[文書名]　貿易（第３２回サンクトペテルブルク主要国首脳会議‐Ｇ８サミット）

１．我々は、ＷＴＯのドーハ開発アジェンダ（ＤＤＡ）交渉を妥結させるために、また、ドーハ・ラウンドにおける開発の目的を実現するために、協調して努力することを求める。これは、経済成長を生み出し、開発の可能性を創出し、世界中の生活水準を引き上げる歴史的な機会である。我々は、すべての当事者に対し、２００６年末までにドーハ・ラウンドを妥結させるために最大限の緊急性をもって作業し、多角的貿易体制を強化し、世界経済のための重要な後押しを提供するよう促す。ドーハ・ラウンドは、実質的な関税の削減、補助金の効果的な削減及び真に新たな貿易の流れを生み出すべきである。

２．我々は、６月２９日から７月１日までのジュネーブにおける交渉が、ＷＴＯ加盟国間のすべての隔たりを狭めることにならなかったことを遺憾とする。我々は、今後１か月以内に農業及び鉱工業品関税に関する交渉のモダリティに関する合意を促進することを目指して、ＷＴＯ事務局長に対して早期の合意を促進するために加盟国と集中的に協議することを要請するとの決定を歓迎し、同事務局長に対してＷＴＯ加盟国にできる限り早期に報告を行うよう求める。我々は、すべての国に対して、ドーハ・ラウンドの成功裡の妥結に達するために必要な協調した指導力及び行動にコミットするよう求める。

３．我々は、意味のある、かつ、バランスのとれた結果を達成することを目的として、ドーハ開発アジェンダのすべての分野における高い水準での野心を追求するとのコミットメントを新たにする。我々は、農産品及び鉱工業品双方の貿易に対する市場アクセスを実質的に改善し、サービスの貿易の機会を拡大することにコミットする。我々は、他のＷＴＯ加盟国がそれぞれの発展段階に応じてこの目的に貢献することを期待する。農業において、我々は、香港で合意したとおり、貿易歪曲的な国内支持を実質的に削減すること、また、これと平行して２０１３年末までにすべての形態の輸出補助金を撤廃し、同等の効果を有するすべての輸出措置に対する効果的な規律を策定することに、等しくコミットする。我々は、貿易ルールの改善と貿易円滑化のための措置の重要性を強調する。

４．我々は、ドーハの開発の側面に、そして、南南貿易及び地域統合の強化等を通じた開発途上国の参加の改善の必要性に、完全にコミットしている。貿易と市場の開放は、開発の極めて重要なエンジンになり得る。合意された開発パッケージは、ドーハ・ラウンドにおける成功裡の結果の達成を助けるはずである。

５．最も貧しい開発途上国は、国際貿易体制への統合に際し特有の問題に直面する。我々は、このことがドーハ開発アジェンダ交渉における適切な柔軟性において反映されることを引き続き確保する。我々は、先進国及びそうすることの可能な開発途上国が、２００８年までに、あるいは、遅くともドーハ開発アジェンダの実施期間の開始までに、すべての後発開発途上国産品の少なくとも９７％に対して無税無枠の市場アクセスを永続的に供与するべきであるという香港閣僚会議における決定を歓迎する。我々は、また、特恵原産地規則が透明かつ簡潔で市場アクセスを促進するものとなることを確保する。

６．我々は、多くの開発途上国が貿易から恩恵を受けるよう支援することにおいて不可欠なものとして、「貿易のための援助」の重要性を認識する。我々は、「統合フレームワーク」の強化等を通じて、「貿易のための援助」への支出が４０億ドルに増加されることを期待する。これは、ドーハ・ラウンドの成功裡の結果にとって必要な補完的要素である。我々は、「貿易のための援助」及び「貿易に関するキャパシティ・ビルディング」への我々のコミットメントを再確認する。我々は、訓練及び教育を通じた貿易関連の技術支援を促進する。我々は、多国間開発機関がこの分野においてなし得る重要な貢献を認識し、これらの機関に対してこれを優先するよう奨励する。我々はまた、貿易関連のニーズの特定及びこれへの対応において、民間部門の参加が果たす極めて重要な役割を強調する。我々は、後発開発途上国に対する貿易関連の技術協力のための統合フレームワークを強化するタスク・フォースにおける進展を歓迎し、二国間及び多国間での努力を通じてその実施を支援する。我々は、貿易上の特恵受益国が特恵浸食により直面し得る課題を認識する。

７．我々は、ロシア連邦のＷＴＯ加盟交渉における進展を歓迎する。我々は、ロシアが、すべてのＷＴＯ加盟国に適用される規則に従って迅速にＷＴＯに加盟することを支持する。