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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国連のテロ対策の取組に対するG8の支援に関する報告(第33回ハイリゲンダム主要国首脳会議‐G8サミット)

[場所] ハイリゲンダム
[年月日] 2007年6月8日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

(全般)

1.サンクトペテルブルクのG8サミットにおいて、我々は、テロリズムによる世界規模の惨事と引き続き闘っていく上で団結するという我々の約束を新たにした。我々は、テロリズムを非難する普遍的な合意を達成し、テロリストの脅威に関する主要な側面に包括的な形で効果的に対処するための能力と能力の及ぶ範囲を有する唯一の組織として、国連の中心的な役割を強調した。我々は、テロリズムを防止し、対抗するための世界的な努力を強化することを求め、また、国連システムのテロ対策能力を支援し強化するとの我々の決意を表明した。この声明において、我々は、この能力を強化するために更なる調整された措置がとられるべきであることを認識しつつ、この点に関連する我々の努力の最初の成果を報告する。

(強化された調整/国連グローバル・テロ対策戦略)

2.我々は、2006年9月8日に、総会によって、国連グローバル・テロ対策戦略が全会一致で採択されたことを心より歓迎する。我々は、全く初期の段階よりテロ対策に関する総会の取組を強く支持する必要性を強調し、また、同戦略に関する交渉の妥結に建設的に貢献した。我々は、国連システムを通じたテロ対策努力はより調整され、またより効率的でなければならないことを繰り返し強調した。我々は、国連グローバル・テロ対策戦略は包括的かつ行動指向のものであること、また、同戦略は国連加盟国の強い支持を得ているものと認識する。我々は、国連の戦略は、国連事務総長が、国連機関内において、及び国連外の主要機関との間で行う関連するすべての活動の調整を強化するための基礎となるものであることを確信する。我々は、テロ対策プログラムの調整と一貫性を強化し、国連の戦略の実施を推進する上で、テロ対策実施タスクフォースが、加盟国の積極的な関与を得て、またそのマンデートに基づき、不可欠な役割を果たすことができると認識する。我々は、無駄の削減と効率性の向上に特別の注意を払いつつ、タスクフォースが戦略の下で任務を果たす上でのその取組を十分に支援することを決意する。

(関連国連安全保障理事会決議の遵守)

3.テロ対策における国連安保理の重要な役割を想起し、我々は、各国に対し、関連決議を遵守し実施するよう強く求めてきており、またこれからも強く求めていく。我々は、安保理が国連憲章第7条の下、例えば、決議1267、1373、1390、1540等の多くの拘束力のある決議や、また、特に1624といったテロリズムとの闘いに関する他の決議を発出してきたことを強調する。我々はまた、制裁制度において明確かつ公正な手続きを確保するために安保理によりとられた措置を歓迎する。一部のG8メンバー国は、特に安保理決議1267、1390に基づく制度をはじめ、制裁制度の有効性と公正性を評価する多くの研究活動に対して資金提供を行った。我々は、安保理決議1390、1535、1617、1730、1732、及び1735に含まれる手続的な改善と勧告が、当該制裁措置の遵守を促進し、その制裁の効果を高めるものと確信している。

(能力構築)

4.我々は、国連機構、組織及び機関に対し、努力の重複を回避しつつ、個々のテロ対策関連プログラムが、各国がテロ対策のために国家的・地域的テロ対策に関する能力構築の支援をする際に、成果重視かつその効果が最大限発揮されるよう調整されたものとなるよう求めてきた。我々は、テロ対策委員会(CTC)に対し、テロ対策委員会事務局(CTED)を通じて、必要な措置を取り、また、その作業を援助の供与国と受益国の双方にとり一層適切かつ接近しやすいものとするよう慫慂した。我々は、テロ対策行動グループ(CTAG)を通じて、CTEDと実りある作業上の関係を築いた。この協力により、我々の能力構築支援を受益国のニーズに合わせてより適切に策定することができた。我々は、CTEDに対し、CTEDの国別訪問のフォローアップを含め、CTAGとの現地レベルでの協力を更に強化するよう求める。我々は、CTEDが地域の機関やセンターとの関係を強化することを奨励する。我々は、CTEDの権限の更新の一環として、CTEDの有効性の強化に共に取り組んでいく。

(国際的な法的枠組み)

5.我々は、すべての国連加盟国に対し、現在発効しているテロ対策に関する基本的な12の国際条約及び議定書を批准し、完全に実施することによって、特にテロ行為の捜査及び訴追における国際的な協力を促進することを目的に、テロリズムとの闘いに関する世界的な法的枠組みをさらに強化するように求め続ける。我々は、これらの法的文書の普遍的な批准と遵守を達成することに引き続きコミットしており、また、国連薬物犯罪事務所(UNODC)のテロ防止部が、他の関連国連機関と協力及び調整しつつ、そのために必要な技術的支援を各国に供与するための努力を支援する。我々は、この国際的な法的枠組みの完成を加速化するための取組を継続する。我々は、「核によるテロリズム行為の防止に関する国際条約」を含め、2005年に締結された4つのテロ対策条約及び議定書の迅速な発効を確保するため、これらの法的文書のすべての未批准国が、可能な限り早期に批准するように強く求める。我々は、世界レベルでの法的協力を促進するため、「国連国際包括テロ防止条約」を締結するとの我々の強い希望を繰り返し述べ、また、国際社会の圧倒的な大多数が支持しているコーディネーター案を受け入れていない国が、これを受け入れることを強く求める。いかなる形のテロリズムも、正当化する大義名分や不平事由は存在しないことを明確に強調する必要がある。

(国際法の遵守)

6.我々は、テロリズムと闘うための国際的協力は、国連憲章や関連の国際条約及び議定書を含む国際法を遵守する形で行われなければならないことを再確認する。国家は、テロリズムと闘うために取られるいかなる措置も、国際法、特に人権法、難民法及び国際人道法の義務に従うことを確保せねばならない。