[文書名] G8アフリカ行動計画の実施に関するG8APRによる進捗報告書(第34回北海道洞爺湖主要国首脳会議‐G8サミット)
1.概要{前4文字網かけあり}
●G8はこれまでアフリカ開発に長くコミットしてきた。G8北海道洞爺湖サミットの主要な議題の一つは「開発・アフリカ」であり、G8が如何にしてアフリカ主導の開発努力を支援していくことができるか議論する予定である。このG8間の議論の結果は、G8とアフリカの間のパートナーシップを強化する新たな契機となり、本年9月のミレニアム開発目標(MDGs)に関する国連ハイレベル会合、同月の援助効果向上に関するアクラ第3回ハイレベル・フォーラム及び本年11‐12月のドーハにおける開発資金国際会議フォローアップへのG8によるインプットの良い基礎とならなければならない。
●とりわけMDGs達成等の課題は引き続き存在するが、全体としてアフリカは、過去数年間、民主的統治及び社会経済開発において進歩を遂げてきた。アフリカ大陸の最近の成長率には極めて目を見張るものがあり、1999年の3%未満から2007年には5.8%に推移した。これらの数字は、世界平均より高いものとなっているが、一次産品の価格高騰という世界的な傾向と強く結びついているため、価格の変動に左右される。アフリカ連合(AU)のリーダーシップの下、地域協力や地域統合が深化しており、アフリカ相互審査メカニズム(APRM)を含む多くのアフリカ自身の取組が、アフリカの政治的経済的変革を加速させている。もしアフリカがこの勢いを維持できれば、アフリカ大陸は平和、安定、繁栄に向けた不可逆的な進展を遂げる可能性がある。
●G8と他のドナーは、2005年のグレンイーグルズ・サミットにおけるアフリカと他の途上国向けのODAに関する約束を履行している。これらのコミットメントの結果として生ずることになる2010年までのアフリカ向け追加的支援250億ドルのうち、2004年以降、DACドナー諸国により既に120億ドル以上の追加的な支援が実施された。これは実質的な進展を示している。我々APRは、グレンイーグルズ・サミットにおけるODAのコミットメント、とりわけ2010年までの対アフリカODA倍増を強調する。
●2007年12月にベルリンで開催された国際開発協会第15次増資会合(IDA15)において、G8を含むドナー諸国は、3年間で251億ドルという記録的な約束を行った。IDA15全体では416億ドルに達する。さらに、G8を含むドナー諸国は、2007年12月にロンドンで開催されたアフリカ開発基金(AfDF)第11次増資会合において、出資総額が記録的な支援規模である89億ドルに達することに合意した。
●我々は、世界的な食料価格の急激な高騰がアフリカの進歩やMDGsの達成、そして、食料安全保障を脅かしていることについて、深く憂慮する。我々は、最も脆弱な人々の緊急の必要性に応えるため、国際社会が十分に調整された対応をとる必要性を認めると共に、緊急食糧援助の実施を歓迎する。我々は、また、食料安全保障に取り組むため、短期、中期、長期にわたる幅広い措置をとる必要性を認識する。この関連で、食料増産と農業生産性向上のため、G8は農業分野への支援を増大する。
●我々は、最近の数多くのハイレベルによる重要な会議、とりわけ2007年12月にリスボンで行われた第2回EUアフリカ・サミットと野心的なアフリカEU共通戦略及び行動計画の採択、並びに2008年5月に横浜で開催され、横浜宣言、各重点分野毎に各種の取組を示した横浜行動計画、そしてアフリカ首脳の要望に応えて実施プロセスを定期的にモニタリングするTICADフォローアップメカニズムの設立をとりまとめた第4回アフリカ開発会議(TICADIV)、を歓迎する。
●4月7‐8日に東京で開催された第10回APFは、「環境と気候変動」及び「成長の加速化と貧困削減」との課題についてアフリカと開発パートナーがどのようにして協力を進めていくか議論する上で、またAU/NEPADアフリカ行動計画の進展につき情報提供を受ける上で、よい機会を提供した。
●この報告書は、2002年のG8カナナスキス・サミットで採択されたアフリカ行動計画に基づき、過去数年間でどこに進展があったのか、更なる努力が必要な所はどこか、我々が評価を行うものである。
2.成長の加速化{前8文字網かけあり}
アフリカにおける最近の進展が示すとおり、経済成長は国家発展と貧困削減戦略の中心であるべきであるとともに、MDGs達成にとって非常に重要である。G8は、経済成長と貧困削減に向けた各国及び地域の健全な戦略の策定を支援するとともに、開発計画から透明で説明しうる結果を確保するためにアフリカ諸国と協働する。G8は、民間セクター主導の成長を引き続き奨励すると共に、世界銀行やアフリカ開発銀行を含む他の開発主体による大陸・地域・国レベルにおける取組の触媒としての役割を果たしうる。
貿易、投資、経済成長及び持続可能な開発の促進{前22文字囲み線あり}
●貿易投資障壁の削減・撤廃と、国内・海外投資を奨励し国内資本を効果的に動員できるビジネス環境の整備は、成長戦略の成功を確保する上で鍵となる要素である。多くのアフリカ諸国は5%あるいはそれ以上の年平均経済成長率を達成しており、G8とアフリカの間の貿易量やアフリカ大陸における海外直接投資の量は、2000年以来、着実に増加している。国際貿易を拡大させる上で重要なアフリカ域内貿易も、着実に進展している。2000年以来、アフリカと新興経済国との間の貿易量もまた急速に増加している。
●G8は、NEPAD‐OECDアフリカ投資イニシアティブや、アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA)、アフリカ企業挑戦基金や投資環境ファシリティ、アフリカにおける金融セクター機能のためのパートナーシップといった、アフリカの投資環境を改善して金融市場を強化するための数多くの取組を引き続き進める。
