データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G7交通大臣宣言

[場所] 
[年月日] 2023年6月18日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

[前文]

1. 我々、G7交通大臣は、2023年6月16日から18日にかけて、三重県伊勢志摩において会合を開催し、交通部門における共通課題への取組みと共同の対応について検討・議論を行った。その際、アクセス可能で持続可能な、強靱で、効率的かつ公平な交通システムとサプライチェーンの重要性を再確認し、また、新しく革新的な取組み及び一層の協働が、これらの目標の実現に不可欠な要素であることを認識した。我々は、これら全てのトピックを包括して、あらゆる交通手段において安全を確保することが極めて重要な目標であることを改めて強調した。

2. 交通システムとサプライチェーンにおけるインフラは、持続可能な経済成長や繁栄、雇用を支える基礎であり、経済的機会と必要不可欠なサービスへのアクセスを提供し社会的福祉に資するものである。また、移動性を向上させ、人、文化及びアイデアを結びつけるものである。

3. しかし、近年、世界中での新型コロナウイルス感染症の感染拡大及びロシアによるウクライナ侵略のような外的ショックや、高齢化や気候変動のような社会経済情勢の変化によって、交通システムとそれに依存するサプライチェーンは乱されており、交通のもたらす潜在的便益が損なわれてきている。

4. 新型コロナウイルス感染症の感染拡大による混乱からの回復は進展している一方、ロシアによるウクライナ侵略は人的被害をもたらし続けており、国際的な連結性や、世界の交通、サプライチェーン、食料安全保障、そしてそれらに依存する人々の命と生活に対して深刻な課題を突き付けている。世界の交通システムとサプライチェーンが再び完全に機能するようになるのは、平和が実現された時のみである。我々G7交通大臣は、ウクライナとの連帯と支援を表明し、ロシアによる不当でいわれのない侵略を可能な限り最も強い言葉で非難する。

5. 我々は、世界のいかなる場所においても、力又は威圧により、平穏に確立された領土の状況を変更しようとする一方的な試みに強く反対する。我々は、自由で開かれたインド太平洋を支持する決意を表明したG7広島首脳コミュニケを想起する。

6. 地方に暮らす人々、高齢者、障がい者、低所得世帯、先住民族、最も脆弱な立場にある人々、その他不利な立場に置かれた人々が直面している交通への障壁は、あらゆる人が多様な交通手段へのアクセス可能性を獲得することと、それらを手頃な価格で手に入れることへの大きな障害となっている。我々は、経済と国家の強化のためには、ジェンダーの公平性と平等性が不可欠であると考える。これを達成するためには、あらゆる多様な女性が、安全で手頃な価格の交通にアクセスできるようにすることや、研修や就業の機会への道筋を立てること、この分野において女性が包含され留まることを支援すること、指導的立場を含めて交通業に従事し昇進することを支援することが重要である。我々は、女性と少女に不均衡に影響を与える、人身売買のための交通システムの不当な使用について、人々の意識を高めるように努める。

7. また、人為的な気候変動が加速化し、各国の交通インフラに深刻なリスクをもたらしていることや、2050年までにネット・ゼロとなるように道筋をたてて交通部門からの排出量を削減し、気候変動の影響から交通部門を守るために緊急対策を講じる必要があることを認識する。

8. 我々は、交通利用者の保護に十分に配慮しつつ、交通システムとサプライチェーンがこれらの課題を克服できるように、可能な限り迅速にアクセス可能性、持続可能性、強靱性、手頃な価格、利用可能性、安全性の向上に取り組む必要があることを認識する。我々の取組みを後押しし、促進するためには、イノベーションのさらなる活用が必要不可欠な要素であると考える。革新的な交通及びサプライチェーン政策を推進し、各国政府から適切な支援を受けながら、官民の協働パートナーシップを強化し、デジタル技術を含む諸技術を実装することを決意する。さらに、グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)のようなイニシアティブを通じ、G7内及び世界において、アクセス可能で質が高く、持続可能かつ強靱性のあるインフラを提供し、また、これらの新たな投資の需要に対応できる十分な訓練を受けた働き手を確保するための労働力開発を支援することが、一連の課題への対応に役立つことも認識する。我々は、これを通じて持続可能かつ包摂的な経済成長を促進する道を開く。

