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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ジェンダー平等及び女性のエンパワーメントに関するG7宣言

[場所] ビアリッツ
[年月日] 2019年8月26日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

ジェンダー平等及び女性のエンパワーメントに関する宣言

ジェンダー平等に関するビアリッツ・パートナーシップ

1. 我々首脳は,ジェンダー平等が,全ての人権の完全かつ平等な享受,並びに,持続可能な開発及び平和の達成の基礎となるものであることを認識する。我々は,2019年5月にG7ジェンダー平等担当大臣会合で採択された「ジェンダー平等に関するパリ宣言」を歓迎する。我々は,ジェンダー平等アドバイザリー評議会の代表から説明を受けた。我々は,ジェンダー平等のための新しく革新的な法律のグッド・プラクティスを扱うために,市民社会全体と有意義な協議を行うことが重要であることを強調する。

2. 我々は,ジェンダー平等を促進する法律を効果的に実施し,執行することが女性・女児のエンパワーメントを進める強い力となり得ることを認識する。我々は,それらの法律が無差別であることを確保すべく,その適切なモニタリングを奨励する。また,我々は,あらゆる形態の性別に基づく暴力の防止及び対応へのコミットメントを再確認する。ビアリッツ・パートナーシップ付属書は我々の優先事項の最初の表出である。

3. 我々は,また,世界中の女児及び女性の完全なエンパワーメントにコミットした世界的な連合を創設するため,ジェンダー平等の推進を主唱する考えである。この点に関し,我々は,世界中の余りに多くの女性・女児が差別的な法律及び法的な保護の欠如により影響を受けていることに最も深い懸念を表明する。我々は,我々の国内のコミットメントとは別に,関心を有する国が現状を是正しジェンダー平等を推進する法律の策定,執行及びモニターを行うことを,様々な専門性及び開発メカニズムを通じて支援する用意がある。G7からこれらの国々に対する支援は,既存のG7説明責任作業部会によりモニターされる。

4. 我々は,北京宣言及び行動綱領の25周年を記念するジェネレーション平等フォーラムが2020年にメキシコ及びパリで開催されること,並びに,ビアリッツ・パートナーシップの加盟国がこの文脈で会合することを歓迎する。これらは,世界におけるジェンダー平等を推進するための重要な節目となることが期待される。

紛争に関連する性的暴力の生存者に対する支援

5. 我々は,G7外相により採択された「女性,平和及び安全保障に関するディナール宣言」,並びに,同宣言が紛争に関連する性的暴力の一層の防止及び対処のために行動するよう国際社会に要請したことを認識する。さらに,我々は,国際社会に対し,紛争予防,和平プロセス,救済及び復興への女性の完全で効果的かつ意味のある参加を可能にするよう促す。

6. 我々は,加害責任を確保しつつ,現在起きている事案の被害者に対して,具体的な医療,心理的及び社会的ニーズに迅速に対応する取組を引き続き支援していく。我々は,ノーベル平和賞受賞者であるナディア・ムラド氏及びデニス・ムクウェゲ氏らによる自主的な紛争関連の性的暴力生存者のための国際基金を創設するといった取組を奨励する。我々は,同基金への更なる支持を動員する機会となるであろう,11月のロンドンにおける国際会議「正義のとき:生存者を第一に」に期待する。

女児・女性の教育及び訓練

7. 我々は,ジェンダーに配慮した教育及び質の高い職業技術教育・訓練を通じて途上国において不平等の問題に取り組むことに関する,G7教育大臣・開発大臣合同会合の共同コミュニケを歓迎する。我々は,質の高い教育を平等に受けられることが,特に開発の文脈及び紛争国において,女児・女性のエンパワーメント及び平等な機会を達成するために極めて重要であると確信する。ゆえに,我々は,女児が直面する障壁に対処し,ジェンダー平等,特にジェンダーを中心とするイニシアティブを達成するためのアプローチを歓迎する。その文脈において,我々は,特に緊急事態及び紛争影響国・脆弱な諸国において,全ての人々のための少なくとも12年間の安全で質の高い教育の機会を増加させるという我々のコミットメントを強調する。我々は,ジェンダーに関する不平等及び差別を撲滅すること,並びに,ジェンダーに関する偏見及びステレオタイプに対抗することを支援し,また,包含,公平,さらに科学・技術・工学・数学(STEM)分野へのアクセスを含め,女児・女性の質の高い教育へのアクセスを促進するため,開発途上国と協働するよう努める。