●インフラ開発、とりわけアフリカ自身の取組に基づく電力分野の投資や電力ネットワークの統合、道路、水資源管理に焦点を当てた地域規模のインフラ開発の実施は、アフリカの成長とりわけ貿易投資環境にとって極めて重要である。2008年3月に東京で開催された第4回アフリカ・インフラ・コンソーシアム(ICA)会合は、G8を含む国際社会が、アフリカにおける地域規模のインフラ開発を促進する取組を調整する上で、重要な機会をもたらした。ICAメンバーによるアフリカのインフラ分野におけるコミットメントを合わせると、2006年の77億ドルから2007年には100億ドル以上に達した。G8は引き続きICAを支援するとともに、アフリカ開発銀行が管理するインフラ・プロジェクト準備ファシリティを支援する。
●G8は、LDC諸国原産品に対する無税・無枠措置や、貿易・開発の促進に貢献する簡潔で透明な原産地規則のような、WTO香港閣僚会合で合意した市場アクセス改善措置を実施している。
●貿易のための援助(AfT)をアフリカ各国の貧困削減戦略文書等の開発政策・戦略に主流化していく必要性を認識しながら、G8は、大陸・地域・国レベルにおける能力構築とインフラに焦点を当てつつさらにAfTの取組を強化していくことに合意した。
●G8は、インフラそのものとその運営管理のための能力の双方を含む、地域的なインフラ開発促進のための公的資金・民間資金を動員するため、各援助国及び国際援助機関との一体的な取組を続ける。G8は、よりよい投資環境、AfT,現地の中小企業への支援等を通じて、アフリカにおける経済成長を支援するため、民間セクターとのさらなるパートナーシップを継続する。G8はまた、本年度末までにドーハ・ラウンドが成功裡に妥結するよう引き続き努力する。
債務救済の実施{前7文字囲み線あり}
●国際金融機関に対する滞納金の放棄を支援する国際的な取組と重債務貧困国(HIPCs)債務救済を通じた重債務貧困国(HIPCs)の支援は、貧困削減のための財政支出と投資を可能にし、アフリカのHIPCsにおいて必要とされる財政的余裕を創出する上で、決定的に重要であることを証明している。債務救済は、例えばリベリアのような紛争後の国家が国際社会との財政的関係を正常化させることにも貢献している。
●拡大HIPCイニシアティブは、1999年6月のケルン・サミットにおいて合意された。G8は、HIPC完了時点に到達した国に対し、ODA債務の100%を繰り延べあるいは放棄し、非ODA債務の少なくとも90%の放棄を行っている。今日まで、33ヵ国がHIPC債務救済の資格を有しており、そのうち27ヵ国がサブサハラ・アフリカにある。23ヵ国(そのうち19ヵ国はサブサハラ・アフリカ諸国)は、HIPC完了時点に到達した後、既に包括的な債務救済を享受している。
●さらに2005年には、G8は多国間債務救済イニシアティブ(MDRI)を立ち上げ、この下でHIPC諸国が完了時点に到達した後、国際通貨基金(IMF)、国際開発協会(IDA)、アフリカ開発基金(AfDF)に対する多国間債務が放棄されている。
●G8は、アフリカ諸国が債務持続性を達成・維持し、慎重な債務戦略を発展させ、債務管理分野の能力を向上させるための自らの取組を引き続き支援する。
農業生産性を高めること{前11文字囲み線あり}
●G8は、農業がアフリカ開発にとって鍵となる分野の一つであり、貧困削減、食料安全保障及び経済成長にとって、とりわけ重要であることを認める。アフリカ諸国は、歳出の少なくとも10%を農業及び農村開発に充てることをコミットしている。
●G8は、AU・NEPAD包括的アフリカ農業開発プログラム(CAADP)を、農業分野の成長と農業生産性の向上、食料安全保障の確立、及び開発の促進のための枠組として、支持する。この一年で、CAADPの実施において大きな進展が見られた。例えば、15か国が詳細な政策と総合的な投資計画の策定に関わっていること(CAADP Compacts)、世界銀行が管理するマルチ・ドナー信託基金が設立中であること、戦略的分析・知識管理システムが根拠を持った投資の決定を導いていること、戦略的なプログラムが策定・実施されていること等がある。そして、相互審査のためのメカニズムを提供するCAADPパートナー・プラットフォームが定期的に会合を開いている。G8は、アフリカにおける農業研究を推進するための地域の研究拠点を支援している。
●CAADPの推進と実施に責任を有する地域経済共同体(RECs)の能力開発を特に支援すること、他のパートナーと協働すること、国レベルでの円卓会議や国別協定を推進することが鍵である。農業生産性を向上させるには、アフリカ自身の努力に加えて、この重要な分野における更なる国際的な支援と、援助政策の整合化に向けた更なる努力が必要である。市場制度の改善、とりわけ輸送・流通・供給プロセスにおける障害の除去及び鍵となる貿易・輸送回廊の構築と、生産性・質の向上、地域インフラ、効率的な灌漑制度、収穫後の加工と流通網の構築、既存及び新規の農業技術、研究とそれらの普及制度の活用に対する包括的な支援が求められる。
3.平和の定着と民主化に向けた支援の強化{前20文字網かけあり}
平和及び安全の推進{前9文字囲み線あり}
●アフリカ大陸において平和の定着と民主化が進展している。しかしながら、例えばスーダン・ダルフール地方や、その周辺地域、ソマリアといった限られた地域においては、暴力的な紛争が継続している。現在日本が議長を務める平和構築委員会では、ブルンジやシエラレオネ、ギニアビサウといった紛争後の諸国における持続的な平和の構築に向け、早くも進展がみられる。国連小型武器行動計画に沿って、複数のアフリカ諸国は小型武器に関する国別計画を作成し、地域協力を強化している。
●AUはアフリカの平和・安全保障に重要な役割を果たしている。G8は、AU、ECOWASのような準地域機関、アフリカ諸国による、アフリカ平和・安全保障アーキテクチャー構築に向けた努力を支援する。2010年までにアフリカ待機軍を設立するという試みは引き続き大きな課題であるが、主要な訓練の実施を伴った形でコンセプトを2010年に実現させ、すぐに人員を配置するための平和支援活動部(PSOD)の構造を見直すという、大陸レベルの訓練計画の実施に向けたAUの取組はよい兆候である。ダルフールに展開するAU国連合同ミッション(UNAMID)の開始は、アフリカの平和の定着・確保におけるアフリカの努力と国際的努力を結合させたものとしての重要な一歩である。UNAMIDに対する装備、維持、他の兵站事項に関する更なる支援の必要性が強調されている。また、ソマリアの危機に対処するために、国連を含む国際社会からの大きな支援の必要性も認識されている。
