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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国際保健に関する洞爺湖行動指針‐G8保健専門家会合報告書‐(第34回北海道洞爺湖主要国首脳会議‐G8サミット)

[場所] 北海道洞爺湖町
[年月日] 2008年7月8日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

本報告書は、G8保健専門家会合からG8首脳に対する提言である。

I 序章

1.本報告書‐国際保健に関する洞爺湖行動指針‐の作成にあたり、議長国日本は、G8保健専門家会合を設置した。多様なステークホルダーからのインプットを適切に得つつ、G8専門家は、保健に関する現状、行動原則、取るべき行動を概説する本報告書を作成した。説明責任を確保するため、本報告書は、2006年のサンクトペテルブルク・サミットで合意し、開始され、2007年に議長国ドイツの下で行われた作業を踏まえて、G8の過去のコミットメントの実施状況を示す文書を付属する。

2.本年は、国連ミレニアム開発目標(MDGs)の中間年である。2010年までのHIV/エイズに関するユニバーサル・アクセスに向けた拡大の目標も迫っている。G8は、その決意を示すため、他の主要ステークホルダーとの開かれた対話を維持しつつ、G8自身の過去のコミットメント実施に対する説明責任をはたすことも含め、年次レビューを通じて進展を示していく。

II 現状

3.2000年の九州・沖縄サミットでは、感染症がG8サミットの主要議題として初めて取り上げられた。以来、感染症を含む国際保健に対する国際的関心が高まり、二国間援助の増加や世界エイズ・結核・マラリア対策基金のような新しい資金メカニズムの確立にもつながった。これらはG8の大きな成果であったと確信する。この間、多様なパートナーシップの形成や民間財団、市民社会の活動の拡大による、環境の実質的な変化が生じた。

4.HIV/エイズ、結核、マラリア、ポリオに関連する目標については、パートナー国の前進を支援する中で、実質的な進展がみられた。HIV/エイズに関し、抗レトロ・ウィルス治療(ART)へのアクセスは31%にまで拡大し、サブサハラ・アフリカでは、2003年以降、エイズによる死亡者数は横ばいとなっている。その背景として、300万人がエイズ治療へアクセスできるようになり、また、昨年1年間だけで、前年比で46.5%増の、100万人が新たに治療を受けられるようになった。他の成果としては、マラリア対策普及が拡大したこと、結核罹患率が地域によって0.5%‐3.2%の差異はあるものの全体的に減少したこと、アフリカにおいて麻疹による死亡率が91%減少したこと、ポリオ発生が歴史上最も地域的に限定されたことが含まれる。しかし、進展は均一ではなく、重大な課題が残されており、これらの感染症は依然として何百万もの命を奪っている。

5.対照的に、特にサブサハラ・アフリカにおいてそうであるが、妊産婦の健康改善、および、5歳未満児のうち特に新生児の死亡率削減については、進展がはるかに遅れている。麻疹などワクチンで予防可能な疾病の削減において大きな進展があったものの、依然として子どもの死亡の半数は栄養不良に起因している。

III 行動原則

6.G8は、協調した補完的な行動を通じ、過去のコミットメントを引き続き履行して行くとともに、新たな課題に対処していく。

7.G8は、保健関連MDGsに対して、包括的な取組を行う。マラリアやHIV/エイズ母子感染が5歳未満児の死亡を助長していることにみられるように、保健関連の目標は相互に関連している。また、保健システム強化が、保健課題全体に効果的に対処するために重要であることも明白である。特定疾病に取り組むアプローチと保健システム強化は、相互に補強し合う関係にあるべきであり、また、全ての保健関連MDGs達成に貢献するものでなくてはならない。さらに、女児と女性あるいは男児と男性に特有のニーズに焦点をあてた、ジェンダーに配慮したアプローチは、残された保健課題を克服するために必要である。

