であり、そこでは、これらの3つの致死的疾病はおびただしい数の他の致死的で特有の感染症と隣り合わせで存在する。これらの問題に対処し、官民の保健システムを強化し、この大陸における流行の可能性を低下させるためのアフリカ諸国の努力は、国際社会からの継続的な、意味ある、調和のとれた支援を必要としている。我々は、アフリカ諸国及びアフリカ連合とのパートナーシップを再確認し、引き続き彼らと共に、保健システム全体を改善し、感染症と闘うという、「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)の目標を達成すべく作業を続ける。

20.我々は、世界HIVワクチン事業の創設に関するシーアイランド・サミットのイニシアティブに引き続きコミットし、その達成に向けた我々の決意を再確認する。我々は、この分野で、世界的、地域的及び国家的レベルで、科学的、技術的能力を高める必要性があると確信している。これに関連し、我々は、東ヨーロッパと中央アジアの国々においてHIVワクチンの開発を推進するため、地域的な調整メカニズムを設立するというロシアの提案を歓迎し、このイニシアティブが世界HIVワクチン事業と入念に調整されることを求める。我々はまた、世界HIVワクチン事業及び他の世界的イニシアティブと、アフリカでの臨床試験に関する欧州・途上国臨床試験パートナーシップ(EDCTP)のようなこの分野で活発な南北間のパートナーシップとの間での活動の協調と協力を歓迎する。

21.世界人口の3分の1は、毎年約200万人の命を奪う結核に感染する危険にさらされている。ある地域では、20年前に比べ今日の方がより多くの人々が感染している。我々は、この疾病の蔓延を防ぐための2001年のジェノバ・サミットでの我々のコミットメントを再確認する。我々はまた、2015年までに1990年のレベルに比べ結核による死者を半減させること、つまり、10年でほぼ1,400万人の命を救うことを目的とするストップ結核世界計画2006‐2015を支持し、すべてのドナーと関係者に対し、その効果的実施に貢献するよう求める。

22.我々は、HIV/エイズと結核の同時感染の率に懸念をもって留意し、これに関して統一的な行動の調整を推進することを求める。

23.毎年、世界中で3億人以上の人々がマラリアに感染する。毎年100万人以上がマラリアで死亡する。サブサハラ・アフリカで生活する子供が、これらの死の少なくとも80%を占める。アフリカ諸国は、毎年120億ドルと推計される経済的損失をマラリアから被っている。悲しむべきことは、マラリアは、証明済みの費用対効果の高い処置で予防も治療も可能だということである。

24.マラリアとの闘いにより、数十万の命を救い、この恐ろしい疾病により荒廃させられてきた国々に新たな希望をもたらすことが可能である。この緊急の状況に取り組むため、我々は、

○マラリア制御のための処置を拡大し、疾病の負担を軽減し、さらにアフリカ大陸でマラリアを打倒して2010年までにマラリアによる負担を半減させるというアブジャ目標を達成するため、アフリカ諸国と共に取り組むという我々のコミットメントを再確認する。

○公衆衛生上、意味ある効果を達成することを目的として、アフリカ諸国でのマラリア制御のための活動とプログラムを強化することに合意する。

○マラリア対策とプログラムを拡大するため、政府、民間企業及び非政府組織と官民のパートナーシップで協同する。

○安全で効果的な新薬の開発、ワクチンの開発、及び必要とする人々が出来る限り広範に予防と治療が利用可能とすることの促進を支持する。

○ロールバック・マラリア・パートナーシップの枠組における努力を歓迎し、この疾病から子供を救うための官民の機関の活動を支持する。

25.最後に、我々は、これら3つの流行病との闘いにおける我々の作業の定期的なレビューにコミットする。

ポリオ撲滅

26.1988年にポリオ撲滅イニシアティブが開始されて以来、我々は、多大な進展を図った。現在、ポリオは、非常に限られた数の国々における疾病である。国際社会によってとられた前例のない措置の結果として、世界は今やこの疾病の撲滅寸前にいると信じるに足るだけの理由がある。

27.我々は、2007年から2008年の資金不足を解消するため、資金的動員を緊急に求め、共同で、また二国間及び多国間ドナーと共に作業を続け、そのプログラムを終了する上で必要とされる資金の確保に向け他と共に作業を継続し、近い将来地球からポリオが存在しないということを宣言するであろう。