[ウクライナのための連帯と協調]

9. 我々は、黒海におけるウクライナの事業者の航行の自由を損なうロシアのいかなる行為も強く非難するとともに、世界のサプライチェーンが強靱であり続け、ウクライナに対するロシアの侵略に動じないようにするため、国際協調の重要性を認識する。この国際協調には、ウクライナによる必要な物資の輸出入を可能とするEU-ウクライナ連帯レーン、ウクライナによる食糧や肥料等の農産物の輸出を可能にする黒海穀物イニシアティブ、さらに、中央回廊やPGIIを通じて支援される中央カスピ海横断ネットワーク等の、ロシアを回避してアジアとヨーロッパを結ぶ持続可能な代替輸送手段が含まれる。

10. 我々は、ロシアによるウクライナ侵略が交通インフラに重大な損害をもたらし、国際的な連結性と世界のサプライチェーンに大きな混乱を引き起こした結果、交通システムに関わる物資と部品に影響を及ぼしたことを認識する。従って我々G7交通大臣は、ウクライナ復興ドナー調整プラットフォームと緊密に連携し、ウクライナ国内における持続可能な交通インフラの回復を支援し、欧州横断輸送ネットワークに沿って、国境を超える強靱なサプライチェーンを構築するために国境を越えた連結性を強める意志を再確認する。我々は、サプライチェーンのリスクに関して情報を共有し、サプライチェーンの強靱性強化のための緩和策や緊急措置を実施する際には相互に支援することに、引き続き尽力する。ロシアによるウクライナ侵略に端を発した世界のサプライチェーンの混乱は、我々に世界のサプライチェーンの強靱性の重要性を改めて認識させた。このため、我々は、交通の強靱性を強化するためのベストプラクティスを共有し、相互協力の分野を検討するために、交通サプライチェーンに関するG7ワーキンググループの設立を検討する。

11. 我々は、船舶輸送の不正行為、特に衛星トランスポンダーを止め、又はその他の特定困難な手法(すなわち、位置改ざん、航路逸脱など)を利用する原油タンカーを使った、外洋での原油瀬取りの増加に加え、実績のない保険会社への依存や、維持管理の基準を満たさない老齢船舶の利用の増加により、環境及び財務上のリスクがもたらされていることを認識する。それらの行為は衝突及び石油流出による汚染のリスクを高め、世界の海洋規制制度の健全性を脅かす。

12. 我々G7交通大臣は、船舶所有権、旗国、保険手配に関してより高い透明性を求めることを含め、これらのリスクに取り組む必要性への認識を高めようとする国際海事機関(IMO)の取り組みを支持する。我々は、海運不正行為を行なう船舶の旗国及びサービス提供者に対し、瀬取りを法的に禁止又は規制する対策を旗国の船舶、船舶所有者及び運航者が遵守すること、当該船舶がIMO条約における安全に関して求められる事項の精神を遵守し、安全な船舶輸送の基準を運用して油汚染のリスクを最小限に抑えることを要請する。

[アクセス可能で公平な交通]

13. 高齢者や障がい者など、移動に困難を抱える人々に対し、アクセス可能な交通の提供を増やすことの重要性と経済的・社会的価値を我々は認識する。この認識に照らし、G7各国が設定する目標とユニバーサルデザインの概念に基づき、交通部門における安全かつバリアフリーなアクセスを促進し、実施することの重要性を確認する。

14. 建築環境や車両のバリアフリー化は重要である一方、バリアフリーの概念には、高齢者、障がい者など、さまざまな人々にとって交通機関を利用しにくくする、態度、情報、コミュニケーションその他の目に見えない障壁といった無形の視点も含まれることを、我々は確認する。また、障がい者でない人は、自分たちが作り出している障壁に気付かない傾向があることを、積極的に認識することが重要であると確認する。そのため、全ての人々が相互理解を促進することは、バリアフリーへの対応につながるものである。我々は、政策、課題、ベストプラクティスに関する情報の共有を通じて、無形の視点への対応を含め、バリアフリーな交通を推進する。そのため、G7各国で構成する実務者会合の開催を決定する。

