データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8首脳会合・政治問題に関する文書,政治問題(第35回ラクイラ主要国首脳会議‐G8サミット)

[場所] ラクイラ
[年月日] 2009年7月8日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

イラン

●G8の国家及び政府の首脳は、イランにおける最近の出来事に引き続き深く憂慮している。我々は、イランの主権の完全な尊重を改めて表明した。同時に、我々は、イラン市民の生命が失われることとなった投票後の暴力を遺憾に思う。メディアに対する制限、記者の不当な拘束、最近の外国人の逮捕は容認できない。我々は、イランに対し、法の支配を基本とした民主的対話を通じて状況を解決するように要請し、また、市民的及び政治的権利に関する国際規約に基づくイランの義務を思い起こさせた。

●我々は、イラン国内の大使館が、職員に対する恣意的制約や脅迫がなく、ウィーン条約の下でその機能を効果的に遂行することが認められなければならないことについて合意した。

●我々は、イランの核計画問題及び継続的な国際的義務の不履行について、外交的な解決策を見出すことにつき引き続きコミットしている。我々は、米国による直接対話の用意、中国、フランス、ドイツ、ロシア、英国、米国からのイランへの交渉再開の呼びかけとともに、この過程におけるG8の他のパートナーによる建設的な関与を歓迎する。我々は、合意された政策に基づく一致した行動の必要性を強調している。我々は、イランがこの機会をとらえ、核問題について、交渉により解決策を探るために外交にチャンスを与えることを誠実に望む。同時に、我々は、イランの核活動がもたらす拡散上の危険に引き続き深く憂慮している。我々は、イランが民生用核計画の権利を有することは認めるが、それは、その核活動が専ら平和的な目的であることについての信頼を回復する責任を伴う。我々はイランに対し、遅滞なく、IAEAと完全に協力するよう、また、関連の国連安保理決議に従うよう強く要請した。9月の国連総会開始の週のマージンにおけるG8の会合が、進捗状況を確認する機会になるだろう。

●我々は、ホロコーストを否定するアフマディネジャード大統領の声明を非難する。

平和維持/平和構築にむけた包括的アプローチ

●我々は、治安、紛争後の安定及び復興を包含する世界平和に向けた包括的アプローチを引き続き追求する。我々は、平和支援活動のための能力の構築における進展をレビューする我々の平和維持/平和構築専門家による報告書を歓迎し、シーアイランド及びそれに続く首脳会合で定められた野心的な目標の達成に向けた大いなる進展を、満足の意を持って留意する。紛争地域における平和維持活動の数及びその複雑さが引き続き増加していることを考慮し、我々は、迅速で、効果的かつ持続可能な能力の発展に焦点を維持することをコミットし、この点に関し、報告書の結論を支持する。

●我々は、特に、洞爺湖サミットにおいて強調したように、平和維持のための軍及び堅固な警察の要素の準備及び、平和構築のための文民要員の発展に焦点を当てつつ、世界的に能力の構築を継続することをコミットする。我々の警察及び法の支配の要素に対する注意は、紛争から安定に向けた道筋の非常に重要な要素として強化される。我々は国際的な調整を拡大し、G8専門家の間の協議、並びに主要な新興経済国、その他諸国及び国際機関との協議を強化する。このように強化された調整によって、資源の最良の適用が確保され、新たなニーズの評価が助けられ、断固とした行動のためのコンセンサスが構築される。我々は、訓練、装備及び持続におけるパートナーシップを促進することを含め、軍の一層の相互運用性に向けた尽力及び兵站支援への援助を継続する。我々は、すべての国に対し、訓練された軍及び警察を効果的に派遣することを支援するよう求める。

●我々は、平和維持活動の分野における、国連、特に安全保障理事会の主導的役割を支持し、その計画、マンデート及び管理を改善する努力を奨励する。この目的のため、我々は、国連が地域機関、貢献国及びその他主体とのパートナーシップを一層発展させることを支援する。我々は、国連平和構築委員会の重要な努力及びその役割の強化を一層奨励する。

