[文書名] デジタルの文脈における性的及びジェンダーに基づく暴力,虐待及びハラスメントの撲滅に対するシャルルボワ・コミットメント
‐ あらゆる形態の性的及びジェンダーに基づく暴力,虐待,インターネット上のいじめ及びハラスメントは容認できず,自由で平等な社会への障害である。技術は,ジェンダー間の平等の推進,並びに女児及び女性のエンパワーメントにおいて重要な役割を果たす潜在力を有している。しかしながら,技術により提供される利益は,新たな形態の暴力,虐待及びハラスメントの永続化により損なわれ得る。デジタル空間が我々の日々の生活をますます活気あるものにする中で,デジタルの文脈における性的及びジェンダーに基づく虐待,ハラスメント及び暴力の脅しは,その標的となる者の安全及び福祉にリスクをもたらすとともに,自己検閲及びデジタル空間からの離脱につながり得る。あらゆる形態の暴力,虐待及びハラスメントは,ジェンダーによるデジタル・デバイドを埋め,女児及び女性が参画し,デジタル技能を発展させる上で重大な障壁となり得る。女児及び女性は,かかる暴力,虐待及びハラスメントにより不均衡に影響を受けている。影響力のある立場にいる人々又は人権擁護に取り組んでいる人々は,この増大している問題への対処の最前線におり,彼らを沈黙させることを目的として,標的となる場合が多い。
‐ 我々G7首脳は,デジタルの文脈における虐待,ハラスメント及び暴力の脅し,並びにジェンダー間の不平等に根ざしている物理的及び心理的な暴力,虐待及びハラスメントとの間の関連性を認識する。我々は,人々がオフラインで有するのと同じ人権がオンラインでも保護され,また,全ての人々が政治的,社会的,経済的及び文化的な取組に参加するための平等の機会を有する未来に向けて努力する。我々は,デジタルの文脈における性的及びジェン
ダーに基づく虐待,ハラスメント及び暴力の脅しが,女児及び女性にもたらす重大な結果を認識し,また,「ジェンダーに配慮した経済環境のためのG7ロードマップ」と整合的に,性的及びジェンダーに基づくあらゆる形態の暴力を撤廃することにコミットする。
‐ デジタルの文脈における性的及びジェンダーに基づく虐待,ハラスメント及び暴力の脅しを予防し,並びにこれに対抗するため,我々G7首脳は以下にコミットする。
1 法的枠組み,反暴力の国家戦略,教育上のアプローチ及び既存のメカニズムを,必要に応じて,技術の開発に遅れをとらないように促進する。
2 「プライバシーの保護及び個人情報の国境を越えた移動に関するOECDのガイドライン」と整合的に,リスクにさらされている人々を更に周縁化しないよう,性別及び年齢別のデータの収集及び公表の強化に取り組む。
3 国際,各国及び地方レベルにおける,既存及び新たな暴力,虐待及びハラスメントの予防・対応戦略の有効性を強化するともに,それらがジェンダーに基づく分析により裏付けられていることを確保する。
4 デジタルの文脈における性的及びジェンダーに基づく虐待,ハラスメント及び暴力の脅しの重要性,並びに民間の議論及び人権の享受への影響に関する意識向上のイニシアティブを支援する。
5 ジェンダー間の不平等に対処すること,並びに物理的及びデジタルの文脈における性的及びジェンダーに基づく虐待,ハラスメント,暴力及び暴力の脅しを予防し,これに対抗することを目的としたアプローチを共有し,世界的な取組を支援する。
6 デジタルの文脈における性的及びジェンダーに基づく虐待,ハラスメント及び暴力の脅しの予防,並びにそれらへの対応の改善に向けた戦略を発展させるとともに,生じつつあるデジタル課題に関する現在の官民連携のモデルから教訓を得るために,民間部門,市民社会及び女性の権利に関する組織との協力を通じたものを含めて,国際社会を動員する。
7 全ての人々,特に男性及び男児に対し,性的及びジェンダーに基づく暴力,虐待,ハラスメント及び差別に対して強く声を上げることを奨励する。
8 データの機密性における違反,並びにオンライン・プラットフォーム及びコネクテッド技術を悪用した犯罪に対する我々の対応を改善するために協働する。我々は,被害者に関する情報の適切な秘密保持を確保し,,法執行機関,裁判官及びその他の法曹関係者への教育に関する取組を促進する。
9 女児及び女性が性的搾取のための人身取引の犠牲者及び被害者の大部分を占めていることを認識しつつ,人身取引を助長するインターネット悪用の防止に関する取組で連携し,また,ベスト・プラクティスを共有する。
10 デジタル・プラットフォーム及びコネクテッド技術の開発において,設計から最終用途に至るまで,ジェンダーへの偏見を取り除くことを支援する。