[文書名] G8外相会合議長声明(G8外務大臣会合)
●多様性を増す世界的、地域的双方の要素が世界の安定にとっての挑戦となっている。国際的な安全は、国境を越える影響を有するテロ、組織犯罪、脆弱な制度、様々な不正売買などの現象に対する取組なくして確保できない。効果的な対応の考案は、これらの現象間の相互関係や悲惨な人道状況との密接な連結によってより複雑化している。
●現在の経済状況、食料危機、エネルギー安全保障の欠如、気候変動は、世界が今まで以上に相互に関連していることを更に証明している。例えば、昨年の世界の食料危機は、一億人以上の人々を極度の貧困に陥れ、いつくかの国における政治不安を生んだ。食料不安に基づく社会の不安定化のリスクは、農村開発と経済成長を刺激する途上国との長期的パートナーシップを通じて減少させることができる。世界金融危機は世界の貧困層の脆弱性を増大させ、上記の他の要素と相俟って、政治的緊張を拡大し、社会不安を助長する潜在力がある。
●この状況は、平和の確保、紛争の解決、持続的開発のための条件づくりという我々の共通利益に焦点を当てるため、財政的、外交的手段を動員するために、包括的、協調的、持続的なコミットメントを必要としている。我々G8の外相は、平和と安全に対する新旧の脅威に対処するために、一つに結束する責任を認識し、それらの挑戦を効果的な国際協力を促進する機会へと変革するコミットメントを強調する。
不拡散・軍縮・原子力の平和利用
●大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散は、依然として国際の平和と安全に対する大きな脅威を構成している。我々は、多国間体制の強化を通じて、世界的な不拡散の取組を強化するコミットメントを表明する。その観点から我々は、国際的な核不拡散体制を強化し、核兵器不拡散条約(NPT)の基本となっている国際的なコンセンサスを促進し、その三本柱のそれぞれを前進させるため、2010年NPT運用検討会議の成功のために努力する。
●我々は皆、NPTの目標に基づき、すべての者にとってより安全な世界を追求し、核兵器のない世界のための状況をつくることをコミットする。我々は特に、米国とロシアがSTART[[undef12]]後継条約に向けて交渉することを決定したことに敬意を表する。我々は、すべての核兵器国に対し、更なる核軍縮措置を取ることを求める。我々は、包括的核実験禁止条約の発効のための努力を強化する。我々は、ジュネーブ軍縮会議で2009年会期の作業計画が採択されたことを歓迎する。我々は、兵器用核分裂性物質及びその他の核爆発装置の生産を禁止する条約の交渉が、国際的な検証についての規定を含む形で、早期に開始されることを強く支持する。我々は、イタリア政府、「核脅威イニシアティブ(NTI)」及び「世界政治フォーラム(WPF)」の共催により、2009年4月16‐17日にローマで開催された会議「核の危険の克服」に対する評価を表明した。我々は、NPTの実施の促進に向けた他のG8諸国による取組を期待する。
●我々は、不拡散体制に対する地域的な課題を、すべての国による不拡散措置及び関連の国連安保理決議の遵守を確保する観点から引き続き監視する。我々は、すべての国に対し、国連安保理決議1540を完全に履行するよう求める。我々は、1540委員会の取組を支持し、すべての国に対し同決議の履行に関する包括的な審査への積極的な参加を奨励する。我々は、IAEAの保障措置強化とNPT及びIAEA保障措置の深刻な違反に対する取組に加わる。我々は、核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブの更なる実施に向けて適切な措置を取るコミットメントを改めて表明する。
●我々は、最良の安全、セキュリティ及び不拡散の条件の下で行われるべき原子力の平和利用に対する関心の高まりを認識する。我々は、核燃料サイクルに対する多国間アプローチの発展を支持し、進行中の関連のイニシアティブを評価する。我々は、最も高い基準の不拡散、安全及びセキュリティを促進し、並びに原子力の平和利用のための協力を推進する上でのIAEAの主要な役割を強調する。我々は、これらの基準に関係する能力の開発においてIAEA加盟国を支援する用意がある。
テロ対策
