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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8環境大臣会合2008,神戸3R行動計画

[場所] 神戸
[年月日] 2008年5月26日
[出典] 環境省
[備考] 
[全文]

我々、G8環境大臣は、2008年5月24日‐26日の、神戸における3Rイニシアティブに関する議論に基づいて、

世界全体で見て廃棄物の発生量および適正に処理されない廃棄物の量が増大しており、それに伴って大気・土壌・水質汚染に加え温室効果ガスの排出を含んだ環境汚染が進んでいると認識し、

同時に、全世界的な非効率な資源管理・廃棄物管理の結果、膨大な量の天然資源が浪費されていると認識し、

3Rは、原材料利用及び廃棄物の抑制(リデュース Reduce)、再使用(リユース Reuse)、再生利用(リサイクル Recycle))の取組を通じて、資源の有効利用を促進し、環境と経済の両立を図る取組であることに着目し、

持続可能な生産と消費の実現を促進することで、3R活動が、資源生産性向上や経済活動に伴う資源消費と環境汚染のデカップリングにも貢献することを認め、

資源生産性の向上や、デカップリングを通じて、資源循環型の社会を構築するためには、資源投入、製造過程、消費者の選択、製品使用、再使用、リサイクル(持続可能な消費と生産)という製品ライフサイクルの全段階で、資源の効率的な利用と環境影響の極小化を考慮する必要があることを理解し、

温室効果ガスの排出を削減するためには、廃棄物管理過程全体における環境的便益と費用を考慮に入れた、エネルギー回収、原材料および化学物質リサイクル、廃棄物の生物処理および熱処理などを一層推進していくことが必要であると強調し、

世界的な経済の相互依存の進展、原材料・製品の輸出入の拡大、および需要の拡大による資源制約に対応する上で、3Rの推進による資源の有効利用のためには国際的な視点も必要であることを強調し、

廃棄物の環境上適正な管理や3Rに関する技術上の能力や知識の不足により、多くの開発途上国では、不適切な廃棄物管理に伴う健康や環境へのリスクに直面していることを認識し、

このような状況の中、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約の実施を支援することにより、3R政策は廃棄物の環境上適正な管理の促進に向けて貢献できることに留意し、

開発途上国への効率的な技術や知見の移転はこれらの課題に対処しうる一方で、そのような技術や知見は地域の状況に適し、費用対効果が高く、環境上適正で、社会的事情にも適したものでなければならないことを十分に理解し、

また、開発途上国の貧困削減に関連して、3R政策が、新たな市場の開拓や雇用創出効果を生み出し、インフォーマルセクターの役割を十分に考慮に入れた上で健康の保護や環境を保全することで、国連ミレニアム開発目標に貢献できることに着目し、

資源管理・廃棄物管理政策は、工業国および新興工業国の技術革新や雇用創出を、推進する可能性があることを認識し、

規制的手法、経済的手法、および他の政策手法を、首尾一貫した形で応用することは、3Rおよび廃棄物管理の全分野での広範な技術や組織の開発および応用につながると同時に、高度な技術を必要とする新たな雇用機会をもたらすことを認識し、

適正な廃棄物管理対策、拡大生産者責任、物質フロー分析、資源生産性や持続可能な物質管理を含む、3Rに関連する政策ツールを開発してきたOECDによる取組の重要性を認識し、

G8各国が、他国や国際機関と連携して、各国内及び国際レベルの双方で適切な廃棄物管理および効率的な廃棄物利用を推進することで、積極的なリーダーシップを示す必要があることを再確認し、

本行動計画の附属書に要約されたとおり、G8各国および欧州委員会による3Rイニシアティブが意味のある進捗を示していることを認め、

各国の状況に応じた適切な形で、以下の行動をとることに合意する。

I.目標1 3R関連政策の優先的実行および資源生産性の向上

行動1‐1:3R関連政策の優先的実行{前18文字下線あり}

●「もったいない」*1*精神の重要性を共有し、天然資源の非持続的な消費の抑制及び関連するライフサイクルにおける環境負荷の最小化のための行動を優先させる。

●廃棄物の発生抑制の優先順位を高め、例えば、レジ袋や他の使い捨て消費製品削減対策といった具体的な行動をとるとともに、他の国々に対しても同様に取り組むよう呼びかける。