●アフリカにおける平和の支援は、引き続き我々の努力の中核である。我々は、アフリカ連合(AU)による平和及び安全の能力の発展における進展を賞賛し、この点に関し、引き続き支援する。我々は、アフリカ主導の平和支援活動に対し、柔軟で予見可能かつ持続可能な支援の提供を模索する。アフリカ待機軍(ASF)を含む、アフリカ平和安全保障アーキテクチャー(APSA)を強化することは、今後の課題に取り組むにあたって成功を導くために極めて重要である。

国際組織犯罪

●今日の世界は、テロリズム(これに関しては、我々は別途に声明を発出した)、人身取引、移民の密入国、薬物及び銃器の不正取引、現金の密輸出入、資金洗浄及び腐敗のような、増大かつ安定を損なう課題に直面している。これらの問題は、国内及び国際社会の安全に対する深刻な脅威の一部を成している。さらに、G8不安定要素と国境を越えた犯罪に関するローマ会合(2009年4月23‐24日)においても強調されたように、これら犯罪活動とそれらの人間の安全保障に対する悪影響との関係がより緊密となっていることは、G8諸国にとってのさらなる懸念の源であり、国際社会による緊急な注目が求められている。

●特に、我々は、テロと国境を越えた犯罪のネットワークとの関係に対して懸念を有している。国連国際組織犯罪防止条約(パレルモ、2000年12月)において強調されているとおり、これら収斂された脅威は、我々の戦略、目標設定された手段、多国間の努力のさらなる調整と法執行イニシアティブの絶え間のない更新を求めている。G8は、これら世界的な課題への共通の対応を展開し、共通認識を持つ他の国からの支援をも拡大するための適切なフォーラムとなっている。我々の集団的な対応は、関連する国連の条約や議定書の枠組みにおいて、また、パレルモ条約締約国会合、その他関連国連機関(例えば、国連薬物犯罪事務所、UNODC)並びにINTERPOL及びその他地域機関等の関連国際機関との緊密な協調の中で展開される。

●本年は、組織犯罪、特に女性及び子供の人身取引並びに移民の密入国との闘いにおける一里塚であるパレルモ条約の採択を導いた交渉の開始から10周年にあたる。2009年は、ジョバンニ・ファルコーネ氏の生誕70周年でもある。同氏は、1992年にマフィアに殺害されたイタリア人検察官で、彼の組織犯罪との闘いにおいて金融資産に着目したアプローチ(犯罪組織の金融上及び経済的利益を標的とする)は、パレルモ条約に具現化された原則及び方法を生むこととなった。我々の司法・内務大臣は、5月28‐30日のローマでの会合の際に、この勇敢な行政官に対して敬意を払った。ファルコーネ検事と、高潔にして、安全の維持に貢献したその他人々を想起しつつ、特に犯罪による財産の世襲に焦点を当てた規定(例えば没収及び法人の責任)に関して、パレルモ条約及びその補足議定書の完全な実施をさらに促進するとの我々の強いコミットメントを確認する。我々は、国連腐敗防止条約(UNCAC)を完全に実施するという決意を再確認し、国際犯罪ネットワーク、汚職政治家及びテロリストが、彼らの犯罪目的を推進させるために公的機関を腐敗させることを防止し、また同時に、財産の返却を含む、腐敗との闘いにおける国際協力を強化するためUNCACの枠組みを利用している。我々は、テロ対策のため、また、組織犯罪、腐敗及び司法免責との世界的な闘いのためのG8のフォーラムであるローマ・リヨン・グループの枠組みにおいて採択された、これら問題に対するイニシアティブを支持する。

●我々はまた、特に国連薬物犯罪事務所及びその他関連国際機関と協力しつつ、国境を越えた組織犯罪との闘いにおいて支援を必要としている国々を手助けするために、キャパシティ・ビルディングに関するイニシアティブを実施するという我々のコミットメントを再確認する。