15. 安全な交通の利用可能性の欠如から生じる障壁、特に配慮がされていない人々、不利な立場にある人々、最も弱い立場にある人々に対する障壁を我々は認識する。その認識に基づき、あらゆる集団の交通利用者のニーズを考慮に入れ、手頃、公正かつ公平な交通サービスの利用可能性の促進を継続する重要性を確認する。

16. 利用可能なあらゆる選択肢を活用することにより、より効率的、持続可能、手頃、公平、利用可能かつ便利な移動方法を提供する重要性を認識する。その方法として、技術的進歩、新しいモビリティサービス及びアクセス可能性に配慮しつつ設計・開発され、自動化され接続された道路交通の提供、また様々な関係者と連携・協働した持続可能な都市政策の実施があるが、その目的は、全ての地域、特に人口が減少する地方を含む、経済活動中心地の外側にある地域の人々に対し、シームレスなドアツードア・アクセスを向上させることにある。その認識に基づき、我々は、解決策を共有し、ベストプラクティスを促すために、G7各国における政策と方策に関する報告書をまとめることを決定する。

17. 交通部門におけるイノベーションは、新しく安全で、便利であり、利用可能で手頃な交通サービスを提供する機会となり、そのような交通サービスは、特に高齢者、LGBTQIA+の人々、女性、低所得世帯、障がい者、地方で生活する人々を含むがこれらに限定されない周縁化または脆弱な集団に対し、経済的機会の拡大を可能にする。イノベーションを通じて交通の利用可能性を確保するために、G7各国の間で政策の状態、課題、機会及びベストプラクティスに関する情報共有を継続する。

[持続可能な交通]

総論

18. 交通部門は、世界におけるエネルギー関連CO2排出量の約1/4を占めており、世界の

人口増加、移動とジャストインタイム物流に対する需要の増加により、このままでは排出量が増加し続けることが見込まれるという認識を我々は共有する。世界の平均気温の上昇を1. 5°Cに抑える目標を達成するためには、経済界の関係者と連携し、持続可能な行動の促進やクリーンテクノロジーの導入を通じて、交通部門を含む全ての部門からの温室効果ガス(GHG)排出量を迅速かつ大幅に削減する必要がある。

19. 全ての交通手段からのGHG排出量を削減することの重要性を認識するとともに、交通手段の最適化によって人とモノの移動に最適な方法を決定することの重要性も認識する。

20. クリーンテクノロジーを推進するより強靭かつ効率的なサプライチェーンを構築する一方で、アクセス可能、持続可能で、環境にやさしい将来を支えるため、また、低負荷な環境フットプリントであるような移動解決策を促進するために、イノベーションが交通部門の脱炭素化において果たすべき中心的役割を認識する。これに関連して、我々の交通システム及びサプライチェーンの性能向上に関して連携を強化する機会を探ることに力を注ぐ。その機会には、リスク回避と多様性の機会が含まれ、手段としては特に、イノベーションにおけるベストプラクティスをG7各国の間で共有し、デジタル解決策を含むベストプラクティスの実践を促進することがある。また、ネット・ゼロへの移行は成果に基づき、テクノロジー・ニュートラルであることが重要であると我々は認識する。

21. インフラ及び交通サービスも気候変動に適応し、強度と頻度を増す異常気象に対して強靱なものにしなければならないことを我々は認識する。気候変動への適応に関し、気候変動がアクセス可能な交通インフラとサービスに及ぼす影響の推定、適応行動の評価(経済的観点からの評価を含む)・優先順位付けの両方において、国際協調とベストプラクティスの共有が重要であることを確認する。不適応を回避し、自然を活用した解決策を重視することにより、気候変動の緩和と適応との間に相乗効果をもたらすことの重要性を確認する。

22. GHG排出削減に加え、持続可能な交通との関連において別の大きな課題、たとえば土地利用の縮小、大気質の改善、騒音公害の削減、生物多様性への影響の対応といった課題に直面していることを認識する。

航空交通

23. 国際民間航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム(CORSIA)が、国際航空分野における脱炭素化のための唯一国際的な市場原理に基づく方法であることを認識し、CORSIA実施に関するG7各国のコミットメントを再確認する。G7各国は、全ての実施手段を以てCORSIAの野心的な環境対策を実施、推し進めることが、交通部門におけるイノベーションに拍車をかけ、国際航空における脱炭素化へと進む重要な要素となることを強く確信する。