すべての関連政策分野に3Rの概念を組み込むことに貢献する。

●廃棄物の中にある投入資源、原材料、エネルギーの活用・管理を環境上適正な方法で進め、分別や事前処理を含む廃棄物管理がバーゼル条約の下で進められてきたような環境保全と健康のための高い基準を維持することを確実にする。

●製品やサービスの最終価格が環境影響を反映し、より持続可能な消費及び生産パターンを奨励するものとなるよう、生産国がそのライフサイクルにわたるコストを内部化することを慫慂する。

●ライフサイクルアプローチにより3R関連活動による環境及び経済効果を測るための政府の能力向上に取り組む。

行動1‐2:3R推進を通じた資源生産性の向上及び目標設定{前28文字下線あり}

●資源生産性に関するOECD理事会勧告の採択を歓迎し、各国内における勧告の実施においてリーダーシップを発揮する。また、OECDやUNEP*2*といった機関やイニシアティブが実施する持続可能な資源管理に向けた物質フロー及びそれに付随した環境/経済影響の分析を行う国際的な連携による取組を支持する。

●2006年のサンクトペテルブルク・サミットにおけるG8首脳の合意を踏まえ*3*、資源サイクルの最適化のための取組をさらに進めるにあたって、資源生産性を考慮して適切な場合に目標*4*を設定する。

行動1‐3 3Rと温暖化対策(温室効果ガス削減)のコベネフィットの追求{前35文字下線あり}

●廃棄物管理や3R関連活動と温室効果ガスの排出抑制のコベネフィットを追求し、3Rに関する取組の効果的な実施によって地球気候保全に貢献する。

●化石燃料資源に対する代替エネルギー源のひとつとして、廃棄物の活用を効率的に進めることを、例えば、有機系や他の廃棄物からの熱生成・発電に関連する技術の開発・利用によって促す。

●廃棄物に含まれる有機物を安全かつ合法的に飼料、コンポスト、発酵、エネルギー回収などの様々な目的に活用することを促す。有機物の埋立処分の削減を、特にメタンガスなどの温室効果ガスの排出を抑制するために、進める。

●個々の事業者とともに、技術の開発を促進し、3Rの促進を通じた温室効果ガスの削減への貢献の可能な機会を明らかにする。

行動1‐4 科学技術の推進や3R関連製品の市場の創出{前26文字下線あり}

●研究開発の推進、認証や基準、情報収集と公開を通じ、3R関連技術や環境配慮設計の技術革新を促す。

●グリーン公共調達や他の政策措置を通じて、3R関連技術の市場を奨励し、より環境効率の高い製品の開発を促す。

II.目標2 国際的な循環型社会の構築

行動2‐1 健全な国際資源循環の促進のための連携{前24文字下線あり}

●持続可能な資源循環を地球規模で実現するためには、各国内で、関連する国内規制と国際合意に則って、再使用可能な製品・再生利用可能な資源の環境上適正な管理の促進を優先する。この関係において、開発途上国におけるそうした環境上健全な管理を奨励し、支援する。

●それと同時に、不法な再使用可能品・再生利用可能な資源(廃棄物もしくは非廃棄物として)の越境移動防止に取組み、バーゼル条約の条項を尊重することに合意する。

●これら二つのセーフガードが実施される場合において、国内での再使用や再生利用を改善する努力を妨げず、環境影響の低減と資源の有効利用に貢献する再使用可能な製品・再生利用可能な資源、再製造製品を含む3R関連の物品・原材料・製品・サービスの国際貿易を推進する。

●世界の主要経済国として、国際的な循環型社会構築のために開発途上国への支援や連携を進める。

行動2‐2 3Rに関係した物品・原料・製品等の国際流通の推進{前30文字下線あり}

●特にバーゼル条約のような国際活動、国際合意の枠組の下での、廃棄物・非廃棄物の法的区別に向けた共同解決を模索する。この点で、OECDのこれまでの取組が特に重要である。

