データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アフリカにおける成長と責任(第33回ハイリゲンダム主要国首脳会議‐G8サミット)

[場所] ハイリゲンダム
[年月日] 2007年6月8日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

変動する大陸{前6文字下線有り}

1.過去10年間、我々は急速に変容する世界経済から生じる機会を捉えんと努力を進める発展するアフリカを目撃してきた。政治、経済改革に後押しされ、多くのアフリカ諸国において成長が加速し、大陸が未だに直面している差し迫った挑戦への対処を支えている。しかしながら、経済成長のこうした傾向にもかかわらず、アフリカが2015年までにミレニアム開発目標(MDGs)を達成することを確保するためには力強い刺激が必要と見られている点は強調されるべきである。

2.今日、我々は、安定し、民主的で繁栄を遂げるアフリカに対する我々の強い関心を再度強調する。90年代後半以来、G8サミットは、アフリカに高い優先順位を置いてきた。我々は、アフリカとのパートナーシップの下作業を継続しており、また、我々は、改革プロセスにおけるアフリカのリーダーシップの極めて重要な役割を歓迎する。同時に、我々は、特に、グレンイーグルズでなされた開発に関するコミットメントを履行するという強固な決意を強調する。これらコミットメントは、600億米ドルにのぼる歴史的な多国間債務救済を含む。この債務救済は、現在実施されつつある。また、同コミットメントは、他のドナーと共に、2004年に比較して、2010年までにアフリカ向けODAを年間250億米ドル増加することも含む。経済協力開発機構(OECD)/DACは、2010年までの全世界のODA増加を年間約500億米ドルと見積もっている。我々のアフリカ進捗報告書は、我々のODAコミットメントの達成を含む、アフリカの開発に対するG8の支援を更新する定期的な機会を与える。

3.我々は、また、新興経済国がアフリカの開発において果たし得る役割を肯定し、責任ある利害関係者として国際システムへの関与を慫慂する。

4.我々は、アフリカにおける持続可能な開発を促進するためのさらなる諸措置について合意した。我々は、貧困と飢餓に立ち向かい、平和と安全、良い統治、保健システムの強化を培い、感染症との闘いを支援するために、成長と投資を促進することに焦点を当てる。我々は、また、気候変動の影響が、他の重圧と共にアフリカにおける持続可能な開発に対するリスクの増加をもたらしていることを認識する。これらの問題に取り組むため、我々は、協調的努力、及び、2月の第24回アフリカ・フランス首脳会議、本年12月に開催されるEU・アフリカ首脳会議、明年春に開催される第4回アフリカ開発会議(TICADIV)の場等において示されるそれぞれの努力のさらなる強化を通じて、元気なアフリカを支援することを固く決意する。関連する関係者を適切に含むこれら全ての努力は、日本での2008年G8サミットに続く絶え間ないプロセスに貢献する。

良い統治と制度能力の強化

5.アフリカにおける良い統治は平和、安定、持続可能な開発及び成長にとり不可欠である。良い統治なしには、その他全ての改革は、限られた影響力しか持たない。過去数年間、アフリカ連合(AU)及びそのプログラムであるアフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)は、アフリカにおける統治の向上を目的として改革に向け重要な推進力を提供してきた。G8は、アフリカ行動計画をもって、パートナーシップに基づいた協力に対する戦略的枠組を提供しており、アフリカ大陸全体の良い統治を引き続き支援する。良い統治は、我々の協力にとっての重要な基盤である。あらゆる側面(政治的、経済的、社会的、文化的、環境的)のあらゆるレベル(地方から世界まで)における良い統治は、評価に値するものである。開発協力が飢餓、貧困または病気との闘いという本来の目的に向けて進むことが最も重要な保証である。オーナーシップの尊重、パートナー間の対話及び改革に向けた機運が我々共通のアプローチの主要原則となる。以下に列記されるものは、大陸の良い統治を支援するに際してのG8の努力の重点分野である。

アフリカにおける相互審査システム(APRM)の強化{前25文字下線有り}

6.アフリカにおける相互審査システムを通じ、解決策及び適切な行動を特定するために、アフリカ諸国は自発的に彼らの開発課題を批判的な観点から検討し合っている。しかし、APRMは、その結果が認識され、実施された場合にのみ効果的な手段としての役割を果たすことができる。G8は、より多くのアフリカ諸国がAPRMに参加することを奨励し、APRMの進捗と必要な改革の実施を加速化する努力を支持する。

7.G8は、レビューの一層迅速で効果的な実施の促進を助けるために、得られた教訓を定着させることを支援する。これに関し、G8は、完全なアフリカのオーナーシップを尊重する調整された支援努力を促進するために、アフリカのパートナーとの対話を強化する。

8.G8は、主としてAPRMの勧告に合致した健全な政策を実施する諸国を積極的に支援するとのコミットメントを再確認する。我々は、2015年までのミレニアム開発目標(MDGs)達成に向け進展を目指すための国家行動計画の実施に関して、これら諸国を支援する。その結果、我々は、二国間及び地域協力のための自国の戦略レビューの結果に優先的に関心を向けることをコミットし、また、他の諸国にもこれを行うよう奨励する。

良好な財政統治{前7文字下線有り}

9.適切で、透明性があり、責任ある公的財政運営は、機能する民主主義の中心的な要素であるが、一方で、この分野における弱点は、持続可能な開発、投資及び経済成長を制約する。能力を備えた市民から生ずる透明性、参加及び説明責任は、汚職に対する最も強力な予防策となる。

