データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アフリカに関する進捗(第32回サンクトペテルブルク主要国首脳会議‐G8サミット)

[場所] サンクトペテルブルク
[年月日] 2006年7月16日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

我々のコミットメント

 1990年代後半以来、G8首脳会合は、アフリカに高い優先順位を置いてきている。昨年グレンイーグルズでは、G8は、アフリカにおいて貧困を削減し持続可能な開発を支援するための更なる一連の措置につき一致した。我々は、本年は特に感染症、教育及びエネルギー安全保障に焦点を当てて、アフリカとの共同の作業、特にアフリカ連合(AU)及びアフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)を支援する取組みを継続する。本報告は、改革プロセスにおけるアフリカ自身のオーナーシップの重要な役割を尊重しつつ、アフリカに関するG8のコミットメントについて昨年のG8首脳会合以来の進捗をレビューする。

これまでの進捗

 平和及び安定:我々は、平和で安定したアフリカの構築に向けたアフリカの努力への支援を増大してきており、これらの支援には、アフリカの諸機関がアフリカ大陸における紛争に対応する全般的な能力を強化することを目的とした、アフリカ待機軍の創設に対する支援や政策形成に関する技術、ロジスティクス、財政面での支援が含まれる。我々は、ダルフールにおけるアフリカ連合(AU)の活動に対して資金、機材、人員及び技術の面での支援を提供しており、また、同地においてAUから任務を引き継ぐ国連の部隊を支援する用意がある。我々は、アフリカや世界のその他の地域においていくつかの国際的な訓練センターの発展を支援した。我々は、ビチェンツァにおける安定化警察部隊のための中核センター(COESPU)の設立等、アフリカの平和維持能力の強化に関してG8その他のドナー・パートナーの職員がG8外相に対して行った報告に留意する。我々は、アフリカに継続的に焦点を合わせつつ、2010年までに世界で7万5千人の平和維持部隊要員を訓練するというシーアイランドにおける我々のコミットメントを順調に果たしつつある。

 グレンイーグルズにおいて、我々は、開発の条件としての平和の重要性に留意し、アフリカの脆弱な国々が危機や紛争から成功裡に脱することを助けることで一致した。この点に関し、アフリカでは大きな進展があった。我々は、紛争状態から脱しつつある国々を援助する措置を講じ、12月の国連平和構築委員会の成功裡の設立を強力に支援した。我々は、G8のいくつかの国及びその他のドナーからの2億6,400万ドルのプレッジをもって国連中央緊急対応基金を3月に創設したことを通じ、紛争が引き起こす人道的危機へのより迅速でより適切な対応を促進してきた。これらのプレッジのうち、9,200万ドルは、既に、アフリカの角地域、ダルフール、コンゴ民主共和国、チャド、ニジェール、コート・ジボワール及びブルンディにおける緊急事態に対して支出されている。過去1年のドナーによる努力は、地方の指導者や国際社会と協調して、2,600万人以上の人々が危険にさらされていた東部アフリカ及び南部アフリカにおける飢饉を防ぐことを助けてきている。

 良い統治及び反応のよい統治の促進:我々は、我々の国際社会におけるパートナーと共に、国連腐敗防止条約の2005年12月の発効を確実にした。アフリカの22か国とG8のうち3か国が同条約を批准している。25のアフリカ諸国がアフリカにおける相互審査制度への参加を表明し、3か国がそのプロセスを完了した。透明性及び説明責任の改善については、15のアフリカ諸国及び23の企業が参加している採取産業透明性イニシアティブ(EITI)を通じた石油及びガス産業におけるものを含め、良好な進展があった。我々は、輸出信用及び信用保証を申請しようとする者に対する贈賄防止のための要件を相当程度強化するというOECDにおける作業を成功裡に完了した。