24. 他の交通部門に先んじて第41回国際民間航空機関(ICAO)総会において採択された、パリ協定の気温目標を支持する、2050年までに国際航空からのネット・ゼロ排出を目指す野心的な長期目標(LTAG)を歓迎する。LTAG採択は歴史的成果であることを認め、G7各国が締約国である、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(UNFCCC-COP26)における国際航空気候野心宣言が、LTAG採択の基礎構築において果たした役割を認識し、世界的なLTAG実施の促進に尽力する。

25. ゼロ炭素排出と低炭素排出技術に関する研究、開発、利用及び航空政策に関する協働の重要性を認識し、開発途上国を含むG7以外の国の脱炭素化を促進するための能力構築と支援を提供する。石油由来のジェット燃料と比較して、ライフサイクルにおける温室効果ガス排出量の過半数を削減し、ICAOが採択した厳密な持続可能性基準を満たす、持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進のために協働する。2050年までのCO2排出ゼロを達成する手段として、管制分野を含めた航空機運航の効率性向上、機材や装備品への新技術導入に努め、また、空港運営を含む、航空部門全体の脱炭素化にも注力する。

26. さらに、ICAOの航空及び代替燃料に関する第3回会合(CAAF/3)における、気候目標と一致するSAFに関する野心的な世界的枠組みの採択を支持する。

海上交通

27. 我々は、遅くとも2050年までに国際海運からのGHG排出をライフサイクル全体でゼロにすることを達成するための世界的な取組を強化することにコミットすることを再確認する。産業革命以前の水準に比べて気温上昇を摂氏1. 5°Cに抑えるための取組に沿って、国際海事機関(IMO)の第80回海洋環境保護委員会(MEPC80)におけるGHG削減戦略の改定において、我々はこの目標を支持することにコミットするとともに、2030年及び2040年の野心的かつ実現可能な中間目標の導入を支持することにコミットする。

28. 我々は、これらのGHG削減目標を達成するため、ゼロエミッション船及び関連インフラの開発並びにエネルギーサプライチェーンの構築等のイノベーションを促進する重要性を認識する。我々は、誰一人取り残さない公正かつ衡平な移行の重要性を認識しつつ、これらの目標を達成するため、GHG排出量の適時な削減のための規制的なシグナル及び初期段階におけるゼロエミッション船の導入等の海運の変革を加速するファーストムーバーのためのインセンティブを含む中期対策を2025年までに策定及び採択することに取り組むことにコミットする。

29. 我々は、ゼロ及びニアゼロエミッション船の安全性を確保する必要性を認識し、新しい技術及び燃料を活用する船舶の安全要件並びにこれらの船舶を運航する船員の訓練及び能力要件の策定に向けた、関連する委員会によるIMOの取組を促進することにコミットする。また、我々は、ゼロ及びニアゼロエミッション燃料のバンカリングに関する知見及び経験を関係者との間で共有する必要性を認識する。

30. 我々は、グリーン海運回廊がゼロ及びニアゼロエミッション燃料・技術の開発、試験及び使用並びに海運・港湾部門のインフラ投資を加速させることに役立つことを認識する。その他の多国間協力の一環として、我々は、2020年代半ばまでに、G7加盟国が関与する少なくとも14のグリーン海運回廊の設立を支援することを約束する。また、我々は、ゼロ及びニアゼロエミッション船・燃料の導入並びに脱炭素化した港湾の整備を通じて、GHG排出の削減を促進するため、世界中のグリーン海運回廊の設立を支援することを約束する。

31. さらに、我々は、グリーン海運回廊の設立において、港湾の脱炭素化の重要性を認識する。我々は、ゼロ及びニアゼロエミッション燃料のバンカリングやゼロ及びニアゼロエミッションの荷役機械、船舶と港湾との間での情報交換プロセスのデジタル化や陸上電源供給等の共通かつ具体的な取組が、グリーン海運回廊の設立に貢献すると認識する。我々は港湾の脱炭素化に向けて協働する際に港湾や他の関係者の取組を支持することを約束する。

