データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ファクト・シート:食料安全保障及び栄養に関するG8 の行動

[場所] 
[年月日] 2012年5月18日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

 キャンプデービッド・サミットにおいて, G8 及びアフリカの首脳は,世界的な食料安全保障を達成するため共有されたコミットメントの次の段階である,「食料安全保障及び栄養のためのニュー・アライアンス」にコミットする。我々の目標は,アフリカの人々や首脳と協力しつつ,アフリカの農業における責任ある国内外の民間投資を増大させ,農業生産性向上を可能にするイノベーションを取り入れ,脆弱な経済やコミュニティにより発生するリスクを減少させることにある。我々は,農業を変革し,繁栄する経済を構築するに当たり,小規模農家,特に女性が果たす重要な役割を認識するとともにそれらに基づき行動する。

 「食料安全保障及び栄養のためのニュー・アライアンス」は,食料安全保障のため効果的な国家計画や政策を推進することへのアフリカの首脳によるコミットメント,適切な条件下で投資を増加させることへの民間セクターのパートナーによるコミットメント,迅速かつ持続可能な農業成長のためのアフリカの潜在力を拡大することへのG8 によるコミットメントを調整することにより,持続可能で包含的な農業成長を達成するとともに,次の10 年間で5000 万人を貧困から救い出すことへの共有されたコミットメントである。

 我々は,「ニュー・アライアンス」に対する,世界銀行,アフリカ開発銀行,国連世界食糧計画(WFP),国際農業開発基金(IFAD)及び国連食糧農業機関(FAO)の支援を歓迎する。我々はまた,国家食料安全保障の文脈において,「国家の食料安全保障の文脈における土地,漁業,森林に関する責任あるガバナンスのための任意のガイドライン」の成功裏の妥結を歓迎するとともに,「責任ある農業投資の原則(PRAI)」の幅広い協議プロセス及び試行的な適用を支援する。

 「ニュー・アライアンス」は,ラクイラの上に構築され,ラクイラの約束実現の助けとなる{前41文字下線}

 我々は,「持続可能な世界的食料安全保障の達成に必要な規模及び緊急性をもって行動すること」にコミットしたラクイラ・サミット以来,援助効果の主原則と整合的な形で,食料安全保障における二国間及び多国間の投資を増大させるとともに,ビジネスへの取組方法を変化させてきた。2012 年のG8 説明責任報告書の結果に基づき,また,「持続可能な世界の食料安全保障のためのローマ原則」に一致した形で,G8 は以下に合意する。

● 未達成のラクイラ・サミットにおける資金プレッジを迅速に実施し,二国間及び多国間援助を通じてのものを含む,現在及び将来の世界的な食料安全保障上の課題に対処する強力な支援を維持するよう追求する。

● 我々の援助が国家計画に直接調整されることを確保する。

● 効率性を向上させ,取引の負荷を軽減し,重複やかい離を除去するため,パートナー国と共にG8 戦略,援助及び国家主導プログラムの調整を強化する。

 「ニュー・アライアンス」は,パートナーシップに根差す{前26文字下線}

 アフリカのパートナー国において国家的な進展を加速するため,G8 は,各パートナーの「包括的アフリカ農業開発プログラム」(CAADP)国家投資計画の範囲内の優先活動との間で調整を行い,また,民間セクターからの予見可能な資金コミットメント,具体的な政策行動及び意思表明を含む,「ニュー・アライアンス協力枠組み」を立ち上げる。我々の努力がアフリカのオーナーシップを踏まえたものであり,重要な成果を生み出し,アフリカにおいて繰り返され得ることを確保するために,G8 は,「ニュー・アライアンス」を実施すべく,アフリカ連合,「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)及びCAADP との間でパートナーシップを組むとともに,特に「グロー・アフリカ・パートナーシップ」を強化する。G8 は,共同で,「ニュー・アライアンス」の目的を前進させるとともに,G8 メンバーは個別の要素を補完的に支援していく。

食料安全保障のための民間資本を動員するため,「ニュー・アライアンス」は以下に取り組む{前42文字下線}

● 新たな「農業インフラのためのファストトラック」の発展を含む多国間イニシアティブを通じた融資可能な農業インフラプロジェクトの準備及び資金調達を支持する。

● 公的及び民間セクターウィンドウの運用を拡充及び強化しつつ,今後3 年間で既存ドナー及び新規ドナーから12 億ドルのコミットメントを確保することを目標として,「世界農業食料安全保障プログラム」(GAFSP)を支援するとともに,各国のオーナーシップを改善し、CAADP 国家投資計画を調整するその他のメカニズムを支持する。

● アフリカ農業における追加的な民間投資の促進や,小規模農家や中規模の農業ビジネスが利用可能な資金供給の選択肢及び革新的なリスク緩和手段の拡大におけるG8 開発融資機関(DFIs)の進展を報告する。