●環境配慮型設計や再製造品等の流通の促進によって、クリーン技術、環境サービス、持続可能な製品の多国間貿易の強化を奨励する。

●再製造製品の貿易障壁を低減することの重要性を認識し、WTO*5*のドーハラウンドの下で再製造製品の貿易の自由化のために最近提出された提案*6*を支持する。

●エコラベリング、認証制度、トレーサビリティ技術といった適切な国際資源循環を支える仕組みに関する情報を共有し、国際協力を進める。

●開発途上国から、適切かつ十分な処理技術能力を有するG8諸国およびその他の先進国へのリサイクル、回収、処理を目的とした有害廃棄物及び他の廃棄物を含む物質の輸入を、環境上適正な管理能力を有さない輸出国の環境負荷を軽減するため、他の国々と協力し進める。

III.目標3 開発途上国の能力開発に向けた3Rに関する連携

行動3‐1 開発途上国との連携の推進{前18文字下線あり}

●二国間及び多国間の援助機関が開発プロジェクトに3Rの概念を盛り込み、民間投資家が開発途上国における3Rを推進するように要請する。開発途上国が国家開発戦略において3Rを優先化することにより、3Rの推進のための取組に対するG8の支援を促進することができる。

●効果的な多国間協力の枠組み・イニシアティブ、国際機関の能力と専門知識を活用し、データベースの整備、情報の共有やモニタリングの仕組の構築、3R関連制度の設計や政策立案を助け、プロジェクト形成を支援することにより、開発途上国等の3Rに関する能力の向上のために連携する。

●バーゼル条約の開発途上国のキャパシティビルディングに関する作業プログラムを支持し、同条約地域センターの活動を支援する。

●廃棄物や物質管理システムによる環境影響やGHGs削減機会を見出し、多国間協力の仕組みを活用することにより、開発途上国における3R関連活動と温室効果ガス(GHGs)の排出削減とのコベネフィットを追求する。京都議定書の締約国にとって、そうした仕組みは、共同実施やクリーン開発メカニズムを含む。

●地方の社会的経済的状況を踏まえつつ、環境上健康上の高い基準を満たす施設において廃棄物が処理され処分され、または、リサイクルされることを確保するよう取り組む。

行動3‐2 技術移転、情報共有と環境教育の推進{前23文字下線あり}

●先進的な改革を可能にするため、環境上適正な技術、3Rのための管理・ノウハウ、再製造や効率的な産業技術を含む廃棄物発生抑制プロセスを開発途上国へ移転する取組を促進する。

●3Rイニシアティブに関連する知識および研究ネットワークを強化する。

●国内又は国際レベルにおける3R関連活動について、産業界、NGO、市民への情報提供を推進する。

●啓発キャンペーン及び環境教育プログラムを通じて3R政策及び行動の効果や廃棄物に由来しうる(気候、大気、海洋を含む水質、土壌、生態系に対する)環境影響に関する情報を普及する。

行動3‐3 関係者との連携(パートナーシップ)の促進{前26文字下線あり}

●国内又は国際レベルにおいて、3Rイニシアティブに関わるすべての関係者による対話を促進し、連携を進める。

●中小企業を含めたビジネス界の参加を促すような戦略をすすめる。たとえば、特に資源効率性の向上や最新の廃棄物処理の改善の視点から、革新的な3Rプロセスの技術開発を支援する。

●3Rの更なる進展のために、他の国々の政府、国際機関、NGOや科学コミュニティとの国際協力を促進するすべての取組を歓迎する。

IV.行動計画に基づくG8各国の取組のフォローアップ

●我々は、本行動計画に基づいて実施又は計画する政策及び措置その他活動に関する進捗については、2011年のG8環境大臣会合、又はその報告が適切な機会において、その後は適切な間隔で報告を行う。ただし、資源生産性に関連した取組の進展については、OECDにフォローアップするよう要請する。

*1* “もったいない”はそのものが本来持つ価値や機能を十分に使用せず廃棄することは、恥ずべきことだという日本固有の考え方である。この表現は古来から言い伝えられてきた環境に対する尊敬の意を含んでいる。

*2* UNEPがホストしている2007年に設立された持続可能な資源管理に関する国際パネルは、資源消費に伴う全ライフサイクルでの環境影響について独立した科学的評価を提供し、政府やその他の機関にこうした影響の低減に関する助言を与えることを目的としている。このパネルのメンバーには、国際的に著名な専門家が参加している。

