データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ロシアによるウクライナに対する侵略戦争が世界の食料安全保障に及ぼす影響に関するG7外相のコミットメント

[場所] ヴァイセンハウス
[年月日] 2022年5月14日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

我々、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国のG7外相及びEU上級代表は、ロシアによるウクライナに対する侵略戦争が世界の食料安全保障に与える影響について議論し、国連事務総長による「食料・エネルギー・資金に関するグローバル危機対応グループ」(GCRG)を招集するイニシアティブを歓迎した。

地政学的状況は根本的に変化した。ロシアによるいわれのない計画的な侵略戦争は、食料、燃料、及びエネルギー価格の急上昇により、世界経済の見通しを悪化させた。ロシアがウクライナの穀物の輸出経路を封鎖したことと相まって、世界は今、食料不安及び栄養不良が悪化している状態に直面している。これは、最も弱い立場の人々に壊滅的な影響を与え、また、コストの上昇により、人道支援機関及び開発機関が支援を最も必要としている人々に支援を届けることが困難になっている。これは、すでに4,300万人が飢餓の一歩手前の状態に置かれている中でのことである。

G7及びより広範な国際社会は、ロシアに対して結束して立ち向かい、グローバル・サウスの最も弱い立場にある人々を助けなければならない。ロシアに対して、侵略戦争の即時停止、並びにウクライナの食料生産及び輸出を更に妨げる封鎖(及びその他の全ての活動)の停止を求めることは、最初の一歩に過ぎない。現在及び将来の世界的な集団的行動は不可欠である。未来を見据え、G7及び世界中のG7の同盟国は、このような事態が二度と起こらないことを確保する必要がある。

我々は、国連世界危機対応グループへの支援を含め、G7開発大臣会合において立ち上げが予定される、機運及び協調を確保するための我々の共同イニシアティブとしての「食料安全保障のためのグローバル・アライアンス」、並びにその他の取組を通じて、世界の食料危機の原因及び影響に対処する。我々は、G7を超える国際的なパートナー及び組織と緊密に協力し、政治的コミットメントを、食糧・農業強靱化ミッション(FARM)や、まもなく開催される食料安全保障危機に関する地中海閣僚対話といったアフリカ及び地中海沿岸諸国向けを含む主要な地域アウトリーチイニシアティブ等の様々な国際的イニシアティブにより計画された具体的行動に転換することを目的とする。我々は、5月18日のグローバルな食料安全保障のための行動要請閣僚会合を歓迎する。

我々は、2022年 4 月 14 日の GCRG のタスクチームによる報告書に留意し、来る第2回報告書に期待する。また、我々は2022年5月13日から14日にかけてドイツのシュツットガルトで開催されたG7農相会合において、農相らが示したコミットメントを完全に支持する。

我々、G7外相は、この危機が食料不安にとどまらず、包括的な対応を必要とすることを認識しつつ、世界の食料安全保障のための以下の行動原則にコミットした:

1.ウクライナが農業生産、貯蔵、輸送、及び加工施設を維持するよう、並びにウクライナ及び地域のパートナーが輸出を再開するよう支援する。ウクライナの農業生産物の輸出能力を支援する目的で、農業連帯レーンの設立を国際社会に求める。

2.食料危機に脅かされている人々、特に飢餓に直面している人々に対して、人道上の原則に従った緊急支援を提供し、特に国連世界食糧計画及びその他の支援主体への貢献を強化し、現地調達を優先させたアプローチをとることによって、人道システムを支援する。

3.持続可能な農業及び食料システムに向けた必要な変革に関する取組を継続し、強靭な農業及び食料システムを実現するために、グローバル・ガバナンスの強化を支援する。世界食料安全保障委員会等、食料安全保障及び栄養に関連する国連及びその他の機関は、中心的な役割を果たすことができる。

4.特に気候及び生物多様性の課題に対処し、気候、生物多様性、及び環境を保護しつつ、持続可能な開発のための2030アジェンダに沿って、持続可能な慣行を促進し、食料廃棄及びロスを削減し、それが可能な場合には農産物の自国生産を持続的に増加させる。

5.食料生産者に対し、種子、肥料、燃料及びその他の農業投入材への十分なアクセスを提供し、紛争が治安及び安全に及ぼす影響を踏まえ、農地及び輸送経路へのアクセスに関する課題を克服する。また、我々は持続可能かつ強靭な食料システムを実現するために、農業生態学的及びその他の革新的なアプローチを含む、持続可能な農業の実践に関する知識の創出及び共有を支援する。

6.輸出を制限し、食料及び農業投入材の価格の更なる上昇をもたらすシグナル及び不当な措置を回避することにより、現在の食料危機が及ぼす影響を緩和する。我々は、輸出国と輸入国の相互利益のため、並びに将来の危機に対する強靭性を高めるための輸送、貯蔵、及び加工部門におけるイノベーションを支援することにより、ルールに基づく国際貿易を促進することに更にコミットする。この点に関し、市場の透明性を更に強化することが重要である。6月中旬に開催される第12回WTO閣僚会議では、この課題が対応されるべきである。

7.また、悪化する世界的な人道上のリスクに関する早期警戒情報を含む情報の追跡及び共有のために協力して取り組むことを支援するとともに、危機の予測及び対応のための更なる及び優先的な支援を通じて、食料不安の高まりに直面している、人道危機に見舞われている国々を支援する。

8.世界銀行グループが発表したレジリエンス・パッケージ及び他の国際開発金融機関による危機対応に関する提案を歓迎する。我々は、6月に予定されている、緊急の短・中期的な食料不安に対処し、時宜を得た供与を促進するためのイニシアティブを含む、経済への波及効果の影響を最も強く受けた国・地域の重要な優先事項を支援するための彼らの確固たる提案を期待する。