[文書名] G7エルマウ首脳声明
前文
我々、G7首脳は、2022年6月26~28日、国際社会にとっての重要な節目において、公平な世界に向け前進するためエルマウで一堂に会した。法の支配を遵守する開かれた民主主義国として、我々は共通の価値により推進され、ルールに基づく多国間秩序及び普遍的人権へのコミットメントにより結束する。ウクライナ支援に関する我々の声明において示されるように、我々は、平和的で繁栄した民主的な未来のための戦いにおいてウクライナ政府及び国民を支援するため結束し、世界のエネルギー及び食料安全保障の確保を支援し、経済回復を安定化させる目的を含め地域及び世界への有害な影響に対抗するための取組を強化しながら、ウクライナに対するこの不当な侵略戦争に対し、プーチン大統領の体制に厳しく、かつ即時の経済的コストを課し続ける。世界が分断により脅かされる中、我々は、共に責任を担い、気候変動への対処、公正な移行の確保、現在及び将来のパンデミックへの対応、ジェンダー平等の達成といった喫緊の地球規模の課題に対する解決策を見出すため世界中のパートナーと共に取り組む。
我々はエルマウで、我々の民主主義を保護及び強化し、他の国際的なパートナー及び組織と緊密に協力しながら地球規模の課題に共同で取り組むとの我々のコミットメントにおいて我々と結束しているアルゼンチン、インド、インドネシア、セネガル及び南アフリカの首脳の参加を得た。我々が本日行うコミットメントは、2030アジェンダに沿った、持続可能な開発、包摂的な経済回復及び豊かで平和な未来に向けた我々の道筋を形作る。
持続可能な地球
気候・エネルギー
我々は、パリ協定及びその実施の強化への我々の揺るぎないコミットメントを再確認する。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告を受け、我々は、現在のところ世界全体の野心も実施も、パリ協定の目標を達成するのに十分ではないことに懸念をもって留意する。我々は、地球温暖化を摂氏1.5度に抑えるために、IPCCの最新の見解に照らし、2030年までに世界全体の温室効果ガス排出量を2019年比で約43%削減するために行動する緊急性が高まっていることを強調する。これを受け、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に向け、我々は、この10年間の緊急で野心的かつ包摂的な行動にコミットし、他国にも同じ行動をとるよう強く求める。我々はまた、気温上昇を摂氏1.5度に抑えることを射程に入れ続けること、気候変動の影響に対する強じん性及び適応能力を強化すること、並びに資金の流れをパリ協定の目標に整合させることにコミットする。我々は、グラスゴー気候合意を緊急に実施する上で、我々の役割を十分に果たす。我々は、パリ協定の気温目標に整合させるため、2022年末までに、必要に応じて各国の「国が決定する貢献(NDC)」における2030年目標を再検討し、強化するよう締約国に求めるグラスゴー気候合意の要請を強く支持し、想起する。我々は、2030年NDC目標がまだ整合していない全ての国、特に主要排出国に対し、COP27より十分に先立って、野心を高め、2030年NDC目標を摂氏1.5度の道筋に整合性のとれたものとするよう強く求める。
我々は、我々のNDC目標を達成するための国内の緩和措置を効果的に実施し、例えば、セクター別目標、非二酸化炭素の副次的目標、厳しい実施措置の採用又は強化することによるものを含め、我々の野心を高めることにコミットする。我々は、多国間基金への我々の拠出又は二国間支援を通じたものを含め、開発途上国が自国のNDC及び長期戦略を更新し実施する上で、開発途上国に対する我々の支援を強化することにコミットする。我々は、脆弱な国々における適応及び強じん性のための行動及び支援を強化しつつ、適応に関する世界全体の目標のための野心的な結果に向け取り組む。我々は、気候変動及び環境の悪化が平和、安定及び安全保障に及ぼす悪影響を認識し、これらの影響に対抗するために国際社会と協働する。我々は、効率的、効果的かつ衡平な方法で脱炭素化を支援するため、最も適切な経済及び財政政策について引き続き協調する。
我々は、高度な脱炭素化を推進する上でのイノベーションの重要性を認識する。我々は、この10年間に、排出ゼロの公共交通機関及び公用車を含む小型車の排出ゼロ車両の販売、割合、及び導入を相当に増加させることを含め、2030年までに高度に脱炭素化された道路部門にコミットする。我々はこの目標のためにG7メンバーがとる多様な道筋を認識する。我々は、遅くとも2050年までの国際航空からのネット・ゼロ排出に関するパリ協定に整合的な世界全体の目標を支持し、遅くとも2050年までに国際海運からのネット・ゼロ排出を実現するための世界的な取組を強化することにコミットする。我々は、交通用代替燃料の長期的な推進にあたっては、気候、生物多様性、食料安全保障に関する我々の目標に引き続き留意する。我々は、ライフサイクルを通じてハイドロフルオロカーボン(HFC)の排出を削減することにコミットし、この点に関する国際的な取組と知見共有のイニシアティブを歓迎する。我々は、「グローバル・メタン・プレッジ」へのコミットメントを再確認し、2030年までに世界全体の人為起源のメタン排出量を共同で少なくとも2020年比で30%削減するための取組を強化する。
我々は、気候変動、生物多様性の損失及び汚染との闘いには、民間及び公的な、国内及び国際的な資金を動員することが必要であることを認識する。このため、我々は、資金の流れを我々の気候及び生物多様性の目標に整合させるための明確な政策及び戦略を他者と共に実施することにコミットし、あらゆる資金源から資金を動員することにコミットしている。
我々は、1,000億ドルの合同気候資金動員目標を可能な限り早期に、かつ、2025年までにかけて達成するという我々の強いコミットメントを新たにし、我々の取組を強化する。気候資金実施計画を基礎として、我々は、同目標が2023年に達成されるという確信を強化するため、国連気候変動枠組条約COP27に先立ち、報告書における共同の行動の進捗を示す。我々は、開発途上国に対する適応のための気候資金の供与を2025年までに2019年の水準から共同で少なくとも倍増させることを求めるグラスゴー気候合意の実施に向けて他国と共に取り組むことにコミットする。我々は、特に貧困国及び最も脆弱な国に焦点を当てて、気候資金へのアクセスを改善することの重要性を強調する。
我々は、特に脆弱な開発途上国における損失及び損害を回避し、最小化し、対処するための行動及び支援を拡大することが緊急に必要であることを認識する。我々は、気候・災害リスクファイナンス及び保険(CDRFI)を拡大することにコミットし、気候リスク保険強じん性グローバル・パートナーシップ(InsuResilience Global Partnership)及びその他のイニシアティブを基礎として、「気候リスクに対するグローバル・シールド」に向けて取り組む。我々は、我々の開発大臣に対し、COP27までにグローバル・シールドを前進させるよう求める。我々は、野心的な世界的枠組みの実施を支援するため、あらゆる資金源から資金を動員し、自然に対する我々の国内及び国際的な資金を2025年までに大幅に増加させることにコミットしている。我々は、G7以外の国に対し、この努力に参加することを奨励する。我々は、自然を活用した解決策のための資金増加を含め、気候のための資金と生物多様性のための資金の相乗効果を強化することにコミットする。我々は、2025年までに我々の国際開発援助が自然を害することなく、人々、気候及び自然のために全体として前向きな成果をもたらすよう確保することにコミットする。
我々は、国際開発金融機関(MDBs)に対し、気候及び生物多様性への野心的な行動を更に強化するよう求める。この目的のため、我々は、MDBsに対し、国連気候変動枠組条約COP27より前にパリ協定への整合化のための方法論を策定すること、民間資金の動員を強化すること、開発政策業務を通じて規制改革を支援すること、さらに、自然に対する資金を増加及び開示し、生物多様性条約第15回締約国会議第二部(COP15.2)より前に国際的な生物多様性資金への具体的金額をプレッジすることを求める。
我々は、化石燃料への補助金がパリ協定の目標と整合していないことを強調し、2025年までに非効率な化石燃料補助金を廃止するという我々のコミットメントを再確認する。生物多様性条約の締約国であるG7メンバーはまた、生物多様性に有害な補助金を含むインセンティブを遅くとも2030年までに方向転換又は廃止することにコミットし、遅滞なく最初の措置をとる。我々は、持続可能性、ネット・ゼロ及びネイチャー・ポジティブな結果に向けた経済全体の移行を促進するため、民間部門の資金を動員する強じんな金融市場の重要性を強調する。我々は、G20「サステナブル・ファイナンス・ロードマップ」の実施を支持し、他者に対し、サステナブルなファイナンスを拡大するためにその行動を採用することを求める。我々は、「気候関連金融リスクに対処するための金融安定理事会ロードマップ」を支持する。我々は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の立ち上げ及びサステナビリティ報告基準のグローバルなベースラインに関する作業の進捗を歓迎する。我々は、義務的な気候関連財務情報開示を支持し、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に期待する。
我々は、開放的、協調的かつ国際的な気候クラブの目標を支持し、我々の独立の声明に掲げられているとおり、気候クラブを2022年末までに設立するために、パートナーと連携していく。