●アフリカの平和維持能力の向上は、平和の定着のために決定的に重要である。G8は、これまで5万人以上の平和維持部隊の訓練及び装備調達を行ってきており、引き続き2010年までに世界で7万5千人の平和維持部隊の訓練及び装備調達を行うこと、移動及び輸送支援、世界的な警察能力の強化、文民による平和活動及び紛争後の復興の能力向上に関する援助を提供する用意がある。この目的のため、アフリカのパートナーとの緊密な対話に基づき、G8は、コフィ・アナン国際平和訓練センターやバマコにある平和維持学校をはじめとするアフリカの平和維持訓練センターへの支援を行っている。これに加え、我々は、アフリカのパートナーが、紛争の前後の段階で直面する新しい課題に対処することができるよう、アフリカ主導の平和維持努力のための持続可能かつ柔軟な資金メカニズムを長期的に発展させるための可能な手段につき検討する。紛争の全サイクルを通じた継ぎ目のない支援は、暴力的紛争が一度成功裏に抑制された後はその再発を避け、アフリカにおける平和の定着を進める上で不可欠である。
●大陸早期警戒システム、賢人パネル及び軍事参謀委員会を含むアフリカ平和安全保障アーキテクチャー(APSA)の発展及び運用の加速化が必要である。G8及び国連機関を含む他のドナーは、シーアイランド・サミットで設立されたアフリカ・クリアリング・ハウス会合(ACH)において、ドナー間で如何によく連携してAPSAへのさらなる支援を行うかにつき、議論を行っている。2008年4月23・24日にAUの初参加を得て東京で開催されたACHにおいて、パートナーは、AUによる大陸規模のアフリカ待機軍訓練・実施計画の進展を歓迎した。ACHの成果は、2008年6月13日にアディスアベバで行われたAU/G8++会合において再確認された。またG8は、AU、地域経済共同体及びAU加盟国間の一層効率的な協調を慫慂している。AUと国連のとの{前3文字ママ}間の協力に加え、アフリカのパートナーと国連、特に安保理との間の協力もまた、この地域にとって死活的に重要である。
制度及びガバナンスの強化{前12文字囲み線あり}
●G8は、いくつかのアフリカ諸国、特にジンバブエにおける深刻なガバナンス上の危機に強い懸念を有しながら、アフリカ全体において選挙及び民主的統治の慫慂及び促進を通じた民主化プロセスを強く支持している。私たちは、現在アフリカ17か国によって署名されている民主主義・選挙及びガバナンスに関するアフリカ憲章の採択等、アフリカ自身の民主化への努力を歓迎する。私たちは、アフリカ諸国による憲章の批准を奨励かつ支持する。新たにアルーシャで運用が開始されたアフリカ人権裁判所等を通じた、アフリカ大陸での人権遵守強化に関する継続的な進歩を支持する。G8は、実効的な国家及びより良い統治がアフリカ開発及びMDGs達成の中心であると認識する。実効的な国家は、国民の権利を保護し、安全を提供し、また、保健や教育等のサービスの提供を確保する。
●目下のところ、28か国がアフリカにおける相互審査メカニズム(APRM)に参加している。ガーナ、ケニア、ルワンダ、南アフリカ及びアルジェリアの相互審査は既に完了した。G8はAPRMプロセスを支持しており、いくつかのG8メンバーはまたAPRM信託基金に拠出を行っている。
●16のアフリカの資源国は、採取産業透明性イニシアティブ(EITI)の候補国として受諾されている。EITIは、採取産業(特に、石油、ガス、そして鉱業部門)における透明性向上とそれによる説明責任を改善することを通じてガバナンス能力を強化することを目的とする。多くの資源国では、EITI理事会とEITI国際事務局の支援を得て、EITIプロセスを開始する過程にある。EITIイニシアティブへの継続的な支持及び承認は、アフリカにおける良い財政ガバナンスの確保及び腐敗撲滅のために極めて重要である。私たちは、EITI候補国が認証プロセスを完了することを慫慂する。資源の採取及び加工による収入は、経済社会開発及び貧困撲滅という目的のために使われるべきである。私たちは、新興経済国を含む全ての国が、民間部門を含め、EITIに関与し、支持することを慫慂する。さらにEITIを超えて、支出フローの透明性が向上されるべきである。
●グッド・ガバナンスは、内生的であるべき長期的なプロセスであり、包括的な結果は短期的に達成されるものではない。それ故に、G8はアフリカにおける良い金融ガバナンスを促進し、また、この分野におけるアフリカ自身の努力を支持し続けるべきである。G8財務大臣は、2007年のポツダムでの財務大臣会合で、「財政の良好なガバナンスに関するG8アクション・プラン」を承認した。ハイリゲンダム・サミットの成果文書では、G8首脳がこのアクション・プランへの支持を強調した。このアクション・プランは、援助効果向上に関するパリ宣言や、アフリカにおいて公的金融システム改革を支援する継続中のイニシアティブの原則に基づき、10の行動分野をまとめたものである。
●私たちは、全ての国が、腐敗撲滅によってガバナンスを向上させることが必要であることを強調する。これは、特に、腐敗予防、腐敗行為の処罰化、実効的な法執行の提供及び腐敗行為により獲得された財の回復に関する国際協力の増加、といった具体的措置をとることにより達成することができる。
●G8は、様々な準地域機関や、AU、AU委員会や全アフリカ議会を含むAUの機関の強化といった、地域協力の進展を歓迎する。G8は、NEPADのAUへの完全な統合の進展と、RECsの制度機構の一層の合理化に細心な注意を払っていく。G8は、更に、国境を越えた協力活動を含む、南南協力の進展を歓迎する。
4.MDGs達成支援(ここではジェンダー、保健及び教育に焦点を当てる){前35文字網かけあり}