*3* 地球規模のエネルギー安全保障に関するサンクトペテルブルク行動計画(2006年6月)パラグラフ19:「資源サイクル全体に対する統合的なアプローチの一部として、3Rイニシアティブ(発生抑制、再使用、再生利用)における資源サイクルの最適化のための包括的な措置についてのわれわれのコミットメントを再確認する。こうした取組をさらに進めるにあたって、我々は、適切な場合には資源生産性を考慮して目標を設定する。我々は、国内及び国際的な取組を通じて、エネルギー効率及び環境保護の重要性に関する意識を向上させる。」

*4* 目標としては、例えば、資源生産性、非生物的原材料使用量、全廃棄物量、有害廃棄物量、都市廃棄物量、一人当たり廃棄物量、リサイクル率、最終処分量、エネルギー集約度がありうる。

*5* ロシア連邦はWTOの加盟国ではない。

*6* 再製造製品の貿易に関する大臣決議(TN/MA/W/18/Add.16/Rev 1,20 December 2007)

 

付属書 3Rイニシアティブの進捗{前12文字下線あり}

 3Rイニシアティブは、「もったいない」の発想をベースにして、各国、各関係者および国際機関が協力して、各国の能力開発を推進し、3R関連科学技術の推進を推奨することで、価値あるものを容易に廃棄せず限りある資源を大切にする健全な循環型社会の構築を目指す取組である。

 3Rの原則に基づいた国際的な取組を推進するために、2004年のG8シーアイランドサミットで3Rイニシアティブが提案され、2005年の3Rイニシアティブ閣僚会合で正式に発足した。3Rイニシアティブを通じた各国の環境上適正な管理による資源効率性の向上、国際的な循環型社会構築に向けた取組の重要性は、それ以後の各サミットで確認されてきている。

 3Rイニシアティブの取組の方向性については、2005年4月の3Rイニシアティブ閣僚会合、2006年3月の第1回3Rイニシアティブ高級事務レベル会合、2007年10月の第2回3Rイニシアティブ高級事務レベル会合の中で議論されてきた。具体的には、これらの会議では、5つの主要な課題、1)3Rの推進、2)3R関連の物品と原材料の国際流通障壁の低減、3)先進国と開発途上国間の協力、4)関係者間の協力、5)3Rに適した科学技術の開発、について議論した。

 こうした中で、各国の3R関連政策のプライオリティの向上の必要性、国際的な循環型社会を構築する上での開発途上国の能力開発や国際・地域レベルでの調和の取れた取組の重要性、情報共有・研究推進のためのインフラ整備の必要性、気候変動対策とのコベネフィットの追求などについて、G8および非G8諸国、国際機関の認識の共有が進んできている。

 特に、2006年のサンクトペテルブルクサミットでは、G8首脳が、3Rイニシアティブの下で資源循環の最適化のための取組をさらに推進するために、「資源生産性を適切に取り入れた目標を設定する」ことに合意している。

 3Rイニシアティブが発足してから、3年以上が経過し、G8各国は、3Rイニシアティブが様々な重要な目的に貢献しており、以下に示したようにその意義を認識している。

●3Rイニシアティブは、G8及びその他の国々の間の3R政策に関する情報・意見交換及び経験の共有のためのプラットフォームを提供している。このような政策・活動例は下記図表1に示されている。その結果、国内、二国間や多国間の連携の具体的な事例が実現化することを促してきた。例えば、アジアでは、3Rイニシアティブは、関連スケジュールやアジェンダを示すことで、3R国家戦略策定や3Rナレッジハブといった二国間又は多国間協力の推進力を生み出すような機能をしている。3Rイニシアティブは、各国の3Rや廃棄物管理の取組のプライオリティ向上にも役立つ。

●3Rイニシアティブによって、2008年のG8神戸環境大臣会合で議論されたように各国が3Rの取組を、気候変動を含む他の緊急な環境問題などとの関係を意識して進めることにより、持続可能な社会の実現に向けたG8各国の決意を示すことができる。

