データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国際人道法の実施の促進

[場所] 
[年月日] 2018年4月23日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

背景

 武力紛争の最も損害を与える影響は、国際人道法の実効的な実施の欠如に起因し得る。したがって、国際人道法の実施の向上は、目に見える形で武力紛争の効果を緩和させ、文民の保護を向上させる。G7諸国を含む多くの国家は、国際人道法の義務を実施するための強固な計画を有している。1949年のジュネーブ諸条約はほぼ普遍的に受諾されているにもかかわらず、国際人道法の深刻な違反は、世界の武力紛争におけるいくつか複数の状況において引き続き確認されている。これらには、文民又は非軍事的な対象物、医療施設、医療従事者及び人道支援要員、軍事目的で使用されていない学校の意図的な標的化を伴うような違反、文化財に対する敵対行為、及び人道アクセスの恣意的な制限等が含まれる。

コミットメント

 武力紛争下での国際人道法の尊重の重要性の再確認及びグッド・プラクティスの共有を通じ、G7諸国は、武力紛争により影響を受けている文民の保護を強化するために、パートナーによる国際人道法の実効的な実施を促進することによって模範を示すことができる。G7諸国は、パートナーによる国際人道法の誠実な遵守を期待する。したがって、G7外相は、武力紛争の当事者である国家及び関連する場合には非国家主体に対し、特に国際人道法の実効的な実施を奨励するために、支援を行っていくことにコミットした。武力紛争の当事者に対する支援の提供と国際人道法の遵守とを結びつけることにより、国際人道法のより一層の遵守を促進し、それに伴い、武力紛争地域における人々の不要な苦しみを減少させることにつながる。

 G7外相は、パートナーによる国際人道法の実効的な実施を促進することを目的とした実際的な措置にコミットした。具体的には、G7は適切に、

・国際人道法の尊重を強化するとのパートナーからのコミットメントを追求する。

・国家及び関連する場合には、非国家のパートナーが国際人道法を自らのドクトリン、教育、実地訓練、作戦意思決定プロセス及び交戦規定に取り入れることを支援することによって、そのようなパートナーの国際人道法を実施するための能力強化を継続する。

・国際人道法違反が生じた際に、パートナーの規律上及び/又は司法上の構造が効果的に自らの国際人道法違反に対処し、適用可能な国際法上の要件に従い、責任を追及することができるようになっていることを確保する上で、パートナーを支援する。