海賊と海上安全保障

●我々は、海賊の背景にある不安定要因や付随する広範な地域的及び国際的影響のゆえに、海賊には国際社会による協調された努力を通じて対応しなければならないことについて合意した。我々が海上の船舶を防護し、海上での暴力及び海賊行為の防止のための積極的な措置を講じると同時に、海賊対策に関する活動は、アフリカの角及びその周辺、さらに、より広範なアフリカ大陸の海上安全保障の構築と促進のための戦略的及び包括的な国際取組みの文脈において実施されるべきである。我々は、国際的な支援の提供、貿易、開発及び地域安定にとって、海上安全保障が極めて重要な役割を果たすことを認識している。

●我々は、この観点から実施されており、G8のメンバーが既に貢献している国際的なイニシアティブを支持する。これらイニシアティブには、海賊及びその他海洋関連の犯罪と闘うための適切な法的枠組みの構築の確保を目的とするもの、地域の国々が海岸及び領海をより良く管理し、海上安全保障に貢献し、また海賊を裁判及び拘束するための能力を構築するための資源、コミットメント及び行動を得ることを目的とするものである。我々は、海賊の訴追及び拘束におけるケニアの指導的役割を賞賛した。我々は同時に、これらの行為を防止するための最善の安全対策及び実行の有効性を確保するため、産業界との調整及び協力を改善するつもりである。

●海賊との闘いは、短期的な対策とともに、その根本原因に焦点を当てた長期的な支援及び並びに構造的な関与が求められる。国際的な海賊対策の巡回任務の成功を強化することにコミットしつつ、我々は、海賊の持続的な解決にはソマリア及びその地域における法の支配及び法執行能力の強化と同時に、貧困や継続中の紛争等の課題に対処することが必要であることを認識する。これには、ソマリアにおける基本的な治安の欠如と国家権限の脆弱性、港湾の治安改善、薬物、武器及び人の不正取引、不法投棄及び不法漁業に対して緊急に取組むことが含まれている。我々は、いかなるG8のメンバーの旗を掲げることのできる船舶も、ソマリア領海における法制度を尊重し、この点において国際法上の義務の履行をコミットすることが求められていることを確認する。

●我々は、国際的パートナーとの協力及び良く調整された二国間のプログラムを通じて、ソマリア沖海賊対策に関するコンタクトグループ及びソマリアに関する国際コンタクトグループにおいて定められた目標‐‐及び国際海事機関(IMO)によって進められたジブチ行動指針を含む関連の多国間努力‐‐の達成に貢献することをコミットする。

北朝鮮

●我々は、国連安保理決議1718に違反して行われた北朝鮮による5月25日の核実験、及び4月5日の弾道ミサイル技術を用いた発射を最も強い表現で非難する。我々はまた、国連安保理決議1874にもかかわらず、7月4日に北朝鮮により発射が行われたことを強く非難する。これらの国連安保理決議違反は、朝鮮半島の平和と安定とともに、地域及び国際の平和と安全とに対する重大な脅威である。

●我々は、北朝鮮に対し、国際的な義務を完全に遵守するよう要請する。この観点から我々は、北朝鮮に対する国際的な制裁を強化する国連安保理決議1874の全会一致による採択を支持し、国際社会に対し、同決議の規定を完全かつ透明性を持って履行することを要請する。

●我々は、北朝鮮に対し、関連の安保理決議の更なる違反を差し控え、これらを完全に遵守し、六者会合への早期復帰を含め、対話と協力に取組むことを要請する。この観点から我々は、北朝鮮によるすべての核兵器及び既存の核計画の放棄を含め、2005年9月19日の共同声明の完全な実施の重要性を強調する。我々は、すべての参加者がこの形式の下での合意された措置を実施する必要性を認識する。