●テロリズムは、引き続き国際の平和、安定及び安全に対する重大な挑戦の一つである。我々は、すべての行為、特に自爆テロ、誘拐について、この現象に対する断固たる非難と暴力的過激主義に対処するコミットメントを最も強い表現で改めて表明する。すべてのテロ行為は、誰によるものであれ、犯罪であり、非人道的かつ正当化され得ず、特に市民を無差別に標的とし、負傷させる場合はそうである。
●我々は、テロリズムと犯罪である他の不安定要素、例えば、麻薬の違法売買、武器の密輸、腐敗との結び付きの増大を、特に統治組織が脆弱な国家において引き続き懸念する。したがって、関連の国連条約、議定書及び国連安保理決議の枠組の中での多面的な短・長期のイニシアティブを含む前向きな対応が必要である。
●我々は、テロ対策にとっての基盤である人権の義務に対する敬意と確保へのコミットメントを改めて表明する。国際法に対する敬意と法の支配の促進は、テロ撲滅に向けた我々の努力にとって放棄できない柱である。
●テロリズムへの資金供与の防止及び抑制は、いかなる国際戦略にとっても不可欠な要素である。我々は、資金洗浄に関する金融活動作業部会(FATF)の勧告と国連の制裁制度の完全な実施を支持する。特に後者については、国連安保理決議1730及び1822の採択を歓迎し、それらの完全な履行を求める。テロリズムの防止、例えば、テロリストのプロパガンダ、テロリズムの扇動、テロ組織による勧誘への対処、さらに暴力に結び付く過激化の抑制に特別な注意を払うべきである。テロ目的のためのサイバーネットワークの使用についても対処しなければならない。
●G8は、途上国におけるキャパシティ・ビルディングと技術支援イニシアティブを支持する重要な役割を引き続き果たしている。我々は、この分野における協調のさらなる強化にコミットし、その観点から、「ローマ・リヨン・グループ」及びテロ対策行動グループ(CTAG)の活動の漸進的強化、さらに関連のパートナーとの「暫定的な」アウトリーチイニシアティブや、地域的側面により焦点を当てた取組を歓迎する。
国際組織犯罪
●国際的な安定は、銃器、人及び薬物の不正取引、現金の密輸出入、資金洗浄並びに腐敗など、多くの国際組織犯罪の活動に直接影響を受けている。この観点から、我々は特に、組織犯罪グループによる合法経済への浸透が増大していることを懸念する。我々は、すべての関連の国連条約、特に、金融資産を重視したアプローチを通じて犯罪組織の最終利益を効果的に狙う国際組織犯罪防止条約(パレルモ、2000年12月15日)及びその補足議定書並びに国連腐敗防止条約の普遍化と完全な実施を求める。
●我々は、第三諸国の刑事司法制度を強化するためのキャパシティ・ビルディング支援と技術支援供与にコミットする。我々は、関連の国連機関、特に国連薬物犯罪事務所(UNODC)との協力とともに、我々の間での協調のさらなる向上に完全に取り組んでいる。
平和維持/平和構築
●我々は、平和支援活動のための世界的な能力を強化するために累次のG8首脳会合で作られたコミットメントの実施における進展を留意しつつ、この点に関し、主な達成についての我々の専門家による首脳への報告を期待する。我々は、紛争地域の平和支援活動に対し、治安、安定、紛争後の復興及び法の支配が手に手を取って進む包括的アプローチを引き続き追求する。我々は、紛争直後期における平和構築に関する事務総長報告書を歓迎し、関係するすべての関係者に対し、同報告書の勧告を検討するよう奨励する。
●我々は、国連、特に国連平和構築委員会の平和維持分野における主導的な役割を認識しつつ、可能な限り最良な資源の適用を確保するために、国際的な調整を強化することを更にコミットする。我々は、危機から安定に至る道における効果的な架け橋である警察及び文民の要素を特に焦点としつつ、世界中の能力強化プログラムを支持することを誓約する。この文脈で、我々は、特にアフリカに注目し、現地のオーナーシップの原則に沿いつつ、訓練センター同士の協力の強化を通じたものも含め、大陸の平和維持能力を増進し、機構を強化するために、アフリカ連合(AU)、準地域機関及びアフリカ諸国との連携を継続していかなければならない。
●我々は、同様に、AU主導の平和支援活動を維持していくための協力を強化する必要性を強調する。
海賊
