データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G7外相声明

[場所] 
[年月日] 2020年9月9日
[出典] 外務省
[備考] 声明仮訳
[全文]

 我々、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国のG7外相及びEU上級代表は、アレクセイ・ナヴァリヌィ氏に対する確認された毒物の使用を、可能な限り最も強い表現で、結束して非難する。

 ドイツは、ドイツの医学専門家及びドイツ連邦軍の専門研究所による臨床的及び毒物学的な調査結果に基づき、ナヴァリヌィ氏は、ロシアによって開発された物質である「ノビチョク」類の化学神経剤による攻撃の被害者であると断定されたとの事実について、G7のパートナーに説明を行った。ナヴァリヌィ氏はベルリンの病院で集中治療を受けており、引き続き重篤な状態にある。我々の思いは同氏の家族と共にあり、また我々は、同氏の完全かつ早期の回復を希望する。

 化学兵器の使用は、いかなる場所、いかなる時、いかなる主体、いかなる状況においても容認されず、そのような兵器の使用を禁ずる国際的規範に反する。我々、G7の外相は、ロシアに対して、誰がこの忌まわしい毒物による攻撃に責任を有するのかについて、直ちにかつ完全に透明性を確立することを求めるとともに、化学兵器禁止条約の下でのロシアのコミットメントを念頭に、犯人を処罰することを求める。

 野党指導者であるナヴァリヌィ氏に対するこの攻撃は、ロシアにおける民主主義及び政治的多元性に対する新たな重大な打撃である。それは、ロシア自身が保証することにコミットしている政治的及び市民的自由の保護に関与する人々に対する深刻な脅威である。我々は、ロシアに対して、市民的及び政治的権利に関する国際規約の下でのコミットメントを果たし、表現の自由を含むこれらの権利を、ロシアの市民に対して保証することを求める。

 我々は、ロシアが、ナヴァリヌィ氏に対する恐ろしい毒物使用に関する説明を求める国際的な呼びかけに対して、どのように反応するかを引き続き注視していく。我々は、ロシアにおける民主主義、法の支配及び人権への支持と、ロシアの市民社会への支持の強化に強くコミットし続ける。