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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 新型コロナウイルス感染症に関する行動計画(G7外相会談)

[場所] ヴァイセンハウス
[年月日] 2022年5月13日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

我々、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国のG7外相及びEU上級代表は、以下の行動計画を承認する。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの2022年中の収束に向けた我々の取組によって、これまでにすでに多くの成果が挙がっており、国際的なワクチン供給は急速に加速している。しかし、現在の健康危機に対する国際的な対応には、引き続き大きな格差がある。現在の新型コロナウイルス感染症のパンデミック及び将来のパンデミックへの備えに関し、公平性への対処という課題が残されている。G7として、我々は、これらの格差に対処する国々等と協力し、その取組を支援する特別な責任を有する。パンデミックの広範な影響に鑑み、外相は、包括的、横断的かつ迅速な行動が取られることを確保する上で、極めて重要な役割を担っている。

G7全体の2022年の国際保健への関与に対する外相としての我々の貢献は、極めて重要な「ラスト・ワン・マイル」の文脈や脆弱なグループへ焦点をあてることを含め、世界的な新型コロナ・ワクチンの接種における格差是正に共同で対処すること、及び最前線の医療従事者や必要機材を重視し、共に支援を拡大することに重点を置く。他のG7のイニシアティブと整合的な形で、我々は、各国及び国際社会と協力し、現在の新型コロナウイルス感染症への対応に関する2023年及びそれ以降に向けた計画策定を開始し、将来への備えのための政治的コミットメントの醸成を支援する。

当該取組は、世界保健機関(WHO)の「世界ワクチン接種戦略」及び2021年10月のG20ローマ・サミットで採択されたコミットメントに沿ったものである。この目的のために、我々は次のことをコミットする:

ワクチン

● 安全性、有効性、品質が保証された、入手可能な価格のワクチン及びそれを補完する診断、治療、並びにその他の必須保健医療用品を、各国のニーズに合わせて公平かつ迅速に世界中に供給するための取組を、以下のとおり、引き続き加速させる:

 ○ 財政的な貢献及びあらゆる手段で、特に低・中所得国において、ACTアクセラレータ(ACT-A)及びCOVAXによる取組を支援する。G7は、すでに[XXをACT-Aに、そのうち XX を]Gavi、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)、WHO、国連児童基金(UNICEF)を含むCOVAX・ワクチン分野の取組に対し、拠出もしくはプレッジしている。

 ○ 必要かつ可能な場合に、政治的な意図を伴うこと無く、安全かつ有効なワクチンを追加的に供与し、供与の際は責任ある慣行を用いる。G7は、すでに[XXX 回分]のワクチンを供与しており、各国のニーズ及び能力、並びに世界的なワクチンの最適配分の必要性に基づき、(COVAXが直接調達した、または寄付された)ワクチンを追加的に供与する用意がある。

● ワクチン生産者、COVAX、地域機関、受益国とあらゆるレベルで緊密に調整し、効果的なドナー協調の取組を支援するとともに、生産周期の最適化、供給プロセスの更なる改善を行い、より各国のニーズ及び能力と整合的な輸送スケジュールを策定し、使用期限などの問題に対処し、ワクチン供与における透明性、可視性、計画性の向上を図る。

予防接種

● 各国政府、新型コロナ・ワクチン・デリバリー・パートナーシップ、及びその他の関係者と協力し、特に低所得国など【XX 国の】支援を必要とする国々に【XX 億米ドル】を支援し、ワクチンが実際の予防接種に確実に繋がるよう、物流、計画、また人的資源といった「ラスト・ワン・マイル」の課題に、以下等を通じて対処する:

 ○ 注射器及びその他の付属機器について各国を支援する。

 ○ ワクチンの安全性及び有効性に関するエビデンスに基づくトレーニングを提供することで最前線の医療及びケアに従事する者の能力を構築し、最前線の医療従事者を拡充する。

 ○ 科学的・事実的証拠に基づき、コミュニティとの連携及びきめ細やかな情報提供キャンペーンを通じ、公的機関への信頼構築及び誤情報・偽情報へ対処する。

 ○ 官民連携により物流を改善する。(コールドチェーン)

 ○ WHO及びその他の関連多国間機関の指導により、必要に応じて、異なる取組における重複を避け、相乗効果を生み出すために、ドナー及び実施機関間で現場における具体的な措置の調整を改善する。

 ○ 新型コロナ・ワクチンの供給が、他の重要な保健施策を弱めることなく、むしろ国の予防接種体制を強化させるよう、強化された保健システム内で各対策を統合する。

 ○ 保健医療従事者や現場の従事者、高齢者、及び免疫障害を有する人々を優先対象とし、70%目標に向けた国レベル・国以下のレベルのキャンペーンを支援する。

● 歴史的に疎外され脆弱なグループ、特に難民、地方のコミュニティ、女性及び女児、とりわけ危機的状況や人道的状況で生活する人々に特別な焦点を当てること、また、最も脆弱なコミュニティや人道的状況に支援を届けるための最後の手段であるCOVAX人道バッファーの完全運用を呼びかけることにより、世界的な予防接種キャンペーンにおいて誰一人取り残さない。

● 最前線の医療従事者を保護し、国の保健システムを持続的に強化する。その手段として例えば、あらゆるレベルでの検知・警戒能力への支援を行う。

ワクチン生産

● 安全性、有効性、品質が保証された新型コロナ・ワクチン及び抗ウイルス剤等、より幅広いワクチンや必須医療の需要に対応する持続的な長期の能力構築支援に重点を置き、相互に合意した条件での自発的技術移転及びその他の適切な形態による支援のパートナーシップを通じ、途上国における持続的な現地及び地域における生産能力向上を図り、現在及び将来のパンデミックに柔軟に対応できるようにする。

● 我々はそれゆえ、知識、専門性、資金の共有を通じた低・中低所得国の能力支援により、多様化された国際的なワクチン生産を支援することにコミットする。


我々は、志を同じくする他のパートナー、国際機関、国連機関及び多国間・地域のイニシアティブと緊密に連携し、我々の取組を結集する。G7外相は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックへの対応、及び、それと並行して、将来のために国際健康安全保障能力及び体系を構築することの重要性を認識する。