8.国際保健課題に対処する際、個人とコミュニティの保護と能力強化に焦点をあてた人間の安全保障の観点が重要である。というのは、保健課題が、人間の尊厳に直接影響するものであり、また、世界保健機構(WHO)憲章序文に掲げられているように、全ての人間にとって基本的人権の一つである、達成可能な限りの最高の健康水準を享受する権利に直接影響するものだからである。こうした保健課題の対応において、地域コミュニティの役割は不可欠である。

9.国際保健課題に対して効果的に対処するためには、MDGsの達成期限である2015年を超えたより長期的な観点が必要である。持続的な啓発や予防に加え、研究開発を支援することは、問題の根本原因を特定し、有効な解決策を見つけ、根拠に基づいた政策を提供するために不可欠である。また、新しくかつ革新的な感染症診断法、ワクチン、治療薬の開発促進のための生物医学的研究、行動科学的研究、そして、評価の手法や指標に関する研究を含む公衆衛生上の問題に対処する手法の改善に役立つ対策研究(オペーレーショナル・リサーチ)を実施するための開発途上国の能力開発支援を強化することも同様に必要である。

10.パートナーの開発途上国が抱える様々な国際保健課題に取り組むためには、パートナーの開発途上国自身、ドナー国、市民社会、民間セクターなどの幅広いステークホルダーから資金および人的資源が動員される必要がある。これらの資源の効果的活用には、開発途上国のリーダーシップと良い統治、そして、援助効果向上に関するパリ宣言に沿った開発途上国のオーナーシップの尊重が求められる。G8は、プロバイディング・フォー・ヘルス、インターナショナル・ヘルス・パートナーシップ、カタリティック・イニシアティブなどの努力を歓迎する。これらの保健関連イニシアティブは、一貫性のあるやり方で、パートナーの開発途上国の努力を後押しするものとなるべきである。G8は、パートナーの開発途上国に対する援助が、国家保健計画を支援するかたちでよく調整されたものとなるよう取り組む。

IV 取るべき行動

A.保健システム強化

11.保健システムは、多面的である。国際社会は、保健従事者や保健のための人材、保健情報、良い統治、基礎インフラ、質の保証、医療品の管理や基礎的治療薬の供給システム管理、保健システムへの持続的かつ公平な資金調達など、保健システムの様々な側面に取り組まなければならない。万人が保健サービスへアクセスできることを目指し、G8は、社会保健保護を含む保健システム強化に取り組むための包括的アプローチの重要性を強調し、保健システムにおける経常経費が適切に手当てされることを促進するためパートナー国とともに取り組む。

12.十分な保健従事者は、効果的な保健システムの中核をなす。世界で約400万人、アフリカで150万人の保健従事者が不足していると推定されている。最も脆弱で不利益な立場の人々も含め、万人が保健サービスにアクセスできることを目指すために、人材不足に対して切迫感をもって、国際社会が一丸となってこの不足に取り組まなければならない。G8各国は、WHOが示す基準値である1000人あたり2.3人という比率にまで保健従事者が増加するよう努力し、まずは、別添の付属文書に示されているとおり、我々が現在活動を行っており、かつ、保健従事者の決定的な不足を経験しているアフリカ諸国において、求められている各種技能の組み合わせや、地域的不均衡、個別の国のニーズを考慮に入れつつ、取り組んでいく。

13.現場における熟練した保健従事者の一層の活用と能力強化、中央および地方の保健行政官の能力強化、保健従事者の健康や活力の確保、並びに、人材開発に関する計画策定能力強化に向けた技術支援の供与は重要である。保健従事者の供給を増加し、質を改善するためには、保健従事者の「治療・研修・維持(TTR:Treat‐Train‐Retain)」や、保健従事者間の業務移管(タスク・シフティング)などの方法が推進されるべきである。G8は、保健従事者の倫理的な国際的雇用に関する自発的行動規範についてのWHOの作業を慫慂する。G8は、2008年3月の保健人材に関する第1回国際フォーラムにおいて採択されたカンパラ宣言と国際行動のための課題に留意する。これら文書では、保健従事者の維持や、公平な配分の重要性を明示し、また、優先すべき措置を列挙しており、国際保健従事者同盟(グローバル・ヘルス・ワークフォース・アライアンス)が、その実施を促進することとなっている。