●我々は、アデン湾及びアフリカ東岸における海賊事案の増加を深刻に懸念している。我々は、海上の安全保障と地域の安定のために、海賊行為の諫止、防止、鎮圧が不可欠であることに合意する。我々は、個別及び集団的な海上でのオペレーションと並んで、ソマリア沖海賊対策に関するコンタクトグループ(CGPCS)と国際海事機関(IMO)、特に、ジブチ行動指針(DCC)などの現在行われている多国間の枠組を通じた海賊対策のための国際的な取組を歓迎した。我々は、様々な取組間の協調と情報共有の向上とともに、それらの包括性の強化にコミットする。海賊が目的を達成することを防ぐため、我々は、他の取組とともに、海賊や他の海洋関連の犯罪に対処するための適切な法的枠組みの整備を確実にし、船舶の自己防衛措置を検討するため、国際的なレベルで協力する必要性を認識する。
●我々はまた、多くの不安定な国内外の課題(例えば、貧困、紛争、無法状態、強力な中央政府の欠如)に直面する地域の国を支援することにより、海賊の根本原因に取り組む国際的なコミットメントの強化の必要性について合意する。
●被害国が、国際的に認められた法や、人権の基準及び慣行に沿って、海賊容疑者を訴追し、またそれを可能とする重要な役割を有する。同時に、6月9‐10日にソウルで開催されたソマリア沖海賊対策に関するハイレベル会合において表明された方針と一致する形で、我々は地域の国の海上及び法的能力の強化の重要性に留意する。G8は、海賊の訴追・勾留におけるケニアの指導的な役割を称える。地域の国が国境、海岸、海域を十分に管理する能力を構築するために支援することが急務である。CGPCSの枠組の下で、IMOと協力しつつ、我々は、関係国の人員が、既にIMOとの合意に基づきジェノアで活動を開始している国際海上安全セキュリティ環境アカデミー(IMSSEA)及びジブチに設立される予定の地域訓練センターによる訓練の機会を最大限活用することを支援する。我々は、沿岸警備隊及び法執行機関の設立、訓練のさらなる機会を関係国に対し二国間で提供することを検討する。
●我々は、CGPCSの取組及びその指針の履行に対してG8諸国が最大限支持することを確保するため、地域における大使、専門家レベルによる会合を通じ、フォローアップを行うことに合意した。
イラン
●我々は、イラン大統領選挙後の情勢を懸念している。我々は、イランの主権を完全に尊重する。同時に我々は、イラン市民の生命が失われることとなった選挙後の暴力に遺憾の意を表明する。我々は、平和裡に抗議活動を行って抑圧された人々との連帯意識を表明し、イランに対し、同国が批准している国際条約によって保証されている表現の自由を含む基本的人権を尊重するよう要請する。この危機は、法の支配に基づき、民主的な対話及び平和的な手段を通じて早期に解決されるべきである。我々は、イラン政府に対し、イラン国民の意思が選挙プロセスに反映されることを保証するよう求める。
●我々は、イランの核計画の問題の外交的解決策を見出すことに引き続きコミットしており、そのための、米国による直接対話の用意、中国、フランス、ドイツ、ロシア、英国、米国からのイランへの交渉再開の呼びかけなどの新たな努力とともに、この過程におけるG8の他のパートナーによる建設的な関与を支持する。我々は、合意された政策に基づく一致した行動の必要性を強調する。我々は、イランがこの機会をとらえ、核問題について、交渉により解決策を探るために外交にチャンスを与えることを誠実に望む。
●同時に我々は、イランの核計画がもたらす拡散上の危険に引き続き深い懸念を有している。我々は、イランが民生用核計画の権利を有することを認識するが、それは、その核活動が専ら平和的な性格であることについての信頼を回復する責任を伴う。我々はイランに対し、IAEAと完全に協力するよう、また、関連の国連安保理決議に従うよう強く要請する。
●9月の国連総会のマージンにおける我々の会合は、G8として状況を考察する機会となる。
アフガニスタン・パキスタン
●我々は、深刻な治安、人道、麻薬対策、テロリズム及び経済的な困難に直面する民主的に選出されたアフガニスタン及びパキスタンの政府を支持することに引き続き強くコミットしており、制度面のキャパシティ強化や政府の効率性向上を支援する。我々は、アフガニスタンにおける我々の努力の効果及び一貫性を確保する上での国連の中心的役割を認識する。我々は、トリエステにおける、アフガニスタン、パキスタンの外相及び地域の関係者との対話に期待している。これらの議論の結果は、別途報告される。
北朝鮮
