[文書名] ロシアのウクライナに対する侵略戦争に関するG7財務大臣・中央銀行総裁声明
我々G7財務大臣・中央銀行総裁は、ロシアのウクライナに対する侵略戦争、戦争に起因する悲劇的な人命の損失とともに、その世界経済への影響を議論するため、2022年4月20日にワシントンD.C.において会合を開催した。
我々 は、平和及び安定を回復し、国際法を堅持するという決意と、国際協力及び多国間主義への揺るぎないコミットメントにおいて一致団結している。我々は、主権、領土の一体性、国際的平和及び安全の根本的原則に対する露骨な侵害であり、いわれのない不当な、ロシアのウクライナに対する侵略戦争を強く非難する。この非難は国際連合において141か国によって共有され、今朝、ほとんどのG20メンバーによって強調された。ロシアは、2022年2月24日にウクライナに対して開始された軍事侵略の停止を求める国際司法裁判所の法的拘束力のある命令に直ちに従わなければならない。さらに、我々はロシアに対して、ウクライナの国際的に認められた国境内の領土全域から、軍と装備を完全に撤退させるよう強く求める。我々は、2022年4月7日の我々の首脳及び外相による声明に加わり、ロシア軍によって行われた恐るべき残虐行為を最も強い言葉で非難する。
国際機関や多国間フォーラムは、もはやこれまでどおりにロシアとの間で活動を行うべきではない。我々は、共通の利益や各機関の規則に基づいて、パートナーと緊密に協力して適切な形で行動する。したがって、今週のG20、国際通貨基金及び世界銀行の会合を含む国際フォーラムへのロシアの参加は遺憾である。
ウクライナのセルギー・マルチェンコ財務大臣が参加する中、我々は、ウクライナ国民及び同国政府に対する我々の揺るぎない支援と心からの連帯を表明した。我々は、ウクライナと共にあり続ける。2022年2月14日のG7財務大臣声明に基づき、国際社会と共に、我々は、2022年及びそれ以降に向けて、財政面でも物資面でも、240億米ドルを超える相当の追加的支援を提供及び誓約した。これは2014年から2021年までに提供された600億米ドルを超える経済支援に上乗せされる。現在進行中の野蛮なロシアの侵略、それに伴うウクライナ国民の苦悩及び国そのものの継続的な破壊を背景として、必要に応じて更なる対応を取る準備ができている。我々がウクライナやその周辺国への支援について緊密に協調し続けることも不可欠である。我々は、国際通貨基金や世界銀行を含む国際金融機関が、ウクライナに対して重要かつ緊急の金融支援を提供したことを称賛する。我々は、全ての国及び国際機関に対し、差し迫った需要を満たし、その将来を再建するためのウクライナに対する十分な支援を確保するため、我々の取組に加わるよう求める。この点に関し、我々は、IMFのウクライナのためのマルチドナー管理勘定の創設やEUのウクライナ連帯基金の設立に関する発表を歓迎する。我々は、世界銀行グループのウクライナ向け支援パッケージ、欧州復興開発銀行の強靭性パッケージを支持する。
我々は、ロシアを世界経済から孤立させることによりその戦争に関するロシアの代償を高めるために、他のパートナーと共に緊密に協調して取り組んできた。2022年4月7日のG7首脳声明で示された通り、我々は世界中のパートナーと共に、進行している事態の激化に対応し、ロシアに対してこの戦争の代償を更に高めるために協調した行動をとり続ける。我々は、必要な限り我々の協調した圧力を維持及び拡大し、他の国々が我々の取組を支援するよう引き続き求める。
我々は、ロシアのウクライナへの侵攻に直接的に対応して相当の制裁を課し、結果として取られる経済・金融措置を完全に遂行し執行する。我々の制裁はロシア経済に既に意図した通りの甚大な影響を及ぼしており、本年のロシア経済は大幅に縮小するだろう。ロシアの株式市場は4分の1を超える価値を失っており、およそ1か月にわたり閉鎖せざるを得なかった;何百もの国際的な企業がロシアから撤退し、投資は干上がっている;ロシアのインフレ率は上昇している;ロシアの輸入は減少し、ロシアの長期的な成長の展望に波及的な影響を与えている。ロシア経済に対する重大で長期的な打撃は、時間が経つに連れて一層明らかになるだろう。我々は制裁の効果を引き続き注視する。我々は、制裁を執行し、制裁の回避、迂回あるいは穴埋めの試みを阻止するために、パートナーと共に引き続き緊密に連携して取り組む。