28.既存のポリオ監視ネットワークは、価値あるものである。我々は、他の公衆衛生目的、特に疾病モニタリングに関連する目的を支持するため、ポリオ撲滅後もこのネットワークを維持すべく、他のドナー及び関係者と協力する。

麻疹、その他の予防可能な感染症

29.麻疹は、未だに、ワクチンにより予防可能な疾病の中で主要な子供の死因である。我々は、2001年に開始された麻疹イニシアティブへの我々の支持を継続し、麻疹関連の死亡数の着実な減少、地域及び国々における麻疹の蔓延を食い止めることにおける進展、及び最終的な撲滅に向け、取組みを続ける。

30.我々は、世界麻疹パートナーシップを支援し、またWHOに対し、2004年の世界保健総会により権限を付与されたとおり、麻疹の予防と撲滅に関する計画を引き続き実行するように、また麻疹への高いレベルの免疫力を達成し、維持するためにドナー及び各国政府がとるべき措置を提案するよう慫慂する。

31.我々はまた、肺炎、下痢、そしてリーシュマニア症、シャーガス病及びオンコセルカ症等の顧みられない疾病を含む他の予防可能な疾病に対する闘いにおいて、特に開発途上国において顧みられない疾病に関する医学研究の量と質を拡大させることにより、我々の努力を増大させなければならない。

予防・治療・ケアへのアクセス

32.多くの国において予防・治療・ケアへのアクセスを改善することは、特にHIV/エイズ、結核及びマラリアといった感染症を抑制し、それらによる開発への負の影響を減少させる上で不可欠である。我々は、2003年にエビアンでこの問題を取り上げた。これに関連して、我々は、WTO加盟国が知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)における柔軟性を活用する可能性、また、医薬品部門における製造能力を有しない開発途上国が、必要な医薬品を輸入することを可能にする2003年8月30日の強制実施権による解決策に留意する。我々は、一定の達成に拘わらず、依然として多くの国は必要とする人々のための、安全、効果的かつ入手可能な医薬品にアクセスできないことに留意する。

33.保健システム能力の限界は、包括的、効果的、実証的な予防やケアの提供を阻害し、2010年までに必要とする全ての者に治療への可能な限り普遍的なアクセスを与える上での主要な障害となり、妊産婦の死亡やHIV/エイズの母子感染といった他の関連した健康上の影響を与える。この点に関連して、我々は、疾病の負担を減少させるイニシアティブが持続可能な保健システムに基づくよう確保するための開発途上国のパートナー、特にアフリカによる努力を引き続き支援することに合意する。我々はまた、我々の保健分野支援プログラムにおいて保健関係者の訓練、展開及び確保を引き続き強調する。これに関連して、我々は、世界保健医療従事者同盟の創設に留意し、この分野でのWHO及び他のドナー機関による更なる作業を慫慂する。

34.我々は、HIV、結核、マラリア及びその他の疾病のためのワクチン、殺微生物剤及び医薬品の研究、開発、製造への投資を推進し、また革新的な臨床研究プログラム、官民パートナーシップ及び他の革新的なメカニズムを通じてのこれらの予防・治療手段へのアクセス拡大を支援する、戦略や手段をより広範に活用することを求める。これに関連して、我々は、別添に詳述されている、自発的かつ革新的な資金メカニズムや他の資金イニシアティブに関してとられている措置に留意する。

 医薬品業界の積極的な参加を慫慂するため、我々は、途上国の規制当局との協力を強化し、予防・治療に関する新たな手法について迅速な規則上の認定を行うための適切な基準と工程を特定する上で彼らと取組みを行うことにコミットしている。

35.我々は、既存の薬剤で治療することをより困難かつ高価なものとする感染症を増大させている薬剤耐性の問題が急速に増大していることが幅広く認識されるよう求める。我々は、この世界的広がりをもつ問題に取り組むため、より多くの努力が払われるよう慫慂する。

36.開発途上国におけるヘルスケアへのアクセスは、健康保険プログラムを含むより広範な資金オプションを通じて大幅に強化され得る。我々は、先進国、開発途上国の双方により達成された成功から学び、途上国における公的、民間及び地域ベースの健康保険制度の拡大に対する実際的アプローチに関し、国際的レベルで更なる議論を行うよう慫慂する。我々は、OECD及び適当な機関がこの問題に取り組むよう呼びかける。我々は、2006年末までにこの問題に関するハイレベル会合を主催するとのフランスの申し出を歓迎する。