10.制約に取り組むために、アフリカのパートナーと共に策定され、財務大臣プレサミットにおいて承認されたG8「アフリカにおける良好な財政統治のための行動計画」は、国際金融機関(IFIs)の継続中のイニシアティブと協調しつつ、能力開発を含む良好な財政統治の促進を支援するものである。我々は、汚職に対して信頼されるに足る行動をとり、透明性と説明責任を増加させているアフリカ諸国を支援する。行動計画の中で、我々は、公的財政の効果と効率を増加させるための努力を強く支持する。我々は、公的支出及び財政説明責任計画(PEFA)のような、透明性のある計画と国民の期待と要求を反映する政治的優先事項と一致した公的支出の実施を達成するための公的財政統治の評価と改革に向けた、一体性があり、調和のとれたアプローチを歓迎する。

11.我々は、また、歳入面での良好な財政統治を高めるための採取産業透明性イニシアティブ(EITI)のような努力を、適切な場合、強化することを継続する。この文脈において、我々は、透明性と支出の流れの予見性を高めるアフリカ諸国の努力を支援し、EITIへのより多くのアフリカ諸国の参加を奨励する。透明性の原則は、また、適当な場合、他の分野にも拡大可能である。

地域経済共同体への能力開発イニシアティブ{前20文字下線有り}

12.アフリカ地域経済共同体(RECs)は、経済的及び政治的統合の主要な原動力であり、アフリカ諸国の世界貿易システムへのよりよい統合に貢献するものである。地域計画を実施するための制度上の構造は、個々の組織の能力同様、依然進化を続けている。アフリカ連合(AU)の役割は、RECsを簡素化し、その活動の重複を阻止するために、依然として不可欠である。アフリカにおけるインフラの開発は、アフリカのアジェンダの主要問題の一つであり、RECsは、地域インフラプロジェクトの準備と実施の促進において主要な役割を果たしている。

13.G8は、アフリカにおける地域的統合と貿易の支援に関し、緊密に協力することにコミットする。この文脈において、我々は、一貫した態度で地域的統合を一層支援するための努力を強化し、我々の活動において相乗効果を構築する。

14.我々は、パリ宣言の原則に合致したRECsへの能力開発イニシアティブを支援する。NEPADインフラ計画準備ファシリティへの支援を通じたものを含め、これ以上の遅滞なしにNEPADインフラ短期行動計画(STAP)の実施を確保するために、インフラ開発が特に強調されるべきである。長期的には、RECsは、AU及びその加盟国と協力して大陸のインフラ実施を独自で促進することができるようになるべきである。我々は、RECsの能力開発への我々の支援を調整する。財源は需要主導型とし、よく準備され、焦点の絞られた実行計画にのみ対応する。

15.G8は、生産と輸送の高コストを削減し、それらの維持管理を保証するためにインフラ不足に取り組むアフリカ・インフラ・コンソーシアム(ICA)に対する支援を再確認する。G8は、インフラ開発への支援の調和を目的として、継続的なICAとの関係を築くよう他の開発パートナーに呼び掛ける。

開発政策の主要原則{前9文字下線有り}

16.G8諸国及び他の開発パートナーは、伝統的な開発支援、債務救済及び革新的な財政メカニズムを含む様々な手段を通じた援助努力を増加する実質的なコミットメントを行ってきた。意義のある進展はあったが、我々は、過去の我々のコミットメントを満たすためには、さらなる行動が必要とされていることを認識する。我々のパートナーシップとアフリカとの対話は以下の中核的原則に基づく:{前1文字ママ}

17.良い統治の促進:開発支援の実施において、我々は、人権の尊重、基本的自由、平和、民主主義、良好な統治、男女共同参画、法の支配、連帯、正義及び天然資源の持続的管理という普遍的な価値を促進することをコミットする。我々は、公正な統治を行い、国民に投資し、優先事項と政策に関する開かれた民主的な議論を選好し、そして経済機会の環境を創造するために努力する国々を積極的に支援する。しかしながら、アフリカにおける国家の状況の多様性は、ドナーの資源分配の基準、援助の形態及び目標とする結果における柔軟性を必要とする。

18.脆弱な国家に対する我々の対応の改善:我々は、失敗国家の出現を防ぐ観点から、世界の貧困層の3分の1が暮らす紛争後及び脆弱な国家に対する我々の対応を改善し、これらの諸国に対し、より時宜に適った実質的な支援を与える。我々は、AU及びRECsの果たす役割を支援する。我々は、これらの諸国が、基本的機能を備え、国民のニーズを満たすことができるよう、紛争予防における我々の努力を強化し、統治及び存立可能な国家制度の構築を支援する。紛争を管理し、基礎生活上の要請を満たし、環境劣化を緩和するための早急な努力は、地方の能力を構築し、長期的な成長を可能にする統治の顕著な改善を伴わなければならない。

19.経済的機会の醸成:ミレニアム開発目標の達成と持続、及びそこからのさらなる前進には、経済活動を可能にし、広範な民間部門主導の成長を奨励する環境を必要とすることを認識する。活発な民間部門は、成長達成のために不可欠である。経済的及び社会的パートナーを含む、すべての利害関係者の国家開発への参加が、認識され、奨励される。

20.パリ宣言のパートナーシップ・コミットメントの継承‐オーナーシップ、整合化、調和、結果に基づく管理と説明責任:我々は、援助効率性に関するパリ宣言の履行のために作業中であり、ドナー及びパートナー諸国の双方が、援助の効果を改善するために前進すべきことを認識する。我々はみな、国家のオーナーシップを慫慂し、援助計画と国家の優先順位の調整を確保し、援助の取引費用を軽減し、ドナー間の調整を改善するために努力しなければならない。我々は、2001年OECD開発援助委員会(DAC)勧告に準じて援助のアンタイド化のための努力を強化し、及び可能なところではパートナー国のシステムを通じて、援助を迅速かつ予測可能な形で支出し続けることが必要である。