プーチン大統領、彼の政府や支持者及び彼らを支えているベラルーシ政権は戦争の社会的、経済的結果に対する全ての責任を負っている。我々は、第三国及び世界経済への損害を最小限にするため、的を絞った方法で制裁を設計しており、我々は、主要な農産品や人道上必要な物資を制裁から除外し、食品、薬品、医療機器及び情報の流れを支える電気通信サービスの入手可能性を確保している。
ロシアの支配層、代理勢力、オリガルヒ(REPO)に対する多国間タスクフォースは、ロシアのウクライナへの不当、かついわれのない侵略と関連して制裁の対象となっている個人・団体の資産や経済的資源を遅滞なく特定し、処分を制限し、凍結し、適切かつ可能な場合には、差し押さえ、没収または剥奪する我々の取組を協調し支援すべく行動している。
全てのG7経済はロシアのエネルギー供給からの輸入を減らすための具体的な措置を実行している。我々は、エネルギー安全保障を強化し、安定的かつ持続可能なエネルギー供給を確保するため、引き続き緊密に連携する。今般の危機は、化石燃料への全体的な依存の削減やクリーンエネルギーへの移行の加速等により、パリ協定及びグラスゴー気候合意の目標を達成するという我々の決意をより強固なものにする。
我々は、自発的な特別引出権(SDR)の取引を含めて、ロシアと政府間の金融取引を行わないことに強くコミットし、他国に対して、ロシアのいわれのない不当なウクライナに対する戦争を賄う手段を更に制限することに加わるよう要請する。ロシアはIMFや世界銀行を含む主要な国際金融機関から融資を受けてはならない。我々は、欧州復興開発銀行によるロシア及びベラルーシの財源へのアクセスを停止する決定を歓迎する。
我々は、志を共にするパートナーと共に、ロシアのウクライナに対する侵略戦争によって生じた経済的課題に対処することに引き続きコミットする。ロシアの冷酷な行動は、我々が不均衡な回復やインフレの水準の上昇、政策余地の減少といった課題にすでに直面しているときに、一次産品及び食料価格の大幅な上昇を引き起こし、世界経済をより広範に混乱させている。戦争はウクライナ経済、特に農産品などの輸出能力を直接弱体化させ、主要なサプライチェーンや交通網を混乱させ、ロシア自身の輸出を妨げている。ロシアやロシアの支援者が侵略をより長く継続させるほど、世界経済のコストはより高くなる。パンデミック後の既に高い債務水準を踏まえると、ロシアの軍事侵略の経済的代償は、全ての経済の脆弱層にわたり、特に最も脆弱な国々に偏って感じられるだろう。戦争の結果として生じる食料価格の高騰は食料不安の増加につながっている。世界の金融環境の更なる引き締めは、特に新興国及び発展途上国において、金融の脆弱性を悪化させ得る。
我々は、プーチン大統領の選択により始められたウクライナに対する戦争によって高まる代償を負わなければならない世界中の全ての国々と連帯する。国際社会は、グローバル金融セーフティネットの発展及び維持に懸命に取り組んできた。我々は、自ら作り出したものではない危機で苦しむ脆弱国の利益のために、全ての使用可能な手段を用いることを支持する。我々の首脳から要請された通り、我々は、G7共同の取組を通じて、現在の危機が食料安全保障に及ぼす影響に対処するためにパートナーと協働する。我々は、国際金融機関に対し、食料安全保障や農産品の支援を緊急に強化し、最も脆弱な国々に対する支援を提供するように要請する。我々は、食料不安に対処し、市場を開放し続け、気候と環境上の目標と整合的な形で、特に農業分野やエネルギー市場を含めた世界経済の強靭性を強化することにコミットする。我々は、ロシアによるウクライナに対する戦争によって生じた不確実性の結果として変動している一次産品市場を含め、国際金融市場における進展を緊密に監視している。我々は、引き続き世界経済のリスクを警戒し続けるとともに、強靭性を支え、金融安定性を確保し、波及効果を軽減するために必要に応じて共同して行動する用意がある。