データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] (付属文書)(ア)女性起業家支援 アフリカにおける女性による起業の促進(G7ビアリッツ・サミット)

[場所] ビアリッツ
[年月日] 2019年8月26日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

1.女性による起業の促進は,我々全員の優先事項である。アフリカの女性起業家は,持続可能な経済成長及び広範で包摂的な繁栄の基本的かつ鍵となる原動力である。我々は,女性が地域統合,経済成長,社会開発,繁栄及び持続可能性にとって不可欠であることを認識しつつ,アフリカ開発アジェンダにおける女性の包含を確保する「ジェンダー平等及び女性のエンパワーメント(GEWE)のためのAU戦略」に留意する。

2.女性の起業に資する環境を構築するアフリカ諸国政府のイニシアティブを認識しつつ,また,ジェンダー平等及び女性の権利に対する我々の長年のコミットメントに立脚して,我々は,アフリカの女性のエンパワーメントが地域社会の経済成長の完全な一部となることを支援するため一層連携して取り組むことを決定した。このことは,差別の撲滅,資金・財産へのアクセスの向上及び適切な環境作りを目的として,我々の取組を連携させていくことを含む。

3.AUは,女性の起業が,就業率の改善,包摂的成長,生産を増加させるための現代農業及び質の高いインフラを含むアフリカ連合のアジェンダ2063の目標を達成する上で有用と認識している。我々は,女性による財産・企業の所有又は相続,契約への署名及び銀行口座の保有・管理に関連する全ての障壁を取り除くことの重要性を強調する。また,企業の成長のための資金へのアクセスの拡大及びメンター制度を例とする技能開発のためのメカニズムの導入等を通じ,女性起業家が零細企業から中小企業に移行することを支援することも重要である。

4.我々は,アフリカ開発銀行を含め他の多国間機関と共に女性のエンパワーメントに取り組むというAUのコミットメントを強く支持する。我々は,世界各地の女性が所有し,女性が経営し女性を支援する企業に対して,「2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス」を通じて,2020年までに30億米ドルの資金を動員するとした,カナダ・シャルルボワにおけるG7開発金融機関(DFI)によるコミットメントを歓迎する。

5.我々は,女性の完全かつ自由な経済参加及びエンパワーメントに対して差別的な法的・社会的・規制上の障壁の除去を支援すること等により,引き続きアフリカにおける女性の起業を支援する。女性起業家は,とりわけ農村地帯において,融資保証メカニズム及び企業の経営・拡大のための研修へのより良いアクセスを必要としている。この関連で,我々は,2019年4月17日にアビジャンで開催された「女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)第1回地域サミット」の成功を歓迎する。世界銀行が主導する本イニシアティブでは,世界各地の女性起業家のために16億米ドルの資金の動員が期待されるところ,既に3億5千万米ドルの資金が集まっていることに,我々は満足しつつ留意する。

6.我々は,アフリカ開発銀行が主導し,We-Fiの目的に合致した「アフリカの女性のための積極的金融アクション(AFAWA)」イニシアティブが更に進展し,十分なサービスを受けていない女性起業家を支援するための更なる資金動員に役立つことを期待する。AFAWAイニシアティブは,既存のアフリカの商業銀行及びマイクロファイナンス機関を通じて5万以上の女性企業のために5年間で最大30億米ドルの融資を支援することを目指している。これにより,多くの雇用が創出され,女性にとって構造的な変化及び持続的な影響がもたらされる。これに関し,我々は,We-FiからAFAWAに対する6180万米ドルの資金配分,及び,個々のG7メンバー国によって支援され,AFAWAと同様の政策目的を推進する他の二国間イニシアティブを歓迎する。我々は,アフリカの国家元首及びG7との連携により,女性の経済的なエンパワーメントのための支持を動員するための更なる一歩として,2019年11月25日から27日にかけてキガリで開催されるグローバル・ジェンダー・サミットを歓迎する。

7.G7メンバーは,ビル&メリンダ・ゲイツ財団と共に,今後の10年間で普遍的な金融アクセスを確保することを目指す5ヶ年プログラムである「アフリカにおける女性のデジタル金融包摂のためのパートナーシップ」の立ち上げを歓迎する。