G8は、21のアフリカ諸国が、アフリカの女性の権利に関するアフリカ人権憲章議定書を批准したことを歓迎する。議定書の一層の批准と履行が更に期待される。ハイリゲンダム・サミットにおいて、G8は、他の政府と協力しながら、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)によるジェンダーを意識した対応への支持を確約した。この決定に従い、ジェンダー問題をより実質的に世界基金の政策と運用に取り込むイニシアティブが、世界基金第2回増資会合中に提示された。2007年11月の第16回世界基金理事会で、このイニシアティブを前進させ、また、ジェンダーの平等を世界基金の機構及び運用に取り込むという決定が行われた。
知識の拡大:教育の改善及び促進、並びにデジタル・オポチュニティーの拡大{前35文字囲み線あり}
●近年のサブサハラ・アフリカにおける就学率の改善のペースには勇気づけられるものがある。初等教育の無償化、ケニア、ザンビアやタンザニアの例が示すように、女子を含む何百万もの子供の就学のための重要な手段の一つである。しかし、アフリカは、未だ他の地域と比べ、大きく立ち後れている。(教育への)アクセスの向上は、教育の質の向上を伴わねばならず、また、途上国の国家財政全体の観点から持続可能なものでなければならない。万人のための教育(EFA)の目標達成に向けて順調に進んでいない25か国のうちのおよそ3分の2の国は、サブサハラ・アフリカ諸国である。更に、就学年齢児童数は、この先10年で22%増加すると予想されている。
アフリカ諸国における教育の質の向上、教育現場におけるジェンダー平等の促進、教育へのアクセスの向上、成長と自立のための教育の促進、そして、他の開発分野との分野横断的アプローチの確保が重要である。
G8は、低所得国及び脆弱国家に特別の注意を払いつつ、全ての子供に質の高い教育へのアクセスを確保するというパートナー国の努力を支援するため、パートナーや他のドナーと協働することにコミットする。G8は、FTIに承認されたアフリカ諸国の2008年のニーズを満たすべく、二国間及び多国間のリソース(資源)を動員するため、パートナー及び他のドナーと引き続き協働する。G8は、EFAにコミットしている全ての国は、リソース(資源)不足によりEFA達成に向けて挫折することはない、という2000年のダカール及び2007年のハイリゲンダムでなされた既存のコミットメントを再確認する。しかしながら、資金をよりよい学習成果へ変える能力を欠いたリソース資源)の増加は、初等教育の完全普及の達成やジェンダー平等の促進、女性の地位向上というMDGsの目標実現や、6つのEFA目標の実現の助けにはならない。パートナー国の援助吸収能力が強化されなければならない。能力開発はFTIの主たる焦点とならなければならない。
保健の向上及びHIV/エイズとの対決{前18文字囲み線あり}
●地球規模の保健問題への関心が高まっている。主要な感染症に焦点を当てたプログラムへの資金の増加という点で、大きな進歩が見られる。HIV/エイズとの闘いにおいて、レトロ・ウイルス療法へのアクセスは増加し続けている。2007年12月の時点で、サブサハラ・アフリカの210万以上の人々が治療を受けているが、これは、治療を必要とする人の約30%に相当し、この数字は、2003年にはわずか3%であった。しかしながら、HIV/エイズを巡る状況は依然深刻である。援助活動の効果向上のため、2015年までに保健関連MDGsを達成する上で、数多くの課題に取り組むべく、一層の協力が必要である。
●昨年11月のベルリンでの世界基金第2回任意増資会合以来、2008年から2010年までの3年間のため、100億ドル以上が、公的及び民間ドナーから約束あるいは予測された。G8は、こうした顕著な成果を歓迎し、全てのパートナーに約束の履行を求める。G8はまた、最近の地球規模の保健問題への二国間援助の増加を歓迎する。
●世界保険機構(WHO)は、世界全体で400万人の保健従事者が必要であると試算している。人間の安全保障に基づき、女性や子供とともに、貧困及び脆弱なグループが差別なくアクセスすることを目的として、持続可能なアプローチで、保健従事者を訓練・維持し、保健システムを強化することが重要である。
5.環境・気候変動問題への対処{前15文字網かけあり}
水資源の管理を向上させること{前14文字囲み線あり}
●2008年は、国際衛生年である。その目的は、関係者にロードマップを指し示すとともに、衛生への社会の認識を高め、また、人的資源及び資金を動員することである。こうした目的の下、G8及び他の開発パートナーは、イニシアティブを発揮し、衛生の重要性に関する社会の認識を更に高め、衛生の普及に関する政治的コミットメントを一層促進してきた。
●G8の枠組みでは、G8エビアン・サミットにおいて、水の不足は人間の安全保障の基礎を揺るがすという点に留意して、国際社会のための水に関する行動計画が採択された。この行動計画は、アフリカの水資源の越境性を考慮に入れつつ、地方政府と地域コミュニティーの協力強化を通じて、とりわけ良い水のガバナンス、資金の最適化、そして、社会インフラ開発を促進することを呼びかけるものである。この分野では、G8は、水に関するアフリカ閣僚委員会の取組であり、アフリカ開発銀行が管理する、アフリカ水ファシリティを支援する。G8は、実施戦略の構築等を通じて、エビアンG8水行動計画の実施のための取り組みを再活性化する予定である。
●アフリカにおいて気候変動は、人の生活、経済成長及び生態系のための水の利用可能性に対して、徐々に負担となりつつある。アフリカ大陸の大部分において水へのアクセスを確保するためには、良い循環型水管理を必要とする。G8は、統合水資源管理(IWRM)の概念及び人的資源の能力開発の進展の必要性を、持続可能な水資源の利用及び管理の中心であると認識する。
気候変動への適応及び緩和並びにエネルギー・アクセス{前25文字囲み線あり}
