[文書名] G7財務大臣・中央銀行総裁声明
我々、G7財務大臣・中央銀行総裁は、2024年10月25日に、ワシントンDCにて会合した。我々は、ウクライナのセルゲイ・マルチェンコ財務大臣の参加を得たことを光栄に思う。また、国際通貨基金(IMF)、世界銀行グループ(WBG)、経済協力開発機構(OECD)、金融安定理事会(FSB)の長も会合に参加した。
世界経済の見通しと進展
世界経済は、成長が国ごとにばらつき、また歴史的水準より緩やかであるにもかかわらず、強靱さを保っており、ソフトランディングは依然として最も可能性の高いシナリオである。インフレ率の鎮静化は進行中であり、実質世帯収入の改善とより望ましい財政金融状況に支えられて、世界のGDP成長は来年も安定が見込まれる。
もっとも、見通しに関する下振れリスクは残っており、とりわけ過去数ヶ月の中東における激化する紛争によって上昇している。ロシアのウクライナに対する不法な侵略戦争の悪影響を含む地政学的緊張の高まりは、世界貿易の成長と外国投資を縮小し、一次産品市場の変動を増加させ、世帯や企業の信頼を傷つけうる。その他の下振れリスクには、予想よりも持続的なインフレ、予想よりも低い生産性の成長、より頻繁な異常気象が含まれる。上振れリスクとしては、実質家計所得の回復が予想よりも強い個人消費への復調につながりうる。特に人工知能(AI)分野におけるような技術の進歩は、関連するリスクが適切に理解・管理される限りにおいて、生産性の向上を支える可能性を持っている。
よく調整された金融政策と供給ショックの巻き戻しに支えられ、インフレは高い水準から低下してきている。中央銀行は、それぞれのマンデートに沿って、物価の安定に強くコミットしてきており、引き続き、データを踏まえながら政策を調整する。健全な財政枠組みのもとで、信頼に足る中期の財政調整の道筋をつけることは、債務持続可能性を守り、新たなショックに対する柔軟性を保ち、将来の財政圧力に対処するための資源を生み出し、また成長を促進する投資と構造改革を追求するために極めて重要である。グリーンやデジタルへの移行や、最も脆弱な人々を守ることは、依然として均衡ある持続可能な財政政策の主要な要素である。我々は、明確なコミュニケーションを通して、負のスピルオーバーを限定することに努めつつ、健全かつよくコミュニケーションの取られたマクロ経済・構造政策に対する我々のコミットメントを改めて強調する。我々は、2017年5月の為替相場についてのコミットメントを再確認する。
ウクライナ支援
ロシアによる不法かつ、不当で、いわれのないウクライナに対する侵略戦争は、引き続き甚大な人的被害及び経済的損失をウクライナにもたらすとともに、世界の最も脆弱な人々を害する食料及びエネルギー不安を含め、世界経済に負のスピルオーバーをもたらしている。我々は、必要とされる限りの我々の揺るぎないウクライナへの支援を再確認し、また、ロシアに対して戦争の即時終結を求める。我々は、6月15日にプーリアで発表されたG7首脳声明に沿って、G7財務大臣が、凍結されているロシアの国家資産から得られる特別な収益を活用し約500億米ドル(450億ユーロ)をウクライナのために支出する特別収益前倒し融資(ERAローン)イニシアティブの実施要領について合意したことを発表できることを、喜ばしく思う。このイニシアティブについての詳細は、別途の声明で報告される。この成果は、最近、EUにより合意された法制、特にウクライナ融資協調メカニズム(ULCM)とマクロ財政支援(MFA)融資の創設により、また、その他すべてのG7諸国の多大な努力とコミットメントにより、可能になった。
我々は、この大きな節目を達成し、ERAローンを実現させたすべての当事者の努力に感謝する。我々はまた、ウクライナの資金ニーズが満たされるよう、すべてのG7による引き続きの支援の実施を歓迎する。
