データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アフリカ(付属文書)(ウ)公共調達の透明性及び腐敗対策 公共調達の透明性及び腐敗との共闘(G7ビアリッツ・サミット)

[場所] ビアリッツ
[年月日] 2019年8月26日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

1.我々は,透明性の向上及び腐敗の撲滅が,全ての社会及び経済の共通課題であり,我々の機関に対する信頼を築く上で不可欠であると固く信じている。

2.我々は,国際フォーラムにおける透明性に関する進行中の議論の重要性を強調し,「公共調達における清廉性を促進するためのG20原則」,並びに,G20及びその他諸国に対して,国家の主権を尊重し,債務持続可能性及び自由で非排他的なインフラ利用を確保しつつ,インフラ事業におけるグッド・ガバナンスを確保するための清廉性に係る具体的な措置を提供する,「質の高いインフラ投資に関するG20原則」,「G20腐敗対策行動計画2019-2021」及び「G20インフラ開発における清廉性と透明性に関するグッドプラクティス集」に対するG20首脳の承認に留意する。

3.我々は,国際開発金融機関及びその他の開発金融機関に対し,透明性及び説明責任に関するメカニズムを促進するための既存の取組に立脚し,法の支配,人権・労働者の権利,ジェンダー平等及び環境基準を含む国際法及び広く行き渡っている基準を尊重するプロジェクトを支援し,入札募集における企業に対する不当に異なった扱いを回避するよう促す。国際開発金融機関及びその他の開発金融機関は,借入機関の調達慣行の強化を支援すべきである。調達基準については,厳に最低価格のものに決めるというより,可能な限り,ライフサイクルでのコスト及び価値に基づくべきである。国際開発金融機関及びその他の開発金融機関は,現地の開発目標及び受入国の人々の経済機会を増進する資本,雇用,技能,技術支援及びサービスへのアクセスを提供すること等により,パートナー国の主権を十分に尊重しつつ,パートナー国において相互に補強し合う経済的繁栄及び安定を高める上で,鍵となる役割を有している。我々は,国際開発金融機関に対して,事業サイクルの全段階において女性起業家がインフラ事業の完全な経済的恩恵を享受できるよう支援すること,そして,中小企業に特別な支援や助言を行うことを奨励する。国際開発金融機関は,公正かつ公平な調達を促進すること,及び,質の高い雇用及び経済発展への道筋をもたらすべくサプライチェーンを強化することにおいて,果たすべき役割を有している。

4.我々は,採取産業透明性イニシアティブ(EITI)といった我々の共通目標を促進する既存のイニシアティブ,及び,オープン・ガバメント・パートナーシップ(OGP)といったその他イニシアティブを強く支持する。我々は,主要な公共契約の履行に際しての品質基準の遵守を向上させること,市民社会の様々な関係者の強い関与を確保することにおける,オープンデータの役割を認識する。我々は,調達の効果,公正さ及び透明性を高め,各国の異なる発展の水準を十分に考慮するという課題に対しての効率的かつ革新的な解決策として,オープンな契約のツール及び慣行を奨励する。

5.我々は,国連腐敗防止条約に規定されるとおり,腐敗収益の回復・返還を含めた腐敗及び資金洗浄との闘いにおける国際協力の重要性を強調する。そのため,我々は,国際約束,特に国連腐敗防止条約及びアフリカ連合腐敗防止条約の関連規定が,締約国により効果的に実施されることを求める。我々は,2019年6月,エジプトにおいて「第1回アフリカ腐敗防止フォーラム」が開催され,特に腐敗,不正な資金の流れ及び脱税と効果的に闘うことが不可欠であることが確認されたことに留意する。