データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G7広島外相会合共同コミュニケ

[場所] 広島
[年月日] 2016年4月10日〜11日
[出典] G7伊勢志摩サミット公式ホームページ
[備考] 仮訳
[全文]

前文

 我々、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国の外務大臣及びEU上級代表は、国際の平和、安全及び繁栄に影響を与える数々の主要な国際的課題について議論するために、4月10日から11日、日本の広島に集まった。

 G7は、民主主義、法の支配の尊重、自由・公平で開かれた市場、領土一体性の尊重並びに人権及び国際人権法の尊重を含む共通の価値や原則を共有している。我々は、我々が共有する普遍的価値や、我々が尊重し裨益する、ルールに基づく国際秩序に対する挑戦に対し立ち向かうべく団結する。我々はテロ・暴力的過激主義、政治的不安定及び新たな安全保障上の脅威や非伝統的脅威を含むグローバルな課題に対し、連携して努力し、行動する決意である。

 我々は、「不拡散・軍縮に関するG7声明」及び「海洋安全保障に関するG7外相声明」を承認する。

地域と世界情勢

 テロ・暴力的過激主義対策

 我々は、ISIL/Da’eshやアル・カーイダといった他のテロ組織による性的暴力、性的及びその他の搾取のための女性や子供の誘拐、人質を含む文民の殺害を含む攻撃、残虐行為及び人権侵害を強く非難する。最近のテロ攻撃が示すように、ISIL/Da’eshや他のテロ組織によりもたらされている明白な人権侵害、破壊、及び無秩序は、引き続き、地域社会、国家、地域及び国際の平和と安全に対する深刻な脅威である。我々は、トルコ、ベルギー、ナイジェリア、コートジボワール及びパキスタンで起きた最近の攻撃を非難する。我々はあらゆる場所でのテロ攻撃による犠牲者とその家族に深い哀悼の意を表する。テロと暴力的過激主義に対抗し、犯人に裁きをもたらすことは、国際社会全体にとって最優先事項であり続ける。世界での暴力の過激化が拡散するのを目の当たりにする中、我々はあらゆる形態及び場所におけるテロ行為に対抗するための取組において団結している。テロは国際的な協力と一体的な対応を必要とする全世界的な喫緊の安全保障の脅威である。

 我々はISILに対抗するグローバル・コアリションが、ISIL/Da’eshを弱体化させ、最終的には打倒し、そのネットワークを破壊し、地球規模の野望を完全に否定するために継続的に取り組んでいることを歓迎する。我々は、イラク及びシリアにおいてISIL/Da’eshに対抗する作戦を強化及び加速させ、また、ISIL/Da’eshとその関連組織により影響を受けた人々に対し人道支援を強化していくという同コアリションの決意を強く支持する。

 現在の脅威のレベルに対応するため、我々は5月のG7伊勢志摩サミットでの採択に向けて、テロに対抗するためのG7及び国際的な取組を強化する具体的な施策を含むG7テロ対策行動計画を作成している。我々は、既に知られているテロリストやテロリストであるとの疑いのある人物に関する情報共有を改善するための能力構築を必要としている国を支援させるため、また、テロ組織及びテロリスト個人の逃げ場を無くすための国境・交通保安を向上するため、引き続き連携を強化する。我々は、引き続き、外国人テロ戦闘員やテロ関連の物資、テロ組織の資金の流れを阻止するために協力する。このために、我々はまた、人権の尊重を基礎とする法の支配の枠組みの中での、司法機関及び法執行機関の間の行動志向の協力の重要性を強調する。我々は、法執行機関と彼らが保護するコミュニティーとの間に、捜査、拘置、訴追、刑事罰宣告における適切な改革を通じることを含め、パートナーシップと信頼を築くことの重要性を強調する。特に、我々は、刑事司法分野における効果的なテロ対策活動のグッド・プラクティスに関するラバト覚書において設定された目標及び情報共有を促進するための司法部門の中央機関の効果的な発展を支持する。我々は、世界的な航空保安の向上にコミットしており、その目標に向けてパートナーや国際機関と引き続き緊密に協力する。同時に、我々は、国連安全保障理事会決議第2178号に即した形での乗客予約記録(PNR)及び事前旅客情報(API)の制度の使用強化の検討を含むG7諸国間の協力の促進に資するG7ローマ・リヨン・グループの取組の有益性を認識する。その観点から、我々は2015年9月のISIL・暴力的過激主義対策首脳級サミットで発表された国際刑事警察機構(INTERPOL)行動計画への支持を表明し、我々がどのように他国がその中央当局と入国地点との連結性を高めることを支援できるかを検討する。我々はまた、国際民間航空機関(ICAO)の渡航者本人確認プログラム(TRIP)及び偽造旅券の使用を阻止するための取組並びに世界税関機構の安全プログラム及び国境警備のための能力開発支援への支持を表明する。さらに、我々は、金融活動作業部会(FATF)によって現在実施されているFATF基準の実効的な履行を通じたテロ資金対策の取組の重要性を改めて確認する。

