データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 外国の脅威からの民主主義の擁護に関するシャルルボワ・コミットメント

[場所] シャルルボワ
[年月日] 2018年6月9日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

‐ 我々G7首脳は,自由でオープンで良く統治された,多元的かつ繁栄した社会の発展の中心である共通の民主的価値を共有し,平等が民主主義の中核的な構成要素であることを認識する。これらの民主的価値は,全ての人々の利益となり,質の高い雇用を作り出し,全ての人々に機会を確保する広範な経済成長を生み出すために不可欠である。

‐ 民主主義とルールに基づく国際秩序は,権威主義体制と国際規範の軽視によりますます挑戦を受けつつある。特に,外国の主体が我々の民主的な社会と制度,我々の選挙プロセス,我々の主権及び安全を損ねようとしている。これらの悪意ある多面的かつ絶え間なく変化する戦術は,我々にとっての深刻な戦略的な脅威である。我々は,協力して,また,民主的価値を共有する他の政府と協調しつつ,かかる脅威に対抗していくことにコミットしている。民主主義擁護のためには,基本的な権利,基本的自由及び平和と安全保障へ

向けた我々の国際的なコミットメント及び平等の促進と整合的な戦略的アプローチを取ることが必要となる。我々は,我々の共同及び個別の反応の基礎としての,我々の国家の民主主義を損なう悪意のある外国の主体の許容で

きない行動についての共通理解を確立したトロントにおけるG7外務・安全担当大臣の作業を歓迎する。

‐ 我々G7首脳は,以下にコミットする。

 ・我々の民主主義が直面する課題に応えるために,集団的にまた個別的に外国の脅威に対応する。

 ・G7各国の民主的プロセス及び国益を損ねることを意図する外国の主体による悪意のある干渉を予防し,阻止し,対応するためにG7の協力を強化する。

 ・情報共有及び分析並びに協調した対応のための機会の特定等を通じて,多様かつ変化する民主主義への脅威を特定し対応するための我々の協調を強化するためのG7即応メカニズムを確立する。

 ・自由で独立し多元的なメディア,事実に基づく情報及び表現の自由等の促進を含む関連のイニシアティブを策定している政府,市民社会及び民間部門と協力して教訓とベスト・プラクティスを共有する。

 ・外国の主体による情報技術の悪意ある不正使用に関して,個人情報の利用及びプライバシーの侵害に関する透明性を向上させること及び個人情報の違法な利用及びプライバシーの侵害の防止を試みることに特に焦点を当てて,インターネット・サービス・プロバイダー及びソーシャル・メディア・プラットフォームに直接関与する。

 ・意図的に誤解を生じさせる情報に関する批判的思考のスキルとメディア・リテラシーの促進及びオンラインのセキュリティと安全の向上を目的とした公共的学習及び市民の認識を支持する。

 ・適用可能な法に従い,政党及び全ての種類の政治的な宣伝の資金源,特に選挙キャンペーン期間中のものについて高い水準の透明性を確保する。