ロシアのウクライナに対する侵略戦争は、世界のエネルギー市場及びエネルギー供給の安全保障に影響を与えている。我々は、G7メンバー及びそれ以外の国々のエネルギー供給の安全保障に対するこれらの影響及びリスクに対抗することにコミットしている。我々は、脆弱な国々を犠牲にして侵略から利益を得るためにロシアがエネルギー生産国としての立場を悪用しないことを確保するよう取り組んでいる。我々は、エネルギー供給を確保し、異常な市場環境によるエネルギー価格の上昇を止めるために直ちに行動する一方で、エネルギー移行を含む気候及び生物多様性の目標において、ロシアの石炭及び石油の輸入のフェーズアウト又は禁止によるものを含め、ロシアのエネルギーへの依存をフェーズアウトするという我々のコミットメントにおいても妥協しない。
我々は、国内外で不平等を悪化させ、我々の共有された繁栄を脅かす、エネルギー価格上昇の負担及びエネルギー市場の不安定化を懸念する。我々は、国際エネルギー機関(IEA)と協調し、G7において及び世界的に、価格高騰を軽減し、我々の経済及び社会への更なる影響を防止するための追加措置を探求する。我々自身の社会で、我々は、低廉性を支援する目的で、最も脆弱な人々並びに企業及び産業に対し短期的な財政支援を提供している。我々はまた、開発途上国へ支援を提供するとともに、我々の生産全体の短期的増加及び我々のエネルギー備蓄の適切な使用を通じて、また、国際的なパートナーも同様の取組を行うよう協力することにより、世界のエネルギー市場の安定を支えるための我々の措置を強化する。我々は、エネルギー市場の緊張を減らすために生産国に増産することを奨励し、この文脈で、国際市場の逼迫に対するOPECの最近の対応を歓迎する。我々は、これらの国々に対し、この点に関する行動を継続するよう求める。我々は、エネルギー市場の効率性、安定性及び透明性の強化にコミットしているパートナーとの協調を強化する。
我々は、ロシアのエネルギーへの依存をフェーズアウトするという我々のコミットメントを再確認する。我々はまた、ロシアが侵略戦争から利益を得ることを防止するために更なる措置を追求する。我々がロシアの石油を自国の国内市場からフェーズアウトする際に、我々は、経済的な負の影響、特に低中所得国に対するものを最小限に抑えながら、ロシアの炭化水素からの収入を減らし、世界の石油市場の安定を支援するという我々の目的に合致する解決策を策定することを追求する。この観点から、我々は、適切な場合には一時的な輸入上限価格の導入の実現可能性を含め、エネルギー価格の上昇を抑制する方策を国際的なパートナーと共に探求するという欧州連合の決定を歓迎する。我々は、供給の多角化を追求する国を支援するために取り組むことを含め、ロシアからの民生用原子力及び関連製品への依存を更に減少させる。我々は、我々の関係閣僚に対し、至急にこれらの措置の実現可能性及び効率性を評価することを指示する。
石油に関し、国際的なパートナーと協議の上で合意される価格又はそれを下回る価格で石油が購入されない限り、ロシアから海上輸送される原油及び石油製品の世界的な輸送を可能にする全てのサービスを包括的に禁止するというあり得べき選択肢を含め、我々は様々なアプローチを検討する。種々の選択肢を検討する際には、我々の制限措置と並行して、我々はまた、最も脆弱で影響を受ける国が、ロシアからのものを含むエネルギー市場へのアクセスを維持することを確保するための緩和メカニズムについて検討する。我々は、志を同じくする全ての国に対し、我々の行動へ参加することを検討するよう奨励する。我々は、我々の関係閣僚に対し、ロシアの炭化水素の代替として、第三国や民間部門の主要なステークホルダー、既存及び新規のエネルギー供給者と協議し、これらの措置について引き続き早急に議論を続けることを要請する。
我々は、エネルギー安全保障及び低廉性を我々の行動の中核に据え続けつつ、化石燃料への我々の全体的な依存を低下させ、遅くとも2050年までのネット・ゼロ排出実現に向け、クリーンエネルギー移行を加速させる。我々は、「世界のインフラ・投資のためのパートナーシップ(PGII)」の支援を受け、「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」を通じたものを含め、野心的な新たな開発パートナーシップ及び資金へのアクセスの加速を通じ、開発途上国及び新興市場におけるパートナーもクリーンエネルギーへの公正な移行を行うことを支援する。
我々は、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を2021年末までに終了した。加えて、国家安全保障及び地政学的利益の重要性を認識し、我々は、各国が明確に規定する、地球温暖化に関する摂氏1.5度目標やパリ協定の目標に整合的である限られた状況以外において、排出削減対策が講じられていない国際的な化石燃料エネルギー部門への新規の公的直接支援の2022年末までの終了にコミットする。この文脈で、また、ロシアのエネルギーへの依存のフェーズアウトを加速させる目的で、我々は、液化天然ガス(LNG)の供給の増加が果たすことのできる重要な役割を強調し、この部門への投資が現在の危機に対応するために必要であることを認識する。このような例外的な状況において、我々は、明確に規定される国の状況に応じて、例えば低炭素及び再生可能エネルギー由来の水素の開発のための国家戦略にプロジェクトが統合されるのを確保すること等により、我々の気候目標と合致した形で、ロックイン効果を創出することなく実施されるなら、ガス部門への公的に支援された投資が一時的な対応として適当であり得ることを認識する。
また、我々は、排出削減が困難なセクター及びゼロエミッション火力発電に対する低炭素及び再生可能エネルギー由来の水素並びにその派生物の中心的な役割を強調し、それらの市場拡大のため我々の強力な資金的コミットメントを確認し、低炭素及び再生可能エネルギー源をベースとした世界経済へ移行する。我々は、安定的かつ持続可能な世界のエネルギー供給を確保するために全てのパートナーと協働する。我々は、省エネルギー及び再生可能エネルギーに強く依存した温室効果ガス排出中立なエネルギー供給が、経済的に賢明で、技術的に実現可能で、信頼性が高く、安全であることを認める。この目的のため、我々は、2035年までに電力部門の完全又は大宗の脱炭素化の達成にコミットする。石炭火力発電が世界の気温上昇の唯一最大の原因であることを認識し、我々は、国内の排出削減対策が講じられていない石炭火力発電のフェーズアウトを加速するという目標に向けた、具体的かつ適時の取組を重点的に行うことにコミットする。我々は、再生可能エネルギーによる発電及び全ての部門における再生可能エネルギーの使用を増加させ、再生可能エネルギーの拡大を妨げたり遅らせたりしている障壁や障害を取り除くこと、及びエネルギー消費を削減することにコミットする。原子力の使用を選択した国々は、エネルギーミックスにおける原子力の役割を再確認した。それらの国は、低廉な低炭素のエネルギーを提供し、ベースロード電源や系統の柔軟性としてエネルギー安定供給に貢献する原子力の潜在性を認識する。これらの国は、今後10年以内に小型モジュール炉を含む革新的な原子力技術を開発・展開していくことが、世界のより多くの国がエネルギーミックスの一部として原子力を採用することに貢献するだろうとの評価を述べている。G7は、最高水準の原子力安全及び核セキュリティが、全ての国及びそれぞれの国民にとって重要であることを強調する。
エネルギー及び資源を節約し効率的な利用を行うことは、環境、経済及び社会の各側面にわたり複合的な利益をもたらす。我々は、規制の枠組み、インセンティブに基づく政策手段、公的及び民間の資金並びに民間投資のリスクを軽減するための公的保証を通じて、全ての部門においてエネルギー効率を向上させる。我々は、エネルギー大臣に対し、本年末までに、エネルギー部門におけるジェンダー平等及び多様性を強化するための行動分野を特定するよう求める。
環境
我々が深く懸念しているように、生物多様性はかつてなく憂慮すべき速さで失われつつあり、持続可能な経済発展並びに人間の健康及び福祉を脅かしている。我々は、G7「2030年自然協約」を再確認し、2030年までに生物多様性の損失を止めて反転させるという世界的な任務を達成することに引き続きコミットし、自ら模範を示すことで野心的な行動を強化していく。我々はまた、国の状況やアプローチに応じて、国内及び世界で、2030年までに少なくとも陸地の30%及び海洋の30%を保全又は保護することにコミットする。我々は、2022年に変革的な世界の生物多様性枠組みを採択し、これを適時に実施することの緊急性を強調する。我々は、生物多様性条約COP15において採択される予定の、野心的な目標及びターゲット、実施強化並びにレビュー及び説明責任のための強化されたメカニズムを備えた、野心的かつ効果的な枠組みを支持する。我々は、これを実施するために直ちに行動し、生物多様性条約COP16までに、改定され強化された生物多様性国家戦略及び行動計画を提出する。我々は、「国連生態系回復の10年」を引き続き支持し、国内的、地域的及び世界的に野心的な回復のためのイニシアティブを増加させる。我々は、土地の劣化の中立性の達成に対する我々のコミットメントを改めて表明する。我々は、自然を活用した解決策(NbS)の実施を主流化し、強化し、拡大することにコミットし、統合されたワンヘルス・アプローチの実施を推進する。
気候変動、生物多様性の損失及び汚染という世界的な危機が相互に強化し合っていることを認識し、我々は、統合的及び全体的な方法で我々の行動を強化する。我々は、自然資源の過剰な搾取を止めて反転させ、違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び海洋環境の悪化を終わらせ、化学物質及び廃棄物の健全な管理を通じたものを含め汚染と闘い、生物多様性の損失を反転させ、気候変動に対処することにコミットする。強じんな海洋生態系を備えたクリーンで健全かつ生産的な海洋は、地球上の全ての生命にとって不可欠である。我々は、国連海洋法条約の下で法的拘束力を有する文書を2022年に成立させることを含め、世界の海洋の保護、保全、回復及び持続可能で公平な利用に関する世界的な取組を主導することにコミットする。我々は、第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)決議5/14の下で始められた法的拘束力のある国際文書に向けた交渉の迅速な進展にコミットすることで、世界中のプラスチック汚染と闘うことにコミットする。この目的のため、我々は、「G7オーシャンディール」を承認し、環境大臣に対し、本年末までに進捗を報告するよう求める。我々は、環境への負荷を低減し、多くの恩恵を生み出すために、資源効率性及び循環経済を高めることにコミットしている。この目的のため、我々は、「資源効率性及び循環経済に関するベルリン・ロードマップ」を承認する。一層の循環経済を通じて、我々は、特に重要鉱物資源及び原材料に関して、強じんで持続可能なサプライチェーンに貢献する。
