データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 7か国財務大臣・中央銀行総裁声明

[場所] ドイツ・ペータースベルク
[年月日] 2022年5月20日
[出典] 財務省
[備考] 仮訳
[全文] 

 我々、G7財務大臣・中央銀行総裁は、国際通貨基金(IMF)、世界銀行グループ、経済協力開発機構(OECD)及び金融安定理事会(FSB)の長の参加の下、2022年5月18日から20日にかけてペータースベルクで会合を開催した。我々は、多国間経済協力を深化させるための具体的な行動に合意し、ロシアのウクライナに対する侵略戦争に対する我々の一致した対応と、ウクライナに対する我々の揺るぎない支援へのコミットメントを強調した。我々は、ウクライナの首相及び財務大臣による我々の会合へのヴァーチャル形式での参加を得たことを光栄に思う。

ウクライナに対する支援

1. 我々は、ウクライナへの支援と同国との連帯を引き続き堅持する。2022年4月20日の声明で、我々は国際社会と共に、2014年から2021年までに提供された600億米ドルを超える経済支援に加え、ウクライナに本年中に相当な支援を提供及びプレッジしたことを確認した。我々は、ウクライナの人道的、及びその他の物資面の需要にも対処しつつ、特に、ウクライナにおける緊急の短期的な資金需要を認識する。ウクライナが資金不足を解消し、ウクライナ国民へ基本的サービスの提供を引き続き確保することに資するよう、2022年中に、ペータースベルク会合に至るまでの最近の95億米ドルのコミットメントを含め、既に198億米ドルの財政支援を動員した。更に、我々は、G7及び国際金融機関の間で進行中の、とりわけ欧州委員会による最大90億ユーロの追加のマクロ金融支援の提案を含む、ウクライナに対する更なる相当規模の資金供給における取組を歓迎する。追加的に計画されている欧州復興開発銀行や国際金融公社を通じた、ウクライナ国有企業及び民間部門に対する支援は計34億米ドルに達する。重要なことに、先述の198億米ドルの財政支援は、更なる軍事的・人道的支援に関する最近の発表に追加されるものである。全ての支援について、我々はウクライナへのコミットメントのディスバースメントを加速するために、迅速に取り組んでいる。我々は、この戦争中、及びそれ以降を通じてウクライナと共にあり続け、必要に応じて更なる対応を取る準備がある。我々は、ロシアの侵略戦争、重要インフラの大規模な破壊、ウクライナからの輸出における従来の航路の混乱による課題に直面するウクライナのマクロ経済の安定を守るために同国と緊密に協力している。

2. 我々は、2022年5月8日、及び2022年5月14日の我々の首脳及び外相による、平和を求め、ウクライナの将来のための再建を支援することにコミットする声明に加わる。我々は、全てのパートナーに対し、ウクライナの長期的な復興支援に加わり、再建に向けた大規模な共同での取組がウクライナ当局及び国際金融機関を含め緊密に協調されることを確実にするよう求める。2022年4月20日の声明を想起しつつ、我々は、この点について、国際機関による重要な取組を歓迎し、ウクライナの改革に向けた取組と野心を支持する。

3. 我々は、ロシアの侵略戦争に対する我々の断固として協調した制裁対応への共通のコミットメントを強調する。我々は引き続き、ロシア及びベラルーシを世界経済から孤立させることによって、その戦争に関するロシアの代償を高める。我々は、我々の経済・金融制裁を完全に遂行し執行するとともに、制裁の回避、迂回及びバックフィルへの警戒を続けることに引き続きコミットする。我々は、ロシアの支配層、代理勢力、オリガルヒに対する多国間タスクフォースによる進行中の作業を歓迎する。プーチン大統領、彼の政府や支持者及び彼らを支えているベラルーシ政権は戦争の社会的、経済的結果に対する全ての責任を負っている。