我々は、ウクライナに対する拡大信用供与措置(EFF)プログラム下でのIMFの取極めの第5次レビューの前向きな完了を歓迎する。我々は、ウクライナ当局の困難な状況の中での改革実施へのコミットメントを評価し、進行中の紛争にもかかわらず、力強いプログラムの実施を評価する。我々は、また、ウクライナの全ての民間債権者との債務再編の成功裏の妥結を期待している。
ロシアに科されている制裁は、ロシアのウクライナに対する戦争を遂行する能力を弱め、その調達を遅らせ、コストを増大させることにより、ロシアの経済を世界から更に孤立させ、またロシアの戦争遂行への支援を提供する個人及び企業に実質的なコストを科してきた。我々はまた、第三国とも協力して、制裁の回避または迂回や戦場の軍民両用物品を獲得するロシアの能力を妨げることに引き続きコミットしている。石油上限価格は、ロシアの収入を減らす一方、エネルギー市場の安定性を支えることに成功してきた。我々は石油上限価格措置が正しく実施されるようにする連合の取組を歓迎する。我々は石油上限価格の違反への更なるイニシアティブをとること及びロシアが制裁を回避するために影の船団を利用するコストを増大させることに引き続きコミットしている。我々は、これまで講じてきた手段に基づいて、エネルギー収入や将来的な採掘能力を対象とするための更なる行動を含め、クレムリンの収入源の抑制に引き続きコミットしている。我々は、G7の事業者がロシアの迂回スキームに関与していないことを確保するために、特に第三国において、金融機関が我々の制裁をロシアが回避することを支援することを妨げるための取組を強化し、民間セクターへの関与を続けることを意図する。我々は、関連する国連安保理決議に直接違反する、北朝鮮とロシアの間の増大する軍事協力を強く非難する。
中東
我々は、2023年10月7日のハマスによる残忍なテロ攻撃に対する最も強い非難を改めて表明する。我々はまた、イランのイスラエルに対する直接的な軍事攻撃及びロシアへの先進兵器の移転を強く非難する。我々は、更なる攻撃と報復はこの地域の生存と経済を脅かすことを強調し、地域の全ての関係者に対し、責任と自制ある行動をとるよう求める。我々はガザの人道状況の悪化及びレバノン市民の安全と安心のために「ブルーライン」に沿った状況のエスカレーションの結果を深刻に懸念している。我々は、国連平和維持活動である国連レバノン暫定隊(UNIFIL)への支援を再確認し、UNIFILの安全に対するあらゆる脅威に深刻な懸念を表明する。国連平和維持活動の保護は全ての紛争当事者に義務付けられている。我々は、国連安保理決議第1701号の完全な履行と整合的な形での敵対行為の完全な停止と、市民が「ブルーライン」の両側で安全に故郷に戻れるような戦闘の外交的解決についての我々の要請を改めて表明する。我々は、中東における人道支援の実施を共同で継続する。我々はまた、状況が許せば、ガザの早期復興に向けた計画を継続する。我々は、国連安保理決議第2735号を想起し、即時停戦、すべての人質の解放、人道支援の持続的な増加及び紛争の終結を求める。
我々はイスラエルに対し、不可欠な金融取引及び重要な貿易・サービスが継続するよう、イスラエルとパレスチナの銀行間のコルレス銀行サービスが維持されるために必要な措置を講ずること、パレスチナ当局の差し止められている税還付金を全額解放すること並びに、治安状況が許せばパレスチナ人労働者に就労許可を再発行することを求める。
人工知能
我々は、金融システム及び広範な経済に対するリスクを最小限に抑えながら、生産性と成長の向上に、安全、安心で、信頼できる方法で、AIをどのように活用するかについての議論の推進に引き続きコミットしている。我々のストレーザにおける共通の政策アジェンダをフォローアップするため、我々は、AIの開発及び活用がもたらす経済及び金融政策立案の機会と課題を特定し、G7への報告書を作成するためのハイレベル専門家パネルを設置した。パネルは、マクロ経済への影響、政府及び金融機関の潜在的なAIの活用、金融安定への配慮、労働力の技術への影響、環境の持続可能性を含む、G7財務トラックの中核とみなされる分野における、政策立案者に対するAIのインプリケーションに焦点を当てている。我々は、関連するリスクを軽減しつつAIの恩恵を享受する方法に関するパネルの分析に期待する。我々は、パネル議長による進行中の作業のアップデートを歓迎し、AI、経済及び金融の政策立案に関する報告書に期待する。