世界の農業部門の主要なステークホルダーとして、我々は、持続可能性及び強じん性に向けた変革の先頭に立つことにコミットしている。2030年までに土地の劣化及び森林の消失を阻止し反転させることを強く決意し、我々は、サプライチェーン全体を通じて共同の解決に到達することを確保するために、全ての関連するステークホルダーと共同で取り組み、ベスト・プラクティスを共有し、対話を促進する。我々は、持続可能なサプライチェーンを促進するため、G7の政策措置の質及び可能な場合にはその一貫性を向上させることにコミットしている。この目的のための一手段として、我々は、持続可能な農業サプライチェーンのためのG7の自主的及び義務的なデュー・ディリジェンス措置に関するOECDのインベントリの結果に期待する。我々は、食料安全保障並びに気候変動及び生物多様性の損失との闘いに対する農業部門の貢献を強化する。我々は、土壌の炭素隔離の活動強化が、気候の管理と生物多様性保全を改善すると同時に、農業生産性を向上させ、農業従事者、特に小規模農業従事者の収入源を創出するという確信を共有する。
経済的安定及び変革
世界経済と金融
ロシアのウクライナ侵略は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック危機の経済的影響を悪化させ、成長を引き下げることで、2021年後半に始まった回復を阻害し、一次産品・エネルギー・食料価格の高騰を引き起こし、G7及びその他の国々、特に一部の新興市場及び開発途上国において、インフレを数十年振りの水準まで押し上げた。こうした背景から、我々は、必要な場合には的を絞った支援を提供することを含め、戦争の世界的な、及び我々の自国の経済及び国民への影響を最小化するための継続的な連携に引き続きコミットしている。我々は、為替レートに関する既存の我々G7のコミットメントを再確認する。
我々は、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ、ジェンダー平等で包摂的な世界的回復のために引き続き努力する。我々は、財政の中期的な持続可能性を確保し、金融セクターの強じん性を維持する、安定及び成長を志向するマクロ経済政策の組み合わせに引き続きコミットしている。我々は、安全、強じん、公平かつルールに基づく開かれた世界経済システムを維持し強化する。我々は、新型コロナウイルスのパンデミック及びロシアの侵略戦争によって明白となった、構造的な経済変化に対する戦略的な対応において一致団結している。
我々は、ネット・ゼロ及びデジタルへの移行や、必要とされている大規模な投資の促進を含め、長期的な成長への課題に対して、共同で対処することに引き続きコミットする。我々は、イノベーション、生産性向上及び排出削減の潜在力を引き出すべく、人的資本に対するものを含む官民の投資を高い水準で動員することにコミットする。その際、我々は、多様性の重要性を認識し、女性及び少数派のグループの完全、平等かつ有意義な参画が、我々の経済の長期的な成功に極めて重要であることを認識する。これは、包摂的で協力的な経済財政政策の枠組みによるものを含め、ジェンダー平等への構造的な障害を除去する必要性を含むものである。
我々は、低所得国の半数以上の国が債務破綻状態又は債務破綻に陥る高いリスクを抱え、多くの途上国及び新興市場の悪化した、非常に困難な債務状況を踏まえ、債務再編のための多数国間の枠組みを改善し、債務の脆弱性に対処することの緊急性を認識する。我々は、G20の「債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)後の債務措置に係る共通枠組」を成功裏に実施することへの我々のコミットメントを強調する。我々は、G20の「共通枠組」を加速して実施し、予見可能性を向上することを確保するための更なる取組を奨励する。我々は、この観点から、全てのG20パートナーに対し、我々に参加するよう求める。我々は、債務持続可能性の課題に直面している低所得国に対して多額の債権残高を有する中国等の非パリクラブ国を含む全ての関連債権者及び民間の債権者が、債務措置の同等性の原則及び相互説明責任に則り、要請に応じて必要な債務処理に建設的に貢献することを強く求める。我々は、改善された債務持続可能性のため、民間債権者を含む全ての債権者と債務者において透明性を促進するとのコミットメントを再確認する。
我々は、新たな課税ルールがグローバルなレベルで発効することを達成するため、経済協力開発機構(OECD)/G20包摂的枠組みによる経済のグローバル化及びデジタル化に伴う課税上の課題に対応する2つの柱の解決策の適時かつ効果的な実施に対する我々の強い政治的コミットメントを再確認する。我々は、開発途上国に対し、この歴史的な合意の実施に向けた支援を引き続き提供する。
貿易・サプライチェーン
我々は、世界貿易機関(WTO)を中核とするルールに基づく多角的体制の基本原則及び目的として、現在の地政学的環境においてこれまで以上に重要である、自由で公正な貿易に対する我々のコミットメントの下、連帯する。これは、法の支配を基礎とした開放性、透明性及び市場志向の競争を含む我々の共通の価値を反映すべきである。G7以外とも共同して、我々は、ロシア連邦からの製品及びサービスに対する最恵国待遇を停止するためにここ数か月間にわたって行動してきた。我々は引き続き、開かれた透明性のある市場を維持するために貿易制限的措置及び非市場的慣行に取り組むこと等により、不必要な貿易障壁を取り除き、G7以外に対して同様の措置をとるよう求める。我々は、公正で予測可能かつ安定的な貿易環境を実現すべく、WTO改革へのコミットメントを新たにする。我々の世界貿易のルールブックは、経済の変革、持続可能、包摂的かつ強じんな成長を可能にし、世界の市民のニーズに応えるものでなければならない。これには、モニタリング、交渉及び紛争解決メカニズムというWTOの機能を改革することを含む。我々は、創造的かつ実際的なアプローチを促進すること等により、WTOにおいて意味のある重要な成果を交渉するための有志国間のイニシアティブの重要性を強調する。このため、我々は、漁業補助金、生じつつある食料安全保障の危機及びワクチンへの公平なアクセスといった主要な地球規模の課題への対応並びにWTOの必要な改革に向けて取り組むというコミットメントに関する第12回WTO閣僚会議(MC12)の成果を称賛する。改革された多角的貿易体制とともに、我々は、電子商取引交渉を進展させ電子的送信に関税を賦課しないモラトリアムの恒久的解決策を見出し、漁業補助金交渉において懸隔を埋め、農業改革に取り組み、かつ、WTO改革に関する具体的な前進を実現することによって、第13回WTO閣僚会議においてこの野心的進展を満たすことを期待する。我々は、既存のツールをより効果的に活用すること、また、特に過剰生産能力につながりうるものを含め有害な産業補助金及び国有企業による貿易歪曲的な行動といった、非市場的政策及び慣行に関するより強固な国際ルール及び規範を構築することを通じて、公平な競争条件に向けて取り組む我々の努力を更に強化する。我々は、環境物品・サービスに関する貿易の円滑化及び貿易関連の気候・環境措置が、WTOのルール及び原則と整合的でありつつ我々のパリ及びグラスゴーでのコミットメントの達成にいかに貢献できるかに関する、WTOでの体系的議論を支持する。
貿易の流れは、グリーンで公正な移行、環境物品、サービス、技術及びノベーションの普及に重要な役割を果たす。拘束力を有する措置と有さない措置の組み合わせを通じ、我々は、ネット・ゼロに沿った、気候変動に強く、農業生産を森林損失及び土地劣化から切り離し、資源を持続的に使用し、環境負荷を減らし、循環性を促進し、働きがいのある人間らしい仕事を促進する持続可能なサプライチェーンを促進することにコミットする。我々は、グローバル・サプライチェーンにおける人権、環境及び労働に関する国際的基準の一貫した実施及び遵守を最大化するため協調する。我々は、児童労働に対処し、民間部門と緊密に取り組み、公正な賃金を含む働きがいのある人間らしい仕事を確保することにコミットしている。我々は、農業、太陽光、衣類の部門におけるものを含め、グローバル・サプライチェーンにおける、国家が支援する脆弱なグループ及び少数派の強制労働を含むあらゆる形態の強制労働の利用について懸念する。我々は、グローバル・サプライチェーンの全過程において国際労働機関の加盟国の立場から生じるものを含め人権及び国際労働基準を堅持すること、並びに、強制労働の事例に対処することの重要性について合意する。我々は、国家が支援する強制労働を含むあらゆる形態の強制労働をグローバル・サプライチェーンから排除するため、我々自身が利用可能な国内の手段及び多国間機関を通じたものを含め、進展を加速させることにコミットする。我々は、強制労働に世界的に対処するため、透明性の向上、ビジネスリスクの勧告及びその他の手段を通じたものを含め、グローバル・サプライチェーンにおけるあらゆる形態の強制労働の利用の廃止に向け、我々の協力及び共同の取組を強化する措置をとることにコミットする。我々は、「国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」、「ILO多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(MNE宣言)」及び責任ある企業行動に関連するOECDの指針に沿って行動し、他者に対し、これらの取組に参加するよう求める。我々は、権利保有者を保護し、侵害に対処するための更なる多国間協力を提供し、救済を支援し、したがって企業の予見可能性と確実性を高めるような、義務的な措置を通じたものを含む、国際基準の遵守を強化するため、「ビジネスと人権」に関する国際的なコンセンサスに向けて取り組むことにコミットしている。
