データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国際的な往来の安全で持続可能な再開のためのハイレベル原則

[場所] 
[年月日] 2021年9月30日
[出典] 厚生労働省
[備考] 仮訳
[全文] 

積極的な取り組み

 G7各国は、国際的な往来の再開に関する計画が進展した際には、G7以外のパートナーも含めて、その計画を共有すべきである。これにより、共通の基盤や、議論に影響を与えたり促したりする機会を早期に特定し、実現可能かつ適切な場合には、より大規模な多国間フォーラムを通じて計画共有の範囲を最大限に高めることができる。G7を通じた関与は、専門家間で定期的に行われるべきであり、必要に応じて実務者および閣僚レベルでも行われ、首脳のコミュニケで定められたG7の野心的目標が満たされるようにすべきである。この国際的な取り組みは、世界保健機関、国際海事機関、国際民間航空機関などの他の多国間パートナーの取り組みと一致すべきであり、これらの機関による、陸上、航空、クルーズ船を含む海上の国際的な往来に関する新たな公衆衛生指針を奨励することも含まれる。G7は、国際的に運用されているEUデジタル・COVID証明書(EU-DCC)の前向きな発展や、ICAO VDS規格に基づくものを含め、G7メンバーが採用、開発、検討しているその他のデジタル証明書を認識する。G7メンバーは、健康状態に関する情報共有をするための、広く受容され、プライバシーの保護に配慮がある、公平で、検証可能かつ安全なデジタル証明書を確保するために、デジタル証明書および最低限の相互運用性の基準について、業界の利害関係者を含めた協力を引続き奨励すべきである。

科学的根拠

 G7各国は、疫学的および公衆衛生的な状況の見直しと監視、ならびに国際的な往来に関する政策対応の再調整と計画において、科学的証拠が卓越した役割を果たすことを再確認すべきである。実際に、G7は、懸念される新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の出現や、ワクチン関係への影響の根拠のあるデータに対応しつつ、国際的な往来を促進できる柔軟な枠組みの必要性を強く認識している。このように、G7は、良い取り組みを促し、意思決定に使用される公衆衛生と科学的証拠を共有する上で、貴重な役割を果たすことができる。

公平性と衡平性

 G7は、国際的な往来の安全で持続可能な再開のための国際的な枠組みを推進すべきであり、その際、ワクチンの普及段階や技術的能力が異なる国家間の公平性の問題や、非常に脆弱な立場にある人々の保護を考慮する必要がある。ワクチン接種状況の証明や検査結果の証明について、各国は、デジタルと非デジタルの両方の証明手段を受け入れるべきである。検査(陰性証明を含む)、自己隔離、検疫などの公衆衛生措置は、ワクチン接種と並んで、リスク軽減措置として引き続き検討されるべきであり、渡航者の取扱いに関する義務を含む国際保健規則(2005年)に従って実施されるべきである。

将来への備え

 G7は、新型コロナウイルス感染症から学んだように、将来の感染症の脅威が、国際的な往来をできるだけ安全に、持続的に、かつ迅速にコントロールし、再開するための見直しと早期の対応を必要とする可能性を考慮すべきである。新型コロナウイルス感染症が国際的な流行から地域レベルでの流行に移行する際には、交通セクターが健康上の脅威の予防、対応、緩和を支援すると同時に、可能な限り安全かつ迅速に交通の接続性を維持・回復するための強靱性を構築するために、これらのハイレベル原則に基づいて関与と協力を実施すべきである。作業の計画段階においては、他のフォーラムで行われている取組みと同様に、パンデミックが往来や輸送に与える長期的な影響を考慮する必要がある。

交通の維持に不可欠な乗務員の公正な取扱い

 G7各国は、航空・海上・陸上交通の乗務員の取扱いについて、緊密に調整された国際的な取組みを促進するというコミットメントを再確認すべきである。乗務員の健康を保護するとともに、免除措置を含め、乗務員の業務に対する不必要な負担や制約を軽減し、継続的な航空・海上・陸上交通の重要な業務への影響を回避するために、当該コミットメントは、一般的に認識されている公衆衛生基準と合致し、かつ、現実的な方法で実行されるべきである。また、G7各国は、世界中の入国港において、この原則に基づく公正な乗務員の取扱いを確保し、乗務員がワクチンを利用できるようにするためのあらゆる選択肢を検討すべきである。

プライバシーとデータ保護

 プライバシーとデータ保護の要素は、ワクチン接種と検査の状況を証明するためのデジタルによる解決策の設計において極めて重要である。G7各国は、関連する政府や独立したデータ保護機関と協力して、プライバシーとデータ保護がそのような解決策に確実に組み込まれるようにすべきである。

持続可能な回復

 G7は、気候変動という長期的な地球規模の課題に対応し、国際的な往来の安全で持続可能かつ強靱な回復に向けた共有ビジョンを策定すべきである。G7各国は、2050年までに経済の二酸化炭素排出量をネット・ゼロにするという目標に沿った方法で、交通機関の脱炭素化を加速し、新型コロナウイルス感染症の大流行から経済が「より良く立ち直る」ことができるよう、包括的なアプローチをとるべきである。そのためには、ゼロエミッション車や持続可能な燃料など、陸上、航空、海上交通におけるよりクリーンな技術の導入を支援するとともに、公共交通、カーシェア、自転車、徒歩など、より持続可能な交通手段への需要の移行を促進し、これらの交通手段における供給と安全性を強化するための関連政策や行動が必要となる。