 我々はまた、テロと暴力的過激主義の拡散を助長するような根本的な条件に、経済、社会、教育面を含め対処すること、暴力的過激主義の原動力となり得る政治的、経済的な不満に対処すること、そして、人権の尊重を促進するための、平和と安全、持続可能な開発、人権、法の支配と人道的活動における共同の取組を強化する国際社会のアプローチを歓迎する。この文脈で、我々は「AllofUN」そして「Wholeofsociety」でのアプローチを歓迎し、「暴力的過激主義の防止のための国連事務総長行動計画」及び暴力的過激主義が国連憲章の目的と原則を損なうものであることを認識した国連総会決議70/254で打ち出された、国連加盟国が暴力的過激主義を防ぎ、それに対抗するためのそれぞれの戦略を立てるべきとの勧告を歓迎する。我々は特に、暴力的過激主義及び暴力につながる過激化の原動力並びにこれらに対抗していくための最も効果的な取組についての我々の共通理解を向上させるために協力する。我々は、この脅威と闘うために、国連安全保障理事会決議第2178号、2199号及び2253号を含む関連諸決議の完全な履行を呼びかける。G7は、この目的に向けて、個別の取組によって生み出される相乗効果に留意しつつ、協調した取組を続ける。我々は、「行動計画」が教育と寛容性に重点を置いていることに留意し、G7教育大臣がこの点を議論する意図を歓迎する。

 我々は、多元的共存、中庸、寛容そしてジェンダー間の平等や異文化間、異なる宗教間及び異なる信仰間の対話並びに表現の自由と宗教・信仰の自由の促進が、暴力的過激主義やテロを防ぎ、これらに対抗するための有効な手段として重要であることを強調する。我々は、テロ組織による文化遺産の破壊及び古文化財の略奪や密輸に反対する。我々は、民間及び公共の全ての関係者に対して、そのような密輸を防止するために全ての適切な手段を講じるよう呼びかける。我々はまた、政府の全てのレベル及び民間部門において腐敗対策をとることの重要性を強調する。腐敗した慣行は、少数派や他の脆弱なコミュニティーの低開発を永続化させ、暴力的過激主義者が人員を募集する中で用いる周縁化の主張を補強するものとなる。

 我々はまた、テロリストによる、テロ又は暴力的過激主義目的及び人員募集、資金調達、攻撃計画・連携等その他の犯罪目的によるインターネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の使用がもたらす脅威を想起する。そのため、我々は、インターネットを政治的な反対意見の表明を含む平和的活動のために使用する人々の表現の自由やプライバシー等の人権及び基本的自由を尊重しつつ、テロリストのインターネット上の違法行為を調査、停止及び訴追するための民間部門や市民社会、コミュニティーとの継続的な協力の必要性を強調する。我々はまた、代わりとなる前向きなメッセージを提示するために信頼できる意見を力づけることにより、テロリストと暴力的過激主義者によるプロパガンダに対抗できるよう、民間部門、市民社会、コミュニティーとの継続的な協力を探求する。G7は、この目的のために協調した取組を続ける。

シリア

 我々は、2016年2月27日に発効した敵対行為の停止を含む、シリアに長期にわたる平和と安定をもたらすための国際シリア支援グループ(ISSG)の取組を歓迎する。敵対行為の停止の全ての当事者とその支援者が、条件を完全に遵守し続け、国連安全保障理事会決議第2254号に即してアサド政権からの政治的移行に関する交渉に焦点を当てることが極めて重要である。シリアは、シリアの全てのコミュニティーを代表し、国民を守り、テロと闘い、シリアを再建することができる新たな政府を切実に必要としている。我々は、国際社会の全てのメンバーに対し、シリア全土で支援を必要とする全ての人への全ての当事者による迅速、安全かつ制限のない人道アクセスの付与を含め、国連安全保障理事会決議第2254号及び2268号を完全に履行し、また、国連によって進められているシリア人間の交渉を通じ、かつジュネーブ・コミュニケに基づいた、包摂的かつ平和的な政治的移行にコミットすることを強く呼びかける。我々は、高級交渉委員会に対する支持を改めて表明する。我々は、シリアの人々の継続的な苦難とシリアにおける深刻な人道状況に深い懸念を表明し、政権とその支援者に対し、女性及び子どもを含む恣意的に拘束されている全ての人々を解放すること、国際人道法及び人権上の義務を遵守すること、そして、紛争下の文民と民生インフラへの損害を避けることを呼びかける。我々は、シリア難民・国内避難民及びシリア内外の受入れコミュニティーの強靱性を支援すること、並びに長期的かつ持続可能な紛争後のシリアの安定化及び復興に向けて取り組むことへの強いコミットメントを改めて表明する。我々は、国連調査委員会のマンデートが更新されたことを歓迎する。我々は、国際社会に対し、「シリア及び地域支援に関する2016年ロンドン会合」でなされた財政的なコミットメントを迅速に拠出することを呼びかける。