4. ロシアの侵略戦争は、世界経済の混乱を引き起こし、世界のエネルギー供給の安全保障、食料生産や食料・農産物輸出並びにグローバル・サプライチェーン全般の機能に影響を及ぼしている。戦争の経済的代償は、全ての経済の脆弱層に渡り、特にパンデミックの結果として、既に食料不安や高い債務水準に直面している国々に偏って感じられる。我々は、戦争のこれらの有害な影響を緩和することにコミットし、国連事務総長が開始した多国間の行動である「食料・エネルギー・金融に関するグローバル危機対応グループ」を完全に支持する。我々は、国際金融機関による更なる対応を完全に支持し、食料不安に対処するための行動計画を、国際金融機関やその他のステークホルダーの共同行動を促す適切なプラットフォームとして歓迎する。我々はまた、先述のグローバル危機対応グループの作業を促進・円滑化するため、昨日2022年5月19日にG7開発トラックによって立ち上げられ、世界銀行によって支援されている、食料安全保障のためのグローバル・アライアンスを歓迎し、様々な国際的イニシアティブにより計画される具体的な行動を歓迎する。我々は、国際金融機関に対して、これらの多国間の相乗効果のあるプラットフォームに自らのマンデートや専門性に沿って積極的に関与し、脆弱国に対する支援や貿易の流れを維持するための適切なファイナンスを提供するとともに、国内の農業生産を支援し、これらの目的の遂行を手助けするよう要請する。我々は、市場を開放し続け、気候と環境上の目標と整合的な形で、農業やエネルギー市場の強靱性を強化することにコミットする。

マクロ経済の安定性

5. パンデミック及びロシアのウクライナに対する侵略戦争による甚大な経済的影響という困難な背景の下、我々は強力で持続可能、かつバランスのとれた包括的な世界的回復を推進することに引き続きコミットしている。我々は、必要に応じて的を絞った支援を提供することにより、戦争の世界的な、及び自国の経済や国民への影響を最小限に抑えるために、引き続き協力する。

6. ロシアのウクライナに対する侵略戦争は、一次産品価格、エネルギー価格、食料価格の大幅な上昇を引き起こしており、その結果として、ほとんどのG7諸国において、インフレ率は数十年ぶりの水準に達している。G7の中央銀行は、インフレ圧力がインフレ予想に与える影響を注意深くモニタリングしており、景気回復の確保と各国間への負の波及効果の抑制に配慮しつつ、インフレ予想の安定維持を確保するよう、データを踏まえて明確なコミュニケーションを行いながら、引き続き、金融政策の引き締めペースを適切に調整する。我々はまた、最近の変動を踏まえ、市場を注意深く監視し続ける。我々は、2017年5月に詳述された我々の為替相場のコミットメントを再確認する。前例のない政策支援は、世界経済とG7が、現在の危機及び歴史的規模のパンデミック危機を乗り切ることを可能にし、回復への道を開いた。しかし、必要な財政対応は、また、より高い水準の公的債務をもたらした。我々は、財政の中期的な持続可能性と強靱な金融セクターへの明確な道筋に我々を位置づける、安定及び成長を志向する中期的なマクロ経済政策の組み合わせにコミットしている。

7. ロシアのウクライナに対する侵略戦争への我々の対応は、多国間協力を強化し、具体的な結果をもたらすために、国際社会のパートナーとの取組を更に強化する必要性を思い起こさせるものである。我々は、安全かつ強靱であり開かれた世界経済システムを維持し、強化することにコミットする。我々は、パンデミック及びロシアのウクライナに対する侵略戦争によって明白となった、構造的な経済変化に対する戦略的な対応において一致団結している。我々は、世界の安全保障と、経済・金融の安定が、相互に補完し合い、かつ強化し合うことを認識する。我々は、潜在的な脆弱性を監視しつつ、我々の防衛、エネルギー安全保障、経済の強靱性を強化することにコミットしている。我々は、多様化によるものも含む重要なサプライチェーンの強靱性の強化や、重要鉱物や再生可能エネルギーを含む代替資源や新技術への投資を引き続き支援する。