金融セクターの課題
我々は、国際金融規制改革の適時の実施に強くコミットし、銀行にとっての強固なプルーデンス基準の重要性及びバーゼルIII枠組みの全ての要素を完全かつ整合的な形で、かつ可能な限り早期に実施するとの我々のコミットメントを再確認する。
我々は、ノンバンク金融仲介(NBFI)セクターの強靱性を強化するためのFSBの進行中の作業を強く支持する。我々は、市場参加者による流動性の請求に対応するための備えを含め、証拠金の慣行を改善させるための、FSBの提言の適時の最終化に期待し、NBFIのレバレッジによる脆弱性に対応するための来るFSBの市中協議報告書における強固な一連の勧告に期待する。我々は、マネー・マーケット・ファンド(MMF)及びオープンエンド型ファンド(OEFs)に関するFSBの政策勧告の実施における継続的な取組が必要であることを改めて強調する。我々は、NBFIのデータを強化し、同セクターの脆弱性を監視する当局の能力を向上するための更なる努力を奨励する。
我々は、G7メンバーとして、クロスボーダー送金を安全性、強靱性、金融の健全性を保ちつつ、より迅速で、安価で、透明性のある、包摂的なものとするための、クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップの適時かつ実効的な実施への我々の支持及びコミットメントを改めて強調する。クロスボーダー送金の改善は、先進国と新興市場国・開発途上国(EMDEs)の双方の利益となり、金融統合に貢献し、市場の分断リスクを軽減させる。我々は、即時決済システムのインターリンクのガバナンス及びオーバーサイトについてと、クロスボーダー送金の改善に向けたアプリケーション・プログラミング・インターフェースの調和についての、決済・市場インフラ委員会(CPMI)が発表した報告書2点を歓迎する。我々は、ロードマップの実施に関するFSBの年次進捗報告書、及び2027年までの目標を達成するために更なる措置が必要であることを示したモニタリング演習に基づくクロスボーダー送金の定量目標の達成に対する進捗のモニタリングに関する、その関連報告書を歓迎する。したがって、我々は、FSB、CPMIやその他のパートナーとなる組織によりこれまでに策定された政策及び勧告の実施を奨励する。最後に、我々は、クロスボーダー送金の透明性向上に関するFATF基準を強化する進行中の作業を支持する。
我々は、暗号資産政策実施に関するG20ロードマップに関する最初の状況報告書を歓迎し、FSBの勧告及びSSBsにより確立された基準及びガイダンスと整合的な形で実効的な規制監督上の枠組を実施するとのコミットメントを再確認する。我々は、また、暗号資産に関するその基準のグローバルな実施を加速するためのFATFによるイニシアティブ、並びに、DeFi、ステーブルコイン及び個人間で行われる取引(P2P取引)から生じるものを含め、新たなリスクに関する作業の支持を改めて強調する。
サイバーセキュリティは、事業者及び金融当局にとって引き続き重要な課題である。我々は、サイバー脅威を理解し、我々の共有された対応能力を強化し、将来に備えるためのG7サイバー専門家グループ(CEG)の作業及びその事業者のパートナーを歓迎する。この点において、我々は、今年実施したクロスボーダー協調演習が成功裏に完了したこと、並びに金融システムに影響し得る大規模なサイバーインシデントに対応するためのG7当局及び事業者間の適正な協調、コミュニケーション及び情報共有の重要性を想起する。我々は、量子計算により金融セクターにもたらされるリスクと機会に今備える必要性に関する事業者及び当局へのガイダンスに係るCEGによる公表文に留意する。
国際開発金融機関