37.最後に、我々は、世界中の政府に対し、貧困者の医療費をさらに削減し、効果的な治療への彼らのアクセスを拡大する手段として、適当な場合には、医薬品、医療機器に対する輸入関税及び非関税障壁の撤廃につき考慮するよう慫慂する。

自然・人的災害の保健への影響

38.自然災害は、それ自体で、数万人の死を引き起こし、数百万人の生活に悪影響を与える。過去25年間に、自然災害は1,000億ドル以上にあたる物的損害を引き起こした。2004年に東南アジア、南アジア及び東アフリカの何十もの国々を襲った津波、2004年及び2005年に米国の沿岸地域、メキシコ、中米及びカリブ諸国を荒らしたハリケーンの季節、南アジアにおける2005年10月の地震、そしてインドネシアにおける2006年5月の地震は、被害者にとり恐るべき苦しい体験だった。

39.我々は、グレンイーグルズで災害のリスク軽減という問題に焦点をあて、特に強化された早期警戒システム、改善された調整及び迅速な人道的救済努力を通じた、一連の実際的な措置の必要性を概括した。

40.我々は、国連が、国連人道問題調整部(OCHA)を通じて人道緊急対応の分野において果たす調整的役割の重要性を再確認し、被害国への支援を考案し調整する上での国連機関の効率性をさらに強化するよう努める。

41.我々は、兵庫で開催された2005年国連防災世界会議及び第58回世界保健総会において採択された危機及び災害時の保健対応に関する決議を歓迎する。

42.自然・人的災害の結果として公衆保健サービスが崩壊する可能性を考慮し、我々は、特に開発途上国において緊急事態により引き起こされる保健の面での課題に対応するため、準備態勢及び保健システム能力を向上させることを目指した行動を支持する。

43.これに関連して、我々は、緊急事態への準備及び対応に関する第59回世界保健総会決議が、特に以下の必要性を強調したことを歓迎する。WHOが、その権限内で、緊急事態及び危機に対処する能力を確保すること。保健部門の緊急事態及び危機への対応を促進することを目的として、既存のメカニズムや信頼できる保健技術の参考資料の世界的データベースを通じ、人道的対応全体へのWHOの参加を強化する措置を実施すること。国連システムの関連機関及びその他のパートナーと協力して、緊急時に死亡率を監視し評価するトラッキング・サービスを設立し、維持すること。ロジスティクス及び緊急・危機時における不可欠な物品の迅速な供給を確保する供給管理に関する国連すべてにわたるメカニズムに参加すること。

44.我々は、適当な場合には早期対応チームの効果的活用、及び災害に遭いやすい開発途上国のこの分野での能力構築を支援すること等を通じ、自然・人的災害による保健への被害を緩和することを目指す既存のネットワークの強化にコミットする。

附属書

カナダ

 カナダは、アフリカにおける保健システムを強化し、保健状況を改善するための国主導の努力を支援するため、2006年から2016年の間に4億5千万カナダ・ドルを拠出する。

 カナダは、肺炎双球菌病のワクチンを開発するための事前購入制度のパイロット・プロジェクトを支援すべく、1億カナダ・ドルを拠出する用意がある。

 カナダは、2006年‐2007年の活動を支援するため、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)に対し、2006年に2億5千万カナダ・ドルを拠出する。カナダは、2000年以来、HIV/エイズと闘う努力を支援するため、8億カナダ・ドルをコミットしてきた。他の最近のカナダのイニシアティブには、ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)に対する1億6千万カナダ・ドル、国際エイズ・ワクチン・イニシアティブに対する6,200万カナダ・ドル、及びアフリカ・エイズ・ワクチン・プログラムに対する500万カナダ・ドルが含まれる。カナダはまた、殺微生物剤のための国際パートナーシップに対し、1,500万カナダ・ドルをコミットした。