●我々は、国連安保理決議1718に違反して行われた5月25日の核実験、及び4月5日の弾道ミサイル技術を用いた発射を地域の平和と安定に対する脅威を構成するものとして、最も強い表現で非難する。我々は、国連安保理決議1874の採択を歓迎し、国際社会に対し、拡散関連物資の北朝鮮への、及び北朝鮮からの移転の防止を含め、同決議に基づく義務を完全かつ透明性を持って履行することを求める。我々は、北朝鮮に対し、関連の国連安保理決議の下での義務を履行し、国際安全保障に影響を与えるすべての核兵器及び既存の核計画並びに弾道ミサイル計画を放棄し、国際的な義務の完全な遵守に復帰することを要請する。我々は、2005年9月19日の六者会合共同声明の完全な実施を通じた朝鮮半島の検証可能な非核化の目標に引き続きコミットする。我々は、北朝鮮が更なる不安定化させる行動をとらないこと、及び六者会合への参加を再開することを要求する。我々は、すべての参加者がこの形式の下での合意された措置を実施する必要性を認識する。我々はまた、北朝鮮が、拉致問題を含む人道上の問題に対する国際社会の懸念に直ちに取り組むことを要請する。
中東
●我々は、G8の二国家解決に対する完全な支持を改めて表明する。それは、確実で承認された国境の中で、イスラエル及び他の近隣国と平和裡に共存するような、独立し、民主的、自立可能かつ一体的なパレスチナ国家の樹立を伴う。我々は、中東における包括的和平に向けた我々の首脳の個人的なコミットメントに敬意を表する。我々は、パレスチナ人に対する支援継続及びパレスチナ人の民主的な制度の強化への強固なコミットメントを維持する。我々は当事者のすべてに対し、ロードマップ、関連の国連安保理決議、及びマドリッド原則を遵守し、すべての現存する問題についての直接交渉を再開することを求める。我々はまた、両当事者に対し、入植活動の凍結(「自然増」を含む)や暴力とテロリズムの明白な終了を含むロードマップ上の義務の履行を求める。我々は、武器の密輸の停止、及び人道援助、商品、人の流れのために通行所を直ちに開放することを含め、国連安保理決議1860の完全な履行を通じたガザ危機の永続的解決の緊急性を強調した。我々は、現在及び将来の和平に向けた諸合意を積極的に支持することに引き続きコミットし、他者にも同様の取組を奨励する。我々は、中東における包括的和平には地域的アプローチが必要であり、2002年アラブ和平イニシアティブも基礎とした、イスラエルとその近隣国との間での包括的和平実現を期待する。我々は、カルテット及び関係者と協議の上、中東和平プロセスに関する国際会議を2009年にモスクワで開催するというロシアの提案を支持する。
●我々は、安全かつ一体性を保つイラクを引き続き支持し、自由かつ包括的な明年の国政選挙に対する支持を約束する。
●我々は、6月7日の国民議会選挙を平穏に実施したレバノン人を祝福し、主権を有する独立したレバノンに対する引き続きの支持を表明する。
ミャンマー
●我々は、最近の情勢を深く懸念する。透明、公正かつ民主的な複数政党による選挙につながる、すべての政党と民族の代表が完全に参加する真の対話プロセスと国民和解が必要である。この点に関し、我々は、その継続的な拘束が2010年に予定されている選挙の信頼性を貶めるアウン・サン・スー・チー女史を含む、すべての政治犯の釈放をミャンマー政府に求める。
●我々は、対話の醸成とミャンマーにおける民政移行を目的とした国連事務総長の周旋ミッションとイニシアティブに対する完全な支持を再確認し、国際社会に対しても同じようにすることを要求する。我々は、国連事務総長特別顧問及びミャンマーの人権に関する特別報告者と完全に協力するようミャンマー政府に求める。我々は、ミャンマーが実施する実質的な政治的進展に対して引き続き前向きに対応する用意がある。
スリランカ
●我々は、軍事紛争の終結を歓迎する一方、戦闘の最終段階で多くの文民の死傷者が出たことに深い遺憾の意を表明する。我々は、また、国内避難民(IDP)の人道状況に対処するためにスリランカ政府が既に実施した措置及び関連の国連機関との協力を認識し、IDPのためのキャンプの文民性、IDPの移動の自由及び早期帰還を含む残る主要な課題に向け、同政府が更なる措置を執ることを奨励する。我々は治安上の懸念を認める一方、人道支援機関のアクセスが妨げられることのないようスリランカ政府により確保されるべきである。我々は、国際人道法及び人権法の違反に対処する説明責任プロセスの重要性を強調する最近の国連事務総長とスリランカ政府の合意を歓迎する。我々は、また、これらの不満に対処するための措置をとることについてのスリランカ政府の合意を歓迎する。国民和解に向けた政治プロセスの着実な進展を確保するため、更なる努力が必要である。スリランカにおける長期的な治安、紛争後の復興及び繁栄は、すべてのコミュニティの正当な懸念に対処するプロセスを通じてのみ達成できる。