 人々への投資:昨年のグレンイーグルズにおける我々のコミットメントを基礎として、G8及び国際社会の他のパートナーは、6月の国連エイズ特別総会ハイレベル会議において政治宣言を発出した。同宣言は、2010年までに、包括的予防プログラム、治療、ケア及びサポートへの普遍的なアクセスの目標に向け措置を強化するためのすべての必要な努力を追求すること、また、2010年までに年間200億ドルから230億ドルが必要となるとの国連合同エイズ計画(UNAIDS)による推定を考慮して、エイズに取り組むための追加的な資源を利用可能にすることを確保するための措置をとることにコミットしている。世界基金は、HIV/エイズとの闘いにおいて重要な手段である。我々は、基金の今後の活動に対し強固な基礎を築くことを目指して、2006年から2007年の補充期間に必要とされる資金を確保する努力において他のドナー及び関係者と共に作業し、すべての関係者に対し4年戦略の策定に積極的に参加するよう求める。我々は、2006年1月に立ち上げられた「ストップ結核世界計画」及び2005年11月に立ち上げられた「ロールバック・マラリア世界戦略」を実現するために努力している。我々は、2006年に、ポリオ撲滅イニシアティブに2億1千万ドルの資金を提供することにコミットした。残りの資金の不足分が補われれば、ポリオ感染は、アフリカにおいて消滅するはずである。

 我々は、我々のアフリカのパートナーと協力して、2015年までにアフリカの全ての子供に対し無償の初等教育を提供するという彼らのコミットメントに関し、作業を行っている。我々は、我々のサミット文書の教育部分に詳述したとおり、万人のための教育(EFA)ファスト・トラック・イニシアティブの効果的実施を支援する。我々は、アフリカの官民セクターに熟練した専門家を確保することを助けるべく2005年9月にアフリカの閣僚により合意された、科学技術のための行動計画を歓迎する。

 水分野において、我々は、アフリカの河川流域組織間の強化された協力を支持し、水に関するアフリカ閣僚会議及びこの重要な分野におけるアフリカ開発銀行の指導的役割を支持している。我々は、アフリカの水分野への援助の有効性を向上させるための努力に貢献している。

 成長促進:我々は、アフリカが貿易を通じて持続的繁栄を達成することを助けるための努力を維持してきた。我々は、2005年12月のWTO閣僚会議において、2006年に綿花に対するあらゆる形態の輸出補助金を廃止すること、あらゆる形態の農産品輸出補助金を終了すること、2013年末までにこれらと同じ効果をもつすべての輸出措置を規律すること、ドーハ・ラウンドの成功裡の終結を条件として後発開発途上国からの産品の少なくとも97%に対して無税無枠のアクセスを供与すること、及び貿易能力を構築するための開発途上国の努力に対し引き続き支援を提供することで一致した。我々は、特別かつ異なる待遇に関する条項は、WTO協定の不可分の一部であることを再確認する。

 我々は、2005年10月に設立され、すでにNEPADインフラ短期行動計画から7億4千万ドルにあたる11の地域プロジェクトについての資金調達に関する決定を特定し確保したアフリカ・インフラ・コンソーシアムへの我々の支援等を通じ、アフリカが道路、鉄道、エネルギー及びその他成長に必要なネットワークを建設することを支援している。我々は、NEPAD‐OECDアフリカ投資イニシアティブ、アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ、及び6月の世界経済サミットにて立ち上げられた投資環境ファシリティ等を通じ、アフリカが成長を牽引する民間資金や対内投資を引きつけることを支援している。我々は、引き続き、アフリカにおける農業開発に対し、相当な支援を提供する。AU/NEPAD包括的アフリカ農業開発プログラム(CAADP)は、ますます共同の行動への枠組を提供している。

 開発資金調達:我々は、全世界で年間500億ドルに達するとOECDにより推計される政府開発援助(ODA)額のうち、他のドナーのコミットメントと併せて、2010年までにアフリカ向けODAを年間の総額で250億ドル増加させることに繋がるG8の重要なコミットメントを実行するために熱心に取り組んでいる。OECDは、開発援助委員会参加国からのODAは、2005年に31%増加して1,070億米ドルとなり、そのうちの75%はG8諸国からであったと推定している。民間資金の流れは公的資金の流れを上回り開発に相当の肯定的影響を与え得ることを認識し、我々は、モンテレー・コンセンサスで合意されたように、アフリカの国々が全ての種類の開発資金を動員することを助けるための行動を起こしている。

 我々は、最貧国の債務負荷を取り除く上で良い進展を遂げてきた。IMF及び国際開発協会(IDA)は、適格な重債務貧困国が有する債務を100%削除するというG8の提案を実施してきており、またアフリカ開発基金は、それを早急に実施することが期待されている。15のアフリカの国々は、すでにIMF及びIDAにおける債務削減から恩恵を受けた。最大で24か国もまた、HIPCプロセスを完了した際に、マルチ債務救済イニシアティブ(MDRI)の対象となる。また、ナイジェリアのパリクラブ債権国に対する300億ドルの債務を100%解消するという取引もまた合意され、実施された。