我々は、最も喫緊の開発及び地球規模課題により良く対処するため、国際開発金融機関(MDBs)を進化させ、強化することへの我々の確固たる支援を改めて強調する。我々は、より良く、より大きく、より効果的な国際開発金融機関(MDBs)に向けたG20MDBロードマップを歓迎し、改革アジェンダ(evolutionagenda)をこの作業の重要な構成項目として考慮する。我々はMDBsに、具体的で測定可能な効果に向けたG20ロードマップの提言の実施を進めることを求める。我々はカントリー・プラットフォームやFinanceinCommonイニシアティブを通じたものを含め、MDBsに一つのシステムとしてより良く機能し、各々の比較優位を活用し、効果を最大化するためにより良く協調することを求める。我々は、特に民間投資のボトルネックを取り除き、より多くの民間部門の関与を促進することを可能とする状況を醸成するために、MDBsに適切な政策や規制改革の設計と実施における各国への支援を強化することを求める。さらに我々は、野心的な動員目標の設定、職員のインセンティブの調整、及び透明性のある報告を通じて民間資金動員のための取組を強化し、国内資金動員を強化し、並びに現地通貨に係る課題解決の取組を拡大することをMDBsに求める。
我々は、すでに特定された措置が今後10年間にMDBの追加融資を最大3,570億米ドル引き出す可能性があることを認識し、G20によるMDBsの自己資本の十分性に関する枠組(CAF)の提言の実施の進展を歓迎する。我々は、MDBsの長期的な財務持続可能性や強固な信用格付を維持しつつ、継続的かつ野心的に全ての適切なCAF提言の更なる実施を求める。我々はMDBsに対して、ハイブリッド資本やポートフォリオ保証などの革新的金融手法の設計に継続的に取り組むことを求める。我々はまた、MDBsに対して、請求払資本のリスク軽減評価の測定の共通アプローチへの選択肢を共同で探索すること、及びその評価をCAFに組み入れることを求める。我々はMDBsに対して、適用可能な場合は、優先的に弁済を受ける地位(PCS)に適切な価値を付与し、ポートフォリオ集中のリスクを効果的に説明するための一連の指導原則を開発することを奨励する。上記の全ての取組は、格付機関(CRAs)との更なる議論から恩恵を受ける。我々は、CAFの実施が潜在的な将来の資金注入の有効性を最大化することを認識するとともに、CAF措置に加えて増資が必要かどうか、またいつ必要かを決定するうえで、各MDBの理事会が最も適切な立場にあることを考慮する。G20MDBロードマップに沿う形で、我々は、MDBsの理事会とマネジメントが、経営資源と戦略目標との整合性を定期的に評価するプロセスの確立を考慮することを奨励する。
我々は、低所得国に対し多額の譲許的支援を継続することの重要性を再確認する。我々はまた、低・中所得国による地球規模課題への対処を支援するため、明確な配分枠組を通じた、譲許的資金の対象を絞った活用への支援を再確認する。我々は、MDBsに対し、予防への投資、紛争時の関与の継続、現地の民間セクター及び金融市場の開発、脆弱性に対処するための制度的・人的能力及びインセンティブの強化並びに地域組織とのものを含む戦略的パートナーシップの活用により、脆弱性、紛争及び暴力により良く対処することを求める。
我々は、低所得国(LICs)が居住可能な地球で貧困を撲滅することを支援するための効果的な政策パッケージを含む、強固な国際開発協会(IDA21)増資を支持する。IDA21増資の成功を確実にするために、我々は、ドナーの基盤を拡大することを求めつつ、強力な支援の提供を継続する。我々はまた、AfDF16中間レビューにおける最近の有意義な議論を踏まえ、来年のアフリカ開発基金第17次増資(AfDF17)の成功に向け努力することをコミットする。
我々はまた、インパクトを強化するためのグローバルな金融機関のガバナンスを検証することへの要請を認識する。我々は、その方向における最近の進展を強調し、MDBシステム全体における適切な役割と責任についての議論を歓迎する。