イエメン
●我々は、海賊やテロとの闘い、さらに中東、湾岸及びアフリカの角の安全と安定にとって重要なイエメンの一体性及び領土と国境の効果的管理の観点から、イエメンに対する国際的な支持を拡大させる戦略的重要性を認識する。我々は、同国の国内的及び対外的な課題への対処を助けるために、国際的な協力を強化することを支持する。我々は、既存の協議グループのプロセスを基礎として、協調、調整された支援を行うことを検討する。地域的協力へのイエメンの統合を拡大させることもまた有意義であろう。
BMENA
●我々は、G8とBMENAのパートナーシップを、政治、経済、社会面における地域自身による改革の観点から、パートナー国政府、国際機関、市民社会の間の対話と協力にとって極めて重要な基盤として完全に支持することを改めて表明する。我々は、2004年以降とられた様々なイニシアティブを見直し、パートナーシップを強化するため、イタリアとモロッコの共同議長の下で今秋に開催が予定されている第6回「未来のためのフォーラム」に期待する。
アフリカ
●我々は、アフリカの現在の問題を協力と開発のための新たな機会に変える状況を作り出すために努めなければならない。我々は、平等の足場に立つパートナーとして、アフリカに関与することを期待する。我々は、アフリカのガバナンスを強化し、大陸全体の機関及び準地域機関の能力を強化し、武力紛争の状況に対処するための最近のアフリカのパートナーの取組に敬意を表した。G8は以下を歓迎した。:地域における最近の自由かつ公正な選挙;アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)に連関するアフリカ相互審査メカニズム及び他のイニシアティブの継続的な実施、またNEPADのAUの活動への統合;近年における歴史的に高水準の地域経済成長。
●これらの例は、進歩的な国内のリーダーシップが持続的な国際的関与により支持される際に達成できる前向きな結果を強調する。しかしながら、これらの重要な成功にもかかわらず、我々は、アフリカで非民主的な政権移行が依然として起きていることに対する深い懸念を表明し、アフリカのパートナー、特にAU、南部アフリカ開発共同体(SADC)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)によるこれらの超憲法的な政府の変更に対する原則に基づく反対を賞賛した。我々は、このような手段により政権に就いた体制に対し、自由、公正かつ透明な選挙を通じ、可能な限り早急に憲法的秩序の回復を行うよう求める。
●我々は、特に食料及び経済危機の文脈において依然としてアフリカが直面している政治的及び経済的課題を引き続き認識し、これら課題に対処するための継続的な国際的な協力の必要性を強調する。我々は、人権の保護、特に子供や女性といった最も脆弱な人たちに対し、特別な注意を払わなければならない。
●我々は、多くの特定の状況に引き続き関与する。
●ソマリア ‐ ソマリアの長期的な不安定と人道危機に対する深い懸念を共有しつつ、我々は、暫定連邦「政府」(TFG)及び国民和解と持続的な平和の包括的なプロセスを確保することを目的としたその取組に対する我々の力強い支持を改めて表明した。我々は、ソマリアにおける強化された持続的な人道支援や開発努力の必要性を認識し、支援する用意がある。我々は、2009年4月22・23日にブリュッセルで行われた、ソマリア治安機構及びAUソマリア・ミッション(AMISOM)支援に関する国際会議の成果を歓迎し、2009年6月10・11日にローマでソマリアの首相の参加を得て直近の会合が行われたソマリア・コンタクト・グループ会合の役割を認識した。我々は、国際社会全体に対し、基本的な政府サービスを提供するためのTFGの能力の強化を焦点として、国連、AU、欧州連合(EU)及び他の関連の機関を関与させつつ、調整された治安及び回復の取組に更に関与することを要請する一方、AMISOMに部隊及び支援を提供するブルンジ及びウガンダに加わるようアフリカ諸国に奨励する。この点に関し、我々は、訓練のための資金協力及びソマリアの治安部隊のためのその他の支援を検討する用意がある。