最近の危機は、慢性的なリスク及び急激な市場ショックに対する構造的な脆弱性を浮き彫りにし、我々のサプライチェーン及び経済安全保障に影響を与えている。我々は、野心的な価値主導の貿易政策を通じ、持続可能で、透明性のある、多様かつ安全なグローバル・サプライチェーンを促進するルールに基づく環境における、開放性、包摂性及び競争の原則を堅持する。我々は、多様で、競争的かつダイナミックなグローバル・サプライチェーンが、独占及び経済的脆弱性に対する守りとなるだけでなく、相互連結性、福祉の改善及び共通の繁栄を促進することを認識する。我々の市場の脆弱な部分を認識し、我々は、重要物資、とりわけ主要な原材料及び重要鉱物資源における脆弱性を理解し、安全保障を強化するため、産業界とのものを含め、協力を強化する。我々は、代替資源、加工能力、持続可能な慣行及び新技術への投資を探求することにより、市場の循環性の促進に焦点を当て、多様化を支援する。我々はまた、協力的なシナリオに基づくストレステストを含め、ショックに先立ち脆弱性と物流の障害を特定し、監視し、最小化するメカニズムに関する洞察及びベスト・プラクティスを共有するため協調する。これを報告するため、我々は、OECDによる「重要な原材料の供給の安全保障」に関する作業を歓迎する。我々は、我々の関係閣僚に対し、それぞれの専門分野にわたって、責任ある、持続可能かつ透明性のある重要鉱物資源のサプライチェーンの構築並びに国際協力、政策及び金融ツールを通じた推進戦略の確立に向けた作業を強化するよう求める。これは、国際的なレベルでの輸出規制及び貿易障壁への対応を含み、そして、加工、精錬及び循環経済を含む重要鉱物資源のサプライチェーンのあらゆる部分を考慮すべきである。
我々は、より一般的に、外的ショック及びより広範なリスクに直面した際の経済安全保障に関する我々の既存の協力を評価しつつ、この問題に関するG7としての進展中の戦略的協調にコミットする。我々は、経済的威圧を含む、世界の安全及び安定を損なうことを意図した脅威への警戒を強化する。このため、我々は、そのようなリスクに対する評価、備え、抑止及び対応を改善するための協力を、G7及びその他の国々がこれらに対処したベスト・プラクティスを活用しつつ、強化していくことを追求し、このためのメカニズムを探求する。
雇用及び公正な移行
我々は、特に新型コロナウイルスのパンデミックの影響、労働市場におけるデジタル及びネット・ゼロの変革、企業及び労働者に対する関連する要求の影響に照らし、働きがいのある人間らしい質の高い労働を促進することにコミットする。この目的のため、我々は、グリーン経済のために変化する労働市場のニーズに応えるよう、全ての労働年齢の成人を訓練し、備えさせるための努力を惜しまない。したがって、我々は、未熟練の成人や制度的な障壁に直面している人々に焦点を当てた継続教育訓練(CET)を促進するための努力を大幅に強化することにコミットする。我々は、OECDに対し、この進展を監視するよう求める。2025年までに、我々は、パートナーである新興国及び開発途上国の戦略と整合的な形で、また、我々の予算プロセスに従い、グリーン・セクター及び伝統的セクターのグリーン化に特化した、雇用及び技能促進プログラムに対する我々のODAの割合を増加させる。
我々は、構造的理由及び気候変動による新たな課題に直面する場合を含め、労働者の保護、ディーセント・ワークの確保、高い生産性の維持及び雇用可能性(エンプロイアビリティ)の促進のための効果的な労働安全衛生(OSH)の措置の重要性を認識する。我々は、G7「グリーン経済における安全かつ健康的な労働に向けたロードマップ」を承認し、社会的パートナーとの緊密な協力の重要性を強調し、ビジョン・ゼロ・ファンドの取組を支援することによるものを含め、グローバル・サプライチェーンにおけるOSHの改善に対する我々のコミットメントを再確認する。
重要な労働・社会・雇用課題におけるG7全体での協調行動を優先し、また継続性を維持するため、G7内に常設の雇用作業部会を設立する。
我々は、特に危機の時代において、また、気候変動及び環境の悪化に直面する中、社会的保護の価値を強調するとともに、社会保障に対する人権を強調する。気候変動の影響は、社会の中で疎外された人々や最も脆弱な立場の人々に不均衡に大きな影響を与え、貧困並びに経済、ジェンダー及びその他社会的不平等を悪化させる。我々は、これらの影響に対処するため、4億の雇用を創出し社会保護の拡大を目指す国連事務総長の「公正な移行のための雇用及び社会保護のグローバル・アクセラレータ」構想に沿って、統一的で、適切で、適応的で、衝撃に強く、包摂的な、全ての人に対する社会保護を2030年までに実現することに向けた進展を加速する。さらに、我々は、ロシアの選択により始められたウクライナに対するいわれのない、不当な戦争の結果として悪化したエネルギー及び食料価格の上昇の社会的影響を緩和するために、不均衡に大きな影響を受けた世帯に特別な注意を払いながら、集中的な努力を継続する。我々は、全ての人々へ働きがいのある人間らしい仕事、社会的包摂、貧困撲滅を達成し、誰一人取り残さないことを確保するという我々の目標に貢献する形でネット・ゼロでネイチャー・ポジティブな経済及び社会への移行を形成するよう努力する。
健康な生活
パンデミックに対する予防、備え及び対応
新型コロナウイルスのパンデミックを今克服するために、我々は、安全性、有効性、品質が保証された負担可能な価格のワクチン、治療、診断及びその他の不可欠な医薬品への公平なグローバル・アクセス及び供給を実現することへの我々のコミットメントを再確認する。我々は、8億7000万回分のワクチンを共有するという昨年のコミットメントを成功裡に上回った。実際に、我々は、合計11億7500万回分以上のワクチンを使用可能にしている。我々は、COVAXファシリティを含むACTアクセラレータ(ACT-A)の4つの柱全てへの支援を強調し、十分な資金拠出及び現物供与での貢献を含むあらゆる手段でACT-Aを支援することがパンデミックの急性期を終わらせるために中核をなすことを認識する。G7は、2021年10月の現行予算サイクルの開始以降の41億米ドルを含め、全体の83%に相当する183億米ドルを既にACT-Aに提供又はプレッジしている。
さらに、我々は、技術移転拠点を通じたものを含め、開発途上国における現地及び地域において、ワクチン、治療及びその他の不可欠な医薬品の持続可能な生産能力の拡大を通じて、健康に関する主権を世界的に支援するとともに、現在及び将来のパンデミックの中でワクチン及びその他の治療への公平なアクセスのために極めて重要となる規制枠組みを強化することにコミットする。懸念される新たな変異株の出現を抑制し、世界保健機関(WHO)の世界及び各国別のワクチン戦略を支えるため、我々は、特にワクチンを実際に接種するために、接種能力の強化、及び接種実施国におけるワクチンへの信頼及び需要の増進のための取組を支援する用意があり、この目的のために「新型コロナウイルス感染症に関する行動計画」を承認する。
我々は、「Every Day Counts: A Pandemic Vaccine Exercise」の机上演習で示されたように、現在及び将来のパンデミックの脅威に対してワクチン開発を加速させるため、研究開発の備えを促進する必要性を認識する。この文脈で、我々は、安全で有効なワクチン、治療及び診断を開発するための科学を支援するため、「100日ミッション」に関する進展を歓迎する。我々は、WHOと緊密に協力し、パンデミックへの備えに関する我々の取組を強化し、整合性のとれたものとし、把握する。これに関して、我々は、健康データ及び生物学的サンプルの開かれた適時の共有の重要性を認識する。更なる根拠を集めるため、我々は、潜在的な感染症の流行をより早期に特定するため、遺伝子配列解析を強化し、2024年までに各国の排水監視システムを導入するための選択肢を探求する取組を歓迎する。我々はまた、個人、社会及び経済的な影響を見据え、新型コロナウイルス感染後の症状に関する研究の先頭に立つことにコミットしている。
将来のパンデミックによる壊滅的な影響を回避し、回復を図り、「2030アジェンダ」に沿ってユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成するため、我々は、世界中の保健システムを強化し、ワンヘルス・アプローチの下でパンデミックの予防、備え及び対応の取組を強化するためにパートナーシップを組んで取り組み、新型コロナウイルスを収束させるための我々の集団的な投資及び取組が、バイオセーフティ及びバイオセキュリティに関するものを含め、保健システムの成果及び世界的な健康安全保障の能力向上の強化に貢献するよう保障することへの我々のコミットメントを再確認する。
我々は、世界規模での薬剤耐性(AMR)の急速な増加を認識し、この静かなパンデミックへの対応を継続するために努力を惜しまないことを改めて表明する。我々は引き続き、人間及び動物に対する医療における抗菌剤の慎重かつ責任ある使用を促進し、敗血症に対する認識を高め、ワンヘルス・アプローチに基づく統合サーベイランス・システムの開発を主導し、同時に抗微生物薬へのアクセスを促進し、国際的パートナーシップの下で新しい抗菌剤の研究及びイノベーションを強化し、プル型インセンティブを特に強調して新しい抗微生物薬治療の開発を奨励する。
我々は、気候変動への適応における保健部門の重要な役割を認識し、我々の保健システムを、遅くとも2050年までに、環境的に持続可能かつ気候中立なものにするとともに、より強じんなものにすることにコミットする。
グローバルヘルス・アーキテクチャー(国際保健の枠組み)