我々は、革新的な金融メカニズムとして、AfDBやアフリカ連合及びアフリカ50並びにその他の開発パートナーにより開発され、変革的なグリーンインフラプロジェクトに対する100億米ドルの資金基盤を設計・開発するためのブレンディッド・ファイナンスを動員することを目的とした、アフリカのグリーンインフラストラクチャーアライアンス(AGIA)への支持を改めて強調する。その目標は、アフリカ大陸において、エネルギー転換を加速し、長年のインフラギャップを埋め、及び気候への強靱性を促進することである。
国際通貨基金
我々は、専務理事のグローバル政策アジェンダ(GPA)で示されている政策の優先事項を歓迎する。我々は、グローバル金融セーフティ・ネットにおけるIMFの中心的役割を維持すべく、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFへの我々のコミットメントを想起する。我々は、第16次クォータ一般見直しの完了を歓迎し、最も貧しい加盟国のクォータシェアを守りつつ、第17次クォータ一般見直しの下で、新たなクォータ計算式を通じたものを含め、更なるクォータシェアの調整に向けた指針としての可能な複数のアプローチを取りまとめるためのIMF理事会における進行中の取組を歓迎する。
我々は、IMF理事会に25番目の理事を設けることを歓迎し、これは、サブサハラ・アフリカの発言権と代表性を強化する。我々は、貧困削減・成長トラスト(PRGT)及び、強靭性・持続可能性トラスト(RST)を通じたものを含め、最も脆弱な人々に向けたIMFのコミットメントを強く支持する。我々は、これらのファシリティへの追加的な資金貢献の提供を検討するよう、IMF全加盟国、特にまだそうしていない加盟国に対する要請を改めて強調する。我々は、IMFが引き続き、最も脆弱な加盟国の国際収支上のニーズに対応することを確保する、PRGTのファシリティと資金に関する見直しの成功裡の完了を歓迎する。我々は、また、チャージ・サーチャージの意図されたインセンティブを維持し、また、IMFの財務健全性を保護しつつ、借入国の借入に係る財政コストを軽減させるIMFにおけるチャージ・サーチャージ見直しの完了を歓迎する。
債務問題
我々は、債務破綻に陥った低・中所得国を支援するための取組を更に強化し、そのための能力を向上させることを求めた、G7首脳による全てのステークホルダーに対する要請を再確認する。
我々は、予測可能で、適時に、秩序立ち、かつ連携した方法で債務措置に係る「共通枠組」の実施を改善する取組を完全に支持する。この観点から、我々は、G20の「共通枠組」下の事例から得られた教訓に関するG20ノートの支持を歓迎し、ノートにおける勧告が実施されることを期待する。我々はスリランカに対して合意された債務措置も歓迎する。我々は、全てのステークホルダーに対し、データ共有の取組などを通じて、債務の透明性を向上させるよう求める。
我々は、彼らの野心的な持続可能開発目標のための不可欠な投資をする能力を妨げる、債務は持続可能だが流動性課題に直面するような脆弱国への支援に取り組む用意がある。我々は、国主導で、改革志向の、多次元的なアプローチを支持すると共に、IMFと世界銀行が、彼らの「3本柱のアプローチ」を更に発展させることを奨励する。
保健及び財務の課題
我々は、10月10日にG7保健大臣との合同セッションを開催し、財務と保健の関係者が協調して取り組むことで、将来の健康危機に対する備えを強化し、世界の安全を向上させることができる分野に焦点を当てた。
薬剤耐性感染症を予防、診断、治療するための革新的な製品のパイプラインは、薬剤耐性(AMR)という課題に対処するには依然として不十分であることを認識し、我々は、新たな抗菌薬およびその使用にかかる代替品の研究開発を加速するためのプッシュ型のインセンティブの必要性を強調する。また、地域内および国内市場ならびに保健システムにおいてプル型のインセンティブとその恩恵を推進し、革新的な市場持続的アプローチを模索し、支援することへの我々のコミットメントを再確認する。