 我々は、アフリカ及び他の開発途上国への効果的かつ効率的な援助資金の受け渡しを確保するための、2005年3月の援助効果向上に関するパリ宣言の実施に取り組んでおり、パリ宣言の実施をモニターする調査を開始した。

 相互の自助努力と説明責任: 我々は、相互の自助努力と説明責任を信条とする。アフリカの各国政府は、平和と安全保障、良い統治及び透明性等に関する重要なコミットメントを行ったが、これらのコミットメントは実施されなければならない。我々は、アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)を通じて、進捗が監視され、ドナーとアフリカ諸国がこれらの問題に関する高いレベルの対話を維持することを引き続き確保する。APFは、APF支援ユニットと共に、2006年10月に最初の進捗報告書を発表する。

引き続いての取組み

 我々は、グレンイーグルズ以降大きく前進した。来年にかけての我々の重要な行動は以下を含む。

●アフリカ及び世界において、感染症に取り組み、教育を強化し、エネルギー安全保障を促進する。詳細は我々の別の文書に記載されている。

●EU、国連及び他のパートナーとの協力の下、輸送やロジスティクス支援の取決めを含め、アフリカ待機軍の整備の進展に向けAUやアフリカの準地域機関を引き続き支援する。

●既存のメカニズム強化等により、通常兵器の望ましくない不法な拡散に取り組む。

●国連腐敗防止条約を可能な限り早期に批准すべく作業し、今年後半に締約国会議においてモニター及び実施のメカニズムにつき良い議論を行う。

●アフリカのオーナーシップを尊重しつつ、アフリカにおける相互審査制度を引き続き支援する。

●資源の豊かなアフリカの国において、EITI及び他の資源の透明性に関するプログラムのより広範な実施を奨励する。

●WTOドーハ・ラウンドにおいて、野心的でバランスの取れた成果を達成するための我々の努力を緊急に強化する。これにより、開発途上国‐特に後発開発途上国‐の世界市場への改善されたアクセスをもたらし、貿易能力を構築し、途上国が自国の経済政策を決定し、計画し、順序づけることを可能にする。

●特に、AU/NEPAD包括的アフリカ農業開発プログラム(CAADP)の下で、農業開発を支援する。

●アフリカ諸国が多国間貿易システムへの参加を深め、そこから更なる利益を得られるように、「貿易のための援助」についてさらに取り組む。

●援助に関する我々の約束を履行し、特にAPFを通じ進捗を見守り続ける。

●グレンイーグルズでの我々のコミットメントに従い、公平な分担で、マルチ債務救済イニシアティブ(MDRI)の完全な実施と同イニシアティブへの資金提供を確保し、IMF/世銀の低所得国のための債務持続性分析の枠組の実施を通じて長期的な債務持続可能性を保つ。

●援助効果向上に関する我々のパリ宣言を実施し、進捗を監視する。

 我々は、ドイツで開催される2007年のG8首脳会合において、進捗をレビューし、アフリカの発展の成功を支援するための次なる方策を特定する。我々の目標は、引き続き、民主的で、繁栄した、平和なアフリカである。我々は、この目標を確実にするためのアフリカの努力に引き続き我々の完全な支持を与える。

附属書

カナダ

 カナダは、アフリカにおける保健システムを強化し、保健状況を改善するための国主導の努力を支援するため、2006年から2016年の間に4億5千万カナダ・ドルを拠出する。

 カナダは、肺炎双球菌病のワクチンを開発するための事前購入制度のパイロット・プロジェクトを支援すべく、1億カナダ・ドルを拠出する用意がある。

 カナダは、2006年‐2007年の活動を支援するため、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)に対し、2006年に2億5千万カナダ・ドルを拠出する。カナダは、2000年以来、HIV/エイズと闘う努力を支援するため、8億カナダ・ドルをコミットしてきた。他の最近のカナダのイニシアティブには、ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)に対する1億6千万カナダ・ドル、国際エイズ・ワクチン・イニシアティブに対する6,200万カナダ・ドル、及びアフリカ・エイズ・ワクチン・プログラムに対する500万カナダ・ドルが含まれる。カナダはまた、殺微生物剤のための国際パートナーシップに対し、1,500万カナダ・ドルをコミットした。