●アフリカ大陸は、地球規模の気候変動への責任は少ないにもかかわらず、気候変動に対してとりわけ脆弱である。気候変動は、農業生産性、平和・安全保障、開発、移民及びインフラを含む多くの問題に影響を与える。気候変動への適応とエネルギー・アクセスの問題は、双方とも、必要に応じ、国家主導の開発戦略の範囲内で、開発努力の中で主流となるべきである。革新的かつ再生可能エネルギーへ焦点をあてることは、温室効果ガスを削減すると同時に、持続可能な方法でのエネルギー・アクセスの改善のため大きな助けとなりうる。G8は、このことをグレンイーグルズ・サミット及びハイリゲンダム・サミットにおいて認識しており、適応は、気候変動に最も脆弱な発展途上の国及び地域にとって、とりわけ大きな課題となることに留意した。G8は、更に、必要に応じ、特に脆弱な諸国における気候の変動への対応能力向上と、適応目標の持続可能な開発及び国家開発計画への統合のため、パートナー諸国の努力を支援することを確約する。私たちは、更に、気候変動及び他の環境問題に効果的に取り組むため、持続可能な開発のための教育イニシアティブとその促進が重要であることを認識した。
●相当の資金調達及び投資が、緩和、適応及びクリーンで持続可能なエネルギーへのアクセスという課題に取り組むために必要となる。主要な資金源は民間部門であるが、公的資金は、最貧困層を助け、民間の資源を呼び込むために必要である。G8はまた、コンゴ盆地において森林保全と両立する森林経営及び生活手段の開発のための人的・制度的能力開発を目的とした、コンゴ盆地森林パートナーシップのようなその他の取組を支援する。
●ハイリゲンダム・サミット首脳文書において、G8は、適応と、途上国での森林減少の停止の双方に対して、また、とりわけ森林カーボン・パートナーシップ基金の設立を容易にする資金調達の仕組みに対して、等しく支援することを約束した。気候投資基金を含む、他の気候変動対策のための資金源もまた、同様に設立されつつある。我々は、様々な資金調達イニシアティブがお互い効果的な形で補完し合い、また、アフリカ諸国が、自らの国内の優先順位の範囲内で、気候変動問題に対処できる能力をつけるよう適切な注意が払われることについて、確保すべきである。
●我々はまた、主要排出国を含む全ての国が、責任ある方法で行動し、バリ行動計画に沿った形で協力するための、2013年以降の地球規模で包括的な枠組を設立することが決定的に重要であることを強調する。更に、2013年以降の枠組が、適応のためのより強化された協力を含むことも決定的に重要である。
6.結論{前4文字網かけあり}
●我々は、近年のアフリカによる経済的、社会的及び政治的進歩を歓迎する。本進捗報告書に示されているとおり、G8は、成長を加速化し、人間の安全保障を確保し、MDGsを達成し、環境問題に取り組もうとするアフリカ大陸自身の努力を、様々な異なる方法で支持している。
●MDGs達成に向けた取組の再活性化、高まる気候変動の脅威への取り組み、農業生産性及び食料安全保障の向上の必要を含め、重大な課題が残っている。それゆえ、APRとしての我々の主要な目的の一つは、オーナーシップとパートナーシップの原則に基づき、アフリカとG8との間の結束を図ることである。アフリカが直面する課題は、差し迫った地球規模の問題であり、それは、アフリカと開発パートナーの一致した努力によってのみ取り組むことができるからである。G8は、これまでも、そして、これからも、アフリカにとってコミットしたパートナーであり、対アフリカODAを2010年までに倍増するというコミットメントをはじめとする重要な約束をこれまで行ってきた。透明性向上の重要性を認識しつつ、我々は、自身の年次進捗報告を含め、G8のアフリカへのコミットメント履行における進展の監視への努力を強化する。
●我々は、APRとして、アフリカのパートナーとのパートナーシップを、一層強化する決意である。我々は、アフリカ開発にとってより切迫した課題に焦点を当てつつ、我々の対話をより効果的なものへとしていく。
別添
アフリカへのコミットメントに関するG8各国の進捗状況
(G8各国毎に提出されたもの)
日本
「今後5年間でのODA事業量について、100億ドルの積み増しを目指す」とのコミットメントについて、日本のODAは、2004年(基準年)の89億ドルから2005年には131億ドル、2006年には112億ドル、2007年には77億ドルとなっており、ここ3年間の総計では計53億ドルの積み増しとなっている。日本のアフリカ向けODAは、2003年(基準年)の8.4億ドルから2007年の17.1億ドルとなり(技術協力、無償資金協力、国際機関への拠出金、債務救済を含む)、日本は、「今後3年間でアフリカ向けODAを倍増する」との国際的な約束を果たした。「今後5年間でEPSAに対して10億ドルを供与する」とのコミットメントに関し、日本は約1億3,067万ドルのソブリンローン及び約1億304万ドルのノンソブリンローン、併せて2億3,371万ドルを2006年以来既に供与している。
「クールアース・パートナーシップ」を通じて、2013年以降の気候変動に対処する実効的な枠組を構築するため、100億ドル規模の支援に基づき、日本はアフリカや他の途上国との間で詳細な政策協議を行っている。日本‐アフリカクールアース・パートナーシップの設立は、TICADIVにおいて歓迎された。
(TICADIV)
日本は、国連、UNDP及び世銀と共に、第4回アフリカ開発会議(TICADIV)を2008年5月28‐30日に横浜で開催した。日本の福田康夫総理は、2012年までに対アフリカODAを倍増させる意向を表明した。総理は、次の5年間で、無償資金協力や技術協力を倍増させると共に、主にインフラ開発に焦点を置いた最大40億ドルの対アフリカ円借款支援を行う用意がある旨約束した。総理はまた、2012年に日本の対アフリカ海外直接投資を倍増させることを目指して、国際協力銀行(JBIC)に「アフリカ投資倍増支援基金」を設立することを含め25億ドルの金融支援を行うほか、アフリカへの日本の民間投資の増加を奨励する手段をとることを約束した。
イタリア