我々は、高度な能力があり訓練を受けたあらゆるレベルの公衆衛生従事者を基礎とした協調的なサーベイランス及び予測可能かつ迅速な対応を強化することも通じて、世界的なパンデミックへの即応体制を強化するとともに、この目的のため「パンデミックへの備えに関するG7合意」を承認する。「パンデミックへの備えに関するG7合意」の枠組みの中で、我々は、2027年までの更なる5年間、国際保健規則(IHR)で求められる中核的能力の実施にあたり、少なくとも100の低中所得国(LMICs)への支援を提供する。我々は、パンデミックに対する予防、備え及び対応に関するWHOの条約、協定及びその他の国際文書に関する進行中の交渉並びにIHRを強化するための取組を歓迎する。
我々は、パンデミックに対する予防、備え及び対応を含む、国際保健に対する分野横断的及び多国間アプローチへの我々の強い信念を再確認する。我々は、国際保健でWHOが指導的及び調整的役割を果たすためにWHOが持続的に資金を確保することを目的とした予算案と改革の進捗を考慮しつつ、2028-2029年の2か年予算までに分担金の割合をWHOの基本予算の50%に引き上げることに向けて取り組むという第75回世界保健総会における決定を称賛する。我々は、戦略的先見性を改善するという目的を含め、WHOのパンデミック及び伝染病の情報、データ、監視、分析のイノベーションのためのグローバルハブの取組を支持する。新型コロナウイルスから学んだ教訓に照らせば、国際保健の能力は、十分な、信頼できる、持続可能な資金で下支えされなければならないことに疑いの余地はない。我々は、パンデミックに対する予防、備え及び対応への投資の触媒となり、この点においてG20財務・保健合同タスクフォースの進行中の取組を支援するために、世界銀行における新たな金融仲介基金(FIF)の設立への支持を含む、2022年5月12日の第2回「新型コロナ・サミット」の成果を歓迎する。我々はまた、WHOの新たな病原体の起源に関する科学諮問グループ(SAGO)の役割を認識する。
我々は、UHCの達成に貢献するとともに、三大感染症を収束させることを目標とした世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)の第7次増資の成功を支持する。我々は、プライマリー・ヘルス・ケアを強化し、精神保健を含む非感染疾患への取組を継続し、アクセス可能で効果的な精神保健及び顧みられない熱帯病に関するサービスの必要性を認識し、全ての人の性と生殖に関する健康と権利(SRHR)の包括的な実現に向けた我々の共同の取組を増大させることに強くコミットする。我々はまた、国際保健への我々の多国間の貢献の中核にジェンダー平等を据えることが極めて重要であることを改めて表明し、最も疎外された人々及び脆弱な状況にある人々の特定のニーズに対応するための我々の取組を改めて表明する。我々は、「女性・子ども・青少年のためのグローバル・ファイナンシング・ファシリティ(GFF)」といった関連する基金へ貢献することにより女性、子ども及び青少年の健康を改善するという我々の継続した取組を再確認する。我々は、世界ポリオ撲滅イニシアティブ(GPEI)を通じたポリオ撲滅を引き続き支援する。
より良い未来への投資
持続可能なインフラ
我々は、カービス・ベイにおける我々のコミットメントを基礎として、強化された協力、民主的価値及び高い基準に基づき、新興市場及び開発途上国において持続可能で、包摂的で、気候変動に強く、質の高いインフラのための投資ギャップを縮小するための共同提案として、我々の「世界のインフラ・投資のためのパートナーシップ(PGII)」の形成及び実施を更に進めてきた。我々は、この目的に向けた行動を加速するため、民間部門を動員する。我々は、昨年、新興市場及び開発途上国におけるワクチン及び医薬品の現地生産への投資の促進及び「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」に関して具体的な進展を遂げた。我々は、COP26において南アフリカと最初のJETPを立ち上げ、首脳への進捗報告において示された進展を歓迎し、現在、インド、インドネシア、セネガル及びベトナムと更なるJETPに向けて取り組んでいる。我々は、これらの重要な進捗を基礎として、関心を持つパートナー国との緊密な対話の中で、既存のイニシアティブと連携し、また、既存の調整メカニズムを活用して、国主導のパートナーシップへの我々のコミットメントを強調する。
我々は、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」などの、透明性、良好なガバナンス、環境、気候、財務及び債務の持続可能性に関する高い国際基準の運用、実施及び推進を継続する。我々は、政策及び運用レベルでのこれらの基準の実践に向け、必要な能力を強化し、実施環境を改善するために、更に連携し共同で努力するよう、全ての国際的な公共及び民間のアクターに呼びかける。
我々は、持続可能なインフラに民間資金を動員することの重要性並びに民間資金の活用及び国主導のパートナーシップの形成・実施における国際開発金融機関(MDBs)及び開発金融機関(DFIs)の重要な役割を認識し、取組をより良く調整するため、また、インフラギャップを縮小し、変革的な進展を世界的に促進するためのG7の協力を反映する旗艦プロジェクトを含む、融資可能なプロジェクトのパイプラインを強固なものとするため、関心を持つパートナー、特にMDBs、DFIs及び民間投資家との対話及び共同行動を更に強化する。
我々は、我々のイニシアティブ及び強いコミットメントを基礎として、また、我々が使えるあらゆる資金ツールを利用し、今後5年間で、質の高いインフラに特に焦点を当てた公的及び民間投資において最大6,000億米ドルを共同で動員することを目指す。我々は、「インフラ及び投資に関する МDB/DFI専門家グループの共同行動提案」を歓迎するとともに、本年末までに持続可能なインフラプロジェクトのための投資プラットフォームを展開するための具体的な提案を期待する。我々はまた、プロジェクト組成能力に特に焦点を当てて力を結集し、持続可能なインフラ投資のための政策及び規制枠組みへの支援を連携させることによる、MDBs及びDFIs間の協力を深めるための更なる措置を歓迎する。
我々は、気候関連インフラへの民間投資を動員し、多国間ファイナンス及び協力を強化するための、具体的な革新的かつ市場主導のアプローチの例として、「新興市場気候行動ファンド(EMCAF)」を歓迎する。
持続可能な開発
我々は、複数の危機が開発途上国に与えている特定の負荷を認識し、全ての政策優先事項にわたって持続可能な開発を主流化するため、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」及びアディスアベバ行動計画を我々のアジェンダの中心に据えることに対する我々の強いコミットメントを再確認する。我々は、社会の全ての部門及びレベルを動員することにより、2030年までに持続可能な開発目標を達成するための我々の取組を加速させる。
我々は、世界の食料安全保障に関する我々の声明に示されているように、世界の食料及び栄養の安全保障を強化し、食料危機に最も強く影響を受けかねない最も脆弱な人々を守るため、努力を惜しまない。
我々は、アフリカ連合(AU)アジェンダ2063の目標に導かれ、多国間主義及びルールに基づく国際システムを遵守し、アフリカ諸国及びアフリカの機関との我々のパートナーシップを深めることを決意する。我々は、アフリカにおけるビジネス環境及び持続可能なインフラ投資を強化するためのイニシアティブに対する我々の支援を改めて表明する。
我々は、最も必要とする諸国、特にアフリカへの2021年SDR一般配分を補完するため、自発的なSDRの融通又は予算からの貸付によるものを含め、世界合計で1,000億ドルという野心に達するというG7及びG20が昨年合意した目標に向けて、我々のパートナーの支援を得て、大幅な進展を達成し、近づいている。我々は、他国に対して、IMFの貧困削減・成長トラスト及び強じん性・持続可能性トラストへのプレッジを通じたものを含め、最も脆弱な国々への支援の総額を増加させるための取組に参加するよう求める。我々は、国際開発金融機関(MDBs)の自己資本の十分性に関する枠組みに関する独立した評価を歓迎する。我々は、MDBsに対し、自らの信用格付を維持しながら、複合的な危機へ対応する脆弱な国々及び家庭を支援するため、どのように政策及び資金支援を強大するか緊急に評価し、現在の危機に対応するため世界銀行グループによりコミットされた1,700億米ドルを含む拠出の速度を最大化するよう求める。
我々は、フェミニスト開発・外交・貿易政策の精神の下、女性及び女児のエンパワーメントのため、あらゆる領域で、あらゆる多様性をもつ女性及び女児の権利、資源及び機会を強化する。我々は、特に最も疎外された学習者のために、世界中の新たな紛争及び長期にわたる非常事態によって引き起こされる学習の危機の深化を深く懸念し、女子教育を守り優先するという我々のコミットメントを堅持する。
都市は、多様性とアイデンティティ、交流と統合、創造性及び連帯の場である。都市は、繁栄を推進し、全ての人に平等な機会を確保するために極めて重要である。我々は、持続可能な開発に向けた我々の変革における主体としての、都市、都市の団体及びネットワークの重要な役割を認識する。我々は、都市間及び都市との交流を促進することにコミットする。我々は、我々の関係閣僚に対し、初となるG7持続可能な都市開発閣僚会合において採択される見込みである、優れた都市開発政策に関する共同了解を作成し、共通の利益のため、社会的、文化的、技術的、気候中立的、経済的かつ民主的なイノベーションを促進するために都市の潜在力を最大限に引き出すための共同のイニシアティブについて決定することを指示する。
我々は、前年までの開発関連の我々のコミットメントをフォローアップする「エルマウ進捗報告書2022」を承認する。
外交及び安全保障政策