陸上交通

32. 我々は、2030年までに高度に脱炭素化された道路部門を実現することを約束する。我々は、G7広島サミットの首脳コミュニケ及び以下の声明を含む2023年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合のコミュニケを歓迎する。“世界全体での保有車両が新車販売の15倍超であることに留意し、世界全体の保有車両からの迅速かつ相当な温室効果ガス排出削減が極めて重要であることを認識する。我々は、この目標のためにG7及びG7以外のメンバーが採る多様な道筋を認識する。我々は、2050年までに道路部門でネット・ゼロ排出を達成する目標にコミットし、今後10年間にわたって、排出ゼロ交通を支えるインフラや車両、例えば排出ゼロ車両や関連するインフラ、持続可能なカーボンニュートラル燃料などを支えるインフラや保有車両に移行することが不可欠であることを強調する。我々は、この移行を達成するために多様な道筋を追求しているが、各国は、保有車両を脱炭素化する取組が気温上昇を1.5°Cに抑えることを射程に入れ続けるために必要な軌跡に沿っていること及び環境及び気候十全性と整合的であることを確保するために政策や投資を追求することにコミットする。この文脈で、2035年までまたは2035年以降に小型車の新車販売の100%もしくは大宗を排出ゼロ車両にすることや2035年までに乗用車の新車販売の100%を電動車とすること、関連するインフラ及び持続可能なバイオ燃料や合成燃料を含む持続可能なカーボンニュートラル燃料を促進することを目的とする国内政策を含め、我々のそれぞれが保有車両を脱炭素化するために採る様々な行動を強調する。我々は、これらの政策が、2030年までにグローバルに販売されるゼロ排出の小型車のシェアが50%以上へ進展していくことを含め、2030年までに高度に脱炭素化された道路部門への貢献をもたらすという機会に留意する。2000年以降の全体的な政策を通じて効果的に削減した排出に関するIEAのETP2023の調査結果に留意し、ネット・ゼロ達成への中間点として2035年までにG7の保有車両からのCO2排出を少なくとも2000年比で共同で50%削減する可能性に留意し、我々の取組及び、ZEVや充電インフラ、持続可能なカーボンニュートラル燃料の普及だけではなく保有車両からの排出削減の進捗を年単位で追跡することに留意する。”

33. 高度に脱炭素化された道路部門を目指すにあたっては、原材料の採取、車両の製造、使用、廃棄・リサイクルといったライフサイクル全体でのGHG排出量の評価が重要であることを認識する。

34. 国連欧州経済委員会(UNECE)の自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)における、電動車の安全性やバッテリーの耐久性、水素燃料電池自動車の安全性、自動車のライフサイクルにおけるGHG排出評価といった道路分野における自動運転・コネクテッドカー、大気汚染、脱炭素技術に対する国際的に調和した技術基準、標準、ガイドラインの開発によって、イノベーションの国際的な普及促進に重要な役割を果たしていることを認識し、我々は、安全で透明性が高く、科学的根拠に基づいた技術基準、標準、ガイドラインを推進するために、WP.29での取り組みを継続・強化することを意図する。

35. 我々は鉄道が環境にやさしい交通手段であることを認識する。直接的排出をもたらさず、エネルギー効率の高い鉄道技術の採用と、交通システムの環境パフォーマンス向上に寄与する鉄道の相互運用性と効率の向上を含めた、性能の高い鉄道システムの発展とを推進することの重要性を認識する。また、さらなる環境への負荷の低減及び鉄道の利用の増加を目標において、G7各国の間で情報、ベストプラクティス、規制手段を共有するために協働する重要性を認識する。

36. 海上、鉄道及び公共交通、モビリティ・シェア、徒歩、自転車を含む、一層エネルギー効率の高い交通手段への移行が、交通部門全体に渡ってGHG排出量と大気汚染の削減に資する役割を認識する。

[結語]

37. 我々G7交通大臣会合は、ICAO、IMO、UNECEのWP.29、国際交通フォーラム、また、UNFCCC-COP28のような関連する国際的パートナー及び機関との間において、協働継続に尽力することを再確認する。我々は、2024年に交通大臣会合を招集するという次回G7議長国イタリアの意向を温かく歓迎する。