21.新興ドナー国の活動は、アフリカにおける成長と貧困削減のための選択肢を広げている。我々は、新たなパートナーが、協議、並びに調和や、DACによって得られた経験に照らした調整された支援に際して進められている努力に参加することを歓迎する。アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)やDAC等のフォーラムは、新たな関係者参加のための良い基盤を提供し得る。我々は、すべてのドナー諸国が、援助の透明性を高め、国際的に共有された原則を守ることを強く奨励する。この目的のため、我々はこれら諸国が、(G8財務大臣会合によって承認された、責任ある貸付憲章により規定されているように、)ドナーとしてパリ宣言を遵守し、これら諸国のすべての貸付実施において、債務持続可能性の問題を考慮し、低所得諸国に対する貸付に関する情報を完全に共有するよう招請する。我々は、全ての債務国及び債権国による債務持続可能性の枠組利用を慫慂する。

22.我々は、特に貧困削減に関して、適切に目標を定めた援助と共に、それが可能な限り最大の効果を達成することを確保するために、健全な開発戦略を支援することが必要である。我々は、したがって、透明性があり、説明責任のある開発計画の結果を確保するための、明確な目標、結果に基づいた履行計画、評価指標及び効果的な監視、及び評価システムの構築のために、アフリカ諸国との協力を継続する。

投資及び持続可能な経済成長の助長

23.平均成長率がほぼ6パーセントを達成しているアフリカの現在の成長実績は、世界平均をしのいでおり、いくつかの諸国においては貧困を削減し始めている。成長は、統治、ビジネス環境、及び多くの国におけるマクロ経済の安定の改善、並びにアフリカの天然資源に対する強力な世界的需要により牽引されている。

24.アフリカ諸国、政策策定者及びビジネスが直面する課題は、ミレニアム開発目標の達成のため、共有された成長を深化し、拡大し、そして持続することである。民主主義及び財政改革、官僚的手続きの合理化、並びに貿易能力の強化に向けた推進力を持続するために、強固な政治的意思と制度上の能力が必要である。改善されたビジネス環境は、また、雇用の創出と経済の多様化を促進する民間投資に基づく更なる持続可能な成長にも貢献し得る。

25.貿易は、アフリカの成長にとっての主要な原動力である。G8は、貿易能力構築への支援にさらに集中し、貿易のための援助に関するコミットメントの質を改善し、実施を監視するための「WTO貿易のための援助タスクフォース」の勧告を支持する。G8は、貿易を成長と貧困削減戦略に統合する諸国の努力を支援する。香港における第6回WTO閣僚会議において合意されたように、我々は、後発開発途上国(LDCs)の産品には無税無枠の市場アクセスを供与することに完全にコミットし、市場アクセスの実質的改善を図る。我々は、さらなる改善達成のために、既存の特恵制度の利点を精査し、他の先進国や新興経済国が同様のことを行うことを強く促す。

26.G8は、また、アフリカが貿易能力を増大させることを手助けする支援を提供する。

●我々は、特に後発開発途上国のために、単純化され、より透明性があり、利用し易い、開発に優しい原産地規則を促進する。

●我々は、統合フレームワークの促進を通じたものを含め、貿易のための援助を40億米ドルまで増加する支出を行うことを期待する。我々は、プレッジの実施監視、及び貧困削減戦略における貿易のための援助計画への資金拠出が調整された方法で行われることを確保するにあたり、WTO事務局及び同事務局長、並びにOECDの役割を歓迎する。

投資の促進{前5文字下線有り}

27.ODAは、最貧国の、インフラや人材開発に関する基本的ニーズへの資金確保を支援する。ODAのほかには、民間部門が繁栄し、より多くのよりよい雇用を創出するため、民主的で安定した経済・社会のための制度的及び法的環境が整うことが必要である。右に必要な要素として、法の支配、効果的な公的行政;適切なインフラと機能的な金融及び資本市場、競争及び財産権を保証する行動、及び汚職のない独立した司法が含まれる。G8は、アフリカ諸国が投資の増加に対する阻害要因を取り除き、ビジネス費用を削減する努力を支援する。健全な投資環境は、リスク緩和手段の効果を増加させる。

28.G8は、(各国のAPRM勧告の履行を含む)規制及び行政改革による投資環境改善のための各国の、及び地域的な努力を支援する。我々は、投資環境ファシリティ(ICF)、国際金融公社(IFC)の対外投資諮問サービス、またはNEPAD‐OECDアフリカ投資イニシアティブ等の、投資環境に取り組むイニシアティブを個別に及び集団として支援し続ける。G8は、また、投資環境の改革計画の実績を横断的に組織し、評価するための統治及びビジネス環境指標の整備を歓迎する。

29.G8は、持続可能な成長及び責任ある政府への貢献となる、女性の政治的・経済的地位向上の重要性を強調する。我々は、世界銀行のジェンダー行動計画を促進しており、同行動計画並びに国連により進められているような女性の経済的地位向上を助成するためのアフリカのパートナーの努力を支援する更なるイニシアティブを歓迎する。

30.G8は、我々各国において、企業、特に中小企業が、持続可能な経済成長と技術移転を牽引し、アフリカにおける貧困削減に永続的な貢献をするための、地方民間部門の能力の構築に強く貢献する、持続的かつ責任のある投資を拡大するよう奨励する。我々は、現在進行中のアフリカの新たなビジネスを奨励する様々な努力を歓迎する。我々は、また、二国間及び国際金融機構(IFIs)を通じて、アフリカでの民間投資のための資本を調達する努力を強化すべく作業する。この目的のため、既存のアフリカビジネス計画との相互作用をもって、G8議長国は、「機会の大陸」としてのアフリカのイメージの向上を目的とする投資会議を含む、財界首脳のキャンペーンを計画している。