●我々はまた、北朝鮮が、拉致問題を含む人道上の問題に対する国際社会の懸念に直ちに取り組むことを要請する。

中東

●中東における正当、永続的かつ包括的な平和の達成は、依然として国際社会にとって極めて重要である。我々は、二国家解決に対する完全な支持を改めて表明し、平和と安定の中で生活が営まれるイスラエル国家とパレスチナ人が自らの運命を決定することのできるパレスチナ国家の創設というアラブ・イスラエル和平が、国際社会の基本的な利益であることを確認する。我々は、両当時者が、この数週間に、この方向で最初の一歩を踏み出したことを歓迎する。我々は、当事者に対し、ロードマップ、関連の国連安保理決議、及びマドリッド原則を遵守し、すべての恒久的地位に関する問題を解決し、すべての要求に終止符を打つ合意に達するべく、すべての現存する問題についての直接交渉を早急に再開することを求める。この目的のため、我々は、すべての関係者に対し、この目的を支援するために有意義な措置を講じることを求める。我々はまた、当事者に対し、暴力、テロリズムと扇動の明白な終了や「人口自然増」を含む入植活動の凍結を含め、ロードマップ上の義務履行を求め、アラブ諸国に対しては、イスラエルとの正常化に向けた有意義な措置を講じ、パレスチナ自治政府に対して政治的及び経済的支援を行うことを求める。我々は、カルテットの原則に基づきパレスチナ統合を回復させる必要性を強調し、我々のこれら原則に対するコミットメントの継続を改めて強く表明する。

●我々は、拉致されているイスラエル兵士ジラド・シャリートの即時解放を求める。我々はまた、ガザに出入りする人道援助、商品及び人の流動性のために、イスラエルの安全を尊重する方法で、通行所が即時開放されることを求める。我々は、パレスチナ自治政府を完全に支援し、また、より広い地域的対処の枠組みの中で、パレスチナ領の開発に向けた国際社会のコミットメント促進のために積極的な役割を果たすことに引き続き取り組んでいく。その目的のため、我々は、将来のパレスチナ国家が十分なインフラを開発し、また、経済活動を促進して、それによって地域への漸進的な統合が図られるような、パレスチナのための野心的で包括的な計画の開始を含め、政治的、経済的及び安全保障面においても、将来達成される和平合意の実施を支援する用意がある。我々はまた、現在の同地における経済条件を改善するための努力を支持する。これに関し、もし拡大し持続されればパレスチナの解放運動に重要な影響を及ぼし得る、西岸地区におけるイスラエルによる最近の措置を歓迎する。

●我々は、2002年のアラブ和平イニシアティブをも基礎とした、この地域プロセスの重要な要素となり得るイスラエルとすべての近隣国との間の包括的和平に期待している。その目的のため、我々は、当事者を支援する用意がある。この文脈において、我々は、シリア・トラック及びレバノン・トラックにおける和平交渉の再開を求める。我々は、カルテット及び当事者と協議の上、2009年、モスクワにおいて、中東和平プロセスに関する国際協議を開催するとのロシアの提案を支持する。

●我々は、オバマ大統領のカイロでの演説で示されたように、教育、経済発展、科学技術及び保健の分野における地域パートナーシップの重要性を強調する。我々は、特に拡大中東・北アフリカ(BMENA)構想を通じた、広範な地域リーダーシップへの我々の共通のコミットメントを再確認する。

アフガニスタン・パキスタン

<地域的側面>

●アフガニスタンとパキスタンは依然としてG8にとっての最優先事項である。それぞれが異なった条件下にあるものの、両国は、主に暴力的な過激派やテロリストからの脅威により、それぞれの安全と安定に対する重大な課題に直面している。その状況は、薬物の不法取引、貧困、不均衡な経済発展により継続している。我々は、両国のテロ、不正取引及び犯罪に対応する能力を強化することをも通じて、両国及びより広範な地域の安定と発展の促進に向けた我々のコミットメントを改めて表明する。