14.保健システムに関する適切なモニタリング・評価は、政策立案者が、適切な保健情報および、ポリオ根絶や保健関連MDGsの達成、保健従事者の拡大等の政策を含む国家レベル、国際レベルでの保健政策の進捗評価に基づいて、自らの決定を行うことができることに役立つ。これに関連し、G8は、保健システムのパフォーマンスを記録して評価するために、妊産婦保健指標を使用する価値を認識する。G8は、政策立案と評価に必要な保健データを収集、分析、評価するための保健評価指標の標準化を目指すためのステークホルダー間での更なる連携を慫慂する。

15.国際社会は、H5N1型の鳥インフルエンザやその他の大流行の潜在性があるウィルスのヒトへの感染といった新たに顕在化してきた保健課題や自然災害に対処するために、保健システムの能力を向上させなければならない。

B.母子保健(妊産婦、新生児、小児の保健)

16.妊産婦、新生児、小児の健康およびケア、性と生殖に関する健康(セクシュアル・アンド・リプロダクティブ・ヘルス)は、個人や家族、コミュニティの健康促進のために重要である。小児全般では死亡の削減に成果が見られる一方、新生児と妊産婦の死亡削減については、ほとんど進展が見られていない。

17.5歳未満児の死亡削減については、麻疹やその他の定期予防接種の普及、微量栄養素補給、有効性が証明されているマラリア対策を通じて、大きな成果が達成された。しかしながら、多くは予防可能な原因によって、未だに毎年1000万人近くの5歳未満児が死亡している。我々は、G8が、特にコミュニティレベルにおいて、上述の対策を含む小児の健康対策のための包括的パッケージの拡大を引き続き支援することを提言する。これに加え、G8は、5歳未満児死亡のうち残された最大の課題である、新生児の死亡削減に取り組んでいく。

18.我々は、G8が、1990年から2015年の期間に妊産婦死亡数を4分の3削減するというMDGsの目標を達成するために、緊急産科治療へのアクセスによる裏付けのもと、2015年までに全ての出産のうち90%が熟練助産者の立ち会いのもとで行われるべきであるという1999年のICPD+5(注:人口と開発に関する国際会議+5)で合意された目標を念頭に、熟練助産者へのアクセスを向上しつつ、質の高い産前・産後ケアへのアクセス改善のための継続ケアに対する資金投入を通じて、妊産婦および新生児の死亡削減のための包括的アプローチの支援に取り組むことを提言する。効果的アプローチをとれば、保健従事者と母子の間の接触を最大化し、また、様々な効果的対策を提供するためのプログラム横断的な連関を最大化するであろう。そうしたアプローチのためには、保健従事者、保健施設、そして、文化的に適切なレファラル・システム(注:保健センター、診療所、地域の拠点病院等が連絡を取り合い、患者を適切な施設に円滑に紹介・運搬等するシステム)、および、簡単で文化的に適切な母子健康手帳といったツールに対する投資が必要である。生殖に関する健康(リプロダクティブ・ヘルス)は、広くアクセス可能でなければならない。

19.5歳未満児の死亡の主な原因は、肺炎を含む急性呼吸器系感染症、下痢症、産前・産後の疾患、マラリア、栄養不良である。これらの状況に対応するためには、下痢症のために経口補水療法(ORT)、亜鉛、基本的衛生環境、また、肺炎のために抗生物質などの費用対効果が高い手法が提供されなければならない。

20.良い栄養状況は、健康の基盤であり、また、母子保健や感染症対策を含む様々な保健プログラムの成功のために重要である。エイズ、結核、マラリア治療の効果、あるいは、定期予防接種の予防効果は、適正な栄養や微量栄養素の適切な補給により増強される。いかなる栄養プログラムにおいても、感染症対策、教育プログラム、貧困削減対策の間の相互連関が考慮されるべきである。G8は、脆弱なグループにおける栄養不良がもたらす危険と影響に特定の施策が対応できるよう、いかなる栄養プログラムの実施においても、脆弱なグループの栄養状況を危険にさらす可能性がある最近の食料価格高騰を考慮に入れる。

