[文書名] G7外相会合共同声明
1. 我々、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国及び米国のG7外相並びにEU上級代表は、2025年3月12日から14日まで、シャルルボワにおいて一堂に会した。
ウクライナの長期的繁栄及び安全保障
2. 我々は、自らの領土一体性及び生存する権利を守るウクライナ並びにウクライナの自由、主権及び独立への揺るぎない支持を再確認した。
3. 我々は、停戦の実現に向けた進行中の取組、特に3月11日にサウジアラビア王国で行われた米国とウクライナとの間の会談を歓迎した。我々は、国連憲章に沿った包括的、公正かつ永続的な平和に向けた不可欠な一歩である、ウクライナの即時停戦へのコミットメントを称賛した。
4. 我々は、ロシアに対し、平等な条件での停戦に合意し、それを完全に履行することにより、応じるよう求めた。我々は、そのような停戦が合意されない場合に、更なる制裁、石油価格の上限価格設定、ウクライナへの追加支援及び他の手段を通じたものを含むロシアへの更なるコストを課すことを議論した。これには、ロシアの国家が有する資産が動かせないようになっていることに起因する特別な収益の活用も含まれる。我々は、軍及び民間双方の戦争捕虜及び拘留者の解放並びにウクライナの子どもたちの帰還を含む、停戦下における信頼醸成措置の重要性を強調した。
5.我々は、いかなる停戦も尊重されなければならないことを強調し、ウクライナがいかなる侵略行為の再発も抑止・防衛できることを確保するための、強固で信頼に足る安全保障の仕組みの必要性を強調した。我々は、2025年7月10日及び11日にローマで開催されるウクライナ復興会議を含め、ウクライナの早期復旧及び復興を促進するため、経済及び人道支援を引き続き調整することを表明した。
6. 我々は、ロシアに対する北朝鮮及びイランによる軍事支援、並びにロシアの戦争及びロシア軍再編の決定的な支援者である中国による武器及び軍民両用部品の提供を非難した。我々は、このような第三者に対して行動をとり続けるとの意図を改めて表明した。
7. 我々は、特に民間人及び民間インフラへの戦争の影響について警戒感を表明した。我々は、説明責任の重要性を議論するとともに、持続的な平和を実現し、ウクライナが民主的で、自由で、強固で、豊かであり続けることを確保するために協力することへの彼らのコミットメントを再確認した。
中東における地域の平和と安定
8. 我々は、全ての人質の解放及びガザにおいてハマスが保持する遺体が愛する人々の元に返還されることを求めた。我々は、ガザへの妨げられない人道支援の再開及び恒久的な停戦への支持を再確認した。我々は、双方の人々の正当なニーズ及び願望を満たし、包括的な中東和平、安定及び繁栄を前進させるような、イスラエル・パレスチナ紛争の交渉による解決を通じて達成された、パレスチナの人々にとっての政治的展望が不可欠であることを強調した。我々は、西岸における緊張と敵対行為の高まりへの深刻な懸念に留意し、沈静化を求める。
9. 我々は、国際法と整合的な形で自国を守るイスラエルの固有の権利を認識した。我々は、2023年10月7日の残酷で不当なテロ攻撃、並びに拘束期間中に人質に与えられた危害及び人質解放の際の「引き渡し式典」の使用を通じた彼らの尊厳の侵害を含め、ハマスを明確に非難した。我々は、ハマスはガザの将来に何ら役割を持ち得ず、二度とイスラエルに対する脅威となってはならないと改めて表明した。我々は、ガザ復興への道筋を示し、イスラエルとパレスチナの永続的な平和を構築するアラブ提案に関し、アラブ諸国に関与する用意があることを確認した。
10. 我々は、シリア及びレバノンが平和で安定した政治的未来に向けて取り組む中、両国国民への支持を表明した。この重要な節目において、我々は、シリア及びレバノンの主権及び領土一体性の重要性を改めて表明した。我々は、シリアにおけるテロリズムの拒絶を明確に求めた。我々は、シリア沿岸部における最近の暴力の激化を強く非難し、民間人の保護及び残虐行為の加害者の責任追及を求めた。我々は、包括的かつシリア主導の政治プロセスが極めて重要であることを強調した。我々は、化学兵器禁止機関(OPCW)と協力し全ての残存する化学兵器を廃棄するという、シリア暫定政権のコミットメントを歓迎した。
11. 我々は、イランが地域の不安定の主要な要因であり、イランによる核兵器の開発及び獲得は決して許されてはならないと強調した。我々は、イランは今、方向転換し、緊張を緩和し、外交を選択しなければならないことを強調した。我々は、イランが威圧の手段として、恣意的な拘束及び外国での暗殺の試みの使用を増加させていることの脅威を強調した。
インド太平洋全体の安全及び強靭性を高めるための協力