 我々は、2015年を通じてシリアで継続的に化学兵器が使用されていたとの化学兵器禁止機関(OPCW)の事実調査団報告に深刻な懸念を表明し、使用者を特定しその責任を負わせることの重要性を強調する。我々は、OPCW執行理事会がシリア政府の化学兵器の宣言に関して多くの未解決のギャップ、非整合性、矛盾があることを見つけたことにつき、更に懸念しており、それは対処されなければならない。我々はまた、シリアによる保障措置協定の不遵守を国連安全保障理事会及び国連総会に報告した2011年6月9日の国際原子力機関(IAEA)理事会決議にもかかわらず、シリアがいまだに不遵守を是正していないことに深刻な懸念を表明する。

難民、非正規移民、国内避難民

 難民、非正規移民及び国内避難民の流れが第二次世界大戦以降最高レベルにある中で、G7は、この世界的な危機とその非人道的な帰結という課題に対応し、成功裡に管理することを最優先する。こうした状況は、特に子供や女性への苦痛や虐待、搾取及び砂漠や海上での受け入れ難い死をもたらしている。また、最も影響を受けている諸国には厳しい圧力を与えている。人権と国際的な義務を完全に尊重しつつ、移民の流れをあらゆる側面から管理するための、国際社会による果断な対応が必要である。

 強制移動は多面的な現象であり、紛争、国家の脆弱性と安全の欠如並びに人口構成、経済及び環境の変化からもたらされる根本原因に対処する必要がある。そのため、国際社会は、紛争予防、安定化、紛争後の平和構築に向けた取組を強化し、貧困を削減し、平和、グッドガバナンス、法の支配及び人権の尊重を促進し、包摂的な経済成長を支援し、並びに基礎的サービスの提供を向上させるための解決策を見出すことに集中する必要がある。「シリア及び地域支援に関する2016年ロンドン会合」で発表された長引く紛争への新たなアプローチに即し、我々は、全ての国際社会のメンバーに対し、難民及び国内避難民を保護及び支援し、コミュニティーにおける能力の構築と強靱性の向上を行うことのコミットメントを強化し、かつ、関連国際機関の取組を支持することを緊急に呼びかける。我々は、昨今の、「持続可能な開発目標16」及び「脆弱な国家への取組についてのニューディールの原則」に対する我々のコミットメントを再確認した「ストックホルム国際対話グローバル会合」を称賛するとともに、5月にイスタンブールで開催される「世界人道サミット」及び9月の国連総会に際しての関連のハイレベル会合に期待する。

 我々はまた、移民の密入国や人身取引に対する闘いのための取組を、出自国、中継国及び行き先国と協力しながら強化し、この目的のため、関連国際条約、特に国連国際組織犯罪防止条約並びにその付属議定書である密入国議定書及び人身取引議定書の実施を呼びかける。

イラク

 我々はイラクの統一、主権及び領土の一体性に対する継続的な支援にコミットする。我々は、イラク軍によるISIL/Da’eshに対する闘いへの取組を称賛する。我々は、ISILに対抗するグローバル・コアリションによる継続的な支援を受けながら2014年にISIL/Da’eshが支配していた地域の40%を解放したイラク軍の勇敢さと犠牲を認識する。我々は、国民和解と包摂的な統治を通じて、出身や信仰を問わず全てのイラク人が参画することを促進するための改革を継続し、加速するとのアバーディ首相とその政府による取組を支持する。我々は、人権状況を改善し、全ての虐待や違反行為の申し立てを調査し、加害者に責任を負わせることに対する彼らのコミットメントを歓迎し、国際人道法を完全に尊重することの重要性を改めて表明する。我々はまた、イラクによる「女性・平和・安全保障に関する国家行動計画」の履行への継続的なコミットメントを歓迎する。我々は、包摂的で、政府が統制するイラク軍を再建する必要性を強調し、全ての武装集団は、イラク国家の指揮と命令下におかれなければならないことを強調する。我々は、イラクにおけるISIL/Da’eshによる化学兵器の製造及び使用の申し立てに深刻な懸念を持って留意し、イラク政府による調査を歓迎するとともに、地域と国際の安全への極めて深刻な脅威を軽減するために、OPCWと共に取り組むことにコミットすることを表明する。

 我々は340万人以上の国内避難民を含むイラクの人道状況を引き続き懸念しており、ドナー国に対し、支援を必要とする人々に支援が届くよう、イラク全土で人道支援を実施することにより、この危機に引き続き対応するよう呼びかける。我々はまた、パートナーに対し、イラク当局、国連及びその他の国際機関と緊密に協力しつつ、ISIL/Da’eshから解放された地域における安定化のためのイラクの取組を支援するよう呼びかける。

 我々は、財政面での課題に対処するイラクの取組を支援することにコミットする。我々はまた、イラクに対し、財政上の脆弱性に直接対処し、また、更なる国際的財政支援へのアクセス促進を助けるための重要な経済改革プログラムの履行を前進させることを呼びかける。我々は、原油の廉価、ISIL/Da’eshとの闘い及び人道危機という三重のショックが、イラク・クルディスタン地域を含めイラクにとって深刻な経済問題を招き、イラクのISIL/Da’eshと闘うための能力並びに復興と国内避難民及び難民への支援の取組に対する脅威となっていることを認識する。G7は、イラクの経済改革プログラムや財政上の脆弱性に直接対処する取組を支援するために、イラクに適切な形で資金を供与し、資金供与を促進するために、国際通貨基金(IMF)及び国際金融機関を含め、協力することへのコミットメントを確認する。この支援によって、イラク・クルディスタン地域を含む全てのイラク人が裨益することが極めて重要である。