我々は、包摂的で法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋を維持することの重要性を改めて表明する。我々は、ASEANの一体性・中心性への我々の支持を再度強調し、「インド太平洋に関するASEANアウトルック」に沿った具体的協力を追求することにコミットする。我々は、東シナ海及び南シナ海における状況を引き続き深刻に懸念している。我々は、緊張を増大させる力又は威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対する。我々は、国連海洋法条約(UNCLOS)の普遍的かつ統一的な性格を強調し、海洋における全ての活動を規律する法的枠組みを定めるUNCLOSの重要な役割を再確認する。我々は、南シナ海における中国の拡張的な海洋権益の主張には法的根拠がないことを強調する。この点で、我々は中国に対し、2016年7月12日の仲裁判断を完全に遵守し、UNCLOSに規定された航行の権利及び自由を尊重するよう求める。我々は、全ての当事者に対し、国際法に合致した平和的手段により、海洋権益をめぐる紛争を解決することを求め、UNCLOSが設置した紛争解決メカニズムを使うことを支持する。我々は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す。
G20の枠組みにおけるものを含む経済大国との我々の協力の文脈で、共通の地球規模の課題、特に気候変動及び生物多様性の損失、その他の関連する多国間の課題への対処に関して、中国と協力することが必要である。我々は、中国に対し、国際法の下での義務を遵守し、国際的な安全保障に貢献することを引き続き求める。我々は、中国に対し、紛争の平和的解決に関する国連憲章の原則を堅持し、脅迫、威圧、威嚇手段の使用、武力の行使を控える必要性をリマインドする。
ロシアがウクライナに対して不当で、いわれのない、違法な戦争を行っている中、我々は中国に対し、ロシアが2022年3月16日の国際司法裁判所による法的拘束力のある命令に直ちに従い、関連する国連総会決議に従って軍事的侵略を止めるよう、すなわちウクライナから直ちにかつ無条件に軍隊を撤退するよう圧力をかけることを求める。
我々は、中国に対し、香港の権利、自由及び高度な自治を規定する英中共同声明及び基本法における自らのコミットメントを果たすよう求める。
我々は、世界経済における公正で透明性のある競争を堅持し、この点に関する国際的なルールを強化することに引き続きコミットしている。我々は、世界経済における中国の役割に関し、世界経済を歪める非市場的政策及び慣行がもたらす課題に対する、G7以外の国々も含む集団的アプローチについて、引き続き協議している。我々は、中国の不透明で市場歪曲的な介入及びその他の形態の経済的・産業的な指令について共通理解を形成する。その上で、我々は、我々の企業と労働者のための公平な競争条件を確保し、経済的威圧に対する多様化及び強じん性を促進し、戦略的依存を低下させるため協調行動を展開するために協働する。
我々は、中国における人権状況について深刻に懸念している。我々は、中国に対し、強制労働が我々にとって大きな懸念事項となっているチベット及び新疆におけるものを含め、普遍的な人権及び基本的自由の尊重を求めること等により、普遍的価値を引き続き促進する。
我々は引き続き、ミャンマーにおける軍事クーデターを最も強い言葉で非難し、政治、人道及び人権状況に深刻な懸念を表明する。我々は軍事政権に対し、直ちに暴力の行使をやめ、全ての政治犯及び恣意的に拘束された人々を解放し、同国を民主主義の道に戻すよう求める。我々は、ASEANによるあらゆる努力と、ASEANの「5つのコンセンサス」のあらゆる次元での実施を引き続き支持する。我々はまた、国連によるあらゆる努力を引き続き全面的に支持し、ASEAN特使とミャンマー担当国連事務総長特使との間の強い協調を奨励する。
我々は、2022年3月24日及び5月25日に行われた大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を含む、北朝鮮による継続的かつ不法な弾道ミサイル発射実験を強く非難する。我々は、北朝鮮が自らその不法な大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画を、完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法で、国連安全保障理事会決議に従い放棄することを要求する。我々はさらに、全ての国に対して、これらの決議を完全かつ効果的に履行し、制裁回避行為に対する警戒を怠らないよう求める。我々は北朝鮮に対し、外交に関与し、完全な非核化に向けた対話を再開するよう求める。我々は、北朝鮮が人道及び人権状況を改善し、新型コロナウイルスの状況に効果的に対処し、国際人道機関によるアクセスを容易にし、拉致問題を即時に解決する緊急の必要性を改めて表明する。
我々は、イランが決して核兵器を開発してはならないという明確なコミットメントを改めて表明する。我々は、包括的共同作業計画(JCPOA)の完全な履行を回復するための懸命な外交努力にもかかわらず、イランが未だ交渉を妥結させる機会を捉えていないことを残念に思う。G7は、イランによる核活動の拡大が国際安全保障にもたらす脅威に対処するために協働し、また、他の国際パートナーと共に取り組むことにコミットする。外交的解決が、引き続きイランの核計画を制限する最善の方法である。我々は、イランに対し、IAEAに実質的に協力し、6月8日にIAEA理事会で採択された決議が圧倒的多数で求めたように、核保障措置に関する未解決の問題を明確化し解決するためにIAEAが必要とする技術的に信頼に足る情報を提供することにより、法的義務を果たすために緊急に行動することを求める。
我々は、イランが地域における不安定化活動を継続していることを強く非難する。我々は、イランに対し、国連安保理決議第2231号及びその他の国連安保理決議に適合しない全ての弾道ミサイル活動及び拡散を停止するよう求める。イランの海洋安全保障に対する脅威は、地域の安定を更に損なうものである。我々は、地域におけるパートナー間の二国間関係の改善に向けた地域のイニシアティブを歓迎し、イランに対し、中東における地域の平和及び安全の醸成に積極的かつ建設的に貢献するよう求める。我々は、イランにおける恣意的な逮捕及び拘束を含む継続的な人権侵害に対する我々の共通の深い懸念を改めて表明し、イランによる死刑執行の増加を非難する。我々は、イランに対し、政治的影響力を行使する目的で外国籍の人及び二重国籍者を恣意的に逮捕・拘束することをやめるよう求める。我々は、ウクライナ国際航空752便の違法な撃墜の責任をイランに問う国際的努力を引き続き支持する。
我々は、タリバーンによる権力奪取以降のアフガニスタンの政治状況及び人道・経済状況の悪化に深い懸念を表明する。我々は、アフガニスタンの人々に対し、人道的原則及び女性の権利を含む基本的人権の尊重に基づき、我々の原則的な支持並びに人道支援及び人間の基本的ニーズを満たすための支援の継続を再度保証する。我々はまた、アフガニスタンの人々に対し、先般の地震で被災したコミュニティに対して国連と連携して迅速な救援を提供することを再度保証する。我々は、特に民族的・宗教的少数派グループの人々を標的としたテロ攻撃が繰り返し発生するなど、暴力が継続していることを強く非難することで結束している。我々は、タリバーンに対し、人権、特に、全ての人への差別のない教育への権利を含む、女性、女児及び少数派グループの人々の権利を尊重することを求める。我々は、タリバーンに対し、アフガニスタンの包摂的で代表権のある統治の実現を支援する重要な措置をとるとともに、安全で、迅速かつ妨害されない人道アクセスを確保し、ドーハ合意を含む関連するコミットメントに沿ってテロと闘い、海外に渡航する保護を必要とする全てのアフガニスタン人に安全な移動を認めることを求める。人道支援及び基本的要求を満たすための支援を超える我々の関与の種類と範囲は、国際社会が広く共有するこれらの期待に応えるタリバーンの具体的な実績の情報に基づくものとする。
我々は、国連が仲介する、リビアが主導し、リビアが主体となった政治プロセス並びにリビアの主権、独立、領土一体性及び国民統合に対する我々の強いコミットメントを再確認する。我々は、代表し、統一された政府に繋がる自由で公正な大統領選挙及び議会選挙が可能な限り早期に実施される必要があることを想起する。我々は、ワグナー・グループのような全ての外国軍勢力及び傭兵の撤退を含め、2020年10月23日の停戦合意を完全に遵守し履行することの継続的必要性を強調する。紛争に関連した性暴力並びに難民及び移民に関するものを含む人権侵害に対する正義と説明責任について前進が必要である。我々は、リビア産の石油生産の完全な再開を求め、全ての関係者が、石油を政治的対立の手段として利用しないよう要請する。
我々は、シリアにおいて国連安保理決議第2254号に基づく包摂的政治解決に代わるものはないことを改めて表明し、したがって我々は、ペデルセン国連特使に対する我々の全面的支持を再確認する。我々は、国連が促進する政治プロセスの揺るぎない、かつ、有意義な進展を目の当たりにするまでは、アサド政権との関係を正常化することはない。我々は、シリア人が国連の基準に従って安全かつ尊厳をもって自発的に帰国できるようになるまで、シリア人難民及び受入国に対する人道・開発支援の継続を求める。我々はまた、7月の国連安全保障理事会によるクロスボーダー人道支援の再承認と拡大を強く支持する。我々は、さらに、政権に対し、その国際的な義務を遵守するよう求める。我々は、シリア政権による化学兵器の使用、人権侵害並びに人道法を含むその他の国際法違反に対する説明責任を追求することに引き続き強くコミットしている。我々は、シリアで行われた犯罪を訴追するために各国の司法により進行中の取組を歓迎するとともに、強制的に失踪させられ、あるいは恣意的に拘束された数万人のシリア人の運命と所在に関する進展の緊急の必要性を強調し、被害者のための説明責任及び正義が、安定した平和なシリアに不可欠であることを想起する。我々は、シリア北部における停戦を維持する重要性を強調する。停戦は、ISILと戦うための我々の共同の努力が継続することを確実にするが、それが破られた場合、人々がさらに土地を追われることによることを含め、既に悲惨な人道状況を更に悪化させる恐れがある。我々は、シリア危機の持続可能な解決に向けて取り組むという我々の共通のコミットメントを再確認する。