我々は、アフリカにおける医薬品製造能力強化に向けた取組を主導し続ける。我々は、伊議長国下で作成された報告書を歓迎する。それによれば、G7諸国は持続可能な地域の産業の発展を支援するために、すでに29億米ドル以上のコミットメントを行っている。支援されたイニシアティブのインパクトを最大化するため、我々はG7の協力のさらなる強化と、アフリカのパートナーの継続的な関与を期待する。
我々は、G20財務・保健合同タスクフォース(JFHTF)と緊密に連携し、残された機能ギャップに対処するための対応資金のための革新的なメカニズムを引き続き模索することにコミットし、また透明性を向上させるための世界的なエムポックスに関する対応資金トラッカーの創設を歓迎する。我々は、パンデミック基金の中期戦略計画2024-2029の履行を支援するために、少なくとも20億米ドルの新規のプレッジと、少なくとも同額の共同融資を達成するため、ドナー層の拡大を含め、パンデミック基金への継続的な支援を求める。我々はまた、Gaviワクチン・アライアンスの進行中の増資キャンペーンと世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)の今後の増資サイクルへの強固な支援を求める。
我々は、IMF、世界銀行、WHOが、IMFの強靱性・持続可能性トラスト(RST)のパンデミックへの備えに関するコンポーネントの稼働に向けた重要なステップとして、協力原則を最終化したことを称賛するとともに、パンデミックへの備えに取り組む初のRSTプログラムを期待する。
我々は、参加するG7の開発金融機関と欧州投資銀行及び国際金融公社による、感染症危機対応医薬品等(MCMs)のためのサージ・ファイナンス・イニシアティブに関する覚書の署名を歓迎する。
グリーンな移行
気候変動と生物多様性の喪失の結果は、我々の経済に重くのしかかり、我々の社会に痛ましい犠牲をもたらす。我々は、「ネット・ゼロに向けた公正な移行のための政策オプションのメニュー」に導かれ、ネット・ゼロへの世界的な移行を促進するための効果的な戦略の実施という我々のコミットメントを再確認する。我々は、グリーン・スキルの重要性と需要の高まりを認識する。女性や低賃金労働者に対するものを含むリスキリング及びアップスキリングへの投資は、生産性の大幅な向上と雇用創出につながることもあり、転換への追加的な刺激となり、不平等の縮減にも貢献することもある。我々はまた、炭素集約度測定を含む、OECDの炭素緩和アプローチに関する包摂的フォーラムの作業への支持を改めて強調する。我々は、炭素の価格付けや価格付けによらないメカニズム及びインセンティブを含む、よく計画された政策の組み合わせが、費用効率の高い排出レベルの削減を促進し、イノベーションを推進し、ネット・ゼロへの転換を可能にする潜在的可能性を有することを再確認する。
我々は、金融セクター及び実体経済両方における移行計画の比較可能性、情報性及び信頼性を強化し得るベスト・プラクティスを支持することに引き続きコミットし、移行計画に関するG20ハイレベル原則及び勧告を歓迎する。我々は、移行計画開示に対応し、関連する課題に関する国際協調を奨励するための国際サステナビリティ基準審議会といった国際的な主体による進行中の取組を支持する。我々は、気候関連金融リスクに関するFSBのロードマップの進捗を支持し、金融安定のための移行計画の妥当性に関するFSBの報告書に期待する。我々は、気候関連開示、シナリオ・モデル、リスク評価、及びネットゼロの目的に向けた進展の追跡を改善することを可能とするツールとして、AIを含む新たな技術の潜在力に留意する。