イラン

 我々は、包括的共同作業計画(JCPOA)の履行を歓迎する。G7は、イランの核関連のコミットメントの監視と検証に責任を有するIAEAの活動を含め、JCPOAの完全かつ効果的な履行を引き続き積極的に支援する。我々は、全ての国連加盟国に対し、国連安全保障理事会決議第2231号の規定で求められている措置を効果的に履行し、IAEAの活動を支援するための任意拠出を検討することを呼びかける。

 JCPOAの履行は、イランと国際社会との新たな関係を築く機会を創り出した。我々は、このような中、国連安全保障理事会決議第2231号に背馳する弾道ミサイル実験を実施するとのイランによる決定を遺憾に思う。我々は、イランに対して、シリア、イラク、イエメンやその他の地域での政治的な解決、和解及び平和を実現するための取組に貢献することにより、地域において建設的な役割を果たすこと、テロや暴力的過激主義の拡散を防ぎ、それらに対抗するために協力することを呼びかける。我々はまた、イランに対して、報道関係者を含む表現の自由、信教又は信仰の自由、及びその他の人権の尊重を含む国際的な人権に関する義務を果たすこと、義務に違反して行われる恣意的な処刑を廃止することを呼びかける。

北朝鮮

 我々は、北朝鮮による1月6日の核実験並びに2月7日の弾道ミサイル技術を用いた発射及びそれに続く複数の弾道ミサイルの発射を最も強い表現で非難する。これらの度重なる挑発行動は地域の安定を損ねるだけでなく、国際の平和及び安全に対して深刻な脅威を与えるものであり、複数の国連安全保障理事会決議の明白な違反である。我々は、北朝鮮に対し、今後いかなる核実験や弾道ミサイル技術を使用した発射も行わないこと、また、その他の不安定化をもたらす行動や挑発的な行動も行わないことを要求する。

 我々は、国連安全保障理事会決議第2270号が全会一致で採択されたことを歓迎し、北朝鮮に対し、関連する全ての国連安全保障理事会決議及び2005年9月19日の六者会合共同声明の下でのコミットメントを即時かつ完全に遵守し、全ての核兵器並びにウラン濃縮計画及びプルトニウム生産計画を含む既存の核・弾道ミサイル計画を完全で、検証可能なかつ、不可逆的な方法で放棄するよう改めて強く要求する。我々はまた、国際社会に対して、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画が国際の平和と安全に与える明白かつ継続的な脅威に対応するため、関連する国連安全保障理事会決議、特に同決議第2270号を完全に履行し、執行するよう呼びかける。

 我々は、2014年の国連調査委員会(COI)報告書に記載されたような、北朝鮮で現在行われている組織的、広範かつ深刻な人権侵害を遺憾に思う。我々は、北朝鮮に対し、拉致問題を含む国際社会の人道及び人権上の懸念に直ちに対処するよう強く求める。この観点から、我々は、説明責任の確保に向けて継続して取り組むことの重要性を強調する第31回国連人権理事会における北朝鮮人権状況決議の採択及び国連安全保障理事会における「北朝鮮の状況」に関する活発な議論を歓迎する。

ウクライナ/ロシア

 我々は、ウクライナにおける紛争は、外交手段によって、また国際法、特にウクライナの主権、領土の一体性及び独立を尊重する法的義務の完全なる尊重によってのみ解決され得るとの確信をもって連帯する。我々は、国際法の違反であるロシアによるクリミア半島の違法な併合に対する非難を改めて表明し、同併合の不承認政策及び関係者に対する制裁を再確認する。

 我々は、ミンスク合意の完全な履行及びウクライナ東部の紛争の平和的な解決の確保を目指すノルマンディー・フォーマットと三者コンタクト・グループでの取組への最も強い支持を強調する。我々は、停戦合意に反して、コンタクト・ライン沿いでいまだに暴力行為が続いていることを懸念し、全ての当事者に対しミンスク合意の下で要求されている完全な停戦に至るための具体的な行動をとることを求める。我々は、全ての当事者に対し、欧州安全保障協力機構(OSCE)の関連基準及びウクライナ国内法に合致し、OSCE/ODIHRによって監視される地方選挙の実施、全ての外国軍部隊及び装備のウクライナ領土からの完全な撤退、国境線のウクライナ側の地域のウクライナ管理下への復帰、必要としている人々への人道支援への安全なアクセスとその供給を含め、遅滞なくミンスク合意の下での責任を完全に果たし、コミットメントを完全に履行するよう改めて呼びかける。特に、我々は、ロシアが自国のコミットメントに従って行動し、ミンスク合意におけるコミットメントを履行させるよう分離派に対し影響力を行使することを期待する。