イタリアのODAは、2004年にGDP比0.15%から、2006年には0.20%へと向上したように、近年前向きな傾向を見せている。2007年にODA額は、2006年から7.9%増加し、39億米ドルに達した。実際のODA支出額は(債務放棄を除くとその割合が変わるが)、G8で最大の46.7%の増加を示している。イタリアの対アフリカODAは、2004年の3億770億米ドルから、2005年には8億7330万米ドル、そして、2006年には10億5千万米ドルへと増加し、(基準年である)2004年から倍以上の伸びとなった。2007年には、概ねアフリカの脆弱な国家のため、いくつかの重要なコミットメントが決定された。中でも、2006年及び2007年に総額2億6千万ユーロを世界基金に出資したことが挙げられる。6億3500万ユーロをワクチンの事前購入制度(AMC)に約束したことで、イタリアは、このG8イニシアティブの最大の援助国のひとつとなった。イタリアは、更に、「予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm)」に20年間で4億7350億ユーロの支援を行う。2007年には、平和・安全保障の分野でAUの制度構築及び活動を支援することを目的に、およそ4千万ユーロの具体的な「イタリア・アフリカ平和ファシリティ(IAPF)」を設立した。ソマリアに関するAUとの合意による最初のプロジェクトであり、ソマリアの行政機関の構築及び補強を意図するものである。このイタリアのファシリティによって支援を受けた他のプロジェクトは、AUが、AU憲章により設立された権限を遂行するために必要な人材の登用及び訓練の助成を目的とするものである。こうしたプログラムの開始以来、イタリアのアフリカ諸国に対する債務免除額は27億8千万ユーロとなった。イタリアはまた、IFIsを通じたいくつかの多国間イニシアティブにも積極的である。2007年、イタリアは、1200万ユーロをもって、シエラレオネのブンブナ・ダム完成のためのアフリカ開発銀行の金融パッケージに加わり、500万ユーロを欧州投資銀行のアフリカ・インフラ信託基金に出資した。イタリアは、更に、150万ユーロを以て、エジプトにおける女子出産登録の拡大のため世界銀行のプログラムに出資を行った。
カナダ
スティーブン・ハーパー首相は、カナダは2011年までに全世界に対する支援を2倍にし、2008‐09年までにアフリカへの援助を21億ドルに倍増させるというコミットメントを守ることを確認した。
保健分野は、カナダのアフリカ諸国への支援の重点項目である。1億500万ドルを以て、カナダは、妊婦及び子供の死亡率減少を目的とする、百万人の命を救う触媒イニシアティブを、ユニセフと共に主導している。このイニシアティブは、グレンイーグルズ・サミットで首相より発表された、2006‐2016年で4億5千万ドルのコミットを行うアフリカ保健システムイニシアティブ(AHSI)の一部である。AHSIは、MDGsの保健分野での具体的進展のため、アフリカにおける保健システムを強化すべく、国家主導の取り組みを支援することを目的とする。それに加え、カナダ政府は、2008年2月に、同国が、世界基金に対し、今後3年で4億5千万ドルを拠出することを表明した。
我々の平和・安全保障へのコミットメントも力強い。カナダの、スーダンへの支援は、2006年以来の自主的出資の累計として3億8800万ドルを上回った。カナダは最近、警察・平和維持部隊の訓練のため、追加的な1030万ドルの支援を表明した。我々は、ECOWASと、AUの平和・安全保障の権限に関する制度能力強化のため、ECOWASとAUを引き続き支援する。
カナダは、アフリカ諸国の政治、企業及び経済ガバナンスの改善を支援する、アフリカ相互審査メカニズムを支援する主要な支援国の一つであり続けている。
カナダは、更に、2010年までに、年間、1億ドルから1億5千万ドルまで、アフリカにおける基礎教育のための二国間支援を2010年までに年間1億ドルから1.5億ドルに増加させるというコミットメントを実現するという方向に向かっている。
CIDAは、貿易のための援助のため、2007‐2008年から始まる5年間で1380万ドルを供与する。こうした資金の殆どは、後発発展途上国とアフリカのために使われる。
フランス
ODA:フランスは、EUの枠組みにおいて、ODAの割合を2010年までに0.51%、2015年までに0.7%とすると確約した。フランスの開発支援は、2002年以来58億ユーロ増加し、2007年には73億ユーロ(99億4000万米ドル)、すなわち、GNI比0.39%に達した。そのため、2007年、フランスは、ODAのGNI比でG8をリードする支援国であり続けている。
保健:2007年、フランスは、全体で1兆4450億米ドルをアフリカの保健のために提供し、そのうち、4億6600万米ドルをエイズ、1億6600万米ドルをマラリア、1億6620万ドルを結核、そして、3500万米ドルをポリオ対策に用立てた。
教育:2008年3月、サルコジ大統領は、現在から2010年の間に、サブサハラ・アフリカにおいて、追加的に8百万人の子供に対して、初等教育を提供し、また、2015年までに教師の採用数380万人のレベルに増加させるため他の援助国と協働するという仏英イニシアティブを共同で開始した。
平和・安全保障:フランスの優先課題は、アフリカ平和安全保障アーキテクチャー(APSA)の効率的な運用である。フランスは、ECOWAS、ECCAS、IGAD/EasbricomやSADCといった地域機関とのよりよい軍事・防衛協力のため、自国の対アフリカ軍事ミッションを再構成した。2007年、9つの平和維持部隊を含む、27か国6800名の部隊が訓練された。2005‐2007のECCASに焦点を当てたフランスの最重要プログラムであるRECAMPは、この地域で1836名の兵士に対して追加的ターゲット・プログラムを行った。フランスは、更に、中央アフリカ共和国において、CEMAC/ECCAS平和維持活動に補給支援を行った。
成長:2008年2月、サルコジ大統領は、投資ファンドや、信用へのアクセスを促進し、民間部門を支援するための資金を含む、(5年間で)38億米ドルの、アフリカのための経済成長イニシアティブを表明し、2000の企業と30万人分の雇用を創造するとした。