8. G7はデジタル及びネット・ゼロへの移行や、必要とされている大規模な投資の促進を含め、長期的な成長への課題に対して、共同して対処することに引き続きコミットする。我々は、イノベーションと生産性向上の可能性を発揮させるため、高い水準で民間及び公的投資を動員することにコミットする。我々は、幅広い成長を促進することによって、各国間・各国内で存在している不平等に対処し、我々の経済をより包摂的なものに変革することへの我々のコミットメントを強調する。我々は、我々の経済の長期的な成功における、多様性の重要性や、女性や過小代表のグループの重要な役割を認識する。これは包摂的で協力的な経済財政政策の枠組みによるものを含め、ジェンダー平等への構造的な障害を除去する必要性を含むものである。我々は、G7男女平等評議会の作業を歓迎する。我々は、国際金融機関で行われているジェンダー主流化に関する取組を支持し、国際通貨基金のジェンダー戦略に関する作業を歓迎する。

国際保健

9. 世界規模で効果的にパンデミックと闘うことは、経済回復のために引き続き重要である。緊密な国際協力、十分な財源、多国間による解決策が、このパンデミックを終息させるために引き続き不可欠である。全てのG7メンバーは、現行の予算サイクルにおいて新型コロナウイルス対応ツールへのアクセス加速事業(ACT-A)への十分な資金提供が深刻なパンデミックを終息させる中核であることを認識し、パンデミックとの国際的な闘いを引き続き主導することにコミットする。G7は、既にACT-Aに183.3億ドルの資金提供やプレッジを行っており、そのうち123.6億ドルはワクチンの柱へのものである。我々は、今年の資金調達の成功に向けた全ての取組を歓迎する一方、G20を含む国際社会の全てのメンバーによる更なる取組が必要とされることを強調する。我々は、G7外相による行動計画に示された通りワクチンを接種し、診断薬、治療薬及び防護具を整備し、長期的に保健システムを強化するため、脆弱な保健システムを持つ国々を支援し、及び現場での各国固有の課題に対処する、包括的なパンデミック対応の必要性を強調する。

10. 我々は、十分かつ持続可能な形で資金提供を受けた世界保健機関(WHO)を中心とした国際保健の枠組みのガバナンスと資金調達を強化すること、また、新型コロナウイルスから得られた教訓を前進させつつ、特にパンデミックに対する予防、備え及び対応やユニバーサル・ヘルス・カバレッジのための国際的な連携と協力を強化することの重要性を強調する。

 G7は、世界的な取組に引き続き貢献し、財務・保健当局間の連携を強化するためのG20財務・保健合同タスクフォースでの進行中の作業を支持する。我々は、パンデミックに対する予防、備え及び対応への取組には、既存の能力や資金のギャップを埋めるために追加的な支援を必要とすることに合意する。我々は、パンデミックに対する予防、備え及び対応への投資を触媒するために、世界銀行に金融仲介基金(FIF)を設立することへの支持を含め、2022年5月12日に開催された第2回新型コロナ・サミットの成果を歓迎する。

11. 我々は、抗生物質の開発を促進するための取組に関する2021年12月のコミットメントを再確認し、薬剤耐性(AMR)に関するG7保健、農業、気候環境、エネルギートラックでの進行中の作業を支持する。我々は、世界保健機関(WHO)及び国際薬剤耐性研究開発ハブによるAMRに関する進捗報告書を歓迎し、進捗に関する更なる詳細なアップデートがG7財務大臣及び保健大臣に対して2023年になされるよう要請する。

12. G7財務大臣は、G7保健大臣との合同セッションにおいて国際保健の課題に関する議論を行うことを歓迎した。

デジタル化

13. 我々は、新たな課税ルールがグローバルなレベルで発効することを達成するため、経済協力開発機構(OECD)/G20包摂的枠組みによる経済のグローバル化及びデジタル化に伴う課税上の課題に対応する二つの柱の解決策の適時かつ効果的な実施に対する我々の強い政治的コミットメントを再確認する。我々は、途上国に対して、この歴史的な合意の実施に向けた支援を提供する。我々は、21世紀の税務協力に関するOECD事務局の報告書を歓迎し、OECDに対して、引き続きこの分野の作業に取り組むとともに、更なる進展について報告することを求める。