気候に関連する自然災害は、人的損失及び経済的損失が甚大であり、頻度と深刻度が増している。EMDEsは大きな影響を受け、自然災害への備えが十分でない場合が少なくない。我々は、EMDEsにおけるリスク軽減のための資金動員に向けた、各国の事情に合わせた戦略の開発に関する継続中の議論を高く評価し、気候リスクに対するグローバル・シールド及び自然災害に対する官民保険プログラムのためのハイレベル枠組みに導かれ、それを補完する、官民保険ソリューションを動員するための包括的かつ背景状況を考慮した戦略の開発に向けた世界銀行グループの作業を推奨する。我々はまた、EMDEsの固有のニーズへの焦点を当てている、地域的な災害リスクファイナンスイニシアティブを推進する重要性を強調する。我々は、災害後、財政的余力の限られた状況において、「気候変動に対する強じん性を取り入れた借入条項(CRDC)」が円滑な回復に貢献する役割を認識する。
我々は、環境及び気候基金に関するG20の独立レビューの成果を歓迎するとともに、資金へのアクセスを容易にし、基金全体にわたるプロセスを簡素化し調和させ、気候資金の展望の分断を減少させ、MDBsとのより良い協働を含め、ドナーの資金のレバレッジと民間資本の動員を高めるための提言が効果的に実行されることを期待する。
我々は、強靭で包摂的なサプライチェーンの強化(RISE)に向けたパートナーシップにおける進展を評価し、ザンビアでの現地情報プラットフォームの今後の立上げを歓迎する。我々は、世界銀行グループがこの世界的なイニシアティブを迅速に更に実施することを求め、また、ブルンジとマラウイを含むアフリカでの地域拡大や他地域での進展を期待する。
国際租税協力
我々は、21世紀にふさわしい、より安定的かつ効率的な国際課税制度を確立するための我々のコミットメントを改めて強調する。第一の柱の実施は引き続き我々の最優先事項であり、可能な限り早期に多数国間条約の署名を行うため、我々はOECD/G20「包摂的枠組み」において利益Bの未解決の課題を解決することにコミットしている。我々は、全てのIF加盟国・地域に建設的に関与することも通じ、その目的を達成するために協力する。我々は、国内法制において第二の柱のグローバルミニマム課税を実施している、あるいは実施し始めた法域が増加していることを歓迎する。我々は、他の法域にも追随を求めるとともに、一貫性のある実施を確保するために進行中の作業を支持する。我々は、9月19日の租税条約上の最低課税ルール(STTR)の実施のための多数国間協定の最初の署名式を歓迎する。
我々は、守秘義務とその他の保護措置を尊重しつつ税の透明性を強化することや、個人に対する累進的で公正な課税に向けた我々のさらなる努力その他の課題を含む、税の問題に関する国際協力を促進するとのコミットメントを再確認する。我々は、「包摂的枠組み」が、効果的な累進課税政策の文脈で、これらの問題への取組みを検討することを奨励する。
2024年8月16日に、国際租税協力に関する国連枠組条約のための基本的事項が、国連臨時委員会により採択されたことに留意し、我々は、国連の加盟国に対し、包摂的で安定的な租税協力に向けて、各国の様々な願望の間の適切な調和を達成するべく、柔軟な精神で参加することを奨励する。我々は、既存の成果とプロセスおよび他の国際機関において現在進行中の作業を基礎とすることで、不要な努力の重複を避ける必要性に加え、各国の枠組条約への参加を最大化し、持続的かつ予測可能な国際課税制度を支援するため、コンセンサスに基づく意思決定をする重要性を再確認する。
我々は、途上国、特に低所得国が税制及び税務執行能力を強化することで国内資金動員を改善し、持続可能な開発目標に向けて進展できるよう、必要な支援を提供することに引き続きコミットしている。
第7回OECDウェルビーイング世界フォーラム
我々は、2024年11月4~6日にイタリア・ローマにて開催される第7回OECDウェルビーイング世界フォーラムに期待する。フォーラムは、日本議長国下の成果を踏まえ、ウェルビーイング、持続可能性、不平等の是正を進める政策の採用について検討する。フォーラムは、G7財務トラックのプライオリティに沿って、ウェルビーイングに関連する政策課題の、エビデンスに基づくデータ主導の分析を促進し、気候変動とAIのウェルビーイングに与える影響に焦点を当てる。