革新的資金調達:フランスは、これまで革新的資金調達メカニズムの創造の推進力であった。フランスは、フランスのODAに関するコミットメントに追加されるものであり、国際的な薬品購入ファシリティであるUNITAIDに年間2億5千万ユーロを拠出するものである、航空券への国際課税プログラムを2006年に設立した。フランスは、更に、予防接種のための国際金融ファシリティの主要な出資国の一つである。
米国
ODA:米国は、大統領が2005年にグレンイーグルズで行った、対アフリカ支援を2010年までに、2004年の43億ドルから、87億ドルに倍増させるという約束の実現に向かって順調に進んでいる。2006年には、米国の対アフリカ支援は計68億ドルとなり、2004年の水準から50%以上上昇した。
良い統治:ミレニアム挑戦会計(MCA)は、公正に統治し、国民に投資し、また、経済的自由を約束する諸国を支援している。MCAは、8つのサブサハラ・アフリカ諸国との間で、全体で30億ドルを超える協定に署名した。加えて、反腐敗プログラムの資金のため、8200万ドルがMCA敷居値合意を通じて出資されている。2007会計年度には、米国は、アフリカ諸国の公正かつ民主的な統治を促進するプログラムに対し、1億7500万ドル近くを提供した。米国は、2005年以来、アフリカにおける外国公務員の贈収賄により、米国外国腐敗行為法違反に関して11件の刑事法執行を行ってきている。
貿易及び投資:米国は、2007会計年度に、2006会計年度より26%多く、2005会計年度より150%多い、5億500万ドルを貿易関連支援として提供した。アフリカ金融部門イニシアティブ(AFSI)は、財務省及び海外民間投資公社を通じ、アフリカ投資のために民間が管理する投資基金より約20億ドルを動員し、アフリカ大陸の資本市場発展のための専門的な技術支援を提供することが期待されている。米国への輸出は、アフリカ成長・機会法(AGOA)の下、2007年に計500億ドルを超えた‐この数字は、同法が初めて通年で有効であった2001年の水準の6倍以上である。98%以上のアフリカから米国への輸入は、AGOAの下、無関税である。
平和・安全保障:シーアイランド・サミット以来、米国は4万人以上のアフリカ平和維持部隊を訓練してきた。こうした米国により訓練されたアフリカ平和維持部隊の約80%は、AU及び国連のミッションにおいて、アフリカの内外で展開している。
保健:米国大統領は、2003年の150億ドルの初期コミットメントに300億ドルを追加するという大統領緊急エイズ救済計画(PEPFAR)の再認可を求めた。大統領マラリア・イニシアティブ(PMI)は、サブサハラ・アフリカの15の対象国において、マラリアと闘うため12億ドルを出資している。
教育:アフリカ教育イニシアティブ(AEI)は、8年間で質の保たれた基礎教育へのアクセスを向上するため、今後8年間で6億ドル拠出することをコミットしている。2010年までに、AEIは、1500万冊以上の教科書を配布し、約百万人の教師を訓練し、また、55万人の女子のために奨学金を提供することになるだろう。世界で最も貧しい子供達のための大統領の拡大教育イニシアティブは、アフリカ4か国を含む6つのターゲット国で4百万人以上の子供達に質の伴った基礎教育を提供するため、今後5年間で5億2500万ドルの追加拠出をすることをコミットしている。
債務免除:ケルン・サミット以来、米国は、アフリカのHIPC諸国に対して二国間の債務免除コミットメントとして34億ドル以上を提供したほか、ナイジェリアに6億ドルを超える債務免除を行った。
英国:
英国は、MDGs進展の加速化を約束し、また、貧困との闘いに真剣である。このことは、支出計画の詳細に反映されている。英国政府は、英国のODA予算を2008‐09年から2010‐11年の間に実質ベースで毎年平均11%増加させ、2004年から2010年の間でODA予算を倍増させることで、途上国への約束を守り続けていることを英国政府の2007年包括的歳出見直しは示した。1997年から2010年の間、英国のODAは、実質ベースで3倍以上となった。EUメンバー国として、英国は、2010‐11年までにODAをGNI比0.56%とし、2015年までに同0.7%とするというタイムテーブルにコミットした。英国は、この2010‐11年までの目標達成を順調に進めており、ODAのGNI比0.7%という目標を、2013年、すなわち、EUの目標より二年前倒しで実現することを確約している。英国は、アフリカ向けの多国間及び二国間援助を、2004年の13億ポンドから2010年までに30億ポンド以上へと倍増させるという目標達成を順調に進めている。2008年から2011年の間、対アフリカ二国間支援は17億5千万ポンドに増加する予定であり、これは2004‐05年時点の8億6800万ポンドから倍以上である。すなわち、英国は今後三年間、アフリカに対し二国間支援を45億ポンド以上支出することを意味し、グレンイーグルズ・サミットでの、追加的なODAの少なくとも半分はアフリカに供与するというコミットメントを確保している。
●英国は、現在アフリカ開発基金の最大の援助国である。
●英国は、2010年まで、毎年5億ポンドをアフリカの教育のために支出することを目標としている。
●現在から2010年まで、英国は、フランスと共に、サブサハラ・アフリカにおいて、1600万人の子供達に初等教育の機会を与えるための支援を行うことを確約してきている。
●英国は、予防接種のための国際金融ファシリティ(20年間で13億8千万ポンド出資)を含む革新的な資金源を支援している。
●英国首相は、アフリカにおけるマラリアとの闘いのため、1億ポンドの拠出を確約している。
●英国は、アフリカにおけるより良い水と衛生への資金供与を、2007‐08年までに年間9500万ポンドにまで倍増し、2010‐11年までに、さらに倍増以上とする。
ロシア:
2006年、ロシアは47億ドルのアフリカの債務を放棄した。そのため、総(免除)額は、113億米ドルから160億米ドルとなった。最近、ロシアは、リベリアがIMFに対して負っている5600万米ドルの債務放棄を支援した。ロシアは、6つのアフリカ諸国(エチオピア、ベナン、ザンビア、マダガスカル、モザンビーク及びタンザニア)との間で、5億5千万米ドルに上る債務放棄の交渉を終えた。
ここ2年間の間に、我々は、ロシアでのアフリカ平和維持要員訓練人数を顕著に増加させ、毎年4百人までに至った。
ロシアは、アフリカの紛争後の復興の分野における、国際的かつ協調的な取組みに参加し、人道救急活動を行うアフリカ人職員の訓練を支援する。アフリカ大陸における関連する訓練センターの建設や、いくつかのアフリカ諸国における人道・地雷除去プログラムへのロシアの参加につき、検討中である。
ロシアは、IMFの外因性衝撃ファシリティに対して2006‐2010年の間に4500万米ドル、また、グローバル・ビレッジ・エネルギー・パートナーシップ‐GVEPに3千万米ドルの拠出を行った。
ドイツ:
ドイツは、強いアフリカのためのパートナーとなることを約束しており、そのコミットメントの実現に取り組んでいる。
●ODA:ドイツは、ODAの割合を2007年に0.37%(122億7千万米ドル)とし、アフリカへの二国間支援を2004年の14億米ドルから2007年には24億3千万米ドル(暫定値)へと増加させることを達成した。加えて、相当の割合のドイツの多国間ODAがアフリカに向けられた。2007年、ドイツは2008‐2011年の開発協力のため、計30億ユーロの追加資金を提供することを決定した。また、2008年、ドイツの開発協力関連予算は7億5千万ユーロ増加した。EUの枠組みでは、ドイツは、2010年までにODAの比率を0.51%とし、2015年までに0.7%にすると確約している。これらの増加は、予算関連資金の増加、一層の債務免除及び革新的資金調達源等の組み合わせによってもたらされる。
●革新的資金調達:ドイツは、2008年、国際的な気候プロジェクトのために、排出権取引から1億2千万ユーロを供出する。この収益は、今後数年間増加し、更なる開発資金を生み出す見込みである。
●投資の促進:ドイツは、アフリカにおける金融セクター機能のためのパートナーシップ(MFW4A)と、サブサハラ・アフリカのための地域零細・中小企業投資基金(REGMIFA)の共同創始者である。ドイツは、地域通貨基金(TCX)や投資環境ファシリティ(ICF)を含む、持続可能な投資を促進するその他のイニシアティブを支援する。
●ガバナンス:ドイツは、2007年に、世界的な民主主義や人権の促進、市民社会及び公共行政の育成のため、(各国との)二国間の資金で4億ユーロを提供した。11のアフリカのパートナー諸国では、これはドイツの開発協力の優先分野である。
●保健:2008年から、ドイツはHIV/エイズ、マラリア、結核との闘いや、関連する保健システムの強化のため、少なくとも毎年5億ユーロを提供し、その中の相当の部分がアフリカに向けられる。ドイツは、2007年9月にベルリンで成功裏に行われた世界基金の増資会合を主催した。
●水と衛生:2007年、ドイツは、アフリカの水の分野における最大の二国間援助国として、1800万人に裨益する、約8億4200万ユーロ規模の165件の水関連プロジェクトを支援した。
●農業・食糧安全保障:世界食糧危機に対応して、2008年、ドイツは食糧安全保障、農業及び農村開発のための二国間援助額を5億ユーロに増加させた。
●生物多様性:2008年5月に開催された生物多様性条約第9回締約国会議の主催国として、ドイツは、2009年から2012年までに5億ユーロを、そして、2013年の時点で年間5億ユーロを生物多様性プロジェクトに追加拠出すると誓約することで、コミットメントを強調した。
EU:
グレンイーグルズで、EUは、「2010年までのODA/GNI比0.56%到達を新たな共同中間目標としつつ、2015年までにODA/GNI比0.7%に到達すること」、「この増加分の少なくとも50%がサブサハラ・アフリカに向けられること」を確約した。
EUは、ODAの対GNI比を0.39%とするという2006年のモンテレー目標を越えて達成しており、2010年の中間目標に向け順調に進んでいる。2007年には、EUの援助額は630億ユーロという歴史的金額に達した。2006年には、このうち230億ユーロがサブサハラ・アフリカに向けられ、2004年の水準から80億ユーロ以上の増加となっており、EUが、ODA増加分(160億ユーロ)の半分をアフリカに向けるという約束を目下守っていることを示している。
EUは、G8の公約の重荷を負っている。EUは、2006年から2010年までの地球全体での拡大の90%以上を拠出することとなっている(280億ドル中260億ドル)。EUは、更に、2010年までにアフリカ向けに追加拠出することとなっている250億ドルのうち90%(230億ドル)を提供することとなっている。
欧州委員会の援助は、2004年の87億ドルから2007年の118億ドルに増加し、そのうちアフリカ向け支援は、2004年の37億ドルから2007年の51億ドルに増加した。ODAの支出は、2010年におよそ130億ドルに増加することとなっている。
EUは、更に、援助効果向上に係るパリ・アジェンダの実施努力の最前線にある。
しかし、EU・アフリカ関係は、単なる援助関係以上のものである。2007年12月、リスボンで開催された第2回EU・アフリカ・サミットにおいて、これら二つの大陸は、更に、アフリカ・EU共同戦略‐欧州委員会とAU委員会に加え、全EU及びアフリカ諸国によって承認された共同戦略ヴィジョン及びロードマップ‐の準備及び採択を通じ、政治的パートナーシップを強化した。EUとアフリカは、共同戦略に概説されている政治的目標の具体的内容たる8つの分野の「アフリカ・EUパートナーシップ」(平和・安全保障、民主的統治と人権、貿易と地域統合、MDGs、エネルギー、気候変動、移民・移動・雇用、科学・研究・宇宙)の要点をまとめた行動計画も採択した。
(了)