 カナダは、鳥インフルエンザへの国際的な対応を支援するため、また将来の起こり得る流行病に備えるために、5,700万カナダ・ドルを拠出する。

 2006年に、カナダは、世界ポリオ撲滅イニシアティブに対し、4,500万カナダ・ドルを拠出する。

欧州委員会

 2001年の世界基金の設立以来、欧州委員会は、2006年末までに5億2,200万ユーロ拠出することになり、2006年だけで9千万ユーロになる。

 2002年から2006年に、欧州委員会は、HIV/エイズ、マラリア及び結核という三大伝染病に焦点をあてた研究に4億2千万ユーロを費やすことになり、これは前の4年間と比較して4倍の増加である。

 2006年1月の北京会合にて、鳥インフルエンザと闘い、またあり得べきヒトへの流行に備えるため、EU加盟国により約束された追加的な1億1,100万ユーロに加え、欧州委員会は、1億ユーロを約束した。この欧州委員会の約束のうち2千万ユーロは、科学的研究プロジェクトの支援に当てられ、さらに8千万ユーロが援助プロジェクトに向けられる。

 ポリオ撲滅に関しては、欧州委員会は、ナイジェリア、ニジェール及びソマリアといった地域的感染がみられる国々における追加的な予防接種活動に資金提供するため、6,100万ユーロを供与した。ナイジェリアにおいては、この支援は、既存の予防接種及びポリオ撲滅に対する1億1,800万ユーロの支援に加えて供与された。エチオピアで必要な撲滅活動支援のため、1,500万ユーロの追加的資金。

フランス

 フランスは、新興感染症との闘いに関する多国間の活動に対し、2006年から2008年の間に、14億ユーロを支出する。

 革新的資金に関し、フランスは、すでに17か国が支持の意志を表明した航空券連帯税を打ち上げた。7月1日から発効しているこの税の収入のうち少なくとも90%(年に約2億ユーロと推定される)は、受益国に対し事前認定された製品を低価格で継続して供給できるよう確保することを目指した国際医薬品購入ファシリティ(UNITAID)の資金となる。国際医薬品購入ファシリティ‐UNITAIDは、9月中旬の国連総会の際に打ち上げられる。フランスはまた、パイロット事業である予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm)に貢献し、最初の債券発行は、ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)への資金提供のため2006年に予定されている。20年間で20億ドルというコミットメントにより、フランスは、このイニシアティブに対する2番目の拠出者となる。

 フランスは、世界基金に対する拠出を増加し(2006年に2億2,500万ユーロ、2007年に3億ユーロ)、それにより第2の拠出者となるであろう。

 2006年から2007年の間に、フランスは、健康関連MDGsの達成、及び開発途上国における保健システムの強化のために、二国間ODAを通じて2億9千万ユーロを支出する。

ドイツ

 ドイツは、開発途上国における感染症の予防及び制御に積極的に関与している。

 ドイツ政府は、HIV/エイズ、マラリア及び結核の予防及び制御、そして保健システムの発展に対し年間3億ユーロを支出する。ドイツは、ポリオとの闘いに関し、国際的な二国間ドナー社会において5位に位置し、3,900万ユーロの新たな二国間資金をコミットした。

 鳥インフルエンザと闘うための努力に関し、ドイツは、ワクチン開発及び世界的な危機対応メカニズムへの支援に対し、アジア及びアフリカにおける二国間プログラムへ約4千万ユーロをコミットした。

 8億ユーロという額により、感染症との闘いにおいて非常に重要な柱である水関連の二国間プロジェクトに対する最大のドナーに当たる。

 ドイツはまた、開発途上国にとり特別の関心である治療に関する研究を推進している。

イタリア

 イタリアは、主として貧困国に打撃を与える感染症に対する新ワクチンの研究・開発を推進するための市場原理メカニズム、すなわち事前購入制度(AMC)を推進する。GAVI及び世界銀行と共に、2006年に立ち上げられ得るパイロット・プロジェクトが開発された。

 イタリアはまた、マラリア、ポリオ、結核、鳥インフルエンザ及び他の感染症と闘ういくつかの多国間/二国間のイニシアティブへの資金提供に積極的に参加している。

 イタリアは、IFFImに対し20年間で6億米ドル供与し、2004年から2007年の間に世界基金に対し4億6千万ユーロを拠出する。

 これらの特定の拠出は、開発途上国における、国の保健システム、及びモニタリングと予防能力の強化に対する相当な支援というより一般的なアプローチに従ってなされるものである。