C.感染症

21.国際社会は、2010年までのHIV/エイズの予防、治療、ケアとサポートに対するユニバーサル・アクセスの目標に向けた拡大への努力を引き続き強化する必要がある。これには、ハイリゲンダム・サミットでの約束を守ることが含まれるが、それは、二国間・多国間の努力により、500万人へのART治療を支援すること、2400万人の人々の新規感染予防と2400万人のケアを行うことである。また、国際社会は、アフリカにおけるエイズ母子感染予防のためのプログラムを拡大する必要がある。この疾病の原因に立ち向かうためには、母子感染予防を含む包括的でかつ証拠に基づいた予防のための努力を加速化させること、および、性的搾取やジェンダーによる暴力への対応が、引き続き緊要である。女性がHIV感染に対して脆弱であり影響を受けやすいこと、および、新規感染者の間で女性の割合が増加していることを考慮すれば、ジェンダー分析、ジェンダー平等の推進、そして女性と女児に特有のニーズへの対応が必要である。性と生殖に関する健康(リプロダクティブ・ヘルス)への支援は、思春期やその他の脆弱度の高いグループが利用可能でアクセス可能なものにしなければならない。HIV予防、治療、ケアとサポートへのアクセスを阻害する差別、偏見、社会的排除といった障壁は取り除かなければならない。G8は、移動を円滑にすることを目的とした、HIV陽性者の移動制限措置を見直すために現在行われている作業を支持し、この問題を引き続き扱うことにコミットしている。

22.結核については、患者発見率や治療成功率の増加において進展が見られたが、ストップ結核世界計画の2006‐2015の目標に照らせば、国際社会は依然として軌道に乗っていない。この世界計画は、結核死亡者数を1990年の水準と比較して2015年までに半減させ、これにより10年間で1400万人の命を救うことを目的としている。質の高い直接服薬確認療法(DOTS)を含むストップ結核戦略の拡大は、サーベイランス能力が弱い多くの開発途上国にとって不可欠なものであり、また、保健システムの強化に資するものである。G8は、多剤耐性結核や超多剤耐性結核に対するサーベイランスや診断システムを強化し、WHOが推奨するHIVと結核の重複感染に対する統合された共同アプローチを強化しなければならない。

23.我々は、G8が、引き続き今後数年間、アフリカにおけるマラリア高まん延の30ヶ国がマラリア関連の死亡数の50%削減を達成するために、脆弱なグループに対して少なくとも85%の割合で効果的な手段が行き渡るよう、個別にそして共同して取り組むことを提言する。G8は、長期残効型殺虫剤含有蚊帳(LLITN)、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に沿った室内残留性散布のような統合的ベクター・コントロール・メカニズム、早期診断、効果的な抗マラリア薬による治療(ACT:アルテミシニン・ベース混合治療法)、そして、妊娠中のマラリアに関する間欠的予防治療へのアクセス拡大を継続しなければならない。G8は、マラリアに関する我々の過去のコミットメントの履行の一環として、他の利害関係者と協力し、二国間及び多国間の援助を通じ、1億張りの長期残効型殺虫剤含有蚊帳を供与することを目指し、同蚊帳へのアクセスを引き続き拡大する。また、ACTへの薬剤耐性発現と、それが引き起こす効果的治療への脅威を管理し、予防するために、継続的警戒と先制行動が支援されねばならない。