14. 決済におけるデジタルイノベーションは、とりわけより迅速で、安価で、透明性があり、包括的なクロスボーダー決済サービスを通じて、経済の進歩と発展の重要な推進力となる。我々は、「クロスボーダー決済の改善に向けたG20ロードマップ」を通じて行われる重要な作業を強調する。この文脈において、我々は、中央銀行デジタル通貨(CBDCs)の機会とインプリケーション、そして将来の決済取引での潜在的な役割を強調する。我々は、2021年10月に合意された、リテールCBDCに関する公共政策上の原則を想起し、いかなるCBDCも、透明性、法の支配、健全な経済ガバナンス、サイバーセキュリティ、データ保護に基づくべきであると再確認する。我々は、CBDCを探求する各法域に対して、CBDCの国際的側面、特にクロスボーダーでの使用について、検討することを奨励する。クロスボーダー機能を備えるCBDCは、イノベーションを促進し、より効率的な国際決済に対する利用者の需要に応じるための新たな道を切り開く可能性がありうる。しかし、国際通貨金融システムへのいかなる負の波及効果も理解し、最小化するために、継続的な国際協力が重要になる。

15. G7は、全ての形態の暗号資産から生じる金融安定リスクを監視し、対処するための金融安定理事会(FSB)の作業を支持し、クロスボーダー決済を含め、暗号資産の利用に関連した規制上の問題に対処するためのグローバルな協力の強化を歓迎する。最近の暗号資産市場の混乱に鑑み、G7は、FSBに対し、国際的な基準設定主体との緊密な協調の下、ステーブルコインを含む暗号資産にその他の金融システムと同じ基準を遵守させるため、暗号資産の発行者及びサービス提供者に係る一貫性のある包括的な規制の迅速な策定と実施を推進することを強く求める。特に、G7は、金融活動作業部会(FATF)の「トラベル・ルール」や、例えばステーブルコイン裏付け資産に関する、開示の強化及び規制上の報告の迅速な実施を求める。

 我々は、いかなるグローバル・ステーブルコインのプロジェクトも、適切な設計と適用基準の遵守を通じて法律・規制・監督上の要件に十分に対応するまではサービスを開始すべきではないことを再確認する。G7は、同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用するとの原則に従った、グローバル・ステーブルコインに対する高い規制基準に引き続きコミットしている。

気候と環境

16. G7は、パリ協定の目標と、2030年までの我々の排出削減目標及び2050年、又はそれより早いネット・ゼロの達成を目指した国内措置の実行への確固たるコミットメントを再確認する。我々は、グローバル及び国内レベルの両面で、雇用、成長、公平性及び環境に前向きに影響を与える方法で、移行を加速する努力の強化にコミットする。ロシアのウクライナに対する侵略戦争は、エネルギー価格に対する更なる上昇圧力をもたらしており、また、化石燃料への全体的な依存の低減加速及びクリーンエネルギーへの移行強化の必要性を強調する。この移行は、エネルギー安全保障を強化し、特に最も脆弱な人々にとって、将来のエネルギー価格のショックを緩和しつつ、全ての人にとっての公正な移行を促進する。したがって、我々は気候緩和に関する国際的な協力及び協調を強化することにコミットする。効果的な国際協力は、気候変動に対する迅速かつ秩序ある世界的な対応を促進し、環境上の大きな便益及び2050年までに世界のGDPを何兆ドルも保全する潜在性を有する。