我々は、イエメンにおける最近の進展に勇気づけられており、国連が仲介した停戦の2か月の延長を歓迎する。我々は、すべての当事者に対し、関連する信頼醸成措置、特にタイズ市内および周辺の道路開放を実施するよう求める。我々は、紛争当事者に対し、今回の停戦を持続的な停戦に転換し、最終的には持続的な平和に達するよう、この延長を活かし、国連の主導の下で建設的な協議に関与するよう求める。
我々は、サヘルの政治・治安状況の継続的悪化、ギニア湾及び沿岸国におけるテロの脅威、民間人に対する攻撃の継続並びに食糧・人道危機の悪化を深く懸念している。マリにおけるワグナー・グループの介入及びその存在に関連した残虐行為は大きな懸念であり、我々は、暴行や虐待に責任がある者の説明責任を求める。我々は、全ての主体に対し、人権及び国際人道法を尊重するよう求める。我々は、マリ、ブルキナファソ及びギニアにおける出来事に対する西アフリカ諸国経済共同体の努力並びにチャドにおけるアフリカ連合の努力を支持する。我々は、憲法に基づく統治への耐久的な復帰を可能にするため、自由で公正な選挙を求める。我々は、ニジェール及びモーリタニアにおける、民主的制度を強固にし、法の支配及び移民ガバナンスを含む良いガバナンスを強化し、安定化を促進するための努力を認識する。 我々は、サヘル諸国の住民を支援し、地域の安定化を助け、サヘルのための連合内で示されたように、テロ及び不安定の根本原因に取り組むという我々の強いコミットメントを改めて表明する。
G7は、アフリカの角における平和、安全保障及び人道上の課題に引き続き懸念を抱いている。民主主義の達成、経済改革、そして何よりもこの地域の人々の福利は、政情不安、脆弱なガバナンス、武力紛争、民兵、テロ集団並びに気候変動及び自然災害の影響によって脅かされている。各国の保健システムは、保健サービスの提供全体及び保健能力向上の取組に対して負の影響を及ぼす新型コロナウイルスのパンデミックによる圧力を受け続けている。性及びジェンダーに基づく暴力を含む人権侵害並びに説明責任の欠如は、大きな懸念事項であり続けている。
ロシアのウクライナに対する侵略戦争は、世界中、特に悪化した干ばつがエチオピア、ソマリア及びケニアで1,800万人以上の人々に影響を与えているアフリカの角において、食料不安を悪化させている。我々は、アフリカの角において平和的かつ持続可能な開発を促進するために、当該地域の国及び機関と協力するという我々のコミットメントを強調し、その歴史上最悪の干ばつの一つに取り組む努力を優先事項として支援する。我々は、ソマリアにおける選挙プロセスの平和的終結を歓迎し、暴力的過激主義及びその他の重大な課題に対処するためにアフリカ連合及びソマリア当局と取り組むという我々のコミットメントを改めて表明する。我々はまた、エチオピアにおける人道的な停戦に勇気づけられており、全ての当事者に対し、持続的な停戦及び持続的な平和の基礎を築くような、危機の政治的解決策に向けた話し合いを開始するよう求める。安全、迅速かつ妨害されない人道的アクセスは継続されなければならない。人権問題に取り組み、透明性のある説明責任を提供することが不可欠である。スーダンでは、文民主導の政府及び民主的な移行プロセスへの速やかな復帰が緊急に必要である。我々は、UNITAMS、AU及びIGADによる三者構成の取組を全面的に支持し、全てのステークホルダーに対し、建設的な対話に積極的に関与することを求める。
2022年8月の核兵器不拡散条約(NPT)第10回運用検討会議を見据え、我々は、NPTを包括的に強化し、その普遍化を促進し、過去の運用検討会議におけるコミットメントの重要性を強化し、相互に強化し合う3本の柱全てにわたって条約の実施を推進するという我々の決意において一致している。我々は、核不拡散体制の礎石として、また、核軍縮及び原子力技術の平和利用追求の基盤として、NPTの権威と優越性を強調する。G7は、具体的で実際的な、かつ目的のある措置を通じて達成される、全ての者にとっての安全保障が損なわれることのない核兵器のない世界という究極の目標に向けたコミットメントを再確認する。世界の核兵器保有量の全体的な削減は持続されなければならず、反転させてはならない。 我々は、2022年1月3日の「核戦争の予防及び軍拡競争の回避に関する5核兵器国首脳の共同声明」を、核戦争に勝者はなく、また、核戦争は決して戦われてはならないという重要な確認を行っていることを含めて、歓迎する。しかしながら、我々は、ロシアの核兵器使用の威嚇を示唆する挑発的な発言を非難する。この発言は、この共同声明に対するロシアのコミットメントの信頼性を損なうものである。ロシアによるウクライナにおける化学兵器、生物兵器、核兵器又は関連物質のいかなる使用も、深刻な結果を被るであろう。
ロシアの対ウクライナ戦争やその他の紛争により、戦争、暴力、人権侵害及び迫害から逃れざるを得ない人々の数は、世界中で過去最高の1億人に達しており、難民の移動や国内避難の根本原因に対処するとともに、安全で尊厳ある持続可能な解決策を提供することが緊急に必要であることを証明している。我々は、難民の人権及び基本的自由の完全な尊重を確保するとともに、紛争、危機及び避難における女性及び子どもたちの特別なニーズに対処しながら、難民を保護し、避難を強いられた人々や受入国及びコミュニティを支援することへの我々のコミットメントを再確認する。より公平に責任を共有するという「難民に関するグローバル・コンパクト」のコミットメントを想起し、我々は、再定住プログラムを拡大することによるものを含め、難民及び受入国との国際的な連帯を引き続き促進する。我々はまた、国際社会に対しても、世界規模の責任共有に向けた取組として、難民の保護、避難を強いられた人々及び受入国への支援を増大させることを求める。我々は、人身取引及び関連する不正な資金の流れ並びに移民の密入国と闘い、関連する偽情報に対抗することの重要性を確認する。
ロシアによるウクライナにおける壊滅的な戦争、タリバーンによる強引な権力奪取以来のアフガニスタンにおける女性及び女児の権利の全面的な後退、そして世界中の戦争、紛争及び強制的な避難の影響は、女性、女児並びに性自認、性的指向又は障害に基づき最も脆弱な人々が不均衡に多くの影響を受け、同時に意思決定に極めて少数しか関わっていないことを明確に示している。我々は、「女性・平和・安全保障」の議題を更に促進し、実施する。我々は、紛争状況におけるものを含む、性及びジェンダーに基づく暴力といった人権侵害に関する記録及び説明責任を改善する。我々は、紛争に関連する性暴力を防止し対応するための国際的なアーキテクチャの実施を強化する必要性を改めて表明し、紛争予防、危機管理、紛争解決、救援・復興及び長期的平和構築の重要な担い手として、女性及び女児のエンパワーメントを支援する。
共により強く
我々は、地球規模の課題に取り組み、全ての人にとって公平で豊かな世界に向けて取り組む上で、民主的価値が我々をより強固にすると確信している。我々は、「2022年強じんな民主主義に関する声明」に示されるように、我々の民主主義の強じん性を強化するために、市民社会及び我々のパートナーと国際的に協働する。
ジェンダー平等
ジェンダー平等の達成は、我々が強じんで包摂的な民主的社会に向け努力し、また、世界中での権威主義の高まり並びに女性及び女児の権利に対する反発に対抗するために、不可欠である。我々は、女性と男性、トランスジェンダー及びノンバイナリーの人々の間の平等を実現することに持続的に焦点を当て、性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、誰もが同じ機会を得て、差別や暴力から保護されることを確保することへの我々の完全なコミットメントを再確認する。この目的のために、我々は、長年にわたる構造的障壁を克服し、有害なジェンダー規範、固定観念、役割及び慣行に対処するための我々の努力を倍加させることにコミットする。我々は、あらゆる多様性をもつ女性及び女児、そしてLGBTIQ+の人々の政治、経済及びその他社会のあらゆる分野への完全かつ平等で意義ある参加を確保し、全ての政策分野に一貫してジェンダー平等を主流化させることを追求する。「ジェンダー平等アドバイザリー評議会」及び「W7(女性)」による提言を基礎として、我々は、G7のコミットメント及びジェンダー平等の達成に向けた進捗を継続的に監視するメカニズムを導入する。この目的のため、我々は、ジェンダー平等の進展に関連する幅広い政策領域にわたる主要な指標を網羅する「ジェンダー格差に関するG7ダッシュボード」を承認し、毎年の定期的な最新情報の報告を期待する。加えて、我々は、OECDから最初の実施報告書を受領することを期待するとともに、パートナーに引き続き働きかける。
我々が現代の地球規模の課題に取り組むべく努力する一方、我々は、それらがジェンダー中立的であることからはほど遠いことを認識し、そのジェンダー上の影響に対処することを決意する。我々は、今後数年間にわたり、ジェンダー平等並びに女性及び女児のエンパワーメントを促進する、G7の二国間で割当可能なODAの割合を共同で増加させるべくあらゆる努力をすることにコミットする。
新型コロナウイルスのパンデミックは女性及び女児に不均衡に影響を与え、有償と無償のいずれでも、我々の社会と経済を機能させるためのケア労働の不可欠な役割を強調するとともに、その不平等な配分によりジェンダー不平等の主要な原因であることも浮き彫りにした。無償のケア労働を認識し、削減し、再分配すること、そして、有償のケア労働に適切に報酬を支払い、ケア労働者の代表性を保証することが最も重要である。そのために、我々は、保育奨励基金への7,900万米ドルの我々の共同の支援を通じたものを含む、質の高い保育インフラへの世界的なアクセスを拡大する取組を支援し、それにより女性の経済的エンパワーメント、子どもの成果、家族の福祉及び全体的な経済成長を向上させる。パンデミックはまた、何百万人もの女性から性と生殖に関する保健サービスを奪い、全ての人の「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」に関する過去20年間の進展を危険にさらしている。我々は、全ての個人の包括的なSRHRを達成することへの完全なコミットメントを再確認し、人道的危機における緊急時の性と生殖に関する保健サービスへのアクセスの重要性を強調する。我々は、SRHRがジェンダー平等並びに女性及び女児のエンパワーメントにおいて、また、性的指向及び性自認を含む多様性を支援する上で果たす、不可欠かつ変革的な役割を認識する。