 我々は、OSCEが、特別監視団(SMM)及び国境監視団(OM)を通じ、また、三者コンタクト・グループの中で、危機の緩和に資する形で主要な役割を果たしていることを強調し、OSCEがミンスク合意に建設的に対応していることを称賛する。我々は、OSCEの活動とアクセスを妨害する行為に失望し、全ての当事者、特に分離派に対し、OSCEの監視要員に紛争地域全域への完全かつ妨害されないアクセスを提供するよう呼びかける。この関連で、我々は、ロシアに対し、OSCE/SMMが効果的に任務を実行するために必要な環境を提供する目的で、自らの影響力を行使することを呼びかける。我々は、全てのOSCE参加国に対して、上述の妨害行為が中止されるよう、これらの責任を果たすために必要な全ての支援をOSCEに提供することを呼びかける。

 我々は、制裁の期間はロシアのミンスク合意の完全な履行及びウクライナの主権の尊重に明確に関連付けられていることを想起する。我々は、ロシアがこれまで自らが行ったコミットメント及び国際法を遵守することを確保するために、そして、この危機に対する包括的、持続可能かつ平和的な解決に至るために、ロシアとの対話を維持する重要性を認識する。

 さらに、我々はロシア政府がとる方向性に同意しないとの声を上げる政治家や市民社会の代表に対する圧力が強められているのみならず、ロシアの国家統制下にあるメディアが虚偽情報キャンペーンを継続していることを引き続き懸念する。

 我々は、ウクライナの改革アジェンダ及びこの目的のために長期的な支援を行うことに引き続き完全にコミットしている。我々は、ウクライナが包括的な構造改革を実施するためにとっている措置を称賛及び支援するとともに、ウクライナに対し、特に具体的な進捗が求められている汚職対策の分野で、現在あるモメンタムを維持し、引き続き困難な決断を下すよう求める。我々は、財政的及び技術的な支援を提供するために、国際金融機関及び他のパートナーと引き続き協働する。キエフにおける政治状況の安定は、これらの重要な改革の鍵である。我々は、現在進行中のG7ウクライナ・サポート・グループによる取組を歓迎し、キエフ駐在のG7大使に対し、G7諸国とウクライナ当局との対話と調整のためにそのプラットフォームを継続するよう求める。

 エネルギー安全保障は、ウクライナ及び世界にとって引き続き重要な課題である。我々は、より多様で強靱な国際エネルギーシステムを構築するために、エネルギー安全保障のためのローマG7エネルギーイニシアティブに対し引き続きコミットしている。

リビア

 我々は、国民統一政府(GNA)のトリポリへの移転を歓迎し、リビアの唯一の正統な政府としてのGNAと緊密に連携していく。我々はまた、リビアの指導者たちに対し、リビアの国民に対して責任を有する国民統一政府を支援するため、この機会を活用し、共に取り組むことを呼びかける。我々は、全ての国連加盟国に対し、国連安全保障理事会決議第2259号に従い、併存し、機能していない機関との全ての接触を停止するよう呼びかける。我々は、2015年12月17日にスキラトにおいて署名されたリビア政治合意の完全な履行を促進するコブラー国連事務総長特別代表の努力に対し、全面的な支持を表明する。同時に、我々は、増大するテロの脅威、人身取引、移民の密入国、非人道的な苦難、人権擁護者と人道支援従事者の標的化及び国の財産の枯渇について引き続き深く懸念している。我々はまた、全てのリビア関係者に対し、現場のニーズへの対応を改善するために人道支援機関へのアクセスと安全を確保するよう呼びかける。国際社会は、リビア政治合意の履行を促進し、治安部隊を含む効果的な国家機関を構築し、公共サービスを回復し、非人道的な苦難を和らげ、インフラを拡大し経済を多様化し、移民の流入を管理し、テロの脅威と犯罪ネットワークを根絶するために、国民統一政府及びリビア国民に対して大規模な支援パッケージを提供する用意がある。我々は、リビアに残存する化学兵器前駆体が早急に廃棄されることが重要であることを強調する。より広い観点からは、我々は、通常兵器の違法な取引と闘うための協力、特にサヘル地域における協力を歓迎する。

アフガニスタン

 我々は、アフガニスタン及びその国民への揺るぎないコミットメントを保持し、アフガニスタン治安部隊(ANDSF)を強化するための訓練、助言及び支援任務を行うNATO主導の国際的関与の継続を歓迎する。我々は、アフガニスタンにおける安全と安定に対する継続的な脅威を引き続き懸念し、特に四か国調整グループによる和平プロセスを促進し、アフガニスタン政府とタリバン及びその他のグループとの和解を促す国際的な取組を強く支持する。アフガニスタン政府がグッドガバナンス、選挙制度強化、持続可能な開発、基礎的サービスの効果的な提供、腐敗及び麻薬対策措置、そして、法の支配と人権、特に女性の権利の尊重に向けての改革を行っていることから、我々はアフガニスタン政府への支援を引き続きしっかりと行う。この文脈において、我々は国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)のマンデートが、国連安全保障理事会により最近更新されたことを歓迎する。我々は、アフガニスタンに対する治安及び開発に関する支援についてのコミットメントを更新するための重要な機会となる2016年7月のNATOワルシャワ・サミット及び2016年10月にブリュッセルにおいて開催されるアフガニスタンに関する閣僚級会合に期待する。アフガニスタンにおいてこれまで達成された進展を基礎とし、これを強化していくためには、治安、政治、財政及び開発の分野における継続的な支援が不可欠である。持続的な国際的支援には、アフガニスタン政府の改革に対するコミットメントにつき、継続的かつ具体的な進展が求められる。