日本

 日本は、開発途上国において感染症及び他の健康への危険と闘うため、2005年から2009年の5年間で最大で50億米ドルの供与を目指した「健康と発展」イニシアティブを2005年6月に立ち上げた。そのうち6億2千万ドル以上が2005年度に支出された。

 2005年6月、日本は、今後数年で世界基金に対し5億米ドル拠出することをプレッジし、このコミットメントを満たす最初の一歩として2006年3月に基金に対し1億3千万米ドルを拠出した。

 鳥及び新型インフルエンザと闘うため、日本は、北京で2006年1月に開催された鳥及び新型インフルエンザに関する国際プレッジング会合の際に、1億5,500万米ドルをプレッジし、すでに全額を支払った。

ロシア

 ロシア及び世界銀行は、サブサハラ・アフリカにおいて債務支払いから優先度の高い開発面での行動へ2億5千万ドルを振り向けるために、債務を開発に利用するためのスワップを共同して開発することについて合意した。これらのいくつかの重債務貧困国対象国(HIPC)において、世界銀行は、感染症と闘うための国別の戦略を支援する重要なプロジェクトや計画を策定している。ロシアは、サブサハラ・アフリカにおけるマラリアの闘いにおいて、世界銀行と協力して、2010年までに具体的な成果を達成することを目指した、世界銀行が主導するマラリア・ブースター計画を支援する。その他にも、ロシアと世界銀行は、中央アジアにおいて、感染症の課題に対処するための協力を拡大することに合意した。

 2005年に、ロシアは世界基金への約束を4千万ドルに倍増した。ロシアはまた、ロシア連邦におけるプロジェクトの資金として支払われた約2億7千万米ドルを、2010年まで世界基金に償還する意向である。

 ロシアは、世界ポリオ撲滅イニシアティブに対し、1,800万米ドル拠出することにコミットした。ロシアは、高病原性鳥インフルエンザの大流行への備え、探知及び迅速な対応への努力に対し、約4,500万ドルを約束した。

 ロシアは、ワクチンに関する事前購入制度(AMC)における進展を歓迎し、AMCのパイロット・プロジェクトの成功裡の立ち上げに期待する。

英国

 英国は、2010年までの抗HIV/エイズ薬への普遍的なアクセスを含め、グレンイーグルズで定められた目標の達成にコミットしている。英国は、2005/2006年度から2007/2008年度までにHIV/エイズに関し15億ポンド支出することにコミットし、2002年から2008年の間に世界基金に対し3億6千万ポンド拠出する。英国はまた、革新的な資金メカニズムを支持し、予防可能な疾病に取り組むため、IFFImに対し20年間で14億ポンド拠出し、またIDPF‐UNIAIDに対し長期的な資金拠出を行う用意があると発表した。英国は、事前購入制度(AMC)を先導するための長期的な資金拠出を行う用意がある。英国は、2006年末までの肺炎双球菌のAMCの立ち上げを支持し、マラリアのAMCが検討されるべきであると信じる。英国はまた、伝染病と闘うため、新しい薬、ワクチン及び殺微生物剤の研究を行う製品開発の7つの官民パートナーシップに資金提供する。英国は、2006年から2008年の間に、ポリオ撲滅の費用に当てるため6千万ポンドを提供する。

米国

 米国は、国際的なHIV/エイズ・プログラムを支援するため、5年間で150億ドルを拠出し、35以上の国における二国間の結核プログラムに対し2006年度に9千万ドル拠出し、マラリア予防及び治療に対する資金提供を5年間で12億ドル以上増加させ、世界ポリオ撲滅イニシアティブの資金の25%近くをすでに提供し、国々が高病原性鳥インフルエンザの大流行に備え、探知し、そして迅速に対応できるよう3億6,200万ドルをプレッジし、五歳未満の子供の命を救うため、子供の予防接種及び肺炎と下痢治療への支援に対し、過去5年間ですでに15億ドル以上を拠出し、感染症の予防、制御及び治療への新たなアプローチを調査、開発及び試験するため、開発途上国のカウンターパートと直接協力する米国拠点の研究機関に対し、約10億ドルの贈与を与え、ワクチンのAMCに関する世銀及びGAVIによる技術的作業に留意し、そして、本年末までのAMCのパイロット・プロジェクトの成功裡の立ち上げに向けた追加的作業を支援する。