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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] スーダンに関するG8外相声明

[場所] ドーヴィル
[年月日] 2011年5月27日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 今年始め,我々は,南スーダンにおける平和的な住民投票を歓迎し,包括和平合意(CPA)の履行への明白なコミットメントについて,スーダン政府及び南部スーダン政府を賞賛した。本日,CPAの当事者の関係及び彼らの現行の交渉を阻害する恐れのあるアビエにおける危機を深い懸念をもって注視する。我々は,平和的な分離及び建設的な政治関係から将来もたらされるスーダンの人々の利益に焦点を当てるよう両者に要請する。

 我々は,包括和平合意及び1月13,17日のカドグリ合意を侵害する両者による軍事行動を非難する。我々は,この危機をエスカレートさせうる更なる行動を抑制及び自制することを両当事者に要請する。バシール大統領とキール大統領が,生産的かつ平和的な方法でCPAを完了させるために不可欠な水準の協力を回復する対策を講じるために協働することが重要である。我々は,タボ・ムベキ元南アフリカ大統領及びアフリカ連合ハイレベルパネルによるこの問題における取組を強く支持する。

 我々は,すべての軍事行動を停止し,アビエから直ちに部隊を撤退することをスーダン政府に求めるとともに,平穏を回復し,市民を保護し,CPAを支持しうるアビエにおける新たな安全保障の取り決めに迅速に合意することを両当事者に要請する。我々は,アビエ議定書及び常設仲裁裁判所の判決に即して,アビエの将来のステータスについて7月9日までに合意に達する重要性を両当事者に対して強調する。

 我々は,新たな安全保障の取り決めを履行する当事者を支援するために,アビエにおける国連スーダン・ミッション(UNMIS)の軍の兵力を増強する試みを強く支持する。我々は,北部スーダン及び南部スーダンの双方における一般市民に対する暴力行為を非難し,両政府に対し,一般市民を保護し,人道関係者及び国連の完全なアクセスを認めるよう求める。我々はまた,ダルフールでなお続く暴力及び不安定な状態を終結させる必要を想起し,すべての当事者に対し,合同首席調停官及びカタール政府によって調停されたドーハ・プロセスの文脈において,迅速な解決を達成するよう取り組むことを求める。

 しかし,我々が,CPAに対する継続的な支持,平和的で政治的な解決を達成するための支援,再び人生をひっくり返されたスーダン市民に対する支援,ならびにUNMIS及び将来の二つの国家の経済的な存立可能性に対するコミットメントを提供しても,我々がこの危機を解決することはできない。スーダンにおける平和を達成する責任は,不和を平和裡に解決して市民のためにより良い未来に向けた土台を準備するか,あるいは,その代わりに,北部及び南部スーダンの可能性ならびに国際社会に対して莫大なコストを課してきた暴力に訴えるかを決断する権限を有する,CPAの調印者にある。G8として,我々は,アフリカの発展を支援することにコミットしてきた。平和以上にスーダンの発展に貢献する行為はただの一つとして存在しないし,暴力への回帰以上にスーダンの発展を阻害する行為もただの一つとして存在しない。