中東和平プロセス

 中東和平の達成は、引き続き主要な優先課題であり、地域の安全のために不可欠な要素である。我々は、双方に対し、交渉の結果を予断し、二国家解決の実現を脅かし得る一方的な行為を含め、更に状況を悪化させるような措置を避けるよう求める。我々は、当事者に対し、国際社会による積極的な支援と共に、二つの国家が平和かつ安全に存在することを基礎とした交渉による解決に向けて取り組むことを呼びかける。我々は、この目標に向けた国際社会の努力を称賛する。

イエメン

 我々は、イエメンで進行している紛争を懸念している。我々は、サウジアラビアとイエメンの国境における戦闘の停止と、4月10日の戦闘の停止及び4月18日のクウェートにおける和平交渉の開始に当事者が合意したとのイスマイール国連特使による発表を歓迎する。我々は、全ての当事者に対し、戦闘停止に向けて取り組むこと及び国連安全保障理事会決議第2216号に適合する形で包摂的かつ平和的な政治的解決に参画することを呼びかけることにより、イスマイール特使の声明を改めて表明する。我々は、イエメン国民の悲惨な非人道的状況を緩和するために、イエメン国内の全ての地域及び全ての社会的集団への迅速、安全かつ阻害されない人道支援アクセスが重要であることを強調するとともに、紛争の全ての当事者に対して市民に危害を与えることを避けるよう呼びかける。我々は、国連安全保障理事会決議第2216号及び関連するその他の国連安全保障理事会決議に基づいて、イエメンが政治的移行を再開できるよう、イエメンにおける暴力に終止符を打ち、全ての当事者を再び交渉のテーブルに戻すための、国連特使の努力への強い支持を改めて表明する。

ドーヴィル・パートナーシップ

 我々は、移行期にあるアラブ諸国(ACTs)が直面する政治的、経済的及び社会的な課題に対処するために、ドーヴィル・パートナーシップの履行へのコミットメントを改めて表明する。我々は、ACTsの経済発展、安定及び民主化を支援する上で、長期的な構造改革と改善されたガバナンスを通じた堅実な財政的及び経済的な発展を促すために、これらの国を支援することに引き続きコミットする。我々は、これを達成するために市民社会が果たす役割を再確認する。

アフリカ

 我々は、安定、安全、グッドガバナンス及び経済的機会が繁栄の基礎であることを確信し、したがって、アフリカにおいて、テロ・暴力的過激主義への対抗、紛争の予防と解決及び持続可能な開発と強靱性の促進に向けた努力を支援する。我々は、現下の課題、特に暴力につながる過激化の直接的及び根本的な原因の双方に対処する必要性を想起する。我々は、アフリカにおける経済成長、及び、ブルキナファソ及び中央アフリカ共和国における移行が成功裡に終結したことを含め、最近数多くの国で平和裡に行われた選挙に例示されるような、アフリカにおける民主主義的制度の強化における進展を歓迎する。いくつかのアフリカ諸国における来たる選挙に関し、我々は、それらの国に対して、憲法に従った自由、公正かつ信頼のおける選挙を確保するよう呼びかける。同時に、地球規模の経済的な課題、著しい人口増加、そして多くの国々で継続するガバナンスの課題に直面する中で、我々は、これらの分野における一層の進展が必要であることを認識する。我々は、持続可能な開発目標を含む持続可能な開発のための2030アジェンダとアディス・アベバ行動目標の履行並びにアフリカ開発会議(TICAD)、EUアフリカ・パートナーシップ、及び米アフリカ・リーダーズ・サミットを通じて、アフリカ各国のオーナーシップに基づくアフリカ全土における平和と持続可能な開発を支援するために、アフリカ諸国との二国間及び多国間パートナーシップに投資するとの我々のコミットメントを再確認する。

 我々は、この目的に向けて、ブルンジ、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、ソマリア、南スーダン、スーダン、サヘル地域及びアフリカの角地域を含むアフリカ大陸における安全、ガバナンス、安定、経済運営及び開発の課題への対処に当たり、アフリカ連合及び関連する準地域機関を含むアフリカのパートナーを引き続き支援していく。