●スーダン ‐ 我々は、持続的な平和のための基盤として、南北包括和平合意(CPA)の実施の重要性を強調し、2009年6月23日にワシントンで米国により主催された最近のCPAフォーラムを歓迎した。我々は、同合意の完全な実施を確保するために協働するよう国際社会に求める。我々は、ダルフール和平交渉にすべての当事者が誠実にコミットするよう要請する。我々は、この点に関するAU・国連合同首席調停官及びカタールの取組に敬意を表し、このプロセスを支持するよう地域の関係者に奨励する。ダルフールの治安向上のためにはダルフール国連AU合同ミッション(UNAMID)の役割が不可欠であり、我々は、同ミッションの完全かつ効果的な展開の重要性を強調する。我々は、人道アクセス及び支援を促進するために人道機関と効果的に協働するようスーダン政府に求め、国際人道法、人権及び難民法の下での義務を完全に遵守するようすべての当事者に要求する。我々は、また、関連の国連安保理決議の下での義務に従うようすべての当事者に求める。特に、我々は、恒久的な平和は正義と和解なくして達成できないため、国連安保理決議1593に従うスーダンの義務を再確認する。
●大湖 ‐ 我々は、大湖地域及び全アフリカの安全にとり、コンゴ民主共和国(DRC)の安定は最重要であることを確認した。我々は、東部DRCの危機の協調された持続的な解決のための新たな機会を生み出した、DRC及びルワンダ両政府間の最近の協力を賞賛した。我々は、危機の原因の根底にあるすべての政治的、治安的、経済的な面において、地域的枠組みにおけるものも含め、地域の諸国間の改めての協力を奨励する。我々は、恒久的な平和に向けた必要な措置として、すべての組織的武装勢力の武装解除及び社会復帰を奨励する。我々は、DRC及び大湖地域における性的及びジェンダーに基づく暴力の蔓延に重大な懸念を表明し、その犯人の効果的な処罰と根本原因への対処の必要性を強調する。すべての当事者が文民を保護し、支援を提供する人道従事者のための完全、安全かつ妨げのないアクセスを促進することが重要である。
●ジンバブエ ‐ 国民和解に向けた進展がなされている。我々は、ジンバブエ国民及び移行政府が、平和、安定、繁栄及び民主主義を国家に取り戻すために取り組むことを支持する。我々は、法の支配、経済的ガバナンス及び土地問題のための懸念に前向きに対応できる、包括的政治合意の完全な適用を奨励する。不法かつ暴力的な農場の収奪、人権の抑圧、メディアや報道関係者に対する制限は止められなければならない。我々は、適時に行われる自由かつ公正な選挙に必要な機関を設立する移行政府と協働する。我々は、国家における人権の完全な尊重、民主主義及び効果的な法の支配の再確立に向けた進展があれば、政治的及び経済的関係の完全な正常化につながるジンバブエとの有意義な対話を期待する。
●西アフリカ ‐ 西アフリカのいくつかの国は紛争から立ち上がりつつあり、地域の一部における政治安定化プロセスは依然として脆弱である。最近の憲法に依らない政権移行の連続により示されたように、多くの関係諸国にとり、法の支配は引き続き主要な課題である。一つの結果として、我々は、テロ、海洋の治安悪化、違法行為(麻薬、小型武器及び人身の取引、身代金目的の誘拐)といった憂慮すべき現象の増加を目撃している。この関連で、我々は、外国人を人質にとる行為を含むサヘル地域におけるアルカイダの活動について特に懸念し、最近の英国人の人質の殺害を完全に非難する。また、国境を越えた組織犯罪も、機構に浸透し、弱めようとしている。同時に、我々は、ECOWASを通じて実施される平和及び安全のイニシアティブの有効性を確認する。我々は、根本原因への対処することも含む、地域の諸国がこれらの課題に効果的に対応するための能力を強化する共通の取組を奨励し、また、支援を継続する。
コーカサス
●我々は、地域的な安定を達成するためのコミットメントを表明した。我々は、国連、OSCE及びEUの積極的な関与を得てその効果のために実施される取組に対する支持を言明する。我々は、地域のすべての関係者に対し、未解決の紛争の平和的な解決に向けて取り組み、人道支援プログラムを支持するよう奨励する。
●我々は、地域協力の発展を強く奨励する。この枠組みで、我々は、関係を正常化するためのアルメニアとトルコの取組及びナゴルノ・カラバフ紛争の平和的解決に向けたOSCEミンスク・グループ共同議長国の取組を歓迎する。コーカサス地域は、全住民にとっての平和と繁栄の地域になる潜在性を有している。