 カナダは、鳥インフルエンザへの国際的な対応を支援するため、また将来の起こり得る流行病に備えるために、5,700万カナダ・ドルを拠出する。

 2006年に、カナダは、世界ポリオ撲滅イニシアティブに対し、4,500万カナダ・ドルを拠出する。

欧州委員会

 2001年の世界基金の設立以来、欧州委員会は、2006年末までに5億2,200万ユーロ拠出することになり、2006年だけで9千万ユーロになる。

 2002年から2006年に、欧州委員会は、HIV/エイズ、マラリア及び結核という三大伝染病に焦点をあてた研究に4億2千万ユーロを費やすことになり、これは前の4年間と比較して4倍の増加である。

 2006年1月の北京会合にて、鳥インフルエンザと闘い、またあり得べきヒトへの流行に備えるため、EU加盟国により約束された追加的な1億1,100万ユーロに加え、欧州委員会は、1億ユーロを約束した。この欧州委員会の約束のうち2千万ユーロは、科学的研究プロジェクトの支援に当てられ、さらに8千万ユーロが援助プロジェクトに向けられる。

 ポリオ撲滅に関しては、欧州委員会は、ナイジェリア、ニジェール及びソマリアといった地域的感染がみられる国々における追加的な予防接種活動に資金提供するため、6,100万ユーロを供与した。ナイジェリアにおいては、この支援は、既存の予防接種及びポリオ撲滅に対する1億1,800万ユーロの支援に加えて供与された。エチオピアで必要な撲滅活動支援のため、1,500万ユーロの追加的資金。

フランス

 フランスは、新興感染症との闘いに関する多国間の活動に対し、2006年から2008年の間に、14億ユーロを支出する。

 革新的資金に関し、フランスは、すでに17か国が支持の意志を表明した航空券連帯税を打ち上げた。7月1日から発効しているこの税の収入のうち少なくとも90%(年に約2億ユーロと推定される)は、受益国に対し事前認定された製品を低価格で継続して供給できるよう確保することを目指した国際医薬品購入ファシリティ(UNITAID)の資金となる。国際医薬品購入ファシリティ‐UNITAIDは、9月中旬の国連総会の際に打ち上げられる。フランスはまた、パイロット事業である予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm)に貢献し、最初の債券発行は、ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)への資金提供のため2006年に予定されている。20年間で20億ドルというコミットメントにより、フランスは、このイニシアティブに対する2番目の拠出者となる。

 フランスは、世界基金に対する拠出を増加し(2006年に2億2,500万ユーロ、2007年に3億ユーロ)、それにより第2の拠出者となるであろう。

 2006年から2007年の間に、フランスは、健康関連MDGsの達成、及び開発途上国における保健システムの強化のために、二国間ODAを通じて2億9千万ユーロを支出する。

ドイツ

 ドイツは、開発途上国における感染症の予防及び制御に積極的に関与している。

 ドイツ政府は、HIV/エイズ、マラリア及び結核の予防及び制御、そして保健システムの発展に対し年間3億ユーロを支出する。ドイツは、ポリオとの闘いに関し、国際的な二国間ドナー社会において5位に位置し、3,900万ユーロの新たな二国間資金をコミットした。

 鳥インフルエンザと闘うための努力に関し、ドイツは、ワクチン開発及び世界的な危機対応メカニズムへの支援に対し、アジア及びアフリカにおける二国間プログラムへ約4千万ユーロをコミットした。

 8億ユーロという額により、感染症との闘いにおいて非常に重要な柱である水関連の二国間プロジェクトに対する最大のドナーに当たる。

 ドイツはまた、開発途上国にとり特別の関心である治療に関する研究を推進している。

イタリア

 イタリアは、主として貧困国に打撃を与える感染症に対する新ワクチンの研究・開発を推進するための市場原理メカニズム、すなわち事前購入制度(AMC)を推進する。GAVI及び世界銀行と共に、2006年に立ち上げられ得るパイロット・プロジェクトが開発された。

 イタリアはまた、マラリア、ポリオ、結核、鳥インフルエンザ及び他の感染症と闘ういくつかの多国間/二国間のイニシアティブへの資金提供に積極的に参加している。

 イタリアは、IFFImに対し20年間で6億米ドル供与し、2004年から2007年の間に世界基金に対し4億6千万ユーロを拠出する。 これらの特定の拠出は、開発途上国における、国の保健システム、及びモニタリングと予防能力の強化に対する相当な支援というより一般的なアプローチに従ってなされるものである。

