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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] スーダン/ダルフールに関するG8首脳声明(第33回ハイリゲンダム主要国首脳会議‐G8サミット)

[場所] ハイリゲンダム
[年月日] 2007年6月8日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.我々G8の元首及び首脳は、ハイリゲンダムに一堂に会し、スーダンにおける状況が紛争と闘争により特徴づけられ続けていることに深い懸念を表明する。2005年1月の南北包括和平合意(CPA)が南部において敵意の終焉をもたらした一方で、この合意の主要な要素の履行の継続的な遅れは、法の支配に基づき、統合され、平和で繁栄したスーダンの創造を目的とした努力を損なうおそれがある。我々は、当事者に対し、誠実にこの合意を履行する努力を倍増させるよう要請する。

2.我々は、ダルフールにおける悲惨な治安と人道状況について深く懸念する。この文脈において、我々は、4月及び5月にスーダン政府によって実行された北部ダルフールにおける爆撃、及び反政府勢力によるアフリカ連合スーダン・ミッション(AMIS)要員への攻撃を非難し、すべての当事者に対し、既存の停戦合意及び国連安保理決議1591によって定められた義務を遵守するよう強く求める。ダルフールにおいて市民の人権を侵害し、また、和平プロセスを阻害するものは、責任を持たなくてはならず、我々は、残虐行為を行う犯罪者に正義をもたらす努力を支援する。

3.我々は、紛争によって影響を受けている人々に安全及び妨げられない人道的なアクセスが確保されるよう、スーダン政府及び反政府勢力に対する我々の要請を繰り返し述べ、すべての当事者に対して、国際人道法を尊重する必要性を強調する。我々は、スーダン政府及び国連による2007年3月28日のダルフールの人道活動促進に関する共同コミュニケを歓迎し、その完全な履行を求める。我々は、人道的な支援の提供を継続するという我々のコミットメントを繰り返し述べ、アフリカ連合及び国連と協調して、人道的なアクセスの改善に向けた選択肢の特定に着手する。

4.我々は、ダルフールにおける紛争には軍事的な解決は存在しないことを強調し、また、政治的な合意に達するべく、当事者を交渉の席に着けるための国連およびアフリカ連合の両特使による努力を完全に支持する。我々は、この目的のためのすべての地域的、国際的な努力は同両特使の指導の下に調整されるべきことを規定した2007年4月29日のトリポリ合意を歓迎し、また、スーダン政府および反政府勢力に対し政治的プロセスに完全に関与するよう要請する。

5.ダルフールにおける紛争へは政治的解決が優先することに合意しつつ、我々は、交渉と人道的アクセスを可能にする環境を創出するために、改善された治安情勢が必要であることを強調する。この文脈で、我々は、スーダン政府がアフリカ連合スーダン・ミッション(AMIS)のための国連の重量支援パッケージを受け入れたことを歓迎し、国連、AU及びスーダン政府がその迅速な展開を確保するよう要請する。また、我々は、AUと国連のハイブリッド・ミッションへの迅速な移行において、AMISを支援するとの我々のコミットメントを繰り返し述べ、他の国際的なパートナーに対し同様にするよう強く求める。

6.我々は、6月17日に予定される国連安保理によるハルツーム訪問を心待ちにしている。我々は、スーダン政府に対し、この重要な機会に、ハイブリッド・オペレーション(共同展開)を完全に受け入れることを表明するよう強く求める。

7.ダルフールにおける紛争は、より広範な地域における平和と安全を脅かす。我々は、チャド及び中央アフリカ共和国における人道状況の悪化に対する我々の懸念を表明し、チャド政府およびスーダン政府に対し、武力活動への支援を中止し、また、関係改善に向けて取り組むという彼らの最近の確認されたコミットメントを守るよう要請する。

8.我々は、ダルフール危機の解決に深くコミットし続ける。もし、スーダン政府または反政府勢力が、義務の履行を怠り続けるようであれば、我々は、国連安保理における適切な行動を支持する。