[文書名] トロント・コミットメント,民主主義の保護‐外部からの脅威への対処
背景
G7は、基本的自由、人権及び法の支配の尊重といった共通の民主的価値を共有する。我々は、国家間の協力及び安全と共に、自由で開かれ、良く統治され、多元的、平和的で、繁栄する社会の維持・発展にとり中核的な規範及びルールに基づく国際秩序にコミットする。威圧、不正行為、秘密又は悪意のある手段により民主的機関及び手続を弱体化しようとする外部の主体は、民主的価値を共有する他の諸国と共に、我々が共に立ち向かうことをコミットする戦略的脅威である。
効果的にこの脅威に対処することは、人権及び基本的自由を尊重し、政府及び市民社会や民間を含む非政府のステークホルダーとの協議により発展された、調整した多面的なアプローチを必要とする。我々は、政治目的を含む個人データの不適切かつ非合法な活用に関する透明性の向上のためのG7による民間との関与を歓迎する。
我々は、情報を共有し、行動を調整し、我々の民主主義を強化し、社会の強靱性を強化するための戦略を策定することにコミットする。これらの戦略は、ジェンダー間の平等、人権、及び各国の法制度を完全に反映するものとする。我々は、協力を促進するために、G7各国におけるフォーカル・ポイントを特定する。我々は、シャルルボワ・サミットまでに、我々の民主主義を強化し、諸国の民主的システムへの介入に対処するための調整されたアプローチを示す助言を首脳に提供することにコミットする。ここに言う介入とは、例えば、以下のとおりである。
民主的機関及び手続:
民主的機関及び手続に対する信頼及び正当性を弱める悪意のある意図を持った外部の主体による行動又は措置。自由で公正な選挙手続及び選挙インフラの健全性又は秘密性を弱めることに特別な考慮が向けられている。これには以下のものが含まれ得る。
・市民による投票登録又は投票の妨害又は阻害。
・選挙結果の不正操作。
・有権者又は政党のデータベースの盗難又は操作。
・選挙システムへの侵入。
・特に女性及び脆弱な集団といった政治的主体に対する恐喝又は脅迫。
虚偽情報及びメディア:
多くはサイバーにより可能となる活動により、独立メディアへの信頼を低下させ、公共の議論を操作し、プライバシーを侵害する悪意を持った外部の主体による行動又は措置。これには以下のものが含まれ得る。
・嫌悪を広げることや、多くはサイバー活動により、開かれた議論を制限、管理、操作することを試みる虚偽情報の悪意のある拡散。
・不正確な情報を意図的に拡散するためのソーシャルメディア・アカウントやウェブサイトの乗っ取り。
・メディア関係者への恐喝又は脅迫。
基本的自由及び人権:
正当な人権及び表現の自由を含む基本的自由の行使を防ぐために悪意のある意図を伴い、我々の各国に住む個人に対して、影響を与え、圧力をかけ、又は脅迫する外部の主体による行為又は措置。
我々は、民主主義を保護し、強化するためのコミットメントにおいて結束する。我々は、国内外において、G7及びその他による民主的機関及び手続を強化するための継続する努力を支持し、奨励する。加えて、我々はG7に以下のことを求める。
・潜在的な外部からの介入に対して、脆弱な民主主義を支援し、
・抑止の行動を調整し、
・脅威情報の共有を改善するとともに、
・適切な場合には、サイバー犯罪者の特定及び対応メカニズムに係るプロセスを共同で発展させる。
我々の努力は、持続的かつ包摂的な民主主義の不可欠な礎石としての、透明性及び責任に対する共有されたコミットメントにより導かれたものである。