金融市場の強化{前7文字下線有り}

31.機能している金融市場を有する諸国は一層速く成長し、資源を最も生産性の高い利用に回すよう支援することにより一層低い貧困率を達成し、外部資金への依存を削減し、そしてリスク管理を促進している。自国通貨による長期的な資金調達の欠如等の金融部門における欠陥は、小規模・非公式な起業家や女性を含むアフリカの投資家の足かせとなる主要な障害を提起する。

32.我々は、「アフリカにおける金融セクター機能のためのパートナーシップ」イニシアティブ及び右を設立するために世界銀行及びアフリカ開発銀行により進められている作業を歓迎する。これは、将来、アフリカの専門的知識、機構、民間部門、及び政府並びに民間部門の強固な金融部門能力のためのドナー資源のための基盤を提供し、仲間の間での学習のためのフォーラムを提供する。このパートナーシップは、我々が、以下のような新規の、または既存の様々なイニシアティブと共に効果的に作業する助けとなるはずである。

●国家行動計画を通じて、調整された包括的な方法で、金融部門における欠陥に取り組むためのセクター全域に亘るアプローチを作成、実施する国家能力の向上。

●より小規模な企業のための中期的及び長期的投資信用の再融資のための資金調達の手段として、地域の零細中小企業投資基金(REGMIFA)を発展させること。我々は、また、特に訓練計画や技術支援を通じたマイクロ金融機関の能力を強化する。

●長期的な現地通貨金融、為替リスクを対象とする最適な保険手段、及び基本的な社会・経済リスクを対象とする様々な保険商品の開発。

●2004年のG8シーアイランド・サミットで決議された手段の実施の前倒しにより、海外移住のアフリカ人の公的部門を経由した母国への送金の効率性向上の継続。右には、送金費用の簡素化、削減と、金融サービスへのアクセスの向上が含まれる。2007年秋のハイレベル会合において、G8議長国は、右目標に向けた進捗を監視し、必要に応じ次回サミットまで追加的行動の必要性を特定する。

●たとえば、海外移民が貯蓄の一部を出身国の経済発展に振り向けるインセンティブを与える等、海外送金の生産的利用のさらなる選択肢を開くために、市場志向の資金調達スキームに関するベストプラクティスを共有し、アフリカ諸国が国内投資への配分を促進するよう奨励する。

●特に、現地債務市場の発展、会計及び規制に関する能力、並びに財産権の執行を目的とする、アフリカにおける資本市場改善のための支援提供。

●パイロット国において、住宅ローンにより融資される住宅計画のための技術協力と借款及び保証を組み合わせ、住宅ローン市場計画を立ち上げる。

●リスクに基づいた監督訓練の提供、及び銀行監督における国際的ベストプラクティスの支持のためのアフリカ各国の中央銀行との協力。

持続可能な投資の確保{前10文字下線有り}

33.成長と投資のパターンは、責任ある方法で形成される必要がある。成長は、国民が雇用と収入に関する利益を得ることを許し、包括的である必要がある。投資パターンは、合意された社会的及び生態学的基準に対して然るべき注意を払うべきである。G8は、国連グローバル・コンパクト及び国連責任ある投資のための原則への支持を含め、アフリカの民間部門ネットワークを通じた持続可能な投資を奨励する。G8は、また、責任ある投資と金融上の透明性のための国際的なイニシアティブ(EITI等の)に関する新興ドナー国との対話を強化する。

34.G8は、クリーンエネルギー開発投資枠組(CEDIF)の具体化作業の進展を歓迎し、アフリカのためのエネルギーアクセス行動計画の実施を目的として、世界銀行、アフリカ開発銀行、及び他のドナーと協力する。我々は、アフリカが気候変動に関する適応能力を強化することを支援するためのグレンイールズでの我々のコミットメントを再確認し、アフリカ諸国の国家開発戦略の文脈で同諸国と協力する。

35.アフリカにおけるエネルギー安全保障を高めるために、我々は、エネルギー効率と、適切な場合には、水力を含む国産の再生可能エネルギー資源の利用に特別な関心を払い、既存の水力発電所の修復及び小規模水力発電所の開発に優先的な支援を与える。我々は、食糧安全保障と環境を危険にさらすことなく気候保全に貢献することを目的として、再生可能なバイオマス資源から生み出される、責任ある持続可能なバイオエネルギー生産をさらに促進する。

36.食糧安全保障と天然資源の持続可能な利用を改善するために、G8は、AU/NEPAD包括的アフリカ農業開発プログラム(CAADP)を支持し、農村人口支援のための政策改革並びに生産能力向上、市場アクセス改善、及び脆弱性減少をもたらす持続可能な農業への投資を促進する。

37.教育は、国家発展と経済成長にとっての基本的な原動力であり、熟練労働力を提供し、公平性、起業及び繁栄を促進する。教育は、また、健康を促進し、女子及び女性に能力を与え、より健康な家庭を導く。我々は、教室以外でのことを含め、不利な条件に置かれた女子及び男子が21世紀の技術を習得し、社会における彼らの参画を高めていく機会を拡大するために、パートナー政府および民間部門と協力することをコミットしている。我々は、「万人のための教育」に真剣にコミットしている全ての国は、資源不足により右目標の達成に向けて挫折することはないことを再確認する。