17. 我々は、高い十全性のある炭素市場及び炭素の価格付けが、炭素の価格付けのための政策手段の最適な活用を通じ、費用効率の高い排出レベルの削減を促進し、イノベーションを推進し、ネット・ゼロへの転換を可能にする潜在力を有することを認識する。我々は、炭素漏洩のリスクが、気候政策の野心の多様化に伴い増大しうることを認識し、このリスクを軽減し、貿易関係を支援するために、WTOと適合し得るメカニズムについて協力する。我々は、とりわけ、排出削減が難しい産業と電力分野において、我々の経済の変革及び脱炭素化に向けた包括的な協力を支持し、気候エネルギ

ー大臣による進行中の作業を歓迎する。

18. G7首脳は、パリ協定の実施を支援するため、国際的なルールと整合的で、G7以外の国々の参加を得た形で、国際ルールに沿った、開放的で協調的な国際気候クラブの立ち上げを追求することに合意した。我々は、野心的な気候に関する行動が全ての経済にとって強固で持続的な成長に資することを示すことで、真のパラダイムシフトの達成にコミットする。我々は、気候クラブの活動の範囲(ToR)の中核的要素に関する議長提案に基づいて、気候クラブの提案について初めての議論をした。我々は、数か月の間に、G7内、及び途上国や新興国を含む、全ての関心のある野心的なパートナーと共にクラブの活動の範囲(ToR)に関する議論を強化することにコミットする。我々は、2022年10月の会合でこの課題に立ち戻る。

19. 我々は、適用される政策の組み合わせが複雑で多様であることを考慮しつつ、G7内及びグローバルな気候変動緩和政策の棚卸しとマッピングに関する、国際機関による進行中の作業を歓迎する。我々は、経済のグリーンで公正な変革を支援するためのベストプラクティスを共有することにコミットしている。我々は、緩和への多様なアプローチの下での気候政策の野心推進に関する、IMFとOECDの共同報告書に留意する。我々は、国際機関と共にこの作業を推進し、明示的な炭素の価格付け、その他の代替的な炭素緩和アプローチ、及び炭素強度を通じたもの等の、緩和政策の排出量削減効果や経済的影響を比較する手法に関する共通理解に向けた作業を行うことにコミットする。

20. 我々は、気候変動及びネット・ゼロへの移行が、我々の経済におけるマクロ経済上の成果や財政の持続可能性に重大な影響を及ぼすことを認識し、多くの低・中所得国と全ての国の脆弱層への不均等な影響を認識する。我々は、我々のマンデートに沿って、我々の分析に気候変動と移行の影響を反映させ、経済、財政及び金融政策の意思決定への影響を考慮する必要性を認識する。我々は、IMF及び世界銀行が、それぞれの機関のマンデートに沿って、パートナーとの継続した協力の下で、気候変動に関連する課題への関与を強化することを歓迎する。G7の中央銀行は、気候リスクとその側面を、自らのマクロ経済分析及びモデルのツールキットに統合することへの協力を強化することにコミットする。我々は、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク及び気候変動対策に取り組む財務大臣連合による気候関連マクロ経済シナリオと自然関連財務リスクにおける、更なる取組を支持する。

21. 我々は、意味のある緩和のための行動と実施の透明性の文脈において、途上国のニーズに対応するため、2025年にかけて、様々な資金源から、毎年1,000億米ドルを共同で動員する目標の達成に強くコミットする。我々は2023年にこの目標が達成されることを期待する。我々は、この目標を達成するため、各国の強いオーナーシップによる、個別の事情に合わせた公正なエネルギー移行のためのパートナーシップを通じたものを含め、公的な気候資金と民間資金動員を、引き続き強化し、可能な場合には、増加させることに同意する。我々は、適応のためのものを含む気候資金についての継続したG7のリーダーシップと、他の関連するG7トラックとの緊密な協力の下、COP27に先立ち、10月の会合までの財務トラックにおける、より詳細な作業にコミットする。我々は、質の高いインフラの持続的な資金の段階的変化に向けて共に作業することを目的とした、インフラと投資のG7パートナーシップを支持する。

