[文書名] G7首脳声明
我々、G7首脳は、本日会合を開催し、新型コロナウイルス(COVID-19)に打ち勝ち、より良い回復のために協働することを決意した。我々は、民主的で開かれた経済と社会の強みと価値を生かし、2021年を多国間主義のための転換点とし、人々及び地球の健康と繁栄を促進する回復を構築するために、G7として、そして他の国々と共に、取り組んでいく。
我々は、新型コロナウイルスに対する保健分野での対応において協力を強化していく。あらゆる場所におけるエッセンシャルワーカーの献身は最善の人間性を示すものであり、ワクチンの迅速な発見は、人類の英知の力を示している。我々は、世界保健機関(WHO)と協働し、共にこれを強化し、その主導的及び調整的な役割を支持しながら、ワクチンの開発と展開を加速させ、自主的なライセンス供与の取組を含む製造能力増大のため産業界と協働し、新たな変異株の塩基配列等の情報共有を向上し、透明かつ責任ある慣行とワクチンへの信頼を推進していく。我々は、国際公共財としての大規模な予防接種の役割に鑑み、ACTアクセラレータ(ACT-A)の全ての柱、COVAXファシリティ、そしてワクチン・治療・診断への安価かつ公平なアクセスに対する支持を再確認する。本日、40億ドル以上のACT-A及びCOVAXへの資金的コミットメントの増加により、G7全体の支援は、総額75億ドルとなっている。我々は、G20及び国際金融機関を含む全てのパートナーに対し、COVAXファシリティを通じ、WHOに承認されたワクチンへの途上国のアクセスを増やすことを含め、ACT-Aへの支援を我々とともに増やすよう招請する。
新型コロナウイルスは、世界保健安全保障への将来のリスクに対して、世界がより強力な防衛を必要としていることを示している。我々は、「ワンヘルス」アプローチ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進及び国際的な保健条約の潜在的な価値の探求により、保健財源の確保及び迅速な対応メカニズムを通じたものを含む、パンデミックに備えるための国際保健及び世界保健安全保障の体系を強化すべく、WHO、G20や他の国々と、特にローマでのグローバル・ヘルス・サミットを通じて協働する。
我々は、過去1年に我々の経済のためにG7全体で6兆米ドルを超える前例のない支援を提供してきた。我々は、雇用を守り、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ、包摂的な回復を支えるために、我々の経済を引き続き支えていく。我々は、最も脆弱な国々への我々の支援、持続可能な開発目標(SDGs)への我々のコミットメント及び強じんな回復を支援することを含むアフリカとの我々のパートナーシップを再確認する。我々は、債務支払猶予イニシアティブ及び「共通枠組」の完全かつ透明な実施を通じたものを含め、全ての利用可能な手段を探求することにより各国の対応のための支援を強化するために、G20を通じ、また、国際金融機関とともに取り組んでいく。
新型コロナウイルスからの回復は、全ての人々にとってより良い回復でなければならない。国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)及び生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)に向けて、我々は気候変動及び生物多様性の損失反転に関する世界的な野心を、我々の計画の中核に据えていく。我々は、パリ協定に従って緩和、適応及び資金において進展を遂げ、2050年までのネットゼロに向けた過程で、排出量を削減し良い雇用を創出するグリーンな変革及びクリーン・エネルギーへの移行を実現する。我々は、いかなる地域又は人もジェンダーや民族にかかわらず、取り残されないようにするため、我々の経済の底上げにコミットしている。我々は、開かれた経済と社会を擁護し、世界経済の強じん性を促進し、信頼性のある自由なデータ流通に基づくデジタル経済を活用し、改革された世界貿易機関(WTO)を中核として、我々の価値を反映し均衡ある成長を実現する、現代化された、より自由かつ公正な、ルールに基づく多角的貿易体制について協力し、OECDの枠組の中で2021年半ばまでに国際課税に関するコンセンサスに基づく解決策に至るべく努めていく。全ての人々にとって公正で互恵的な世界経済システムを支持するために、他の諸国、特に中国のような大きな経済を含むG20諸国に関与していく。G7の首脳として、非市場志向の政策や慣行に対処するための共同のアプローチについて協議し、全ての国に影響を与える重要な世界的な課題に取り組むため、他国と協力していく。
我々は、6月の英国におけるG7サミットにおいてこれらの優先事項についての具体的行動に合意することを決意し、新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の結束の証として今年の夏に安全・安心な形で2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するという日本の決意を支持する。