過激主義、偽情報、外国の干渉及び腐敗
我々は、開かれた多元的な社会において、我々の市民全てに安全を提供することにコミットしている。この目的のため、我々は、あらゆる形態の暴力的過激主義及びテロと闘うために我々の協力を強化する。
民主主義の後退と我々の基本的価値の毀損を阻止することを目的として、我々は、外国からの情報操作を含む偽情報に対して民主主義及び我々の制度を強化するため、G7間で及びパートナーと緊密に協調する。ロシアのウクライナに対する侵略戦争に照らし、我々は、偽情報を含む情報操作及び干渉等の外国からの脅威から我々の民主的制度と開かれた社会を守るため、G7即応メカニズム(RRM)を通じて引き続きコミットし、我々の協力を強化する。我々は、ロシアの前例のない情報戦に直面する中でウクライナの情報環境の十全性を支援するための、G7各国政府、ソーシャルメディアプラットフォーム及び市民社会から成るマルチ・ステークホルダー危機ネットワークの構築における、カーネギー国際平和基金との協力を含む、G7RRMによる即応を歓迎する。この目的のため、我々は、ハイブリッドな脅威に対する拡大された焦点を通じてG7 RRMを更に発展させるとともに、国以下のレベルでも外国からの干渉に対応できるようその能力を強化する。より広範には、我々はまた、社会全体的なアプローチ及びOECD内の協力を通じて、公的主体及び機関、ビジネス界、学界並びに市民社会の強じん性を強化する。
我々はまた、特にサイバー・セキュリティ、不正資金及び法執行の分野において、ロシア及び他の権威主義体制によってもたらされるものを含む、国境を越えた脅威に照らして、我々の国内治安を更に強化することにコミットする。我々の市民の安全を更に確保するため、我々は、市民社会並びにインターポール及び国連薬物・犯罪事務所といった国際的主体と緊密に協力し、特に脆弱な状況において、サイバー犯罪及び環境犯罪を含む国際組織犯罪に対する我々の闘いを強化する。
パンデミック、対ウクライナ戦争及びアフガニスタンにおけるものを含む更なる国際紛争は、特に子ども及び女性に対する性的・労働的搾取及び虐待を目的とした人身取引の脅威を悪化させている。我々は、人身取引との闘い並びにオンライン及びオフラインの双方における子どもの性的虐待及び搾取を世界的に防止し立ち向かうための我々の努力を強化することにコミットする。我々は、我々の内務担当大臣に対し、2021年9月からの「子どもの性的搾取及び虐待に立ち向かうための行動計画」の実施を推進するよう求める。
腐敗及び関連する不正資金や犯罪収益は、公的資源を流出させ、しばしば組織犯罪を助長し得るとともに、収奪政治(クレプトクラシー)体制が市民を犠牲にして富と権力を蓄積し、民主的統治を弱体化させることを可能にする。ロシアのウクライナに対する戦争は、クレプトクラシーがいかに我々の社会の自由及び国家安全保障に直接的な脅威を与えるかを浮き彫りにした。民主的制度の健全性と透明性を守るため、我々は、全ての関連機関における腐敗との闘いを引き続き強化し、正確性、適切性及び適時性の向上を含む、実質的支配者の透明性登録機関の実施と強化の取組を加速させる。これに関し、我々はまた、金融活動作業部会(FATF)による法人の実質的支配者の透明性に関する最近強化された基準を歓迎し、その迅速な実施を期待する。クレプトクラート、犯罪者及びその支援者の責任を世界的に問うために、我々は、15の追加的な実質的支配者の登録機関の立ち上げにおいてアフリカのパートナーを支援することを含め、国境を越えた腐敗に対する我々のグローバルな闘いを拡大させる。また、「ロシアの支配層(「エリート」)、代理勢力、オリガルヒに対するタスクフォース」の取組を基礎として、我々は、我々の協力を更に強化し、同タスクフォースに対し、とり得る潜在的な追加措置について本年末までに我々に報告することを求める。
デジタル化
我々は、G7「強じんな民主主義に関する声明」に反映されているように、開かれ、自由で、安全なインターネット、競争及びイノベーションを助長し、プライバシーと個人データを保護し、人権及び基本的自由の尊重を促進する、包摂的かつグローバルなデジタル・エコシステムの形成を支援するために協働する。
誰もがオンラインで安全だと感じるべきである。我々は、市民、特に弱い立場の集団が、インターネット及びデジタル技術を安心かつ安全に利用できるように支援するというコミットメントを確認する。我々は、あらゆる形態のオンライン上の危害と闘い、オンライン上で人々を保護するための努力を継続する。グローバルなデジタル協力は、我々の共通のアジェンダにとって重要である。この取組で、我々は、「クライストチャーチ・コール」、「サイバー空間の信頼性と安全性のためのパリ・コール」、「未来技術フォーラム」の成果といった既存の枠組みを基礎とする。我々は、「未来のインターネットに関する宣言」を歓迎し、そのビジョンを推進するにあたり、我々と志を同じくするパートナーを招き入れ、それにより台頭するデジタル権威主義の傾向に反対する。
ロシアのウクライナに対する侵略は、我々の重要なインフラに対するものを含め、広範な脅威をもたらしている。したがって、我々は、各国国内及び国境を越えて、デジタルインフラのサイバー・レジリエンスを高めるための措置をとっている。我々は、これに関して、「ウクライナに対するロシアの戦争への対応におけるデジタルインフラのサイバー・レジリエンスに関する共同宣言」を支持する。
我々は、サイバー空間における責任ある国家の行動枠組みに対するコミットメントを再確認し、強固な国際サイバー規範の発展及び実施のために協働している。我々は、量子計算のような新しく革新的なデジタル技術への対応を含め、我々の共同のサイバー防御を強化するための措置をとっており、国家及び非国家主体双方によるサイバー空間の悪意ある利用に対して、引き続き緊密に協力して取り組む。我々は、関連するG7作業部会におけるサイバーに関する我々の協力を強化及び向上させることによるものを含め、国際規範の実施及びサイバー事案に対するアトリビューションを含む既存の取組から得られた教訓の検討について引き続き議論する。我々はまた、新たな耐量子暗号の標準を含め新興技術をめぐり協力する方法を引き続き議論する。
我々は、セキュリティ、相互運用性、人権の尊重がグローバルな連結性に組み込まれることを確保しつつ、デジタル・アクセスを拡大するために他の国々を支援する。
デジタル化は、気候変動との闘いや環境保護に大きく貢献することができる。同時に、デジタル技術やサービスの利用拡大に起因するエネルギー及び資源への需要増大を大幅に削減し、デジタル技術の利用によって助長される環境への負の影響に対処しなければならない。これに関し、我々は、ネット・ゼロ、ネイチャー・ポジティブ、かつ資源効率の良い経済とデジタル・エコシステムのために、デジタル技術をより良く活用する。我々は、開かれた民主的価値及び原則に沿った包摂的なマルチステークホルダー・アプローチに基づく標準の開発を支援し、デジタルトランスフォーメーション及びグリーントランスフォーメーションに向けた標準化の支援に関する議論を進めるために、G7内及び志を同じくするパートナーとの国際協力に対する我々の支持を再確認する。この目的のため、我々は、貿易技術評議会(TTC)、QUAD、未来技術フォーラム、人工知能グローバルパートナーシップ(GPAI)のような、我々の市民の生活を改善し、より大きな繁栄のための動力となる技術、貿易及びイノベーションにおける民主主義的で市場志向の標準を提供するための数多くの多国間対話やフォーラムの作業に基づいて積み上げていくことを期待する。この文脈で、我々はデジタル権利と原則に関するEU宣言を認識する。
我々は、国境を越えた信頼性のある自由なデータ流通を促進するための我々の努力を強化し、引き続き機会を利用し、また、特にセキュリティ、プライバシー、データ保護及び知的財産権の保護に関連して提起される課題に対処する。この目的のため、我々は、「信頼性のある自由なデータ流通を促進するための行動計画」を承認する。さらに、我々は、電子商取引に関する共同声明イニシアティブの推進にコミットしている。
我々は、プラットフォーム規制及びその実施に関するものを含め、デジタル市場における競争に関する議論を継続するとともに、競争的なデジタル市場を支援するためのより一層の協調を促進することを目的とした、G7内のデジタル市場に関する競争、競争可能性及び公正性への法制的アプローチについてのG7デジタル大臣による包括的概観を期待する。
結論
ドイツ議長国の下、市民社会との関与と交流は、民主主義国のグループとしてのG7にとって有益であった。このため、我々は、G7のエンゲージメント・グループであるB7(ビジネス)、C7(市民社会)、L7(労働)、S7(科学)、W7(女性)及びY7(若者)による、我々の討議に対する重要なインプットに感謝する。さらに、エルマウで参加した国際エネルギー機関(IEA)、国際労働機関(ILO)、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)、世界銀行(WB)、世界保健機関(WHO)及び世界貿易機関(WTO)の長並びにジェンダー平等アドバイザリー評議会(GEAC)の議長からの貴重な貢献に感謝する。我々は、必要があればいつでも会合を再開催する用意がある。我々は、最も差し迫った地球規模の課題の解決策を見出すために、インドネシアG20議長国を支援する。
我々は、2023年に広島で我々の次回のサミットを主催するという日本の総理大臣の提案を歓迎する。
独立の声明:
2022年 強じんな民主主義声明(パートナー国との共同)、ウクライナ支援に関するG7声明、世界の食料安全保障に関するG7声明、気候クラブに関するG7声明
(了)