金融市場政策と持続可能性

22. G7は、持続可能性とネット・ゼロに向けた道筋に沿った経済全体の移行を促進するための民間部門の資金の動員において、金融市場の強靱性が鍵となることを強調する。我々は、「G20サステナブル・ファイナンス・ロードマップ」及び「気候関連金融リスクに対処するための金融安定理事会ロードマップ」の実施を支持することに引き続きコミットし、その他の国際的な基準設定主体の関連作業を歓迎する。

23. G7は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の発足及びサステナビリティ報告基準のグローバルなベースラインに関する作業の進捗を歓迎する。我々は、2022年5月18日のISSBの「グローバルなベースラインへの道筋」声明を歓迎し、全ての関係するステークホルダーに対し、現在行われている基準案に関する市中協議への参加を呼び掛ける。我々は、ISSB、国及び地域の基準設定主体並びにその他の報告イニシアティブに対し、グローバルに実施可能な基準に到達することを目指して、ベースラインの策定プロセスに積極的に協力することを強く求める。ベースラインは、実践的で、柔軟性があり、均衡がとれ、最終的に中小企業にも適しているべきであり、法域が、ベースラインやベースラインに追加するより広範なアプローチを実施することを可能にするべきである。我々は、各国に対し、これらのベースライン基準を使用するための基礎を準備し、又は準備を継続し、報告要件の分断を最小化するため各国・地域の基準とグローバルなベースラインとの相互運用性を確保することを目指し、報告の負担を削減し、利用者が一貫性のあるサステナビリティ情報を入手できるようにすることを奨励する。我々は、ISSBに対し、自然及び社会問題といった、気候以外のサステナビリティ報告基準に関する作業を継続することを奨励する。

24. G7は、市場参加者の、透明性と信頼性のある中間目標と行動を伴う移行計画の公表による、2050年までにネット・ゼロを達成するための自発的なコミットメントの策定と、より広範なサステナビリティ目標との整合を歓迎する。我々は、公的部門がこれらのコミットメントの信頼性及び説明責任の強化を支援する方法を引き続き模索する。

25. 「G20サステナブル・ファイナンス・ロードマップ」に沿って、G7は、国際機関に対して、入手可能な公的及び企業のサステナビリティ情報へのアクセスを改善するための具体的な措置を取ることを求める。気候変動リスク等に係る金融当局ネットワークのプロトタイプのような、サステナビリティ情報のソースに関するレポジトリは、恒久的に一般に公開されるべきである。G7はまた、気候変動にも焦点を当てた新たなG20データギャップイニシアティブの立ち上げを支持する。

26. 我々は、環境犯罪と関連するマネロンに対する闘いが気候変動、生物多様性の損失との闘いに貢献できることを認識する。我々は、環境犯罪からの不正資金リスクに対処することへのコミットメントを新たにし、そしてそれらが分野横断的な問題であると認識する。我々は、金融活動作業部会(FATF)の「環境犯罪からのマネロン」報告書の以下の優先行動にコミットする。すなわち、国のリスク評価において、環境犯罪からの収益に関連してマネロンリスクにさらされていることを評価すること及び他国がそのようにすることを支援すること、環境犯罪と関連するマネロンについての知見共有を促進し、また意識向上策を推進すること、そして複数の利害関係者との対話を通じた国際協力を促進することである。この対話への参加者には、特に環境所管省庁、法執行機関、資金情報機関、そして税関を含むべきである。

27. G7はFATFの実質的支配者の透明性向上に係る進行中の取組を歓迎する。我々は、最近改定された、法人の実質的支配者と透明性に係るFATF基準を完全かつ効果的に実施することにコミットし、そしてこの点において、不正資金に対処する法執行機関及び権限ある当局に対して情報への効率的なアクセスを提供するため、実質的支配者の登録機関を実施及び強化することへの我々のコミットメントを再確認する。我々はまた、可能な場合に実質的支配者情報を公表することの利点を確認する。我々は、全ての国に対し、新しい基準を迅速に実施することを求める。我々は、信託と類似の法的取極の透明性のための、また財産回復に係るFATF基準の進行中の見直しを支持する。我々は、腐敗との闘いにおいてFATFがより多くの活動をすることへのFATF大臣らのコミットメントを歓迎する。