●3Rイニシアティブは、3Rと廃棄物や原材料管理の問題を、世界経済の成長、又は資源の枯渇問題といった国際的、地域横断的、又はマクロ的な観点から議論できる機会を提供している。2006年と2007年に開催された第一回、第二回3Rイニシアティブ高級事務レベル会合で議論されたように、3Rイニシアティブは、正負両方のインパクトのありうる再使用可能な製品・再生利用可能な資源の国際的な移動のような、持続可能性へ向けての重要な課題の共通認識の形成を助けている。

●3Rイニシアティブは、環境管理技術や環境配慮型設計の向上、国際的な供給・生産網における副産物や再生資源の積極的な活用のような資源の有効利用や環境負荷の最小化を目指す。特に民間企業のイニシアティブなど、様々なステークホルダーによる環境上適正な取組を促進する機能を果たし始めている。

●また、3Rイニシアティブは、G8各国およびOECDやUNEP、UNCRD、バーゼル条約事務局などの国際機関の3R活動との密接な連携を促し、こうした取組の強化につながっている。

●さらに、3Rイニシアティブが前進するにつれて、開発途上国において廃棄物の環境上適正な管理および資源の有効利用の促進にとっても意味ある取組であるとの認識が広まりつつある。3Rイニシアティブにより、今後、バーゼル条約などの既存の国際合意を考慮に入れた上で、国際的な資源循環の適正化に向けて、非G8各国や非OECD諸国に対する効果的な能力開発と支援を進めるために、国際協力分野において、G8各国が国際的に調和の取れた連携と役割分担を促進が期待される。

 3Rイニシアティブの進展に伴って、G8各国は各国内および国際的な場において、様々な3R関連の活動を開始することで、そのリーダーシップを発揮してきている。そうした取組の例を以下の図表1に示す。

 

図表1 G8各国および欧州委員会の3Rに関する取組の進展の例

カナダ

●国民一人当たりの廃棄物回避:Waste Diversion(リサイクルとコンポスト)は、2004年に2000年比で24%の改善。

●国家・州レベルでのグリーン購入や、特定の廃棄物の流れに対する拡大生産者責任プログラムの実施。

●国際的には、OECDのもとで、環境上適正な廃棄物管理ガイドラインの開発などに貢献。

●リサイクル、エネルギー効率の向上及び温室効果ガス排出削減の関連性を確立しており、当分野の取組を継続中。

 

欧州委員会

●廃棄物の抑制とリサイクルに関するテーマ戦略(2005)、および天然資源の持続可能な使用に関するテーマ戦略(2005)を策定。

●WEEEやRoHSの見直しの実施(2008)、使用済み自動車(ELV)指令における目標設定。

●UNEPと共同で持続可能な資源管理に関する国際パネルを設置。

●廃棄物枠組み指令の修正を提案。

●持続可能な消費と生産および持続可能な産業政策に関する行動計画の提案。

 

フランス

●廃棄物防止国家計画の策定(2004)。

●様々な意識向上キャンペーンの実施。

●EUのリサイクル関連法の実施に加えて、廃タイヤ(2004年)、不要な広告ビラ(Unsolicited Flyer)(2007年)などについて、拡大生産者責任を適用。

●環境グルネル(環境政策綱領)

‐今後5年で、毎年、5kg/人/年の廃棄物発生量を削減。

‐リサイクル率の向上。(例:有機物回収)

●持続可能な生産と消費(ボーナスなど経済的措置を通じた)の促進と拡大生産者責任の適用対象の拡大(家庭の有害廃棄物、廃棄家具など)。

 

ドイツ

●1988年に拡大生産者責任を導入し、その後、物質循環型廃棄物管理および環境配慮型最終処分促進法に組み入れられる。

●各種リサイクル法の導入により、1990年には廃棄物の資源利用は13%であったのが、2006年には58%に増加。

●中間処理がなされない廃棄物の埋め立てを禁止

●リサイクルに対する効果的なインセンティブの開発、高い環境及び技術基準の実施による外部費用の内部化を通じたリサイクルの発展

●京都議定書の温室効果ガス削減目標の10%を廃棄物管理セクターが貢献する予定。

●資源生産性を2020年に、1994年比で2倍にする目標を設定。

 