日本

 日本は、開発途上国において感染症及び他の健康への危険と闘うため、2005年から2009年の5年間で最大で50億米ドルの供与を目指した「健康と発展」イニシアティブを2005年6月に立ち上げた。そのうち6億2千万ドル以上が2005年度に支出された。

 2005年6月、日本は、今後数年で世界基金に対し5億米ドル拠出することをプレッジし、このコミットメントを満たす最初の一歩として2006年3月に基金に対し1億3千万米ドルを拠出した。

 鳥及び新型インフルエンザと闘うため、日本は、北京で2006年1月に開催された鳥及び新型インフルエンザに関する国際プレッジング会合の際に、1億5,500万米ドルをプレッジし、すでに全額を支払った。

ロシア

 ロシア及び世界銀行は、サブサハラ・アフリカにおいて債務支払いから優先度の高い開発面での行動へ2億5千万ドルを振り向けるために、債務を開発に利用するためのスワップを共同して開発することについて合意した。これらのいくつかの重債務貧困国対象国(HIPC)において、世界銀行は、感染症と闘うための国別の戦略を支援する重要なプロジェクトや計画を策定している。ロシアは、サブサハラ・アフリカにおけるマラリアの闘いにおいて、世界銀行と協力して、2010年までに具体的な成果を達成することを目指した、世界銀行が主導するマラリア・ブースター計画を支援する。その他にも、ロシアと世界銀行は、中央アジアにおいて、感染症の課題に対処するための協力を拡大することに合意した。

 2005年に、ロシアは世界基金への約束を4千万ドルに倍増した。ロシアはまた、ロシア連邦におけるプロジェクトの資金として支払われた約2億7千万米ドルを、2010年まで世界基金に償還する意向である。

 ロシアは、世界ポリオ撲滅イニシアティブに対し、1,800万米ドル拠出することにコミットした。ロシアは、高病原性鳥インフルエンザの大流行への備え、探知及び迅速な対応への努力に対し、約4,500万ドルを約束した。

 ロシアは、ワクチンに関する事前購入制度(AMC)における進展を歓迎し、AMCのパイロット・プロジェクトの成功裡の立ち上げに期待する。

英国

 英国は、2010年までの抗HIV/エイズ薬への普遍的なアクセスを含め、グレンイーグルズで定められた目標の達成にコミットしている。英国は、2005/2006年度から2007/2008年度までにHIV/エイズに関し15億ポンド支出することにコミットし、2002年から2008年の間に世界基金に対し3億6千万ポンド拠出する。英国はまた、革新的な資金メカニズムを支持し、予防可能な疾病に取り組むため、IFFImに対し20年間で14億ポンド拠出し、またIDPF‐UNIAIDに対し長期的な資金拠出を行う用意があると発表した。英国は、事前購入制度(AMC)を先導するための長期的な資金拠出を行う用意がある。英国は、2006年末までの肺炎双球菌のAMCの立ち上げを支持し、マラリアのAMCが検討されるべきであると信じる。英国はまた、伝染病と闘うため、新しい薬、ワクチン及び殺微生物剤の研究を行う製品開発の7つの官民パートナーシップに資金提供する。英国は、2006年から2008年の間に、ポリオ撲滅の費用に当てるため6千万ポンドを提供する。

米国

 米国は、国際的なHIV/エイズ・プログラムを支援するため、5年間で150億ドルを拠出し、35以上の国における二国間の結核プログラムに対し2006年度に9千万ドル拠出し、マラリア予防及び治療に対する資金提供を5年間で12億ドル以上増加させ、世界ポリオ撲滅イニシアティブの資金の25%近くをすでに提供し、国々が高病原性鳥インフルエンザの大流行に備え、探知し、そして迅速に対応できるよう3億6,200万ドルをプレッジし、五歳未満の子供の命を救うため、子供の予防接種及び肺炎と下痢治療への支援に対し、過去5年間ですでに15億ドル以上を拠出し、感染症の予防、制御及び治療への新たなアプローチを調査、開発及び試験するため、開発途上国のカウンターパートと直接協力する米国拠点の研究機関に対し、約10億ドルの贈与を与え、ワクチンのAMCに関する世銀及びGAVIによる技術的作業に留意し、そして、本年末までのAMCのパイロット・プロジェクトの成功裡の立ち上げに向けた追加的作業を支援する。