38.G8は、アフリカにおける持続可能な開発のための「万人のための教育」へのコミットメントを再確認する。このコミットメントの一部として、2002年には、主要なドナーは、世界の最貧国における普遍的初等教育の提供を主導し、加速化させるためのファースト・トラック・イニシアティヴ(FTI)を設立した。このアプローチは、持続可能な複数年次教育計画、計測可能な結果、信託者による管理、及び調整されたドナーの資金拠出に焦点を当て、これらを通じて、G8の完全な支援を享受する。G8は、FTIに承認されたすべての諸国における財政不足を満たすため、パートナー及び他のドナーと引き続き協力する。FTI事務局によれば、2007年には約5億米ドルの財政不足があると見積もられる。我々は、普遍的初等教育の完了という2015年目標から最もかけ離れている低所得国及び脆弱な国家に関心を注ぎ、全ての子供が学校に通うことを確保するために諸国によって提供された長期計画への資金提供に向け、他のドナー及び被援助国政府と協力する。我々は、特に質の高い教育と能力開発に焦点を当てる。このイニシアティブは、受け入れ国政府による強いコミットメント、及び二国間並びに多国間で拠出された計画の健全な連携に基づいているため、計画段階における活力の導入を助長する。

平和と安全の促進

39.平和と安全は、アフリカにおける成功裡かつ持続可能な開発にとり絶対的な前提条件である。G8は、AUとその加盟国により示された、過去及び現在のアフリカ主導の平和支援活動に関する指導力とコミットメントを賞賛する。紛争の予防と解決を通じることを含め、アフリカ大陸の恒久的な平和と安定を促進し、維持するための能力構築に関し、アフリカ連合及び準地域機関への支援を継続することは、G8の目的である。我々は、アフリカ待機軍(ASF)整備の初期段階の完了に係る進捗に関し、AU平和・安全保障理事会を賞賛する。我々は、さらに、賢人パネルの任命及び大陸早期警戒システムのための枠組採択に関し、AUを賞賛する。ASFの設立完了への支援につき我々の決意を再確認するとともに、我々は、紛争予防と安定、再建、復興及び紛争後国家の開発に、より大きな関心と努力を注ぐ。

40.G8は、アフリカ平和・安全保障アーキテクチャーに対する支援を継続し、双方より重要な貢献を行ってきた諸計画を強固にし、新たな方向に進展する。我々は、他の関係者と共に、例えば、平和維持部隊の持続可能な資金確保、運営支援、計画と管理、ドナーの支援のより有効な管理、及びアフリカ主導の平和維持活動に係る出口戦略等の事項につき特定し、合意し、永続的な解決を支援するために努力する。この文脈において、我々は、早期展開部隊を創設するとのAUの提案を歓迎する。我々は、インフラ、備品、強化されたスタッフ人材のためのAU平和安全保障部局の必要性を認識し、財政及びその他の支援の提供を継続する。他の重要なドナー諸国と共に、我々は、我々個々の計画及び活動に関する情報交換を改善するための努力を刷新し、我々の努力の調整と一貫性を強化する。

41.国連と共に、そして他のアフリカのパートナーと一致して、G8は、ASF設立のプロセスのために、アフリカ主導の平和維持活動の経験把握を目的とする国連の支援を得つつ、AUが過去の教訓から学ぶためのデータ収集を行う努力を支援する。我々は、平和と安全の面でAUの努力を支援する国連の取組を歓迎し、国連安保理とAU平和・安全保障理事会との対話と協力を奨励する。

42.G8は、ASFの警察能力を含む文民の強化にコミットしている。待機軍が、様々な紛争や紛争後のシナリオといった課題に十分な装備をもって直面できるためには、既存の軍事部門と今後設立される文民部門というアフリカ待機軍の2つの要素が、可能な限り密接に相互連携されることが必要である。同時に、我々は、要員派遣国とドナー等による、増強された投資を要するASFの中核的能力のために必要な支援を提供することに固くコミットしている。我々は、AUの個々の加盟国が、参加を継続し、可能な場合にはそれを強化することを奨励する。AUと緊密に協力し、我々は、以下のイニシアティブを支援する。

●新たな文民部門の利用を計画し監督するためのAU本部レベル及び地域的レベルでの能力構築、文民専門家のための訓練ニーズ特定への支援、大陸単位での待機専門家リスト構築に係る適切な訓練と支援の提供。紛争後のシナリオにおける文民警察の訓練、及び、司法、移行期の正義、行政、ジェンダー、人権等の分野における専門家へのニーズに、強い焦点を当てるべきである。

●文民専門家の訓練のためのさらなる能力の構築。

●AUにより特定されたニーズに一致する紛争後の復興オペレーションへの参加のために専門家を募集するアフリカ・ボランティア・サービスの設立に係るAUへの支援。

●特にアフリカにおける活動のより良い調整、平和支援活動の全体的な能力に対する効果の最大化のために、アフリカ及びその他の場所での既存の平和維持訓練施設のネットワークを支援。

43.我々は、脆弱な国家を支援するための新たなアプローチや手段を歓迎する。例えば、戦後復興と開発のための政策枠組(PCRD)においてAUにより整備されたアプローチ、制度的支援や、能力構築戦略の整備のためのアフリカ開発銀行の現在の努力、及びOECD‐DACのイニシアティブである「安全保障分野改革のための実施枠組(IF‐SSR)」等である。同時に、我々は、二国間ドナーや多国間機構が、それらの手段や条件を紛争後の脆弱な国家の特性に適合させることを奨励する。

44.アフリカ連合及びアフリカの準地域機関は、小型武器の無制御な拡散や過剰な蓄積を大陸全体の懸念として認識し、数々のイニシアティブを取ってきた。我々は、これらの努力を歓迎し、こうした計画に支援を提供する。我々は、以下をコミットする。

●非合法小型武器の認可されない拡散と不正使用と闘い、違法、過剰及び/または旧式の小型武器を特定、回収、廃棄するための、AU及び準地域機関の能力構築の支援。我々は、これらの活動と共に、統合された政策の整備と履行を支持する。

●適切な場合には、技術的及び人材の支援を通じて、小型武器に関するアフリカ条約の起案に関してAU、準地域機関及び各国との協力。同条約は、国家の小型武器及び弾薬備蓄の確実で安全な管理のための手段をも含む。この点に関連し、我々は、既存の国際的、地域的及び準地域的措置の批准と履行を強力に支援する。