● 農業ビジネス指標作成のための選択肢を策定するよう,他の関連パートナーと協調しつつ,世界銀行に要請する。

● グロー・アフリカ諸国における農業バリューチェーンへの30 億ドル超の投資に対する45 以上の現地企業及び多国籍企業による趣意書への署名及び責任ある形でアフリカ農業及び官民連携を支持するとのコミットメントが示されている「アフリカ農業開発支援の民間セクター宣言」の60 以上の企業による署名を公表する。

イノベーションを向上させるため,「ニュー・アライアンス」は以下に取り組む{前35文字下線}

● 持続可能な農産物収量の向上,改良された品種を含む向上した生産技術の採用,並びに生態系持続可能性の確保及び農業における生物多様性を保障する措置のためバリューチェーン・アプローチの一部としての収穫後管理の慣行・措置に関し,パートナー国において10 年間の目標を設定する。

● 熱帯農業プラットフォーム及びアフリカ稲作振興のための共同体(CARD)イニシアティブと協議しつつ、国際農業研究協議グループ(CGIAR),アフリカ農業研究フォーラム及び他の機関と共に,持続可能な収量,回復力及び栄養への影響を達成するために不可欠な食品作物の改良技術の利用可能性を分析し,採用への現在の制約を特定し,技術の採用を加速させるためのロードマップを作成する「技術プラットフォーム」を立ち上げる。

● パートナー各国における目標を達成するため,種子セクターを強化するとともに,改良された品種を含む鍵となる技術及び技術プラットフォームにより優先付けられたその他技術の商業化,流通及び採用を促進するため,アフリカ緑の革命のための同盟(AGRA)に「種子及び他の技術を拡大するパートナーシップ」を立ち上げる。

● 既存の農業関連データシステムを考慮しつつ,信頼できる農業及び関連情報がアフリカの農家,研究者及び政策担当者にとって利用可能となることを目的とした世界的なプラットフォーム設立のための選択肢を策定するため,G8 各国から入手可能な農業関連データをアフリカのパートナー国と共有し,「農業のためのオープンデータ」に関する国際会議を開催する。

● 2012 年7 月のアフリカ連合(AU)サミットにおいて,研修事業に関する情報通信技術イノベーション・チャレンジを立ち上げる。

● 国立研究機関により開発された,食料及び栄養に関する技術へのアフリカのアクセスの拡大を可能にする非営利モデルのライセンスアプローチを適用する機会を追求する。

リスクを減少させ管理するため,「ニュー・アライアンス」は,以下に取り組む{前36文字下線}

● ニュー・アライアンス国との緊密なパートナーシップの下で世界銀行及び他の国際機関により実施される国家農業リスクアセスメント戦略を完結させるため,食料及び栄養に関する安全保障並びに農業開発に対する主要なリスクを特定し,これらのリスクを管理するための選択肢を提案する権限を有する農業リスク管理のためのプラットフォーム(PARM)を支持する。

● 農家,特に小規模農家や女性の農業従事者のリスクを軽減し,収入と栄養に関する安全を向上させるため,農業指標保険の利用及び採用を加速させる国際的な行動ネットワークを創設する。このネットワークは,データ及び調査結果を蓄積し,制約を特定し,地域レベルの研修やキャパシティ・ビルディングを支援し,小規模農家や牧畜民にとって適切な手段の開発を加速させる。

● 干ばつ管理のための地域レベルのリスク・プール・ファシリティである「アフリカン・リスク・キャパシティ」の創設に向けたアフリカ連合及び加盟国政府による進展を認識しつつ,アフリカを拠点とするソブリンリスク管理手段の必要性を認識する。

栄養に関する成果を向上させ,子どもの発育阻害を軽減するため,G8 は以下に取り組む{前40文字下線}

● 栄養スケールアップ(SUN)運動を積極的に支援し,アフリカのパートナー国が自国民の栄養,特に,妊娠から子どもが2 歳になる誕生日までの1000 日間の栄養を改善するとのコミットメントを歓迎する。G8 メンバーは,子どもの発育阻害を更に減らすための強固な計画を維持することを誓約する。

● 栄養に関する分野横断的な追跡や支出の改善にコミットし,栄養に関する分野横断的な活動の調整を確保する。

● アフリカにおける食料の栄養価を改善するため,バイオ技術により栄養が強化された作物品種,作物多様性及び関連技術の加速化された公開,採用及び消費を支援する。

● 栄養に関する政策研究議題を発展させるとともに,地域の栄養学習センターを創設するため,アフリカの機関,市民社会及び民間セクターのパートナーの取組を支援する。

成果への説明責任を確保するため,「ニュー・アライアンス」は以下に取り組む{前35文字下線}

● 民間セクターによりなされたコミットメントを含む「ニュー・アライアンス」の下でのコミットメント達成に向けた進展をG8 及びアフリカ連合に報告するとともに,実施を推進し追跡するための「リーダーシップ理事会」を招集する。

● アフリカ連合と協調した形での民間セクターによる行動を含む,「ニュー・アライアンス」の実施に関し,2013 年のG8 サミットに報告する。