イタリア

●都市固形廃棄物の分別回収に国家目標を設定。2009年末に50%、2011年末に60%。

●総資源必要量(Total material requirement)を2020年までに25%、2030年までに50%、2050年までに90%、それぞれ減少させる目標を設定。

●2007年の新たな財政法(financial law)の下で様々な市場メカニズムを導入することに積極的。また、EU構造基金の一部を分配する際に、環境指標や目標設定(廃棄物発生量や管理を含む)を活用。

●産業界の管理・責任の下で、容器包装(ガラス、プラスチック、木、紙、鉄、アルミ)、廃油、バッテリーに関するリサイクル組合の形成を通じて、物質の新たな市場を形成(CONAIシステム)。

 

日本

●枠組法としての循環型社会形成推進基本法と、実施計画である循環型社会形成推進基本計画を策定。資源生産性(420,000円/トン、国内総生産(GDP)/天然資源投入量(DMI))、循環利用率(14‐15%、循環利用量/(循環利用量+天然資源等投入量)、最終処分量(2,300万トン埋立処分量)それぞれに、2015年までの達成目標を定めている。

●1990年から2005年までの間に70%の最終処分量の削減を達成

●2007年に策定された21世紀環境立国戦略の中で、3R活動を、重要な環境戦略として位置づけている。

●廃棄物のリサイクルの一層の促進に向けて、リサイクル関連法が修正された。(例:容器包装リサイクル法、食品リサイクル法)

●政策対話や能力開発などの様々な取組や国際機関との緊密な協力の下、アジアでの3Rの展開に積極的に取組んでいる。

 

ロシア

●再生可能資源に関する連邦法を含む3R推進のための各種法案がドラフト段階。また、有害廃棄物の処理に関する認可制度が存在。

‐「2007年6月16日制定の廃棄物発生とその処理制限に基準の開発と承認の規則に関するロシア連邦法(No.461)の改正」に関する2007年8月29日のロシア連邦法(No.545)

‐一般廃棄物と産業廃棄物の40%が資源回収、処理されている。

 

イギリス

●2007年に新廃棄物戦略が策定され、リサイクルおよび家庭からの廃棄物のコンポスト化に、より厳しい目標が設定された。2010年までに40%、2015年までに45%、2020年までに50%が設定された。

●家庭からの廃棄物量(再使用、リサイクル、コンポスト化されず廃棄される量)の減少に対する新しい目標設定:2000年比で2010年までに29%、2020年までに45%削減。

●埋立税などの経済的インセンティブを導入している。埋立税を£32/teから2010年には£48/teに強化する。

●重要な廃棄物質を対象とした取組(古紙、食品、ガラス、アルミ、木材、プラスチック、布)に加え、製品に関して持続可能な消費と生産を達成するための様々な取組。

●バーゼル条約の枠組みの下で、有害廃棄物の不法な越境移動防止の取組を強化。

 

アメリカ合衆国

●アメリカは、3Rの原則を様々な措置や取組を通じて、展開している。こうした取組には、グリーンビルディング(Green Buildings)、電気製品環境評価ツール(環境に配慮した電気製品の購入促進と電気製品の引取プログラムを促進するため)、グリーン供給者ネットワークといった基準及び製品の環境適合化(Product Stewardship)プログラムが含まれており、発生源抑制、有害物削減、物質のリサイクルと再利用、再製造に焦点を当てている。

●アメリカは、石炭燃焼残渣、鋳物砂、および建設・解体廃棄物を工業材料として安全に活用することを促進している。例えば、石炭燃焼残渣の有効利用率を2011年までに50%(現在の有効利用率は43%)にする目標を設定している。

●一般固形廃棄物のリサイクル国家目標は35%であり、容器、紙、食品廃棄物に焦点を当てたものである。関係者の連携による取組を通じて、2007年には紙のリサイクル率が56%に達した。

●アメリカは、3Rのコンセプトを盛り込む形で、2007年1月に連邦の環境、エネルギー、交通管理強化に関する大統領令を発した。

 

出典:第二回3Rイニシアティブ高級事務レベル会合(2007年10月4‐6日)発表資料に基づいて環境省及び地球環境戦略研究機関廃棄物・資源プロジェクトが作成。