●航空輸送産業と協力しつつ、国連安保理による武器禁輸措置に対する空路を通じた違反と闘い、また、予防することを支援する手段を勧告する全ての努力を支持。

45.天然資源の違法搾取は、アフリカにおける複数の武力紛争を助長している責任がある。したがって、天然資源に関する良い統治は、より高い透明性と貿易フローの監視に係るイニシアティブを含め、内戦に直面する資源に恵まれた諸国において強化されるべきである。G8は、資源の違法搾取を停止し、国境を越えた天然資源の地域的管理を促進するためのカナナスキスでのコミットメントを再確認するために、アフリカの政府、国連、民間部門、市民社会及びその他の関係者と緊密に協力することをコミットする。

保健システムの向上とエイズ、結核、マラリア対策

46.グレンイーグルズ及びサンクトペテルブルク・サミットにおいて、G8諸国は、感染症の脅威への精力的な取組について実質的なコミットを行った。これを実施することは、世界の人々の発展と福祉にとり必須である。全世界で、HIV/エイズ、結核及びマラリアは、毎年600万以上の人命を奪い、その他の感染症も含めた脅威は、特にアフリカにおいて深刻である。全世界のHIV感染人口のおよそ63%がアフリカに居住している。坑レトロウィルス薬治療を必要とするアフリカ人の80%以上が、未だに取り残されている。また、女性や女子のHIV/エイズ感染の継続的な増加が特に懸念される。毎年、マラリアは、世界中で100万人近くの人命を奪っている。これらの死亡の約90%は、アフリカで発生しており、その多くが幼少児童である。さらに、結核は毎日5000人の命を奪っており、そのほとんどは最も生産的な年齢の若い成人である。病気は、しばしば予防可能で治癒可能であるが、多くのアフリカ人が健康的で生産的な生命を営むことを妨げている。多くのアフリカ諸国では、平均寿命は、エイズの蔓延の結果として劇的に落ち込んでいる。人的な被害の他に、これらの病気や特にHIV/エイズは、当該各国の経済的、及び社会的発展に大きな影響を及ぼしている。

47.G8諸国は、アフリカ各国政府、多国間機構、国際的なドナー社会及び民間部門と協調して、過去数年間、持続可能な基礎に基づき、これらの病気と闘う重大な努力を行ってきた。そして、HIV/エイズとの闘いの文脈においてミレニアム開発目標の達成を目的としてきた。目に見える進捗が達成されたが、我々及びその他諸国には、さらに行うべきことがある。

HIV/エイズ、マラリア、結核及びその他感染症との闘い{前27文字下線有り}

48.G8諸国は、2010年までに、全ての人が、包括的なHIV/エイズの予防計画、治療、ケア及び支援への普遍的なアクセスをもつという目標に貢献するために、一層の努力を行う。また、保健システムを整備、強化し、ヘルスケア、特に基礎的なヘルスケアが、持続可能かつ公平に提供されるよう一層の努力を行う。そうした努力の目的は、思春期の女子、女性及び子供を含む最も感染症に脆弱な人々のニーズに特段の注意を払い、疾病と死亡率を減少させることにある。我々は、普遍的なアクセスという目標を達成し、また、持続可能な方法でHIV/エイズ、マラリア、結核との闘いのためのミレニアム開発目標(MDGs)を達成し、さらに、保健システを強化するには、相当程度の資金が必要であると認識する。我々は、今後数年間、少なくとも推定された600億米ドルを提供するというこれらの目標に向けて、我々の努力を継続し、他のドナーにも貢献するよう呼び掛ける。これらの貢献は、アフリカの政府による取組を補完する。我々は、ヘルスケアへのアクセスを培うための戦略を含む貧困削減戦略を遂行するという彼らの政治的コミットメントを認識する。

49.我々は、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)に対する需要のレベルが、世界基金理事会が予測するように、将来、実質的に増大するものと認識する。この点に関して、80億米ドルに達するかもしれないが、2010年までに約60億米ドルの追加的な需要を予測した4月の世界基金理事会の結果を留意し、G8メンバーは、世界基金に増資し、野心的であるが現実的な需要主導の目標に基づき、長期的な予測可能な資金を提供するよう、他のドナーと共に作業することを約束する。増資会議は、2007年9月にドイツにて開催される。G8パートナーは、世界基金の資金が、既存の国家優先事項及びプロセスに合致した形で引き続き利用されるために、他の利害関係者と協力する。

50.エイズ蔓延の女性への影響の拡大を認識しつつ、G8は、パートナー政府と協力して世界基金による性差に配慮した対応を支援する。その目的は、同基金によって、より大きな関心と適切な資源が、女性と女子のニーズに対処するエイズ予防、治療及びケアに配分されることを確保することにある。母子感染予防(PMTCT)の普及率は、現在わずか11%に過ぎない。普遍的なアクセスという目標に向けた一層の努力、また、保健システムの強化という全体の文脈において、我々は、2010年までの母子感染予防の普遍的普及の提供という目的に向けた作業に、他のドナーとともに実質的に貢献する。この目標達成のための費用は、国連児童基金(UNICEF)により予測されたように、15億米ドルである。G8は、普遍的なアクセスという文脈において、UNICEFによって予想される2010年まで18億米ドルという小児治療のために必要とされる資金を満たすために、他のドナーとともに作業する。また、我々は、15億米ドルと予想される、母子保健と自発的な家族計画の分野におけるギャップを減らすための取組を拡大する。