グローバルな課題

サイバー

 我々は、開かれ、自由で、安全なサイバー空間の重要性及びオフラインのみならずオンラインにおいても人権を促進し、保護することの重要性を強調しつつ、情報の自由な流通の重要性を再確認し、情報の自由な流通に対する過度な制約や不当な規制に反対する。我々は、情報通信技術(ICT)環境においては、その他の全ての環境における場合と同様に、国家が、安全、安定及び繁栄を促進する特有の責任及び役割を有することを認識する。我々は、特に、政府、民間セクター、市民社会、技術コミュニティー及び国際機関による十分かつ活発な参加を含め、インターネットガバナンスに関するマルチ・ステークホルダーアプローチへのコミットメントを再確認する。我々は、地球規模課題に取り組み、持続可能な開発のための2030アジェンダに関する進展を達成するために、ICTを活用することにコミットする。

 我々は、国家の支援を受けた主体及び非国家主体によるものを含め、サイバー空間の悪意ある利用に関する懸念を共有する。我々は、国連憲章を含む既存の国際法がサイバー空間において適用可能であることを強調する。我々は、国連政府専門家会合第4会期の報告書を歓迎し、全ての国がこの報告書の評価及び勧告を指針とすることを呼びかけるとともに、第5会期の国連政府専門家会合の設立に期待する。我々は、全ての国がサイバー犯罪に関するブダペスト条約に参加することを奨励する。我々は、G7ローマ・リヨン・グループのハイテク犯罪サブグループ及びその24/7ネットワークによる取組の重要性に対する支持を再確認する。我々は、サイバー空間における法の支配、能力構築、信頼醸成及びサイバー犯罪との闘いを促進するための協力を強化することにコミットする。

宇宙

 宇宙活動は、全ての国家の社会、経済、科学及び技術的な発展並びに地球規模の課題への対処に大きな潜在性を有している。我々は、引き続き、衛星破壊能力の開発を懸念している。我々は、宇宙環境の長期的な安全、セキュリティ、持続可能性及び安定性を向上させ、宇宙活動の透明性を向上させ、全ての宇宙活動に関する責任ある行動の規範を強化することにコミットしている。

気候変動と安全保障

 我々は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国が第21回締約国会議(COP21)においてパリ協定を採択したことを歓迎する。我々はまた、フランス政府が発揮したリーダーシップを称賛する。我々は、締約国、特に主要排出国に対し、可能な限り早期にパリ協定に署名及び批准、受諾又は承認し、速やかな発効を可能にするよう促す。我々は、パリ協定の効果的な履行に向けたルールとガイドラインを作成し採択する取組に、積極的かつ建設的に、参画する。我々は、モントリオール議定書の下でハイドロフルオロカーボン(HFC)対策に向けた作業を行うとの同議定書締約国によるドバイでの決定を歓迎するとともに、HFCの段階的削減に係る同議定書改正の2016年中の採択を支持し、その実施に向け、改正が採択された後には、同議定書多数国間基金を通じて追加的支援を提供する考えである。

 我々は、気候変動が地球規模の安全保障や経済の繁栄にとって深刻な脅威であることを改めて表明し、外交政策がこの課題に効果的に対処しなくてはならないとの見解を共有する。この文脈で、我々は、G7「気候変動と脆弱性」作業部会が我々に提出した報告書を歓迎し、その勧告を支持し、気候脆弱性リスクの課題に引き続き取り組む必要性を確認する。我々は、地球規模の気候変動を受け、政府全体を通じて気候脆弱性に関する考慮を統合するための措置を講じることを含め、強靱性を高め、脆弱性を低減するという共通の目的に向けた我々の取組を連携することにより、気候脆弱性の予防に優先的に取り組む。

人権

 我々は、人権の促進と保護に対するコミットメントを確認する。我々は、人権は普遍的、不可分、相互依存的かつ相互関連性があり、多元的共存は我々の社会における脅威ではなく、その強さの源であると確信する。我々は、国際人権法及び国際人道法の下での義務を遵守することは平和及び安全の礎であることを想起する。

 我々は、人権の擁護者が人権侵害や違反に対して勇気を持って声を上げ、あるいはそれらを単に記録したというだけでますます攻撃や嫌がらせの対象となっていることに留意する。我々はまた、世界の多くの場所で、政治活動や報道の自由、市民社会空間への政府による公式及び非公式の制限が増加していることを懸念している。我々は、人権擁護者及び市民社会組織に対する制限の増加にかかわらず、彼らの安全をより広く確保するための取り組みを進めるとともに、人権団体と市民社会組織の重要なネットワークを支援する取組を進める。

女性・平和・安全保障及び紛争下の性的暴力防止

 我々は、懸念すべき割合で見られる児童婚、早婚及び強制婚を含む紛争下や災害時及び災害後における女性や女児に対する性的暴力を含むジェンダーに基づく暴力の蔓延に愕然とし、紛争下の性的暴力防止に関するG8宣言の実施に関する最近出版されたG7報告書を再確認する。この文脈で、我々は、加害者の責任を問いつつ性的暴力に対処し、被害者の支援を行うことの重要性を再確認する。我々は、性的暴力が女性や女児だけではなく、男性や男児に対しても行われていることを留意する。全てのジェンダーと年齢層の被害者が、認識され、支援されるべきである。