24.ポリオの発生は、歴史上最も地理的に限定されており、我々は、努力をより強化すれば、ポリオ根絶の機会を手にする状況にある。G8は、国際ポリオ根絶イニシアティブを支援するために、資金的貢献を維持又は増加させるとの我々自身の過去のコミットメントを履行し、他の公的、民間のドナーにも同様の取組を行うよう促す。世界保健総会(WHA)決議がポリオ流行国に対して、政治レベル、市民社会レベルの全てのレベルにおいてポリオ根絶の努力に関与するよう促したことを念頭に、G8は、ポリオ流行国による強いコミットメントを支持し、ポリオ根絶に向け共に努力する。

25.推定10億人が、何らかの顧みられない熱帯病(NTD:Neglected Tropical Diseases)に感染しており、これは、貧困国の健康、経済、社会上の相当程度の負担となっている。NTDの統制または征圧に向けた努力を再活性化する必要がある。G8は、研究、診断・治療、予防、啓発、そして安全な水・衛生へのアクセス拡大などを通じて、WHOが掲げるNTD疾病の統制または征圧の支援に取り組む。この観点から、我々は、WHOの計画を念頭におきつつ、保健システムの普及、貧困と社会的排除の緩和、ならびに、集団投薬をはじめとした十分な統合的公衆衛生アプローチの促進を通じて、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの主要感染国において、特定のNTDに感染した少なくとも75%の人々に対して、支援を届けることができるであろう。3‐5年間行動を継続することで、現在の負担を大幅に削減することができ、いくつかの疾病の征圧につながるであろう。

D.他分野との連携促進

26.保健の問題は、保健分野の取組だけでは解決できない。G8は、政治レベルおよび現場レベルの両方において、保健とその他分野の連携を強化し、また保健プログラム間での連携を強化することの重要性を認める。特に、我々は、保健、貧困、教育、ジェンダー、安全な水・衛生に関する国際的に合意された目標の間の密接な関係を認識する。疾病予防プログラムの成功には、コミュニティの行動と他分野にまたがる強固な対応が必要である。道路、電気・水道などの公共サービス、情報通信技術(ICT)など他の基礎インフラの開発も、保健状況の改善に寄与する。ジェンダー不平等の軽減、女性のエンパワーメント、女性と女児に対する暴力の削減は、保健に前向きな影響を与え得る。我々は、G8が、これらの課題に立ち向かうための戦略やプログラムを前進させることを提言する。

27.G8は、統合的アプローチへの支援に尽力する。学校、コミュニティ、市民組織は、健康や健康についての意識を改善するための土台として有用であり、そのような改善は、例えば、生活技能教育、家族やコミュニティへの知識移転、そして学校を拠点とした公衆衛生施策などの活動を通じて行われる。

28.気候変動に関しては、この分野の科学は依然発展途上であるものの、気候変動に関連する保健への潜在的な影響を分析するために、WHOやその他の関連機関が行っている作業を支援することが重要である。

E.資金

29.保健分野におけるG8の支援は、2002年以来増加してきた。ハイリゲンダム・サミットにおいて、G8は、エイズ、マラリア、結核と闘うために、そして保健システム強化のために少なくとも600億ドルを供与することにコミットした。2008年には既に、特に世界基金への拠出の関連で、相当の追加的コミットメントがなされている。G8は、ハイリゲンダム・サミットで設定された感染症対策と保健システム強化のために、今後数年間で少なくとも見積もられた600億ドルを供与するとの目標に向けて引き続き取り組むとのコミットメントを改めて表明する。また、G8は、開発途上国が保健に対して国内予算を一層充当することの重要性も改めて表明する。

30.G8は、また、保健関連MDGsが達成されるためには、妊産婦の健康、生殖に関する健康(リプロダクティブ・ヘルス)、子どもの健康や、新たに顕在化してきた保健課題、および顧みられない保健の優先課題で進展を図るためには、国内及び国外の両方から追加的資金が必要であることを認識する。ポリオ根絶については、国際ポリオ根絶イニシアティブ(GPEI)によれば、2008年から2012年の5年間で、少なくとも9億8千万ドルの緊急の資金需要が存在し、これが満たされなければ、根絶に向けた展望が後退することになる。

(了)