51.教育に関するミレニアム開発目標の達成により、毎年70万の新たなHIV感染が予防出来る。教育は、感染症に対する理解を向上させるのみならず、女性と女子の経済的展望を改善し、能力を向上させる。G8は、特に女子のための教育計画を支援し、性と生殖に関する健康についての知識と、性感染症の予防を促進し、そのために具体的な手段をとる。G8は、各国分野別計画、及びマラリアやその他関連する保健事情に関する予防情報の文脈において、適切なHIV/エイズ関連情報と生活技能に関する情報を学校履修課程に組み込むことを支援する。

52.G8は、特にHIV/エイズ感染の予防の文脈において、女性と女子の人権の促進と保護のための計画、及び性的暴力や強制の防止の重要性を強調する。我々は、アフリカのパートナーによって表明された、女性と女子の権利と役割の促進を目的とするコミットメントを歓迎する。我々は、また、性的搾取とジェンダーに基づく暴力を停止するための追加的な協調努力を支援するために作業する。

53.G8は、以下の具体的な手段をとる。HIV/エイズ活動と性的な、生殖に関する保健及び自発的な家族計画プログラムの間の連携を促進するよう作業すること。また、母子感染の予防を含むヘルスケアへのアクセスを改善すること。更に、多分野にわたるアプローチを取り、コミュニティの参加と参画を助長することにより、ミレニアム開発目標を達成すること。

54.我々は、結核とHIV/エイズに対する取組のさらなる統合、並びに我々の計画・活動における相互感染の危険を回避して結核を抑制するために必要な直接監視下短期化学療法(DOTS)及びその他の包括的なアプローチとの統合に向け作業することにコミットする。G8は、ポリオ根絶のために、国際機関及びパートナーと協力し、最大限の努力をし、また、喫緊の資金不足を解消するために他の関係者と協力する。

55.マラリアは、アフリカにおける子供の主要な死亡原因の一つである。しかし、マラリアは、追加的努力がなされれば、予防可能である。優先事項として、G8は、マラリアの災禍を食い止め、逆転を開始させるミレニアム開発目標達成に資する努力の顕著な拡大にコミットする。このため、我々は、アルテミシニン併用療法、効果的な症例管理、効果的で状況に応じたベクターコントロール戦略及び蚊帳の三つの主要な対処法に沿ったアフリカにおけるマラリア対策プログラムの効果を強化するためにアフリカの政府及びドナーと協力する。我々は、世界基金、及びこの目的達成に向けた実質的な資金を提供する世界銀行マラリア予防プログラム、及び米国大統領のマラリア・イニシアティブ等の、国際社会による他の二国間、多国間並びに民間パートナーの重要な役割と貢献を認識する。G8メンバーは、国家マラリア対策プログラムを支持し、既存の、及び追加的な資金を利用して、今後数年間、個別及び集団的に、(世界でマラリアによる死亡の少なくとも80%に貢献する)アフリカにおけるマラリア災禍の重い30カ国において、もっとも脆弱なグループの少なくとも85%が、効果的な予防及び治療に到達できるよう作業し、マラリアによる死亡の50%削減を達成することができるよう作業する。グレンイーグルズで同意した財政的コミットメントの実施を加速するために、我々は、この目標に到達すべく、民間部門をその専門知識と資金と共に動員し、世論を啓発し、官民パートナーシップを慫慂し、非G8諸国にも同様な措置をとるよう強く要請する。

56.G8は、薬品へのアクセスを巡る挑戦を認識する。我々は、WTOに整合的な方法で、購入可能、安全、効果的、かつ高品質のジェネリック薬及び革新的薬品へのアクセスを推進するための技術支援及び能力構築計画を必要とする旨指摘するアフリカ諸国に対して応えることを支持する。G8は、事前認証制度を含むWHOの作業を支持することを繰り返し述べる。また、規制当局が、医薬品の安全性、効能及び品質を確保することを支持することも繰り返し述べる。これらの医薬品には、国内的に生産されたもの、特に第二次坑レトロウィルス薬治療のため、及び一層効果的なマラリア治療のために新たに開発されたものが含まれる。

57.G8は、2010年までの包括的なHIV予防、治療及びケアへの「普遍的アクセス」に向けた一層の努力へのコミットを再確認する。また、特に、購入可能な坑レトロウィルス薬治療の入手可能性を改善する目標設定と計画について、各国が顕著な進展を示したことを認識する。今日の主要な課題の一つは、アフリカ諸国が包括的な方法で、保健システムの向上を継続することである。我々は、したがって、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、WHO、世界銀行及び世界基金と、それらの取組強化のため協力する。また、「普遍的なアクセス」に向けた次のステップを踏み出すことを支援するために、AU、アフリカ諸国、新薬やジェネリック薬関連の産業、民間部門、市民社会及びその他関係する利害関係者と共に協力する。有償かつ持続可能な、かつ証拠に基づいた国家エイズ計画は、この目標を達成する鍵となる。我々は、特に以下を要請する:{前1文字ママ}

アフリカの政府{前7文字下線有り}

●保健システムを強化し、財源を確保すること、並びにドナー及びWHOや世界銀行等の関連国際機関の建設的な支援を受けて、保健システムをより効果的にすること。

●輸入関税や税金を撤廃もしくは実質的に削減することにより、また、入手を阻害し得る物流、統治上の問題を検証することにより、購入可能で良質な医薬品の供給に貢献すること。これは、減額された、または補助金を受けた薬品に対して、可能な限り早急に免税措置を講ずることを目的とする。

●説明責任と透明性を確保しつつ調達慣行を強化し、安全で、購入可能、効果的なHIV/エイズ薬品への時宜を得たアクセスを促進すべく既存の薬品、機材登録政策を見直すこと。

●WHO、世界銀行、UNAIDS、世界基金、及びその他機関の支援を得て、ドナーの保健計画の効果的な調整を確保し、技術支援ニーズの特定を確保する国家主導の政策を整備すること。