 女性の人権、エンパワーメント及びジェンダー間の平等を促進する中で、我々は、紛争予防・解決、調停、平和構築・維持、人道上の対応及び紛争後の復興の全てのプロセスにおける女性の積極的で意味ある参画の重要性を再確認し、和解とコミュニティーの強靱性の強力な担い手としての女性の役割を認識する。

 この文脈で、特に上述の状況下で、我々は、持続可能な平和と安全の維持・促進及びテロ・暴力的過激主義との闘いにおける女性の平等な参画を促進するために行われている国際社会における取組を歓迎する。我々は国連安全保障理事会決議第2242号の採択及び女性が輝く社会に向けた国際女性会議(WAW!)を始めとする会議を通じた取組を歓迎する。

 我々は、この重要な課題の履行を確かなものとするため、全ての国家に対して、昨年の国連安全保障理事会決議第1325号に関するハイレベル・レビューで行ったコミットメントを履行することを呼びかける。

平和維持・平和構築

 我々は、国連平和活動及び平和構築に関する進行中の改革プロセスを支持し、国連加盟国、国連システム並びに関連する国際及び地域のパートナーに対し、紛争の予防、緩和及び解決や、紛争下の文民保護、関係する国・地域の平和と安定の定着に向けたアプローチを改善するために更に取り組むことを呼びかける。我々は、PKOサミットにおける国連平和維持活動に対する追加的な貢献のプレッジを歓迎し、その迅速な履行を強く求める。

 この文脈で、我々は、アフリカその他の諸国の能力構築に向けた二国間及び多国間の協力の連携を向上させ、また国連、要員派遣国(TCCs)及び第三国の三角パートナーシップという新しいアプローチを促進するためのG7の専門家の取組を歓迎する。我々は、全ての国に対し、国連安全保障理事会決議第2272号で要請された施策の履行を含む、性的搾取・虐待に関する国連事務総長の不寛容政策を支持し、これを完全に遵守することを呼びかける。

腐敗対策

 腐敗問題に対処することは、経済成長、我々の安全の維持、貧困削減、将来世代のための環境保護及び暴力的過激主義を助長する可能性がある長年にわたる経済的な不満に対処するために非常に重要である。我々は5月12日に英国が主催する腐敗対策サミットを、G7、G20、国連腐敗防止条約締約国会議、OECD贈賄防止条約閣僚級会合及び他の関連国際フォーラムでの取組と共に、腐敗防止のための行動を促し、今後3-5年間の国際社会の優先事項を設定するものとして支持する。同サミットは、世界の腐敗対策のアーキテクチャーに重要な役割を果たしている各国首脳や国際機関の長を集め、腐敗対策への国際社会のコミットメントの履行に焦点を当てるものとなる。

麻薬対策

 我々は、新精神活性物質(NPS)の脅威を含む、世界の麻薬問題によって生じた人類の健康及び福祉、発展、安定性、そして地域と国際の安全への損害に深い懸念を表明する。我々は、EUのコカイン・ルート、ヘロイン・プログラム及びその他の多くの薬物乱用防止、早期発見、治療及びケア、社会復帰といったプログラムを含め、麻薬取引の地域横断的な性質に対処するG7パートナーの取組を称賛する。

 この文脈で、我々は、4月19日から21日にニューヨークで開催される国連麻薬特別総会が、麻薬問題についての具体的で、実践的でかつ証拠に基づいた解決策の定義、発展及び履行に向けた重要な一歩であることを強調し、国際社会の全ての構成員に対して、既存の麻薬条約に基づく枠組みの下で、そのような統合されバランスのとれた麻薬対策の発展と履行に協力するよう求める。

国際保健及び健康安全保障

 エボラ出血熱やジカ・ウィルスによって生じた公衆衛生上の緊急事態は、感染症によって生じる人的及び経済的損失を強調するものである。我々は、持続可能で強靱な保健システムの推進と、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の目標3の国際的達成のための外交政策の役割を再確認する。我々は、世界健康安全保障アジェンダを含む様々な取組を通じて、自然発生的、故意的または偶発的なものであるかを問わず、各国が公衆衛生上の緊急事態やバイオ脅威に備え、予防し、検知し、通知し、対応する能力を得るために、共通で測定可能なターゲットを活用しつつ、国際保健機関(WHO)の国際保健規則(IHR)(2005年)の履行を、国際獣疫事務局(OIE)及び国連食糧農業機関(FAO)と協力しながら支援することに引き続きコミットしている。また、我々は、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)への増資、及びエボラ出血熱の流行による壊滅的な打撃から回復しつつある諸国を支援し保健システムの能力強化を行うことにも引き続きコミットしている。我々は、薬剤耐性(AMR)が人命に与える深刻な脅威を認識し、ワンヘルス・アプローチで対処することにコミットしている。我々は、WHOのAMRに関するグローバル・アクション・プランでのコミットメントに基づき、本年、G20及び国連総会において、更なる行動をとる考えである。我々は、感染症の脅威を予防し、検知し、対応する能力の強化への支援を提供する大量破壊兵器及び物質の拡散に対するグローバル・パートナーシップへのコミットメントを改めて表明し、その取組、特にバイオ脅威に対抗するための能力強化の取組を歓迎する。

(了)