国際金融アーキテクチャ

28. 我々は、IMFにおける強靱性・持続可能性トラスト(RST)の最近の設立とRSTに対するプレッジを歓迎する。我々は、最もニーズのある国のために世界合計で1,000億米ドルを自発的に貢献するという野心の達成に向けた重要なステップでもある、この基金への特別引出権又は自由利用可能通貨による、幅広い自発的な貢献に対する我々の支持を再確認する。我々は、対外ポジションの強い全ての国に対して、この取組に貢献するよう求める。我々は、歴史的な国際開発協会の第20次増資を称賛する。

29. 低所得国の60%以上の国が債務破綻状態又は債務破綻に陥る高いリスクを抱え、多くの途上国及び新興国の悪化した、非常に困難な債務状況を踏まえ、我々は債務再編のための多国間での枠組みを改善することの緊急性を認識する。我々は、パリクラブでも承認されている、G20の「債務支払猶予イニシアティブ後の債務措置に係る共通枠組」を成功裏に実施するとの我々のコミットメントを強調する。G7は、「共通枠組」を加速して実施するための更なる取組を奨励し、債務国に一層の確実性を与えるため、強化策を支援し、予測可能性を向上させる用意がある。G7はまた、「共通枠組」の下での債務措置を支援し、迅速に進めるために、G20パートナーと共に引き続き取り組む。

30. 「共通枠組」の実施に関し、債務持続可能性の課題に直面している低所得国に対して多額の債権残高を有する、中国のような非パリクラブ国を含む全ての関連する債権国が、要請に応じて必要な債務措置に建設的に貢献することが引き続き不可欠である。我々は、チャドの債権者委員会に対し、とりわけ原油価格の変動に起因するチャドの債務の脆弱性を軽減するために、チャドに対する債務措置を早期に完了することを奨励する。我々は、チャドの民間債権者が、措置の同等性の原則に沿って、債務措置を提供することが期待されることを強調する。我々はザンビアの債権者委員会を迅速に設立するとの我々のコミットメントを再確認し、全ての債権者に、IMF及び世銀の適時の資金支援を引き出すための資金保証を迅速に提供するために、可能な限り早期に委員会を開催することを要請する。エチオピアの新たなIMF拡大クレジット・ファシリティへの再関与を受けて、我々はまた、エチオピアの債権者委員会の進展に期待する。より広範に、我々は、措置の同等性の原則に沿って、全ての債務再編に民間部門の関与を求めることを再度強調し、また、国際金融機関や市場参加者と、そのような参加のためのアーキテクチャを改善するための作業を継続することを期待する。

31. 我々はスリランカの現状を懸念している。我々は当局に対し、人権の尊重を確保し、各方面に自制的な行動をとるよう要請する。我々は、人権の尊重に資する、スリランカの経済的な課題に対する長期的解決にコミットしており、スリランカによるIMFプログラム要請を歓迎する。我々は、スリランカが野心的だが現実的な合意を可能な限り早期に締結するよう、IMFと建設的に交渉することを奨励する。G7は、スリランカの債務措置の必要性に対処するために、パリクラブがその原則に沿って取り組むことを支援する用意がある。我々は、パリクラブのいかなる措置も、非パリクラブ債権国による同等の取組を伴うものであるため、債権者の協調を強く支持する。我々は、これらの国々がパリクラブと協調することを要請する。

32. 我々は、民間債権者を含む全ての債務者と債権者において透明性を改善させるとのコミットメントを再確認する。債務データの正確性と透明性を高めることは、有効な債務持続可能性評価を確保するために極めて重要である。債務データを正確に収集し報告するための借入国のキャパシティ上の制約を踏まえ、我々は、全てのG20及びパリクラブの債権国が、債務データ突合を通じて借入国が正確なデータを確保できるよう、関与し、IMF及び世銀に貸付データを共有することを強く求める。