国際機関及びドナー{前9文字下線有り}

●保健システム強化との効果的な連携が確保された、有償で、開放的で、持続可能な、信頼性のある、証拠に基づいた国家エイズ計画の整備に向けて、全ての利害関係者間の調整を向上するために各国主導の努力を支援すること。

●薬品需要に係る実行可能な予測システムの設立に向けた、各国を支援する努力を強化すること。

●WTO協定上の義務を尊重しつつ、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)及び公衆保健に係るWTOドーハ宣言に言及された柔軟性を活用することに関し、生産能力のないアフリカの開発途上国による支援要請に建設的に対応すること。

●イノベーションを奨励する政策の促進等を含め、新薬、殺微生物剤、ワクチンの研究開発分野への投資に対する支援を継続すること。

製薬産業{前4文字下線有り}

●購入可能な価格の抗HIV薬への強化されたアクセスを提供し、第二次抗レトロウィルス薬に係る価格政策を見直すためのさらなるイニシアティブを探求し続けること。

●自主的ライセンスに基づくHIV/エイズ医薬品の現地生産、及び国際基準に適合し、規制、認証、訓練機関を強化する研究能力を支援することを検討すること。

●PPP(官民協調)の適用も活用した、新薬、殺微生物剤、ワクチンの研究開発への投資増加に係る既に表明されたコミットメントを更に進めること。

我々は、普遍的アクセスの目標達成に向けた進展を報告、監視する権限、及び各国の統合計画に対する定期的な現状評価及び伝染病の年次監視の一環としての資金援助を通じて各国内の事業進展を支援する権限をUNAIDSに対して与えるとの、国連総会の決定を歓迎する。我々は、アフリカ各国の国会議員及び市民社会がこれらの諸措置に関して透明性と説明責任を向上させ、その実施を支援するよう慫慂する。

58.アフリカにおけるHIV/エイズ予防、治療、ケア及び支援への普遍的なアクセスという目標に向けた一層の努力のための重要なステップとして、G8メンバーは、世界的に国家エイズ計画を支持し、今後数年間、既存及び追加的なプログラムを個別並びに集団的に利用することを目指す。これらのプログラムは、二国間及び多国間支援を通じて、約500万人のために、命を救う坑レトロウィルス治療、2400万の新たな罹患の予防、及び1000万人の孤児及び脆弱な子供を含む2400万人のための治療を支援するものである。

59.保健関連の国際的目標の達成に向けたG8各国の貢献との観点より、我々はサンクトペテルブルクにおいて右に係る進捗をレビューすることに合意した。これには、HIV/エイズ、結核及びマラリアの三つの疾病との闘いに係る我々の財政的コミットメントを定期的にレビューすることが含まれる。本年、我々は、議長国の主導の下、この監視作業を初めて実施する。その報告書は、我々の行動とコミットメントにつき通知し、我々は、この緊密な監視プロセスを定期的に継続することを確認する。

60.G8は、革新的な資金調達イニシアティブを歓迎する。我々は、これらの手段が自主的に採用され、購入可能なワクチン及び治療への長期的アクセス、並びに、ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)、国際医療品購入ファシリティ(UNITAID)、予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm)、及び(新たなワクチンの研究を支援する)ワクチンの事前購入コミットメント(AMC)等のワクチン開発のための追加資金を動員することに留意する。

アフリカにおける保健システムの強化{前17文字下線有り}

61.我々は、保健部門への予算配分を増加させるとのアフリカ各国がこれまでに行ったコミットメントを歓迎し、これら目標の達成に向けた進展を期待し、二国間ドナー、多国間開発銀行(世銀、アフリカ開発銀行)、WHO及び保健分野の世界的イニシアティブが各国主導の作業に対して2005年3月のパリ宣言の合意に基づき支援及び同調し、アフリカの保健システムの整備を対象とした支援を行うことを求める。この文脈において、G8は、二国間及び多国間の保健分野でのパートナーシップと国家保健戦略との調整を強化し(保健改善のための規模の拡大: Scaling Up for Better Health process)、世界銀行及びWHOがアフリカ開発銀行及びAU及びその他の関係国際機関と協力しつつ、保健分野での各国主導の調和プロセスを支援するよう呼び掛ける。

62.我々は、多くのアフリカ諸国において依然として貧困層及び不利な条件に置かれた層の質の良いヘルスケアへのアクセスが深刻な課題となっていることを確認する。G8は、サンクトペテルブルク宣言に基づき及び2007年3月のパリ会合に留意しつつ、アフリカ各国による保健システムの持続可能な財政の確立を支援する。このプロセスを強化しつつ、G8は、「保健のための支援(Providing for Health)」イニシアティブを歓迎する。このイニシアティブは、保健システムへの持続可能で公平な資金供給に向けて作業し、また、国家財政戦略を調整された国際的支援と連結させることを通じて、質の良いヘルスケア・サービスへのアクセスの改善に向けて作業するものである。「保健のための支援」イニシアティブは、貧困国の保健システムへの資金供給、並びに国家及び国際的な増資の効率性を改善するための国家及び国際的ドナーのイニシアティブの拡大につき、対話と協力を行うための国際的フォーラムを創出するものである。

63.アフリカにおいては人材の不足が適正なヘルスケアの供給を阻害している。我々は、この保健分野における人材不足の異なる要因への取組に向けアフリカ各国と協力していく。人材不足の要因としては、追加的医療従事者の募集、訓練、確保継続に関連した労働条件及び給与の問題が含まれる。我々はまた、医師その他の医療従事者を含む最も有能な国民が、自国において長期的な将来設計を描けるような環境を創出するための各国政府の取組に協力していく。更に、我々は、世界医療人材連携(Global Health Workforce Alliance)、民間部門の関係者、OECD及びWHOと、医療従事者の人材管理と国際移住につき証拠集を構築するために協力していく。