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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中東における最近の情勢に関するG7首脳声明

[場所] 仮訳
[年月日] 2024年9月23日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

 我々G7首脳は、中東における悪化する情勢について深い懸念を表明し、地域の安定に対する深刻な脅威を構成するイランのイスラエルに対する直接的な軍事攻撃を最も強い言葉で非難する。

 我々は、イスラエルの安全に対する我々のコミットメントを明確に改めて表明する。ホーシー派、ヒズボッラー、ハマスを含むテロリストの代理勢力や武装集団及びその他イラクにおけるイランと連携する民兵組織を通じたイランによる中東全域を深刻に不安定化させる行動は停止されなければならない。昨日、我々は、この地域におけるエスカレーションを避けるための協調的な取組と行動について議論した。

 攻撃と報復の危険な連鎖は、中東における制御不能なエスカレーションを助長する危険性を有しており、それは誰の利益にもならない。したがって、我々は、地域の全ての関係者に対し、責任と自制ある行動をとるよう求める。我々は、全ての当事者に対し、現在の緊張を緩和するために建設的に関与するよう促す。国際人道法は尊重されなければならない。

 2023年10月7日のハマスによる攻撃の悲劇的な周年日を前に、我々は、このような意図的な暴力による不当な行為を改めて可能な限り最も強い言葉で非難する。我々は、犠牲者の家族とハマスによって連れ去られた人質の家族と共にある。

 我々はまた、ガザにおける即時停戦、全ての人質の無条件の解放、人道支援の大幅かつ持続的な増加及び紛争の終結についての我々の要請を改めて表明する。我々は、国連安保理決議第2735号に沿った、このような包括的な交渉案を成立させるための米国、カタール及びエジプトによる取組を完全に支持する。ガザの状況は壊滅的であり、数万人もの無辜の命が失われている。我々は、一般市民の保護が絶対的に必要であること、及び、絶対的な優先事項として、完全で、迅速で、安全で、妨げのない人道的アクセスがなければならないことを改めて表明する。我々は、イスラエルとパレスチナが平和的に共存し、双方の安全を伴う二国家解決につながる、持続可能な平和のための条件を整えるために取り組み続ける。

 我々はまた、レバノンの状況を深刻に懸念している。我々は、国連安保理決議第1701号と整合的なブルーラインに沿った外交的解決のための空間を創出するための可能な限り早急な敵対行為の停止の必要性を想起する。これは、永続的に緊張を緩和し、イスラエルとレバノンとの国境を安定させ、レバノンの主権、領土一体性及び安定を完全に回復させ、避難民を双方の安心と安全を伴った形で故郷に帰還させるための唯一の道である。我々は、全ての関係者に、一般市民の保護を要請する。我々は、レバノン市民の喫緊の必要性に答えるべく人道支援を提供することにコミットしている。

 我々はまた、イスラエル、ガザ及びレバノンにおける市民の犠牲者の家族に対して深い哀悼の意を表する。

我々は、中東における、武力紛争の解決と人道的影響の緩和における国連の重要性を強調する。この点について、我々は、平和と安全を回復するための国連レバノン暫定隊(UNIFIL)の役割を認識する。我々は、適用可能な国連決議に従い、同暫定隊への我々の支持を強化することにコミットしている。

我々は、この目的のために、全ての関係者と緊密にコンタクトをとり続ける。

(了)