12. 我々は、主権、領土一体性、紛争の平和的解決、基本的自由及び人権に基づく、自由で、開かれた、繁栄し、安全なインド太平洋を堅持することへのコミットメントを改めて表明した。
13. 我々は、東シナ海及び南シナ海における状況を引き続き深刻に懸念し、特に力及び威圧による一方的な現状変更の試みに引き続き強く反対する。我々は、国際法に違反した形での、フィリピン及びベトナムの船舶に対する危険な操船や放水銃の使用の増加並びに南シナ海における軍事化及び威圧を通じた航行及び上空飛行の自由を制限しようとする活動について懸念を表明した。我々は、台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調した。我々は、両岸問題の平和的解決を促し、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みにも反対することを改めて表明した。我々はまた、適切な国際機関への台湾の意味ある参加への支持を表明した。
14. 我々は、中国の軍備増強及び継続的かつ急速な核兵器数の増加を引き続き懸念している。我々は、中国に対し、戦略的リスク低減の議論に関与し、透明性を通じて安定を促進するよう求めた。
15. 我々は、中国が我々のコミュニティの安全と安心、民主的な制度の健全性を損なうことを目指した行為を実施又は容認すべきでないことを強調した。
16. 我々は、有害な過剰生産及び市場の歪曲をもたらしている、中国の非市場的政策及び慣行に対して懸念を表明した。我々はさらに、中国に対し、サプライチェーンの重大な混乱につながり得る輸出管理措置をとることを控えるよう求めた。我々は、中国を害したり中国の経済成長を妨げようとしておらず、実際、成長する中国が国際的なルールや規範に従って振る舞うことは、世界の利益であることを改めて表明した。
17. 我々は、北朝鮮が、全ての関連する国連安保理決議に従って、自らの全ての核兵器及びその他のいかなる大量破壊兵器並びに弾道ミサイル計画も放棄するよう要求した。我々は、北朝鮮の暗号資産窃取に対する深刻な懸念及びこれに共に対処する必要性を表明した。我々は、北朝鮮に対し、拉致問題を即時に解決するよう求めた。
18. 我々は、軍事政権によるミャンマーの人々への残酷な抑圧を非難し、全ての暴力の終結及び阻害されない人道アクセスを求めた。
ハイチ及びベネズエラにおける安定及び強靭性の構築
19. 我々は、ハイチにおいて政府を掌握しようとするギャングによる恐ろしい暴力が継続していることを強く非難した。我々は、ハイチ国家警察及びケニア主導の多国籍治安支援ミッションへの支援並びに国連の役割拡大を通じたものを含め、ハイチの人々が民主主義、安全及び安定を回復させるための支援へのコミットメントを再確認した。我々は、国際的な最高水準を遵守する専門的な汚職対策管轄権を創設するハイチ当局の取組への支持を表明した。
20. 我々は、2024年7月28日に変化を求めて平和的に投票したベネズエラの人々の願望に沿ったベネズエラにおける民主主義の回復、ニコラス・マドゥーロ政権による若者を含む平和的な抗議活動の参加者への抑圧及び恣意的又は不当な拘束の停止、並びに全ての政治犯の無条件及び即時の解放を改めて求めた。我々はまた、ベネズエラの海軍艦艇がガイアナの商船を脅かしていることは、容認できないことであり、ガイアナの国際的に認められた主権の侵害であることで一致した。我々は、全ての国の主権及び領土一体性の尊重を永続的価値として再確認した。
スーダン及びコンゴ民主共和国における永続的な平和の支援
21. 我々は、世界最大の人道危機及び飢饉の広がりを引き起こしている、女性や女児に対する性的暴力を含む、スーダンにおける進行中の戦闘及び残虐行為を明確に非難した。我々は、紛争当事者に対し、民間人の保護、敵対行為の停止及び阻害されない人道アクセスの確保を求めるとともに、外部の関係者に対し、紛争を煽るような支援を止めるよう求めた。
22. 我々は、コンゴ民主共和国(DRC)東部における、ルワンダが支援しているM23の攻撃及びその結果生じている暴力、避難、並びに重大な人権及び国際人道法の違反を非難した。この攻撃は、DRCの領土一体性をあからさまに無視するものである。我々は、M23及びルワンダ軍に対し、全ての支配地域から撤退することを改めて求めた。我々は、全ての当事者に対し、東アフリカ共同体及び南部アフリカ開発共同体が主導する仲介を支援し、M23及びルワンダ解放民主軍(FDLR)を含む全ての武装勢力による人権侵害に対する説明責任を促進し、女性及び若者の有意義な参加を含む、紛争の平和的かつ交渉による解決にコミットすることを要請した。
制裁強化並びにハイブリッド戦争及び妨害行為への対抗
23. 我々は、対象リスト掲載及び執行に焦点を当てた制裁作業部会を強化する取組を歓迎した。我々はまた、ハイブリッド戦争・妨害行為作業部会及びラテンアメリカ作業部会の設置に関する議論を歓迎した。