データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ウクライナに関するG7首脳声明

[場所] 
[年月日] 2014年3月12日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

 我々,カナダ,フランス,ドイツ,イタリア,日本,英国,アメリカ合衆国の首脳並びに欧州理事会議長及び欧州委員会委員長は,ロシア連邦に対し,ウクライナの法律及び国際法に反してクリミアの地位を変更する全ての取組を停止するよう求める。我々はロシア連邦に対し,ウクライナ憲法に直接違反するクリミアの領土の地位に関する住民投票を支持する行動を直ちに停止することを求める。

 そのような住民投票は,いかなるものも法的効力を有さないであろう。十分な準備の欠如と威嚇的なロシア軍の存在を踏まえれば,そのような住民投票は,道徳的効力を持たない深刻な欠陥を有するプロセスでもある。これら全ての理由から,我々は,その結果を承認しないであろう。

 ロシアによるクリミアの併合は,国連憲章,ヘルシンキ宣言の下でのロシアの約束,1997年のロシア・ウクライナ友好協力条約及び1997年のロシア・ウクライナ地位協定に基づく義務,並びに,1994年のブダペスト覚書における約束の明白な違反となろう。クリミアの併合は,ウクライナの統一性,主権及び領土の一体性に対する影響に加え,全ての国家の統一性及び主権を保護する法の秩序に対して重大な影響をもたらし得る。万が一,ロシア連邦がそのような措置をとれば,我々は,個別に,そして共同で,更なる行動をとる。

 我々は,ロシア連邦に対し,クリミア及びウクライナのその他の地域における紛争を直ちに緩和し,その部隊を危機以前の数に戻すとともに駐屯地に撤退させ,ウクライナ政府との直接討議を開始し,ロシアが持ち得る正当な懸念に対処するための国際的な調停や監視の申し出を利用することを求める。我々,G7首脳は,ロシアに対し,現在の危機を解決するための外交的なプロセスを通して我々と協働すること,そして,主権を有し,独立し,包摂的で統一されたウクライナのための進展を支持することを求める。我々はまた,ロシア連邦に対し,G8ソチ首脳会合の準備に関係している活動への参加を,ロシアがその方針を変更し,G8で意味のある議論を行う環境に戻るまで停止するとの我々の決定を想起する。