●地域協力の強化は、両国にとって成功のための必須条件であり、アフガニスタン安定のための国際的戦略の不可欠な柱の一つである。我々は、上海協力機構のアフガニスタンに関するモスクワ会議の結果及びハーグにおける2009年3月の会議、また同様にアフガニスタン及びパキスタンを含めた3カ国会議の結果を歓迎する。このような観点から、2009年6月26‐27日、イタリアの議長の下、トリエステで開催されたアフガニスタン、パキスタン及び地域的側面に関するG8アウトリーチ閣僚会合において、信頼構築及びより安全で、民主的で、統合され、繁栄した地域の創造のための実際的協力の促進に向けた更なる一歩が示された。参加者は、特に、アフガニスタン及びパキスタンの間の関係改善、現在進行中の二国間の信頼構築及び二国間の協力プロジェクト並びに2009年末までの通過貿易協定締結に関する具体的な交渉を歓迎した。我々は、トリエステで達成された、国境管理に関するより緊密な協力、薬物や兵器の不正取引に対する地域的な統合されたアプローチ、経済成長の原動力としての貿易自由化及び円滑化、難民及び国内避難民の尊厳ある帰還及び再統合、アフガン及び地域の経済的及び社会的発展と安定にとっての鍵としての農業開発、一層の統合のためのインフラ連携及びエネルギー協力、市民社会の役割、人的資本の向上、及び経済的・社会的機会への効果的アクセスに関する結論を歓迎する。

<アフガニスタン>

●来月、アフガニスタンは大統領選挙及び地方選挙を実施する。我々は、アフガニスタン当局に対し、アフガニスタンの人々の実際の意思を反映する、信頼できる、包括的で安全な選挙を確保するよう求める。我々は、技術的、事務的、財政的及び、安全面での支援を通じた選挙手続きに対する我々のコミットメントを確認する。また、我々は、アフガニスタンの新政府の努力を支援し、民主的機関の強化、説明責任と良い統治の強化、法の支配の増強、国及び地方レベルでの国際的人権義務の尊重、腐敗、テロリズム及び薬物取引との積極的な闘い、国民に対する基本的サービス及び代替的な経済の機会の提供の継続を奨励する用意がある。アフガニスタンのオーナーシップが決定的に重要であることを確認しつつ、我々は統治、関税、アフガニスタン国家治安部隊及び薬物対策サービスを含めたすべてのレベルにおける能力の構築を支援する。我々は、文民及び軍人の努力の一層の統合及び援助協調の増大を通じた、全政府的アプローチの効果的実施が必要であることを改めて表明する。国際的支援の指導的調整者としての国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)の役割は引き続き重要である。

<パキスタン>

●G8は、パキスタンのテロリストと暴力的な過激派との闘いを支持する。我々は、戦闘により避難させられた市民のための救援、再建及び復興支援を提供する包括的戦略を支援するため、パキスタン、国連及び人道関連機関と緊密に協力し、また、経済的及び社会発展を促進し、統治を向上するにあたってパキスタン政府と協力することをコミットする。これに関し、我々は、IMFスタンドバイ取極に基づくコミットメント達成へのパキスタンの努力を歓迎し、また、パキスタン政府がその資源に対する健全かつ透明性のある財政管理を行い得るような非常に重要な経済改革を継続することを奨励する。我々は、パキスタン政府の民主的機関、人権及び市民社会の強化にむけた努力において、引き続き支援することをコミットし、また、引き続き腐敗と闘い、すべての国民の人権を擁護し推進するよう求める。この目的のため、我々は民主的パキスタンのフレンズ・グループなどの様々な対話の場を通じてパキスタン政府を引き続き支援していく。

ミャンマー

●我々は、最近の潘基文国連事務総長のミャンマー訪問を歓迎する。我々は、同事務総長の周旋ミッションに対する長期にわたる支持を強調し、事務総長が国際社会のメッセージを伝達しつつこの問題において示してきた指導力を強く歓迎する。我々は、ミャンマー政府が国際社会の懸念に完全に対応するためにこの重要な機会を利用しなかったとの事務総長の見解を共有し、我々の共同及び個別の対応について緊密に協議していく。透明、公正かつ民主的な複数政党による選挙につながる、完全に包括的な対話のプロセス及び国民和解が緊急に必要である。我々は、ミャンマー政府に対し、その継続的な拘束が2010年に予定されている選挙の信頼性を貶めるアウン・サン・スー・チー女史を含む、すべての政治犯の釈放の要請を改めて表明する。我々は、国連事務総長によるミャンマーへの積極的関与を引き続き支持し、ミャンマーが実施する実質的な政治的進展に対して引き続き前向きに対応する用意がある。